英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)
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第65話(8章終了)
~狭間~
「フフ………」
戦闘が終了し、立ち上がった黒騎士は口元に笑みを浮かべた後、片手の鉤爪で仮面を割り、地面に落とした。
「!!!」
それを見たヨシュアは驚き
「見事…………俺の顔を曝け出したか。」
黒騎士は隠していた顔を見せて口元に笑みを浮かべた。
「………やはり…………」
「…………レーヴェ……………」
(………殺し切れなかった。残念…………偽物でもやっぱり、ムカつくヤツ………!)
黒騎士―――レーヴェの顔を見たケビンは苦笑し、ヨシュアは懐かしそうな表情で、エヴリーヌは心の中で黒騎士を殺せなかった事を残念に思って、仲間達と共に近づいた。
「……再びこうして相見えることになろうとはな。フフ、もはやお前にとっては無用の再会かもしれないが………」
「はは………そんな訳、ないじゃないか…………………僕は………会いたいと思う反面、会いたくはないという気持ちがあったんだと思う………目指すべき人の強さに追いついていないのに………胸を張って会えなくて、気付かないフリをしていた…………そんな僕の不甲斐なさがレーヴェに仮面を纏わせた。………それが真実だろう?」
「ああ…………その通りだ。”影の王”によってお前の俺という概念がこの世界に現れた。お前達の前に立ち塞がる最強の守護者の一人として。だが、仮面を纏わせたのは確かにお前達の想いなのだろう。この”影の国”は………想念によって変化しうるからな。」
「やっぱりそうか………」
レーヴェの話を聞いたヨシュアは静かに頷いた。
「しかしその役回りもお前達のおかげで終わりだ。フフ、正直なところドラギオンまで持ち出して敗れるとは思わなかったがな………だが………ようやく本気のお前達とも対等以上に戦えたな、カリン、”魔弓将”。」
「フフ………この調子だと私はあっという間に追い抜かれるかもしれないわね。」
「………フン。今の戦いでお前を認めると思わない事だね。次に戦う時はさっきの戦いの分も含めて、完全に叩き伏せる………!」
口元に笑みを浮かべたレーヴェに見つめられたプリネは苦笑し、エヴリーヌは面白くなさそうな表情で呟いた後、殺気を纏ってレーヴェを睨み
「はは………姉さん達がいるとはいえ、さすがに危なかったけどね。それに………みんなで力を合わせた結果だよ。」
ヨシュアは苦笑して答えた。
「フッ………それもまた力の一つだろう………」
ヨシュアの言葉を聞いたレーヴェは静かな笑みを浮かべた後、アガットに視線を向けた。
「アガット・クロスナー………なかなか手古摺らせてくれたな。その重剣、少しは使い方も様になってきたようじゃないか。」
「ははっ………あんたからの誉め言葉はどうも調子が狂っちまうな。だが、この重剣も俺自身もまだまだこれからって所だ。ま、あせらずじっくりと磨き上げてやるさ。」
レーヴェの賞賛を聞いたアガットは苦笑した後、優しそうな微笑みを浮かべたが
「………まさかお前の口からそんな言葉が出てくるとは………フッ、まるで所帯でも持ったような落ち着きぶりだな。」
「な、なんだそりゃ………」
レーヴェの言葉を聞き、戸惑った。そしてレーヴェは次にアドルに視線を向けた。
「アドル・クリスティン…………幾多もの戦いを潜りぬけ、さまざまな国の救世主であるお前の剣………なかなかの物だった。お前なら俺以上に”鋼の聖女”と渡り合え、”彼女”の仮面すらもお前なら一人で割れるかもしれないな………」
「ハハ、僕はその”鋼の聖女”という人は知らないけど、さすがにそれは褒めすぎだと思っているよ。君の剣こそ僕が知っている最も手強かった剣士―――チェスターと同等、もしくはそれ以上だったよ。」
「フッ、そうか………」
苦笑しながら言ったアドルの言葉を聞いたレーヴェは静かな笑みを浮かべた。
「カリン………またお前に剣を向けてしまったな………済まない…………」
そしてプリネに視線を向けたレーヴェは後悔した様子でプリネを見つめた。
