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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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外伝~”力の差”~

~ミシュラム~



「そらっ!!」

戦闘開始早々クロウはダブルセイバーを投擲するクラフト―――ブレードスローを放ち

「二の型―――大雪斬!!」

エリゼは跳躍して襲い掛かるダブルセイバーを回避してクロウ目掛けて強烈な一撃を叩きつけようとした。

「へっ、喰らうかよ!」

エリゼの攻撃を後ろに跳躍して回避したクロウだったが

「秘技―――裏疾風!!」

「うおっ!?」

「斬!!」

「グッ!?」

地面に着地した瞬間電光石火の速さで追撃をしたエリゼの剣技を受けて怯んだ。



「やってくれるじゃねえか……!オォォォォォォ……アークスラッシュ!!」

自分の手に戻って来たダブルセイバーを手にクロウは強烈な一撃をエリゼ目掛けて放ち

「秘技――――百烈桜華斬!!」

対するエリゼも闘気を纏った薙ぎ払い攻撃で対抗し、同時に放った二人の武器がぶつかり合った瞬間、衝撃波が起こり、二人はそれぞれ吹っ飛ばされたがすぐに受け身を取り、それぞれ攻撃行動に移った。

「空破――――」

「!」

一瞬でエリゼに詰め寄ったクロウは突きを放ち、エリゼはそれを太刀で防御し

「絶掌撃!!」

更に一瞬で背後に回ったクロウの突きをエリゼは前方に跳躍して回避した。



「吹っ飛びやがれ!崩爆華!!」

「!!」

そこにクロウが追撃を仕掛け、クロウの強烈な一撃をエリゼは真正面から太刀で受け止めた。

「―――かかりましたね。連続水弾!!」

クロウの攻撃を受け止めていたエリゼは魔術を発動し

「!?しま――――」

エリゼの行動に気付いたクロウがエリゼから離れようとしたその時、エリゼの太刀から水の魔力による球体が現れ、クロウに襲い掛かった!

「うおっ!?」

襲い掛かる魔力球を至近距離で受けたクロウは怯み

「落ちよ!そして罪深き者に雷光の制裁を!救世の聖雷!!」

「ガアアアアアアアア―――――ッ!?」

更にエリゼが放った雷を呼び寄せる魔術を受けてしまい、水で濡れてしまった身体は雷をよく通していた為、悲鳴を上げるほどのダメージを受けた。



「二の型―――洸破斬!!」

「グッ……!?」

濡れた身体に雷を受けた影響ですぐに身体を動かせないクロウにエリゼは容赦なく追撃し

「アークス駆動。無の型――――独楽舞踊!ハァァァァァァァ……!」

「うおっ!?」

そしてオーブメントを駆動させた後全身を回転させて風圧を発生させてクロウを自分の元へと引き寄せてクラフトを放った。

「伍の型―――光鬼斬!!」

「!!ガッ!グッ!?」

エリゼが放った強烈な抜刀による一撃を間一髪ダブルセイバーで防御したクロウだったが、武器越しに伝わる凄まじい衝撃によって何度も地面にバウンドしながら吹っ飛ばされた!



「そこですっ!ダークマター!!」

「うおおおおおおっ!?」

クロウを吹っ飛ばしたエリゼは駆動を終えたオーブメントでアーツを発動してクロウを重力によって封じ込め

「魔力集束――――」

更に片手に電撃が迸る程の凄まじい魔力を球体状に集束させ、それをクロウへと解き放った!

「爆散せよ――――アウエラの導き!!」

「グアアアアアアアア―――――ッ!?」

動きを封じ込められた状態のクロウは為す術もなくエリゼが放った高火力の魔術を受けてしまい、再び吹っ飛ばされた!



