並木道
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4部分:第四章
第四章
10.てんとう虫
冬の間は耐えていて
暖かい春を待ち望んでいる
てんとう虫達はそうして頑張っている
寒い冬に暖かい春
その二つの季節の中で生きている
寒い冬は確かにあるけれど
暖かい春は必ずやって来る
辛い時も悲しい時もあるけれど
それを耐えていけばその先には
そこにきっといいことが待っている
冬の寒さは厳しくて
春の暖かさが恋しくなる
てんとう虫達は春を望んでいる
厳しい冬と優しい春
二つの全く違う季節の間を飛んで
冬は辛くて厳しいけれど
優しく柔らかい春もある
嫌になる時も寂しい時もある
けれどそれを乗り越えていくと
幸せが目の前に広がっている
辛い時も悲しい時もあるけれど
それを耐えていけばその先には
そこにきっといいことが待っている
11.枯れすすき
枯れたすすきを見ていると
えも言われぬ寂しさを感じてしまう
上を見上げても白く沈んだ空があるだけ
すすきを手に取っても 手にするのは寂しさだけ
冬の寂しさがそこにはある
冬の寂しさを手にすると
無性に悲しくなってしまう
悲しさを胸に一人で歩く
寂しさはそのまま永遠に続かないけれど
心はそう感じてしまうよ
枯れすすきは冬の寂しさ
今その寂しさを噛み締めて一人さすらう
枯れたすすきを手にして
寂しさを踏み締めた気持ちになる
下は白く冷たい雪が広がっているから
余計に冷たく寂しく その中に身を置く気持ち
冬の寂しさだけではなく
冷たさも感じてきた
側に誰かいて欲しいと
一人考えてしまうのに
一人で歩く道にまた枯れすすきが見えた
どうしようもない寂しさが
すすきからも感じられるから
冬のさすらう旅はずっと寂しいままなのか
寂しさはそのまま永遠に続かないけれど
心はそう感じてしまうよ
枯れすすきは冬の寂しさ
今その寂しさを噛み締めて一人さすらう
12.霧の中の男の子
朝の深い霧の中で
男の子達の声が聞こえる
朗らかで屈託なく
姿は見えないけれど明るさが伝わる
深い霧の奥の影は
ぼんやりとしてよくは見えないけれど
それでも声までは隠せないから
明るい声が霧の幕を消して
ぼんやりとした世界を変えている
姿は見えないけれど明るさは見える
それは霧でも隠せはしない
朝の白い霧の世界
男の子達ははしゃいでいる
明るく元気な声
霧の中でもそれは聞こえてくるから
白い霧の奥にいて
何をしているかまではわからないけど
声と明るさは伝わってくるもの
暖かさも霧の寒さを消して
朧なものを少しずつ消していく
霧が消えた後で残っているのは
明るい笑顔かも知れない
明るい声が霧の幕を消して
ぼんやりとした世界を変えている
姿は見えないけれど明るさは見える
それは霧でも隠せはしない
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