「フフ、別にいいわよ。貴方が頑固で不器用なのはずっとわかっているし。そんな貴方を私は愛しているのだから。」
「………お前には敵わないな…………」
「…………………」
プリネに微笑まれたレーヴェは苦笑し、その様子をエヴリーヌは顔に青筋を立てて睨んでいた。
「”魔弓将”………お前との戦い………以前以上に激しい攻撃だった。フフ………俺の事を嫌っているようだが、心の中ではカリンの為に手加減してくれていたのか?」
「なっ!!??ふざけた事を言わないでよね!なんでエヴリーヌがお前なんかに手加減しないといけないの!?」
「フフ………そうか。お前やリウイ陛下に認めてもらう為にももっと精進せねばな………」
「こんの~~~~~っ!相変わらず、ムカつく!!ねえ、プリネ。こいつ、偽物なんだから殺していいよね!?ううん、絶対殺すっ!!」
レーヴェの言葉を聞いたエヴリーヌは身体を震わせながらレーヴェを睨みながらプリネに尋ねた。
「ま、まあまあ………落ち着いて下さい、エヴリーヌお姉様。」
エヴリーヌに尋ねられたプリネはエヴリーヌを宥めていた。
「………さてと。ケビン・グラハム………ようやく確信に至ったか?」
「ああ………この上なく、はっきりとな。ここから先は…………どうかオレに任せてくれ。あんたを含めた人達は無事、元の世界に還したる。」
「………そうか。ならばこのまま任せるとしよう。わかっているとは思うが”王”は尋常ならざる人物だ。どう向き合うか………くれぐれも見誤らぬがいい。そしてこれから始まる”裏”の”試練”……………最後に解放される俺を含めた全員が全力を持って力を合わせねば、超える事はできないと思った方がいい。」
「ああ………忠告感謝や。」
レーヴェの忠告を聞いたケビンは静かに頷いた。そしてレーヴェの身体は強く光りだした。
「………レーヴェ…………」
「フフ…………どうやら時間のようだな。これでようやく俺も解放されるな………」
「うん………お疲れ様。レーヴェと肩を並べて戦う事…………楽しみにしているよ。」
「ああ………俺もだ。それじゃあな…………」
そしてレーヴェは光と共に消滅した。するとレーヴェがいた場所に封印石が現れ、ヨシュアは封印石を回収した。
「………僕の役目もここで終わりのようです。ケビンさん、後はよろしくお願いします。」
「ああ………任せとき。”表”の最後の”守護者”を倒した事で周遊道も何か変化があるはずや。それを調べてから”彼”を解放するか。」
「はい。」
その後ケビン達は周遊道に転位した。
~エルベ周遊道・夜~
ケビン達が周遊道に転位すると、辺りは真っ暗になっており、街灯の光がついていた。
「夜になっていやがるな……………」
「どうやらこれで”裏”の”試練”が受けれるようになったようやな………まずは光っている石碑を探しましょう。」
周囲を見て呟いたアガットの言葉に頷いたケビンは提案した後探索した。すると石碑が一つだけ文字盤が光っており、、『”影の王”が告げる………これより先は星の座する処 。星の守護騎士と楽園の管理者をともない文字盤に手を触れるがいい。』という文章を見つけた。
「”星の守護騎士”と”楽園の管理者”………もしかしてナユタ君とノイちゃんの事か?」
「恐らくそうでしょうね。2人はかつて自分達の”星”を守る為に戦い、ノイはどこかの大陸の季節をコントロールする役目をしていたという話ですしね。」
ケビンの推測を聞いたヨシュアは真剣な表情で頷いて答えた。
「ほなら、”彼”を解放した後、2人を連れて来るとしようか。」
そしてケビン達は封印石を解放する為に拠点に戻った。
~隠者の庭園~
「それにしてもレーヴェと一緒に冒険をする事になるとは思わなかったわね。」
「フフ………そうですね。」
ヨシュアが解放した封印石の光を見つめながらエステルとクローゼは会話をし
「へっ。出てくるのが遅いんだよ。」
「もう、アガットさんったら~…………」
アガットは口元に笑みを浮かべ、その様子をティータは苦笑しながら見つめ
「フフ………こんな形でロランス少尉と私が相見える事になるとはね。ようやく彼の本当の実力を知れる時が来たな。」
リシャールは口元に笑みを見つめながら見つめた。
(”女神の友”…………………まさか………………貴女なの…………?)
