英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第13話
~カレイジャス・ブリーフィングルーム~
「………………」
「なっ!?あ、あのルーファス君が!?」
「ええっ!?き、貴族連合の”総参謀”―――それも”四大名門”の”アルバレア公爵家”の長男が!?一体どうなっているのよ!?」
レンの答えを聞いたユーシスは呆然とし、レーグニッツ知事とアリサは混乱した様子で声を上げた。
「―――お二人はご存知でないのですか?」
「はい……私達の”筆頭”の存在は閣下より教えられてはいましたが、その閣下自身から”筆頭”が誰なのかは知らされていません……」
「けど、何でボク達にも教えなかったんだろうね~?」
シャロンに尋ねられたクレア大尉は驚きの表情で頷き、ミリアムは不思議そうな表情で首を傾げた。
「黙っていた理由はオズボーン宰相にとってルーファス・アルバレアが言葉通り”最後の切り札”だからよ。そして貴族連合に”鉄血の子供達”――――それも筆頭が貴族連合の”総参謀”の位置にいた理由は領邦軍、正規軍共に被害を”最小限”に留めて、今後の”激動の時代”に備える事をオズボーン宰相から指示を受けていたそうよ?」
「なっ!?」
「ふええっ!?と言う事はオズボーン宰相閣下は……!」
「最初から内戦が起こると確信し、彼を貴族連合の上層部に送り込んでいたのか……」
「まあ確かに、オジサンならやりそうだよね~。」
「そ、そんな……」
「どうしてオズボーン宰相は内戦が起こるとわかって、それを止めようとしなかったのですか……!?」
「ハハ……とんでもない御仁とはわかっていたけど、まさかここまでとはね……」
「……私は”百日戦役”のようにまた肝心な事に気付かず、今度はエレボニア自身を戦乱へと導いてしまったのか……私は何と無力で愚かな皇だ……」
「陛下……………」
「けど、そのルーファスさんは…………」
「兄上……一体何故ですか……?」
レンの説明を聞いたクレア大尉とトワは驚き、アルゼイド子爵は厳しい表情で呟き、ミリアムは静かな表情で呟き、アルフィン皇女とセドリック皇太子は信じられない表情をし、オリヴァルト皇子は疲れた表情をし、後悔している様子のユーゲント三世をプリシラ皇妃は心配そうな表情で見つめ、ジョルジュは辛そうな表情で肩を落として独り言を呟いている様子のユーシスを見つめた。
「―――そのルーファス・アルバレアですが、自白剤で情報を喋らせた際、リィンさんとオズボーン宰相の関係を口にしましたわ。」
「え…………」
「お、お兄様とオズボーン宰相の関係ですか……?」
「――――!!ま、まさかとは思いますがリィンさんは閣下の……!」
「兄様…………」
シグルーンの説明を聞いたリィンは呆け、セレーネは戸惑い、ある事に気付いたクレア大尉は血相を変え、エリスは心配そうな表情でリィンを見つめた。
「ルーファス・アルバレアの話ではね。―――”鉄血宰相”は”リィンお兄さんと血が繋がっているリィンお兄さんの本当の父親”だったそうよ?」
「…………ぇ…………」
「な――――」
「ええっ!?リ、リィンが!?」
「あ、あのオズボーン宰相閣下と血の繋がった息子だって!?」
「嘘だろ、オイ…………」
「そ、そんな……リィンさんがオズボーン宰相のご子息だったなんて………」
「リィン…………」
「……言われてみれば、どことなく宰相閣下の面影があるな……」
「……その情報、確かでしょうね?”鉄血宰相”に血が繋がっている子供がいるなんて初耳よ。」
レンの説明を聞いたリィンは呆然とした表情をし、ユーゲント三世は絶句し、エリオットは驚き、マキアスとトヴァル、セドリック皇太子は信じられない表情をし、ガイウスは辛そうな表情でリィンを見つめ、レーグニッツ知事は複雑そうな表情でリィンを見つめ、サラ教官は真剣な表情で尋ねた。
「さあ?確かな証拠もないから、何とも言えないわね。―――まあ、ルーファス・アルバレアが”鉄血宰相”が最も信頼していた”鉄血の子供達”なのは確かな事よ。最も信頼している家臣なら色々と自分自身の秘密を喋ってもおかしくないと思うわよ?」
サラ教官の問いかけに対し興味なさげな様子で答えたレンは小悪魔な笑みを浮かべてリィン達を見回し
「それは…………」
「リィンさん……」
レンの答えを聞いたオリヴァルト皇子は真剣な表情でリィンに視線を向け、アルフィン皇女は辛そうな表情をした。
「―――ちなみにルーファス様の話によるとオズボーン宰相閣下は内戦で活躍する可能性が高い兄様をエレボニアの”英雄”に祭り上げて兄様を利用するつもりだったとの事です。」