「ゴホッ、ゴホッ!?クソッ………タレ……!下手したら”鬼の力”を解放したリィンよりも上じゃねえのか……!?幾ら”剣聖”とはいえ経験した修羅場は俺どころかリィン達よりも少ないのに、何でこんなにも実戦慣れしていやがるんだ……!?」

咳き込みながら口から血を吐いた後全身ボロボロの状態で武器を支えに立ち上がったクロウは忌々しそうな様子でエリゼを睨み

「―――私を鍛えて頂いた方達―――カシウス准将やエクリア様を始めとした方々は”人”として”最強”の部類か、”人”を超えた存在―――”超越者”です。”最強”や”超越者”との修練による経験に対して、”人”の身で挑む”試練”を一人で超えられた経験”如き”が敵うと思っているのですか?」

「ハッ、随分と上から目線で言ってくれるじゃねえか……!」

エリゼの答えを聞くと怒りの表情になった。

「私は事実を言ったまでです。その証拠に貴方はかつて”V”を始めとした”帝国解放戦線”のメンバーにザクセン鉄鉱山を占領させましたが……その時に兄様達とルクセンベール卿を分断させたと聞いています。プリネ様達同様リウイ陛下を始めとしたメンフィルが誇る”英雄”や猛者達に鍛え上げられ、更に”リベールの異変”という国家の危機に関わる程の大事件を解決した事で貴方が経験した修羅場とは比べものにならない程の修羅場を潜って来たルクセンベール卿が兄様達といれば、”V”もそうですが自分でも太刀打ちできないと判断したからではないのですか?」

「…………ッ……!」

しかしエリゼに図星を突かれると反論もせずに唇を噛みしめてエリゼを睨み

「それにこれはあくまで私の推測ですが”鬼の力”を解放した兄様も手加減をして、貴方と剣を交えたと思っています。」

「何だと!?見てもいねぇのに、そんなふざけた事をぬかすな!」

エリゼの推測を聞くと怒りの表情で反論した。

「見ていなくてもわかります。兄様はベルフェゴール様達――――”超越者”達の力をその身に宿しているのですから。兄様がその気になれば貴方如き”瞬殺”できるはずですし、私も”本気”になった兄様には足元にも及ばないでしょうね。」

「……じゃあ嬢ちゃんはあの時のリィンは無意識で手加減して俺と戦ったって言いたいのか……!?」

「あくまで推測ですが。この際ハッキリ言わせてもらいますが貴方は神々や魔神の”力”を軽く見過ぎています。彼らはその気になれば単独で国を滅ぼせる程の”力”を持っているのですから。そんな存在に”起動者”がいなければ戦う事もできない”騎神”――――人形兵器が敵うと思っているのですか?」

「オルディーネを人形兵器なんかと比べんじゃねぇ!それに俺はベルフェゴール達の事も軽く見ていねぇぞ!?以前オルディーネを操縦した状態で奴等に負けたんだからな……!」

「そのベルフェゴール様達が”本気”でなかった事に気付いていない時点で、軽く見過ぎている証拠です。」

「何だと!?それはどういう意味だ!?」

エリゼの口から語られた驚愕の真相にクロウは信じられない表情でエリゼを見つめて問いかけた。


「逆に聞かせて頂きますが確か貴方も”ガレリア要塞”での”特別実習”でエヴリーヌ様とベルフェゴール様―――”魔神”の”力”の一端をその目に焼き付けましたよね?」

「………あ………………」

エリゼに指摘されたクロウはかつてベルフェゴールとエヴリーヌが生身でエレボニア帝国軍の最新兵器を圧倒し、最後は塵も残さず消し飛ばした事を思い出した後身体を震わせ始めた。

「……つまり、あれか?あの時のベルフェゴール達もそうだが、パンダグリュエルでのリィンも俺を殺さないように手加減をしていたって事か……!?」

「”裏切り者”の貴方を生かしたベルフェゴール様達の意図はわかりませんが、兄様はそうでしょうね。」

「……………………まれ。」

「貴方はかつてユミルで兄様にこう言いましたよね?『これが現時点での明確な”力の差”ってヤツだ。半端な修羅場をいくら潜ろうが簡単には埋まらないくらいのな。』、と。その言葉、そっくりそのままお返しします。メンフィル帝国の”力”の前では、貴方が経験した修羅場等、”半端”にすらならなく、今後どれだけの修羅場を潜り抜けようとメンフィルとの”力の差”は”永遠に埋まりません”。そして”神”とも戦って勝利し、”世界の理”に挑み続けているメンフィルの逆鱗に無謀にも触れた”結果”が断腸の思いで内戦の最中で仲間である”帝国解放戦線”の幹部やメンバーを見捨ててエレボニアを離れ、クロスベルに落ち延びた”修羅にも理にも到れない半端者の貴方”です。」

「黙りやがれぇぇぇぇ――――ッ!!」

エリゼの言葉に怒り心頭になったクロウは全身に膨大な闘気や怒気を纏って武器を構えた!