一方フィーナは探索から戻ってきたアドルから聞いた自分達の”試練”の”守護者”の思い当る人物を思い出して、信じられない表情で考え込み
「”星の座する処”……………ノイ、これって………」
「うん………多分、あそこなの………」
ケビン達から自分達の試練の場所の事を教えられたナユタとノイはそれぞれ真剣な表情で考え込んでいた。そして光は消え、そこには地面に膝をつき、ツーヤと同じメンフィル帝国親衛隊員の服を着て、メンフィル帝国の紋章が刻み込まれてある漆黒の外套を羽織ったレーヴェが現れた!
「クッ………閃光弾か………!?下がれ、カリン!」
地面に膝をついていたレーヴェはすぐに立ち上がって、一端下がって武器を構えたが
「なっ…………」
目の前にいる人物達―――ケビン達に気付いて驚いた。
「フフ………ようやく会えたわね、レーヴェ。」
「久しぶり、レーヴェ。」
「………無事だったか、カリン。それにヨシュアまで何故……?他にも見覚えのある者達もいるようだが一体何が起こった………?」
プリネとヨシュアに話しかけられたレーヴェはケビン達を見回して戸惑っていた。そしてケビン達はレーヴェに状況を説明し、初対面の者達は自己紹介をし合った。
「……………なるほどな。まさかリベル=アークに”輝く環”の他にもそのようなアーティファクトがあるとはな………」
説明を聞き終えたレーヴェは真剣な表情で考え込んだ。
「その様子からすると、”教授”達も知らんかったようやな?」
「ああ。………最も”盟主”はどこまで知っているかわからんがな…………」
ケビンに尋ねられたレーヴェは頷いた。
「”結社”の”盟主”………確かレーヴェが持っている”外の理”で作られたって言う剣をくれた人よね?剣を受け取ったレーヴェも知らないの?」
「………ああ。この剣を俺に授けた時も姿を見せず、光を放って授けたしな。」
「………得体の知れない相手だな。」
「………………………」
エステルに尋ねられ、答えたレーヴェの言葉を聞いたミュラーは静かに呟き、シルフィアは目を閉じて黙り込んでいた。
「それにしてもレーヴェ、随分服装が変わったわね~。その姿、まるでユリアさんやミュラーさんみたいな”騎士”じゃない。」
「………みたいではなく、本物だ。これでもカリン―――メンフィル皇女プリネの護衛騎士見習いであり、親衛隊員の一人だ。」
エステルの言葉を聞いたレーヴェは溜息を吐いて静かに呟いた。
「ふ、ふええ~!?」
「お前が…………騎士だぁっ!?」
「結婚式の際、プリネ姫の傍にいれたのはそういう理由だったのか………」
レーヴェの言葉を聞いたティータは驚き、アガットは信じられない表情で叫び、ジンは驚きの表情で呟いた。また、レーヴェのその後を知らない者達も驚きの表情で見つめていた。
「…………………そうだ。そいつはプリネの護衛騎士見習いだ…………プリネの伴侶になる為に俺に戦いを挑み、民達を納得させるある程度の力はあると判断して、そいつをプリネの護衛騎士見習いに任命した……」
「フフ………あなた。意地を張っていないでいい加減少しは認めてあげたらどうですか?」
一方リウイは嫌そうな表情をして、静かに説明し、その様子を見たイリーナは微笑みながら言った。
「フフ………陛下の子煩悩は相変わらずなのですね。」
「そのようね。………あの娘の親として貴女はどう思っているの?ペテレーネ。」
その様子を見つめていたティナは微笑み、ラピスは頷いた後ペテレーネに尋ねた。
「私は身分や出身は気にしていません。ただあの娘を幸せにしてくれる………それだけでいいのですから。」
「ああ。それは私達も同じだ。」
「ええ。それが親としての一番の願いなのですから。………普通、権力者の娘は政略結婚が当たり前ですが、幸い陛下はそれを嫌い、メンフィルは政略結婚をする必要もないほどの国へと発展したのですから………」
ラピスに尋ねられ、答えたペテレーネの言葉に続くようにリンとティファーナも頷いた。
「フフ………結婚式の際、レーヴェさんの事を陛下達からお聞きした時は本当に驚きました。」
「愛する姫君の為に己の人生全てを捧げる……フフ、これぞ、本当の”美”!!」
クローゼは微笑み、オリビエは高々と言った。
「…………………」
オリビエの言葉を聞いたレーヴェは呆れた様子を纏わせてオリビエを見た後、エステルとミントに視線を向けた。
