英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第27話
同日、12:30――――
~ミシュラム~
「さて、俺達の方はテーマパークの方で暴れてくる。――――ナベリウス。」
ミシュラムの砂浜に降り立ったセリカはロイド達に自身の意志を伝えた後ディル=リフィーナから連れて来た仲間―――ソロモン72柱の一柱にして、”冥き途”の門番をしている魔神ナベリウスに視線を向け
「ん………来て……………」
「グルルル………」
視線を向けられたナベリウスは頷いた後自身が契約している魔獣――――ケルベロスを召喚した!
「へえ?これがかの”地獄の門番”か。”聖典”に記されているのとは違って、3つ首ではないんだね?」
ケルベロスを見たワジは興味深そうな表情をし
「で、でけえ……!」
「真の姿になったツァイト並みだな………」
「うむ。さすがは冥界の番犬だな。」
ランディやロイドは驚き、ツァイトは頷いた後興味ありげな様子でケルベロスを見つめていた。
「ワンちゃん、お手♪」
するとその時イーリュンの司祭――――様々な事情によって現代に降り立った”未来のキーア”―――キーア・バニングスが笑顔でケルベロスの前に手を差し出し
「…………………」
ケルベロスはなんと一本の足をキーアの手に乗せた。
「えへへ、毛皮がとってもふさふさしていて気持ちいいね♪」
「フフ、ツァイト君にも負けていないほどの立派な毛皮ね………」
「グルルルル…………」
リウイの側室の一人にしてかつてのロイドの兄の婚約者であるウルスラ病院の看護婦を務めているセシル・パリエ・ノイエスはキーアと共にケルベロスの毛皮を撫で、撫でられたケルベロスは気持ちよさそうな唸り声を出していた。
「あら………その子は人見知りな性格で初対面の人達には中々懐かないのですが………」
「キ、キーア!?それにセシル姉も!?」
「恐いもの知らずすぎでしょう……」
ケルベロスの様子を見たリタは目を丸くし、ロイドは驚き、ティオは疲れた表情で言い
「め、滅茶苦茶な娘達ね………」
「フフ、お二人の優しさを本能的に感じ取ったのかもしれませんね……」
「ええ……今の光景を見たら光、闇関係なくそれぞれの陣営に属する人達は驚くでしょうね。」
「そりゃ光陣営の司祭が冥府の番犬と仲良くなるなんて、普通に考えてありえないものねぇ。」
表情を引き攣らせて言ったセリカの”第二使徒”―――マリーニャ・クルップの言葉を聞いたシュリは苦笑し、セリカがディル=リフィーナから連れて来た仲間にして”軍神マーズテリア”の”神格者”ロカ・ルースコートはキーア達の様子を微笑ましく見守り、ロカの言葉にリウイの側室の一人にして、リフィアの祖母であるカーリアンは苦笑しながら答えた。
「早速………仲良くなった………良い事…………」
(クク、二人とも将来大物になる事間違いなしだの。)
ナベリウスは静かな口調で言い、ハイシェラは口元に笑みを浮かべ
「フッ………――――サリア。今の内に奴も呼んでおけ。テーマパークに到着すればすぐに戦闘が始まるのだからな。―――――来い、ハイシェラ!!」
「はいです~。来てください~、シュヴェルトライテ~!!」
そしてセリカハイシェラを、セリカの”第四使徒”サリア・レイツェンは自身が契約している”戦乙女”―――シュヴェルトライテを召喚した!
