英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第211話
バリアハートに到着後メンバーをエリス、サラ教官、エマ、オリヴァルト皇子、エリオットに編成したリィンはARCUSでプリネ達に連絡を取って面会できるようにし、領主の城館の客室でプリネ達と面会しようとしていた。
~バリアハート・クロイツェン州統括領主の館・客室~
「―――お待たせしました。」
「あ…………エヴリーヌさんもバリアハートにいたのですか……!」
プリネ達と共に客室に入って来たエヴリーヌを見たリィンは明るい表情をした。
「ん。……というか何でオリビエまでいるの?」
「エ、エヴリーヌさん。エステルさん達と行動する”本隊”にリィンさん達”Ⅶ組”に加えてオリヴァルト皇子達もいるのをもうお忘れですか?」
オリヴァルト皇子を不思議そうな表情で見つめるエヴリーヌの言葉を聞いたツーヤは冷や汗をかいて指摘し
「――それで今日は何の用でここに来た?エレボニアが存続し、アームブラストと”蒼の深淵”の減刑も果たした今のお前達がこれ以上メンフィルに用はないと思っていたのだが。」
レーヴェは静かな表情でリィン達を見回して尋ねた。
「全く……何を寝ぼけた事を言っているのかしら?”Ⅶ組”はまだ全員揃っていないんだから、用があるに決まっているじゃない。」
「え……」
「”Ⅶ組はまだ全員揃っていない”……――――!まさか……!」
「エヴリーヌ達に”Ⅶ組”に戻って来いって言うつもり?」
レーヴェの言葉に呆れた後真剣な表情で自分達を見つめるサラ教官の話を聞いたプリネは呆け、ある事を察したツーヤは信じられない表情をし、エヴリーヌは目を丸くした。
「うん!それとクロウもだよ!」
「後は姉さんにも償いの機会を与える意味で一時的に釈放して、私達”Ⅶ組”のメンバーに加えさせて欲しいのです。」
「ええっ!?あたし達どころかクロウさんやクロチルダさんもですか!?」
「……正気か?アームブラストはまだしも、”蒼の深淵”がお前達に協力するとはとても思えんぞ。」
エリオットとエマの答えを聞いたツーヤは驚き、レーヴェは信じられない表情で指摘し
「アタシも正直あのヴィータが力を貸すとはとても想像できないんだけどね……ま、その子達は僅かな可能性に賭けてアンタ達に会いにきたのよ。」
「ちなみにプリネ様達やお二人を加える事を決めたのは兄様です。」
セリーヌとエリスはそれぞれ苦笑しながら答えた。
「リィンさん……その、お気持ちは嬉しいのですが私達はお父様達の部隊のメンバーとして別ルートから屋上を目指す事が決定しています。それにお二人を一時的に釈放するのも申し訳ないのですが私の権限では無理なので、わざわざ足を運んでもらって申し訳ないのですが……」
「―――わかっている。だからリウイ陛下かリフィア殿下に面会できるようにしてもらえないだろうか?」
「え……」
「もしかしてリウイお兄ちゃん達にエヴリーヌ達が”Ⅶ組”に戻れるように説得するつもり?」
自分の言葉を遮ったリィンの申し出にプリネは思わず呆け、エヴリーヌは目を丸くして尋ねた。
「はい。」
「忙しいのはわかっているが、何とか面会の時間を取って貰えるようにしてもらえないだろうか?」
「お願い、プリネ……!」
オリヴァルト皇子の話に続くようにエリオットは頭を下げ
「…………お父様は立て込んでいて、今すぐの面会は無理ですがリフィアお姉様はちょうどこの城館にいらっしゃっていますからリフィアお姉様との面会は可能です。」
「後クロウと結社の”蛇の使徒”もこの城館に軟禁されているよ。」
「ええっ!?」
「姉さんとクロウさんもこの城館にいるんでえすか!?」
プリネの後に答えたエヴリーヌの意外な答えにエリオットは驚き、エマは信じられない表情をし
「エヴリーヌさん……」
「こいつらの前でその件を口にすれば、奴等に会わせろとしつこく言ってくる事が予想できないのか……?」
ツーヤとレーヴェは呆れた表情でエヴリーヌを見つめていた。
「一体どういう事かしら?”槍の聖女”の話ではあの二人は牢屋に拘禁されているとの事だったけど……」
「……あの二人の拘禁場所はエリゼさんの指示によって変えられ、今はこの城館の客室にそれぞれ軟禁されているんです。」
「え……ね、姉様の指示でですか!?一体何故……」
サラ教官の問いかけに答えたプリネの話を聞いたエリスは驚き
「…………リフィア殿下がいらっしゃっているという事は殿下の専属侍女長であるエリゼもこの城館に今もいるという事になる。―――プリネさん、どうか二人に会わせてくれないか?」
目を伏せて考え込んでいたリィンは決意の表情になってプリネを見つめた。
「…………――――わかりました。」
その後プリネの手配によって、少しするとリフィアとエリゼが客室に入って来た。
「余とエリゼに用があるとの事じゃが……一体何の用じゃ?余もそうだがエリゼもオズボーンとの決戦に向けての準備があるのじゃぞ?」
「……その言い方からするとリフィア殿下もそうだけど、エリゼ君もメンフィルの精鋭部隊のメンバーなのかな?」
リフィアの問いかけを聞いてある事が気になったオリヴァルト皇子はエリゼを見つめ