「エステル・ブライト………娘共々なかなか腕を上げているようだな。だが、父親の域まで行くのはまだまだといった所か。」
「あはは………さすがに簡単に行けるとは思ってないわ。」
「そうだよ~。お祖父ちゃん、とっても凄いもん。」
レーヴェの言葉を聞いたエステルとミントは苦笑した。
「それでも一歩一歩着実に近づいて行けてると思う。ヨシュアと―――あなた達の弟と一緒にね。」
「だって、ミント達は家族だもん!」
「エステル………ミント………」
「フフ……それでいい。」
エステルとミントの言葉を聞いたヨシュアは微笑みながら2人を見つめ、レーヴェは静かな笑みを浮かべた。
「アガット・クロスナー。まさかお前と肩を並べる時が来るとはな………」
「へっ。それはこっちの台詞だぜ。」
「フフ………あれからどれほど腕を上げたのか、楽しみにさせてもらおう。」
「おう………って!やっぱり、オッサンに似ているぞ、あんた!メンフィルに行ってからますます似て来たんじゃねえのか!?」
一方口元に笑みを浮かべたレーヴェに視線を向けられ、言われた言葉に頷いたアガットだったが、すぐにレーヴェを睨んだ。そしてレーヴェは次にリシャールに視線を向けた。
「リシャール大佐………こうして話すのはクーデター事件以来ですね。まさか、こんな形であなたと再び相見えるとは。」
「ロランス少尉………いや、レーヴェ君。それはこちらの台詞だよ。しかし、今回の件は私にとっては幸いだった。ようやく君の実力を確かめる事が出来るからね。」
視線を向けられたリシャールは頷いた後、静かな笑みを浮かべた。
「フフ………失望させなければいいのですが。こちらこそ、剣聖直伝の技、見せて頂きます。」
リシャールの言葉を聞いて口元に笑みを浮かべたレーヴェは真剣な表情に直して、リウイとファーミシルス、ツーヤに視線を向けた。
「………陛下、大将軍、ルクセンベール卿。此度の件、皇女の護衛騎士であるにも関わらず、参上が遅れ、申し訳ありません。」
「………構わん。この場所は自らの意志で現れる事はできないのだからな………ただし、遅れた分は今後の探索で取り返してもらう。」
「………陛下の言う通り、あたし達はその件に関しては気にしていません。ですが、ようやく参上したのですから元の世界への帰還…………全力を持って当って下さい。」
「この私が直々に率いる親衛隊員の一員として、無様な戦いは許されないわ。その事を常に頭に入れておきなさい。」
「ハッ。」
3人の言葉を聞いたレーヴェは真剣な表情で敬礼をした。
「う、う~ん………あのレーヴェがユリアさん達みたいに誰かに仕えているっていうイメージがどうしてもわかないわね………」
「まあ、そうよね。ホント、人生ってわからないわね………」
その様子をエステルとシェラザードは苦笑しながら見つめた。
「……………………」
一方エヴリーヌはすざましい殺気を纏わせてレーヴェを睨んでいた。
「やれやれ………貴女は相変わらずだな、エヴリーヌ。」
「フン!エヴリーヌは今も、これからもずっとこのままだよ!」
溜息を吐いて言ったレーヴェの言葉を聞いたエヴリーヌは鼻を鳴らしてレーヴェを睨んだ。
「全く……お前やリウイといい、過保護過ぎだぞ。………まあ、余の妹を伴侶にするのならそれぐらいの壁は当然だからな、レーヴェよ。」
「………はい。本来なら罪人である私に対して、ここまでの好待遇にして頂いた事………今でも感謝しております、リフィア殿下。」
「うむ。礼はプリネを幸せにする事。………それだけだ。だから、プリネの為にも………そして自分の為にも精進するのだぞ?」
「ハッ。」
リフィアの言葉を聞いて会釈をしたレーヴェは自分を見つめている視線―――シルフィアに気付いた。
「………貴女がかの”メンフィルの守護神”ですか……話を聞き、お会いしたいとは思っていましたが、まさかこんな形で会う事になるとは思いませんでした。…………時間のある時でいいので、手合わせをお願いしてもよろしいでしょうか?(なんだ………?この雰囲気………どこかで感じた事があるぞ………?)」
「………ええ。いつでも構いませんよ。」
シルフィアの返事を聞いたレーヴェはセリカに視線を向けた。
「………噂の”神殺し”………まさかこんな形で会う事になるとはな。」
「……………………」
