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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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外伝~無念の降伏~

同日、15:30――――



~海都オルディス近郊~



一方その頃オーレリア将軍率いる領邦軍はオルディス近郊に到着したが、オルディスは既にメンフィル軍によって占領され、オルディスの前にはメンフィル軍が展開されていた。

「そ、そんな……オルディスがメンフィルに……」

「し、しかも何でメンフィル軍に機甲兵があるんだ!?」

メンフィル軍に占領された様子のオルディスを見た領邦軍は表情を青褪めさせ

「やはり間に合わなかったか……!―――総員、これよりオルディスをメンフィル軍から奪還する!まずは――――」

唇を噛みしめたオーレリア将軍は領邦軍に指示を出そうとした。



「!閣下!敵軍に動きがあります!」

「何……?――――な。」

部下の言葉に眉を顰めたオーレリア将軍がメンフィル軍を見つめると何とユーディットがメンフィル軍から現れた。

「そ、そんな!?あの方は……!」

「ユーディット様!?」

「何故ユーディット様がメンフィル軍から現れるんだ!?」

「!!まさか……!」

ユーディットの登場に領邦軍が混乱している中、ある事を察したオーレリア将軍は厳しい表情をした。



「――――ラマール領邦軍に告げます!カイエン公爵家はメンフィル軍に”降伏”しました!よって貴方達がこれ以上メンフィルと剣を交える理由はありません!”カイエン公爵家当主代理ユーディット・カイエン”の名の元に”勅命”します!武器を捨て、メンフィルに投降しなさい!大人しく投降をすれば命は奪わないとの事です!なお内戦が終結し、メンフィルとエレボニアの外交問題が終結するまでは謹慎して貰います!」

「なっ!?カ、カイエン公爵家がメンフィル軍に降伏したですって!?」

「そ、そんな……公爵閣下がそのような事を決めるはずがありません!」

「……ッ……!―――ユーディット様!今のカイエン公爵家の当主は貴女のお父上ですぞ!?それに”カイエン公爵家当主代理”とはどういう事ですか!?」

拡声器を使ったユーディットの命令に領邦軍が混乱している中、唇を噛みしめたオーレリア将軍は厳しい表情で問いかけた。

「父は内戦終結後その身柄をメンフィル帝国に引き渡される事になります。よって非公式にはなりますが、父の爵位を現時点で剥奪並びに当主解任する事を私を含めたカイエン公爵家は決定しました!」

「そ、そんなっ!?公爵閣下がメンフィルに引き渡されるだって!?」

「い、一体何故そんな事になったのですか……!」

ユーディットの説明を聞いた領邦軍はそれぞれ表情を青褪めさせた。



「今から約2週間前に行ったメンフィル帝国領ユミルの領主”シュバルツァー男爵家”のご息女であるエリス・シュバルツァー嬢誘拐に加えて先日のユミル襲撃。それらによってメンフィル帝国とエレボニア帝国を戦争状態へと発展させた父がメンフィル帝国に引き渡される理由がないとは言わせませんよ!?」

「ぐう……っ……!」

「そ、それは……」

怒りの表情で声を上げたユーディットの正論に返す事ができない領邦軍は複雑そうな表情をし

「ク…………ッ……!ユーディット様、先程公爵閣下の爵位の剥奪や当主の解任をし、メンフィル帝国に引き渡す事を”カイエン公爵家”で決めたと仰いましたが、それは一体どういう事ですか?キュア様はともかく、ナーシェン卿と公爵夫人が賛同するとはとても思えません!」

同じように反論できないオーレリア将軍はすぐに気を取り直した後ユーディットに問いかけた。

「母と兄は先程オルディスがメンフィル軍に制圧された際に、拘束されました。メンフィル軍によると父の計画に賛同していた父の正妻である母と長男である兄にも連帯責任として、今回の戦争の責任を取らせるとの事です。更に先程の襲撃によってオルディスに住む貴族連合に加担した貴族の当主の方々も、メンフィル軍に”処刑”されました。」