「ハハハハハハッ!早速始めるだの、血がたぎる”戦”を!そしてエオリアよ!とくと知るがいい!偉大なる”地の魔神”ハイシェラの恐ろしさを!」
召喚されたハイシェラは高笑いをした後不敵な笑みを浮かべてエオリアに視線を向け
「まだ根に持っていたのね………」
視線を向けられたエオリアは呆れた表情で溜息を吐いた。
「フン………ここが異世界か。かつて世界が一つになる前の片方の世界にもこんな風景があったな。」
一方シュヴェルトライテは鼻を鳴らして周囲を見回し
「この者が伝説の”戦乙女”か………」
「へえ………とんでもない力の持ち主じゃないか。僕の”聖痕”なんか比べ物にならないくらいだよ。」
シュヴェルトライテを見たツァイトは重々しい様子を纏って呟き、ワジは興味深そうな表情で呟いた。
「準備ができたのなら、早速ケルベロスに乗り込みましょう。」
その時エクリアが静かな口調でセリカ達を促し、セリカ達はそれぞれケルベロスの背に乗り込んだ。
「俺達はテーマパークのあたりで暴れて来る。戦闘を始めたらケルベロスに咆哮させるから、隙を突いて屋敷に向かえ。」
「わかりました。」
「皆さん……どうか気を付けて。」
「このくらいの修羅場、あたし達にとっては大した事ないから大丈夫よ♪」
「皆さんの方こそ、お気を付け下さい。」
自分達の身を心配するティオの言葉にマリーニャは口元に笑みを浮かべて呟き、シュリは真剣な表情でロイド達を見つめて言い
「”神殺し”かつサティアの肉体を持つ俺が言うのはかなり変だが………女神の加護を。」
セリカはロイド達を見つめて静かな口調で言い
「行って……………」
「ガルッ!」
ナベリウスの指示に頷いたケルベロスは頷いて行動を開始した。その後ロイド達も行動を開始し、セリカ達の陽動作戦が始まるとエリィ達が幽閉されてある迎賓館に急ぎ、時折襲い掛かってくる”赤い星座”の猟兵達を撃退しながら、ようやく迎賓館の前に到着すると予想外な人物がいた。
「ハッ……”赤い星座”の連中を全員引き寄せるとはどんなとんでもない戦力が陽動を担当しているんだ?」
迎賓館の前に待ち構えていた人物――――クロウは鼻を鳴らしてロイド達を見つめ
「!?」
「え……貴方は……」
「”Ⅶ組”のバンダナ野郎!」
「そして……”帝国解放戦線”リーダーにして”蒼の騎神オルディーネ”の操縦者である”C”―――クロウ・アームブラスト!!」
クロウの姿を見たエリゼは信じられない表情をし、ティオは呆け、ランディとロイドは厳しい表情で声をあげ
「彼があの”帝国解放戦線”の……」
「なっ!?じゃああの人が”通商会議”の襲撃を計画した首謀者の一人なんですか……!?」
「彼があの事件を……ロイド達と同じくらいの年頃の子がどうしてそんな事を……」
「………………」
リーシャはクロウを真剣な表情で見つめ、ノエルは驚きの表情でクロウを見つめ、セシルは信じられない表情でクロウを見つめ、キーアは複雑そうな表情でクロウを見つめていた。
「確かエリゼ達の話によると”結社”と”C”はメンフィルの大反撃によってエレボニアの内戦から手を引いたらしいけど……まさかクロスベルに落ち延びていたとはね。君がいるという事は”蒼の深淵”もクロスベルにいるのかい?」
「ああ……エリゼ嬢ちゃん達―――――メンフィルが介入して滅茶苦茶にしてくれたお蔭で、クロスベルに落ち延びて来た俺とヴィータは肩身の狭い立場なんだぜ?」
真剣な表情で自分を見つめるワジの質問に答えたクロウは疲れた表情でエリゼを見つめ
「貴方達がそうなったのもメンフィルの存在を軽んじ、メンフィルの”逆鱗”に触れてしまった事が原因……―――つまりは貴方達の自業自得です。」
「チッ、言ってくれるじゃねぇか。」
エリゼは静かな表情で答え、クロウは舌打ちをしてエリゼを睨んだ。