「え…………」
「り、”利用”って……」
「”英雄”に祭り上げるとは一体どういう事だ?」
「……一体どういう事だい?」
エリゼの話を聞いたリィンは呆け、エリオットは不安そうな表情をし、ガイウスとオリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。そしてレン達は”総参謀”であるルーファスは『幻焔計画』の内容をカイエン公爵と共にクロチルダから聞かされており、ルーファスを通じて『幻焔計画』やリィンが”起動者”である事を知ったオズボーン宰相は逆に利用し、更にリィンがヴァリマールを使ってエレボニア帝国の内戦を終結する手助けをすると予想し、内戦終結後はリィンをエレボニア帝国の”英雄”として祭り上げると共にメンフィル帝国の貴族の子息であるリィンがエレボニアの内戦の終結に大きな貢献をしたとして、メンフィル帝国とエレボニア帝国が友好な関係である事を民や他国に知らしめる計画を立てていた事を説明した。
「何よ、それっ!?」
「い、幾ら何でもあまりにも酷すぎるよ……!」
「オズボーン宰相は血の繋がった息子であるリィンお兄様を”道具”としてしか見ていないじゃないですか……!」
「わたくし、オズボーン宰相閣下の事を完全に誤解していましたわ!そんな最低な人を尊敬していた今までの自分が恥ずかしいですわ!」
「そんな……オズボーン宰相がそんな人だったなんて……」
「……………………」
説明を聞き終えて仲間達と共に怒りの表情をしているアリサとエリオット、セレーネとアルフィン皇女は声を上げ、セドリック皇太子は信じられない表情をし、クレア大尉は辛そうな表情で黙ってリィンを見つめ
「リィン君…………」
トワは心配そうな表情でリィンを見つめた。
「オズボーン宰相が政治家として優秀な事は認めるが……”親”としては最低の部類としか言いようがないな……」
「父上……」
自分達と同じように怒りの表情をしているアルゼイド子爵の様子を見たラウラは驚き
「宰相閣下………子を捨てた挙句利用する等”子を持つ親”として決して許されない所業です。何故”そこまで”しようとしたのですか……」
「父さん……」
辛そうな表情で肩を落としているレーグニッツ知事をマキアスは心配そうな表情で見つめ
「私は本当に人を見る目がないな……テオ達にまた謝る事が増えてしまったな……」
「陛下……その時は私も御一緒し、共にシュバルツァー卿達に謝罪致します。オズボーン宰相を含めた内戦やメンフィルとの外交問題の件は陛下の伴侶である私にも責任があります。」
「……すまぬ。」
プリシラ皇妃に励まされたユーゲント三世は目を伏せた。
「うふふ、さすがのレン達もリィンお兄さんの”本当の親”を知った時は驚いたわよ。」
「…………レン姫。オズボーン宰相が幼い俺をユミルの冬山に置いていった理由はルーファスさんから聞かされていないんですか……?」
「兄様…………」
身体を震わせて辛そうな表情でレンに問いかけるリィンを見たエリスは辛そうな表情をした。
「残念ながらその事についてはルーファス・アルバレアも聞かされていないそうよ。」
「そうですか…………………………こんな形とはいえ、自分の本当の親を知る事ができました……ありがとうございます……」
レンの答えを聞いたリィンは肩を落とした後身体を震わせながらレンに会釈をした。
「兄様…………」
「え…………」
するとその時隣の席にいたエリスがリィンを抱きしめた。
「―――例え兄様がどなたのご子息であろうと、今ここにいる兄様は私達にとって心から大切な家族です。それだけは絶対に変わりません。」
「―――私もエリスと同じ思いですよ、兄様。父様と母様もきっと同じ事を仰るでしょう。本当の親が判明しても、私達にとって兄様は兄様です。」
「エリス……エリゼ………………―――――ありがとう。おかげで何とか持ち直せた。」
双子の姉妹の言葉を聞いて黙り込んでいたリィンは決意の表情になった。
「リィン……」
「フフ、さすがはずっとお兄様の傍にいたお二方ですわね……」
「やっぱり二人には敵いませんわね……」
「フッ、ヨシュア君を連れ戻したエステル君の時といい、改めて女性が偉大な存在である事を思い知らされたよ。」
「テオも素晴らしい子供達に恵まれたものだ……」
その様子を見ていたアリサとセレーネは明るい表情をし、アルフィン皇女は羨ましそうな表情で愛する人物を立ち直らせた姉妹を見つめ、オリヴァルト皇子とユーゲント三世は静かな笑みを浮かべた。
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