「!!」

「そ、そんなっ!?ナーシェン卿に加えて公爵夫人まで……っ!」

「し、しかもオルディスにいる貴族の当主の方々まで処刑されているなんて……!」

ユーディットの口から語られた驚愕の事実にオーレリア将軍は目を見開き、領邦軍は表情を青褪めさせた。



「なるほど……理由はわかりません公爵閣下の留守の間に都合よくナーシェン様達がメンフィル軍に拘束されてメンフィルとの和解を望んでいた貴女達にとっての”邪魔者”がいなくなった事で、貴女とキュア様でカイエン公爵家を乗っ取り、公爵閣下の爵位剥奪等を決めたという事ですか……!―――ユーディット様!何故……何故ご家族や公爵家に協力した貴族の方々を切り捨て、メンフィルに媚を売るのですか!?」

ユーディットの行動を推測したオーレリア将軍は怒りの表情で問いかけた。

「…………メンフィル帝国が介入してきた以上内戦の状況は大きく変わり、最悪メンフィル帝国によってエレボニア帝国は滅ぼされるでしょう。例えメンフィル帝国と和解できたとしても、このままでは内戦を引き起こした”元凶”である”カイエン公爵家”が存続できない事は明白。カイエン公爵家の存続の為………母の助命の為に……そしてこれ以上犠牲者を出さない為に本来ならオルディス奪還の為に戻って来る貴方方を迎撃し、殲滅するつもりであったメンフィル帝国に貴方方に投降を呼びかける許可を嘆願し、その許可を頂いたお蔭でこの場にいるのです。」

「…………………」

ユーディットの説明に領邦軍はそれぞれ辛そうな表情で黙り込み

「クッ……だからと言って公爵家に協力した貴族の当主の方々の処刑も見逃すと仰るのですか!?」

対するオーレリア将軍は反論を続けた。



「処刑されたオルディスに住まう貴族の当主の方々に関してはご家族の方々には大変申し訳ありませんが”自業自得”だと思っています。畏れ多くも帝国貴族が仕えるべき”主”であるエレボニア皇家――――”アルノール家”の方々を幽閉し、更には内戦に協力したのですから。どの道彼らに関しては極刑、もしくは厳罰が降される事になるでしょうから、メンフィルは当然の事をしたまでです。」

「それは……っ!それでも……それでも”大義”は我々にあります!陛下達は我々の元におられるのですから!」

ユーディットの正論に反論できず唇を噛みしめたオーレリア将軍は必死に反論を続けた。

「フン、ユーゲント三世達を奪還された貴様らには”大義”等既にないぞ!」

するとその時ユーディットの背後にいたヒーニアスは拡声器を使って話を続けた。



「何だと!?それは一体どういう事だ!?」

「先日オリヴァルト皇子が乗船する”カレイジャス”がユミルに現れ、オリヴァルト皇子がユミルに駐屯しているメンフィル皇家であるマーシルン家の者に接触し、貴族連合がメンフィル帝国に対して行った数々の愚行の謝罪を行うと共にユーゲント三世達の救出の協力を嘆願した。そして我々メンフィルは元々エリス嬢救出の為に帝都並びにカレル離宮襲撃の作戦を決めていた。」

「な―――――」

「そ、そんな!?それじゃあ今頃帝都とカレル離宮はメンフィル軍に……!」

ヒーニアスの話を聞いたオーレリア将軍は絶句し、領邦軍は表情を青褪めさせた。

「それとバリアハートも既に私達メンフィルに制圧され、アルバレア公爵夫妻はメンフィル軍に拘束されたわよ!」

「なあっ!?」

「バ、バリアハートとアルバレア公爵夫妻まで……!」

ヒーニアスに続くように拡声器を使って声を上げたターナの話を聞いたオーレリア将軍や領邦軍はそれぞれ信じられない表情をした。



「オリヴァルト皇子はメンフィルを建国した偉大なる皇、リウイ陛下と二代目の正妃イリーナ皇妃の結婚式の際最高の演奏にてお二人を祝福した者。その恩もあった為オリヴァルト皇子の嘆願に応えた我々メンフィルはカレル離宮襲撃並びにエリス嬢救出作戦に便乗してユーゲント三世を始めとした”アルノール家”の者達とユーゲント三世達と共にカレル離宮に幽閉されていたレーグニッツ知事を救出する事を黙認し、先程オリヴァルト皇子達がユーゲント三世達の救出を成功させて”カレイジャス”でカレル離宮からの脱出を成功させたとの報告が入った。ここまで言えば、諦めの悪い貴様らでも貴様らに”大義”が既に無い事くらいわかるだろう!」