「そんなにもメンフィルの事を自慢して俺をコケにするんだったら、まずは”剣聖”であるお前をブっ倒して証明してやる!俺とお前ら――――メンフィルとの”力の差”を!受けてみよっ!終焉の十字!オォォォォォ――――――ッ!!」

暗黒のオーラを纏ったクロウはエリゼ目掛けて突撃して斬撃を叩きこもうとしたが

「―――無駄です。これで決めさせて頂きます!闇を切り裂く金耀の一刀――――」

エリゼは太刀でクロウの攻撃を受け流しながら太刀に闘気による凄まじい光を纏わせ

「デッドリー――――クロスッ!!」

「セイッ、ヤアッ!」

自身の背後に回って放ったクロウの十字の衝撃波を閃光の速さで十字(クロス)に斬って相殺し、そのまま空高くへと跳躍した。

「ハァァァァァァァ……!絶―――閃鳳剣!!」

「な――――――グアアアアアアアア―――――ッ!?ちく……しょう…………!」

エリゼが放った光の鳳凰を防ぐ術が無かったクロウはエリゼの絶技をまともに受けてしまい、悔しそうな表情で地面に膝をついた!



「クソッ……タレ……!生身で無理ならオルディーネで―――――」

オルディーネを呼ぶ為に立ち上がろうとしたクロウだったが

「二の型・改―――雷鳴剣!!」

「グアッ!?」

一瞬で詰め寄って放ったエリゼの斬撃によって脇腹を斬られ、斬られた部分から血を流しながら悲鳴を上げて再び地面に跪いた!

「”騎神”は確かに脅威ですが呼ばせなければいいだけの事。それにもし呼ぶ事ができても”騎神”がここに来て”騎神”に乗り込む前に貴方を斬れば”起動者”を失った”騎神”は人形兵器以下の存在になります。――――今のは警告です。次に”騎神”を呼ぶような真似をすれば貴方の利き腕を斬り落とします。五体満足で兄様との”約束”を守りたいのであれば、これ以上無駄な抵抗はしないで下さい。」

「チッ……(リィン)の妹とは思えない程の容赦の無さだな……!メンフィルに毒された今の嬢ちゃんをリィンが見れば、嘆くだろうな……!」

「フゥ……負け惜しみの言葉まで口にするとはクロスベルに落ち延びた影響で、随分と落ちぶれた殿方になりましたね。今の貴方は兄様に相応しい好敵手とはとても思えません。素直に私と貴方の”力の差”を認めない上、自分の負けを認めない今の貴方を兄様が見れば、幻滅するのではありませんか?」

「何だと……っ!?」

皮肉を皮肉で返したエリゼをクロウが睨んだその時足元に銃撃が放たれた!

「銃撃だと……っ!?一体誰が……―――――!!」

「これ以上戦うつもりがあるなら、今度は私達が相手よ!」

突然の銃撃に驚いたクロウが視線を向けるといつの間にかエリゼの背後に銃を構えたエリィがクロウを睨み、エリィの背後から現れたロイド、ランディ、ティオもそれぞれ武器を構えた状態でエリゼに駆け寄った。

