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オズのボタン=ブライト

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第一幕その九

「いつも的確に僕達を引っ張ってくれるからね」
「確かにね」
「ドロシーさんがいたらね」
「いつも僕達を確かに導いてくれるから」
「凄く頼りになるね」
「だからドロシーさんかな」
 自分達五人のリーダーはというのです。
「そうなるかな」
「ドロシーならね」
 ボタンはドロシーと聞いて言うのでした。
「今も僕達を見ている筈だよ」
「王宮の鏡でだよね」
「オズの国のあらゆるところを見られる鏡でね」
「じゃあ僕達が今オズの国に来たことも」
「知ってると思うよ」
「そうだよね、やっぱり」
「うん、だからドロシーを心配させないようにしよう」
 すぐにこうも言ったボタンでした。
「危ないことをしたりしてね」
「そうだね、そのことはね」
「気をつけないとね」
「その通りだね」
「じゃあね」
「うん、まずは灯台守さんに聞こう」
 灯台にいるそのカドリングの赤い服を着たおじさんです。
「この国がどの国かね」
「カドリングの国なのは間違いないしにしてもね」
「それからだね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 皆で灯台のすぐ下に来てでした、おじさんに尋ねました。
「すいません」
「少しいいですか?」
「どうしたんだい?」
 おじさんは下から言って来た皆にすぐに応えました。
「そこにいるのはボタンの坊やじゃないか」
「僕のこと知ってるの?」
「御前さんは有名人だからね」
 それで、という返事でした。
「そのセーラー服でわかったよ」
「そうだったんだ」
「それで何の用だい?」
「ここはどの国なの?」
 ボタンはおじさんに自分達が知りたいことを尋ねました。
「カドリングの国なのはわかったけれど」
「リンキティンク王の国だよ」
「やっぱりそうなんだ」
「そうだよ、この国はね」
「そうだったんだね」
「それでわしはこの灯台で守をしているんだ」
 つまち灯台守さんだというのです。
「それがわしの仕事さ」
「そうなんだね」
「とはいってもここにいるだけで」
 その灯台にというのです。
「夜になれば自然と光が点くからな」
「その灯台にいるだけなんだ」
「文字通りの灯台守さ」
 笑ってこうボタンに言うのでした。
「何でもないさ」
「楽なの?」
「楽だね、ここで寝泊りしているだけだから」
「毎日そこで寂しくないの?」
「相方がいてそいつと一日交代なのさ」
「休日はなんだね」
「楽しくしてるさ、それにな」
 さらに言うおじさんでした。
「家が傍にあるからな」
「おじさんのお家がだね」
「そこから毎食女房が弁当を持って来てくれるんだよ」
「そうなんだね」
「それもとびきり美味いのをな」 
 笑って言うおじさんでした。
「だから何も困っていないさ」
「寂しくもないんだね」
「ああ、ここで昼は大好きな海を見て夜は寝る」
 それがというのです。
「わしの仕事だよ、そして朝日を見て朝飯を食って」
「それでだね」
「相棒と交代して家に戻る」
「そうした生活なんだ」
「そうさ、わしのこともわかったかな」
「うん、よくね」
 ボタンはおじさんに笑顔で頷いて答えました。
「それがおじさんのお仕事なんだね」
「このリンキティンク王の国に住みながらな」
「それでおじさん」
 今度はカルロスがおじさんに尋ねました。 
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