「……我らの前を阻むという事は大統領達に”特務支援課”の最後の仲間であるエリィの救出を妨害するように指示されたのだな?」
「まあな……一応世話になっているから、そのくらいはしねぇとな。ま、ヴィータからは適当に戦って切り上げて来いって言われてるけどな。」
ツァイトの問いかけに対して答えたクロウはダブルセイバーを構え、それを見たロイド達は武器を構えた。
「ちょうどいい機会だ……”特別模擬戦”で受けた”借り”はここで返させてもらうぜ。」
「ハッ!クソガキがナマ言ってんじゃねぇよ!あの時のようにまた返り討ちにしてやるぜ!」
「というかあの模擬戦は全部わたし達が勝っているんですから、ここでわたし達に勝てたとしても”借り”は全然返せないと思うのですが?」
クロウの言葉に対してランディは鼻を鳴らしてブレードライフルを構えてクロウを睨み、ティオはジト目でクロウを見つめ
「………クロスベルに落ち延びてきた君達の真意は気にはなるが今はそんな事はどうでもいい。俺達の仲間を……エリィを救出する邪魔をするのならば、容赦はしないぞ!」
ロイドは決意の表情でトンファーを構えてクロウを睨んで声を上げた。
「―――いえ、敵一人相手に無駄な時間を浪費する必要はありません。」
「へ……」
「エ、エリゼさん……?」
しかしエリゼの申し出を聞いたロイドは呆け、ティオは戸惑いの表情でエリゼを見つめ
「私一人で”C”の相手をします。皆さんはその間にエリィさん達の救出をお願いします。」
エリゼは太刀を鞘から抜くとロイド達の前に出てクロウと対峙した。
「ええっ!?エ、エリゼさん一人でですか!?危険ですよ!」
「確か”C”の実力は”執行者”、もしくはA級正遊撃士クラスだという話だけど……」
エリゼの申し出を聞いたノエルは驚き、ワジは真剣な表情で呟き
「―――いえ、ここはエリゼさんに任せても問題ないかと思います。確かに彼は相当な腕前ですが……”剣聖”相手には分が悪すぎます。彼の実力でしたら私一人でも制圧は可能ですので、私より実力が上のエリゼさんに任せても問題ないかと。」
「テメェ……俺を舐めてんのか?東方に伝わる伝説の存在らしいが、隙を見て標的を殺る暗殺者のお前と、修羅場を潜って来た数は俺の経験は圧倒的に違うんだぞ。」
リーシャの指摘を聞いたクロウは怒りの表情でリーシャを睨んだが
「二の型・改――――雷鳴剣!!」
「うおっ!?」
エリゼの先制攻撃に気付き、慌てた様子で受け止めてエリゼと鍔迫り合いの状態になった。
「―――今の内に行ってください!」
「わかりました!二人を救出したら、すぐに戻って加勢しますのでそれまでの間だけ時間稼ぎをお願いします!」
そしてエリゼの指示に頷いたロイド達は急いで迎賓館の中へと入り、ロイド達が迎賓館に入るとエリゼとクロウは互いの武器を退いてある程度の距離を取った状態で対峙した。
「問答無用で先制攻撃とはやってくれるじゃねぇか……愛しの兄を裏切った野郎には容赦する必要はないってか?」
「―――貴方の事を兄様がどう思っていようが、兄様達を裏切り、傷つけた時点で貴方は私の”敵”です。兄様達を裏切り、多くの人々を苦しめた貴族連合に加担した報い、今こそ受けなさい!”帝国解放戦線”リーダー”C”―――――クロウ・アームブラスト!!」
クロウの問いかけに対して静かな表情で答えたエリゼは膨大な闘気を全身に纏ってクロウを睨んで太刀の切っ先をクロウに向け
「ハッ!やれるものなら、やってみやがれ!メンフィルに可愛がってもらった嬢ちゃんと俺が潜って来た修羅場によって得た”力の差”を見せてやるよ!」
対するクロウも全身に闘気を纏ってエリゼを睨んだ。
「やぁああああああっ……!」
「らぁああああああっ……!」
そして二人は一騎打ちを開始した!
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