「イーリッシュよりお前の事は聞いていた。今では伝説と化されている”飛燕剣”………どのような剣技なのか、楽しみにしている。」
「え………」
「………イーリッシュだと?何故、奴を知っている。」
レーヴェの言葉を聞いたエクリアは驚き、セリカは眉を顰めて尋ねた。
「………”闇の訓練所”。そこに武者修行をしている彼が来て、機会があって彼に異世界の剣技―――”風鎌剣”を教授して貰った際、貴方の事を聞いていた。………一人の剣士として自分が超えるべき存在だと。」
「………妻がいるのに、何をやっているのだ、奴は………」
(フン、相変わらず家庭を顧みない奴だの。)
「ターナさん、寂しくしていないでしょうか?」
「う~。心配です~。」
「女として、彼女が可哀想に思ってくるわ………」
レーヴェの話を聞いたセリカとハイシェラは呆れ、シュリやサリアは心配そうな表情をし、マリーニャは溜息を吐いた。そしてレーヴェは最後にリースに視線を向けた。
「リース・アルジェント………まさかルフィナ・アルジェントの妹とこんな形で邂逅する事になるとはな。」
「………偽物の貴方――黒騎士は姉様を知っている口ぶりをしていましたが、生前の姉様に会った事があるのですか?」
「ああ。数年ほど前にある一件でやり合った事がある。その時は見事に出し抜かれた。」
「レーヴェを出し抜くなんて………」
「リースさんのお姉さんって、凄かったんだね~!」
「………………」
レーヴェの話を聞いたヨシュアは驚き、ミントは顔を輝かせ、リースは黙り込んでいた。
「ハハ………”剣帝”の力………期待させてもらうで。」
「もう、俺は”剣帝”ではなく、唯一人の女を護る戦士なのだがな………まあいい。元の世界に帰還する為に、俺も力を貸そう。」
苦笑しながら言ったケビンの言葉にレーヴェは溜息を吐いた後、頷いた。その後ケビンはメンバーを編成し、ケビン、ナユタ、ノイ、エステル、レーヴェ、レンのメンバーで探索を再開し、石碑に触れて転位した。
~星の座する処~
「な、なんやあれは………!?」
「ま、魔獣………!?」
転位して来たケビンとエステルは目の前に見える動かず、口を動かしているだけの魔獣らしきものを見て驚き
「うふふ。大きな魔獣さんね。」
「………だが、こちらを襲いかかって来る様子はないな。」
レンは不敵な笑みを浮かべ、レーヴェは静かに呟いた。
「なんやあの禍々しい像は…………!」
「め、女神像なの………!?」
さらにケビンは禍々しい女神像らしきものを見つけて驚き、エステルは信じられない表情で見つめていた。
「………やっぱりここか。」
「………………」
一方ナユタは真剣な表情で静かに呟き、ノイは真剣な表情で禍々しい女神像を睨んでいた。
「その様子やと、やっぱりナユタ君達の知っている所なん?」
「ええ。―――”ステラリウム”。かつて僕達が冒険した最後の場所であり、最終決戦であった場所です。」
自分達の様子に気付いたケビンに尋ねられた疑問にナユタは頷いて答え
「うふふ。という事は今までとは比べ物にならないくらいのデクノボーさん達もいるのね。ちょっとは楽しめそうね♪」
「フッ。”闇の訓練所”での修行の成果を試す場所としてちょうど良さそうだな…………」
「あ、あはは………心強い言葉ね。」
ナユタの説明を聞いたレンとレーヴェは不敵な笑みを浮かべ、その様子をエステルは苦笑しながら見つめた。そしてナユタはノイと共に真剣な表情でケビン達を見回し
「皆さん。この先は今まで以上の手強い敵が存在し、さらに今までの”試練”とは比べ物にならないくらいの長い道のりになります。」
「だけど”試練”を超える為には私達は進むしかないの。」
それぞれ静かに言った後
「僕達の”試練”を超える為………そしてそれぞれの世界に帰る為に今こそ皆さんの力を貸して下さい!」
「お願いしますの!」
大声でノイと共に号令をかけた!
「おっしゃあ!」
「………ああ。」
「モチのロンよ!」
「うふふ♪”殲滅天使”の力………見せてあげる♪」
2人の号令に4人はそれぞれ力強く頷き、探索を開始した!
こうしてナユタとノイは時を超えた仲間達と共に、再びかつての最終決戦の場所にして星の最果てに向かって進み始めた…………!
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