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先輩

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第九章

「御前の場合は」
「そうかも知れないですね」
 自分で言った潤だった、ここでも。
「本当に」
「俺は御前のブレーキ役か」
「いや、先輩ですよ」
「先輩か」
「はい、そうです」
 こう笑って言うのだった。
「先輩は先輩ですよ、俺の」
「そういうことか、じゃあこれからもな」
 宗男は潤の言葉を受けてだ、そしてだった。
 そのうえでだ、こう潤に言った。
「先輩として御前の傍にいるからな」
「宜しくお願いします」
「後ろも横も任せろ」
 これからというのだ。
「是非な」
「そうしてくれますか」
「先輩だからな」
「それで、ですね」
「御前は安心して無茶をやれ、いいな」
「わかりました」
 こうしたことを話してだった、二人で。
 この日は楽しく飲んだ、だが潤はかなり深酒をしてだった。
 酔い潰れる寸前になっていた、宗男はその彼を肩に担いで苦笑いをして潤に問うた。
「歩けるか?」
「何とか」
「全く、今日は飲み過ぎだぞ」
「すいません」
「いいさ、タクシー呼んだからな」
「それに乗ってですね」
「家まで帰れ、そしてまた明日な」
 その明日にというのだった。
「一緒に頑張ろうな」
「宜しくお願いします」
 潤もその言葉に頷いてだ、そしてだった。
 酔い潰れる寸前だったが宗男に呼んでもらったタクシーに乗って家に帰ってこの日は休んだ。そしてだった。 
 そのうえでだ、次の日も元気に出勤して宗男と一緒に仕事をするのだった。無鉄砲だが彼に助けてもらいながら。


先輩   完


                   2015・11・17 
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