| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

オズのボタン=ブライト

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一幕その十

「リンキティンク王ですけれど」
「王様がどうかしたのかい?」
「お元気ですか?」
「元気も元気だよ」
 笑って言うおじさんでした、リンキティンク王のことも。
「元気過ぎてね」
「それで、ですか」
「もう少し静かだったらって思う位だよ」
「そうなんですね」
「あんた達はうちの王様に会ったことはあるかい?」
「いえ、それがなんです」
 カルロスは正直に答えました。
「あの人にお会いしたことはないです」
「そうなんだね」
「ただよく聞いてます」
「うちの王様のオズの国の有名人の一人だからね」
「はい、それでなんです」
「困った位に朗らかでね」
 笑って言うおじさんでした。
「それで騒がしい位に笑ってるよ」
「やっぱりそうなんですね」
「ああ、相変わらずだよ」 
 本当に、という声でした。
「いいのか悪いのかっていうといいけれど」
「騒がしい」
「そうだよ」
「そうですか」
「今この国にいるよ」
「何処にも行かれずにですね」
「ご自身の王宮で今日も笑っておられるさ」
 それがリンキティンク王だというのです。
「じゃあ今から行くかい?」
「そうですね」
 ここで、です。カルロスは。 
 皆に顔を向けてです、そのうえで尋ねました。
「そうする?」
「そうね、やっぱりな」
「あの方のお国だし」
「あの方にお会いして」
「挨拶はしておかないと」
「やっぱりそうだよね」
 カルロスは皆の言葉に頷いてです、そして。
 おじさんに顔を戻してです、こう言いました。
「そうします」
「僕もだよ」
 ボタンもおじさんに答えました。
「そうするよ」
「よし、じゃあ王宮まで行くんだな」
「リンキティンク王が王宮にいるのならね」
「王宮までの場所はわかるかい?」
「わかんなーーい」
「じゃあ地図をやるよ」
 ボタンの問いに笑って返したおじさんでした。
「今からそっちに降りるから待ってくれよ、地図を持って来るな」
「そこを離れてもいいの?」
「灯台の傍にいればいいからな」
 おじさんの灯台守としてのお仕事はというのです。
「だからな」
「いいんだね」
「ああ、じゃあ今から行くな」
「それじゃあね」 
 こうしてです、おじさんはです。
 すぐに皆のとことに来てくれました、その手に地図を持って。
 それはリンキティンク王の国の細かい地図でした、しかもです。
「カドリング全体の地図もですね」
「ついでだからな」
 おじさんはカルロスに笑って応えました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