「お待たせしました、エリゼさん!お蔭様でエリィ達を救出する事ができました!ここからは俺達も加勢します!」

ロイドはエリゼの前に出てトンファーを構え

「というか、もう勝負はついているようですが。」

「へっ、リーシャちゃんの読み通り”剣聖”相手じゃ分が悪かったようだな?」

クロウの状態を見たティオは静かな表情で呟き、ランディは口元に笑みを浮かべた。



「ロイドさん、お待たせ!」

するとその時ウィルの娘の一人でかつては特務支援課に所属していた娘――――シャマーラ・ディオンがかけつけ

「”赤い星座”の猟兵達の殲滅が完了したので、加勢に来ました!」

「どうやらエリィさん達を無事救出できたようですね……!」

同じくウィルの娘でシャマーラの姉であるセルヴァンティティ・ディオン―――セティと、セティのもう一人の妹―――エリナ・ディオンもシャマーラに続くように現れ、更にセリカ達もセティ達の背後から現れた!

「というか誰なのよ、その子。」

「”帝国解放戦線”リーダー”C”―――クロウ・アームブラストです。」

カーリアンの疑問にエクリアは静かな表情で答え

「ええっ!?」

「……通商会議の時に襲ってきたエレボニア側のテロリストのリーダーにして、かつて”Ⅶ組”に所属していた者か。」

「話には聞いていたけど、実際にこうしてこの目で見るとやっぱり驚いてしまうわね……というかどうして貴方がクロスベルにいるのよ?メンフィルの大反撃によって”蒼の深淵”達と共に貴族連合と手を切った話は聞いているけど……」

エクリアの話を聞いたシュリは驚き、セリカは静かな表情で呟き、エオリアは目を丸くしてクロウを見つめていた後真剣な表情をした。



「おいおいおい……”嵐の剣神”に”戦妃”まで味方にするとか反則過ぎんだろ……そりゃ”赤い星座”の連中もこっちの守りを捨ててまで救援に行くはずだ。陽動のお前らがここにいるって事は”赤い星座”の連中は殲滅したのか?」

セリカ達を見回したクロウは疲れた表情で呟いた後厳しい表情でセリカ達を見つめ

「ええ。援軍に来た猟兵の人達もみんな、”冥き途”にお送りしましたよ。」

「………………」

「ランディ……」

リタの答えを聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいるランディをロイドは辛そうな表情で見つめていた。



「後はお前一人だけだ。まさかとは思うがこの戦力差でやり合うつもりか?」

「…………フン。ヴィータからは適当に戦って切り上げろって言われているし、お前ら”特務支援課”が全員揃う事も”計画通り”らしいからな。俺はとっとと退散させてもらうぜ。」

剣を構えたセリカの言葉に対して鼻を鳴らして答えたクロウはヴィータから貰った魔道具を使って転移術を発動し

「何だって!?」

「わたし達が全員揃う事が”計画通り”とは一体どういう意味ですか?」

「まさか……”結社”の”幻焔計画”の事を言っているの!?」

クロウの言葉にロイドは驚き、ティオは真剣な表情で問いかけ、エリィは厳しい表情でクロウを睨んで問いかけたが

「さあな。そんな事くらい、自分達で調べたらどうだ?お前ら警察は調べる事も仕事の一つなんだろう?」

クロウは明確な答えを言わずに転移した。



「チッ、負け惜しみ代わりに意味深な事を言ってから逃げやがって。」

「でも”特務支援課”が全員揃う事が”計画通り”って言う言葉は本当に気になるよね~。」

「ええ……一体どういう意味なんでしょう?」

クロウが去った後仲間達と共に武器を収めたランディは舌打ちをし、シャマーラとエリナはそれぞれ考え込んでいた。

「……確かに”C”が言っていた言葉は気になりますが、今は私達が優先すべき事に集中すべきかと思います。」

「ええ……!よし、クロスベル市からの援軍が駆け付けてくるまでに迎賓館に待機してもらっている議長やノエル達と共にミシェラムから脱出するぞ……!」

エリゼの意見に頷いたロイドは号令をかけ

「おおっ!!」

ロイドの号令に仲間達は力強く頷いた。



こうして……ロイド達はエリィ達の救出を成功させ、”守護騎士(ドミニオン)”の一人であるワジが所有している”守護騎士”の専用飛行艇――――”メルカバ”に乗り込んでミシェラムから撤退した。 
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