「更に”パンダグリュエル”もメンフィルが先程制圧して、”パンダグリュエル”に幽閉されていたアルフィン皇女に関しては”灰の騎士”を操るリィン・シュバルツァーによって救出されて、オリヴァルト皇子達との合流を目指しているという報告も入ったわよ!皇族という”大義”を完全に失った今の貴方達は国を混乱させている唯の”賊軍”よ!」

「!!」

「そ、そんなっ!?”パンダグリュエル”までメンフィルに制圧されるなんて……!」

「お、俺達が”賊軍”………」

ヒーニアスとターナの説明を聞いたオーレリア将軍は目を見開き、領邦軍は絶望の表情をした。

「それでもまだ諦めないというのであれば、私にも考えがあります。―――お願いします。」

静かな表情で答えたユーディットはヒーニアスに視線を向け

「―――手筈通り、連中を連れて来い!」

「御意!!」

ヒーニアスの指示によって、メンフィル軍は移動式の牢屋をオーレリア将軍達に見えるように移動させた。



「あなた、助けて……!」

「頼む……!馬鹿な事は止めて、私達を助けて……!」

「うわぁぁぁんっ!助けてよ、パパ~!」

「そ、そんなっ!?」

「か、母さんっ!?」

「と、父さんっ!」

牢屋にいる人々を見て何かに気付いた領邦軍はそれぞれ表情を青褪めさせ

「!!人質まで取るとは、余りにも卑劣ではありませんか、ユーディット様!!何故貴女程の聡明な方がそこまでするのですかっ!?」

ユーディットやメンフィル軍の行動を察したオーレリア将軍は怒りの表情で声を上げた。



「先程も言ったようにカイエン公爵家の存続と母の助命、そして貴方達が無駄な血を流してこの世を去る事無く生きられる道の為ならば、私は心を鬼にします!第一貴族連合がエリス嬢を誘拐し、更にはユミルを再び襲撃して”灰の騎士”の乗り手―――リィン・シュバルツァーに貴族連合に協力するように脅迫した件を考えれば、貴方方が私の行動を”卑劣”と呼ぶ”資格”は最初からありません!」

「それと”これ”を見ても、まだ我らに対抗できると思っているのか?」

ユーディットの話に続くように答えたヒーニアスが片手を挙げて合図を送ると、領邦軍の頭上に戦艦や飛行艇の部隊が現れた!

「なっ!?」

「何だあの戦艦や飛行艇の数は!?」

「あ、圧倒的過ぎる……!」

「こ、これがメンフィル帝国軍……!」

「か、閣下…………!このまま戦っても我々は犬死するだけです……っ!」

頭上に現れたメンフィル軍を見た領邦軍は表情を青褪めさせ

「ググググググ…………ッ!―――――うああぁぁぁぁぁぁ――――――っ!!これよりメンフィル軍に投降する……っ!総員、武器を捨てよ……っ!」

唇を噛みしめた後悔しそうな表情で咆哮を上げて自分が操縦するシュピーゲルが持つ剣を地面に叩き割ったオーレリア将軍は唇を噛みしめて悔し涙を流しながら領邦軍に指示をした。

「か、閣下……」

「ううっ…………」

「こんな終わり方って、ありかよ………っ!」

「クソ――――ッ!俺達は一体何の為に戦っていたんだ………っ!」

オーレリア将軍の指示を聞いた領邦軍の兵士達はそれぞれ戦意を無くして肩を落としたり悔し泣きをし始めた。



こうして……オーレリア将軍率いる領邦軍はユーディットの呼びかけと策によって、無念の降伏をした。



後日この功績によってユーディットは妹であるキュア共々謹慎を解かれ、エレボニアとメンフィルの外交問題に終結するまでの間は監視の兵達を共にすれば、オルディス内ならば自由に歩き回っていいという許可を貰い、”今後”の為にユーディットはキュアと共にオルディス内の貴族達や市民達の慰問等を行い、地盤固めを行っていたという………… 
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