「はい。―――それでリフィアだけでなく、私にまで用があるとプリネ様達が仰っていたそうですが本日は何の御用でしょうか?」
オリヴァルト皇子の問いかけに頷いたエリゼは静かな表情で尋ねた。
「―――リフィア殿下。本日殿下をお呼びしたのは”Ⅶ組”がベストを尽くしてオズボーン元宰相との決戦に向かう為にも殿下の御力が必要な為、嘆願に参りました。」
「なぬ?それは一体どういう意味じゃ。」
「―――俺達”Ⅶ組”はまだ全員揃っていません。これではオズボーン元宰相との決戦の際に支障をきたす可能性も考えられます。」
「…………”Ⅶ組が全員揃っていない”…………―――!プリネ達を”Ⅶ組”に戻せと言いたいのか?」
リィンの話を聞いて考え込んだ後すぐに察しがついたリフィアは真剣な表情でリィンを見つめて確認を取った。
「はい。―――殿下は以前こう仰いましたよね?エレボニア存亡会議の結果がどのような結果になったとしても、プリネさん達を復学させると。」
「確かに言ったが……プリネ達の復学はトールズ士官学院が再開されてからだとあの時言ったはずじゃぞ。」
「それならば問題はないかと思われます。トールズ士官学院は”既に士官学院として再開している”のですから。」
「え…………」
「リ、リィンさん?一体何を……」
「もしかしてこんな状況で授業を再開しているの?」
リフィアを見つめて言ったリィンの主張にプリネは呆け、ツーヤは戸惑い、エヴリーヌは目を丸くした。
「―――”士官学院”は平時では授業を行いますけど、戦時になれば場合によっては軍事基地としての機能をする……殿下、サラ教官。そうですよね?」
「ああ、確かにリィン君の言う通りだよ。」
「フフ、非常事態になれば士官学院生もそうだけど教官達も軍事行動をするわ。―――例えばガレリア要塞の時のようにね。トールズが”士官学院”である事はプリネ達が入学する前からご存知ですよね?」
リィンの言葉にオリヴァルト皇子と共に頷いたサラ教官は口元に笑みを浮かべてリフィアを見つめ
「む…………」
「フッ、エレボニア存亡会議を乗り越えた影響なのか、随分と屁理屈が上手くなったな?」
「レ、レーヴェ……褒めるのならちゃんとした褒め方をしてあげてよ……」
リィン達の主張を聞いて考え込んでいるリフィアを見た後静かな笑みを浮かべるレーヴェにプリネは冷や汗をかいて指摘した。
「―――エリゼ、一つ聞きたい事がある。」
「え……私にですか?一体何でしょうか。」
リィンの問いかけに目を丸くしたエリゼは気を取り直して続きを促した。
「プリネさん達からクロウとクロチルダさんは今この城館に軟禁されている話は聞いている。そして牢屋に入れられた二人をエリゼの指示によってこの城館の客室に移送されたと聞いたけど……一体どういう事だ?専属侍女長の判断だけでそんな事ができるのか?」
「!それは………………」
リィンの問いかけを聞いたエリゼは複雑そうな表情で答えを濁した。
「―――カレル離宮でカイエン公達を拘束した後、エリゼから頼みがあったのじゃ。二人が処罰を科せられるまでの間の拘束権を譲って欲しいとな。エリゼの今までの功績や働きを考えるとそのくらいなら構わないと思い、二人の拘束権を譲ってやったのじゃ。」
「ええっ!?ね、姉様がお二人の拘束権を……!?」
「一体何の為に二人の拘束権を譲ってもらうように頼んだ上、二人を牢屋から出して城館の客室に軟禁という好待遇にしてあげたのよ?」
リフィアの説明を聞いたエリスは驚き、セリーヌは不思議そうな表情でエリゼを見つめ
「……………………」
エリゼは何も語らず目を伏せて黙り込んでいた。
「え、えっと………二人を牢屋から客室に移送する指示ができるって事はエリゼちゃんなら、クロウとクロチルダさんの身柄を自由にできるって事だよね?」
「自由と言ってもさすがに限度はありますが……それがどうかしましたか?」
エリオットの質問を聞いて静かな表情で答えたエリゼはリィン達を見つめて尋ねた。
「そ、その……お二人の身柄を自由にできる姉様でしたらお二人を短期間だけ釈放する事は可能でしょうか?」
「一時的な釈放だったら可能だけど…………―――!まさか。」
「”Ⅶ組全員”という事は”C”―――クロウ・アームブラストも一時的に釈放して”紅き翼”に加入させるつもりか!?」
エリスの質問に答えた後リィン達が何の為に来たのかを察したエリゼは目を見開き、リフィアは驚きの表情で尋ねた。
「――はい。それとクロチルダさんにも”槍の聖女”のように償いの機会を与える為にもクロウ同様一時的に釈放して俺達”紅き翼”のメンバーとして加わってもらいたいのです。」
「…………エレボニアの国王代理の件といい、正気を疑う判断じゃな。奴等とは敵対関係であったのに、お主達に協力すると思っているのか?」
「―――クロウは”敵”ではありません。俺達”Ⅶ組”のクラスメイト―――”仲間”です。それに故郷があのような事になってしまったのですから、クロウとしても故郷を何とかしたいと思っているでしょうし、故郷を滅茶苦茶にしたオズボーン元宰相に対する復讐心もあると思われますから、オズボーン元宰相との決戦に向かう俺達に協力する事はあいつにとっても利害が一致する話だと思います。」
「”C”の故郷―――”ジュライ特区”か。”C”はそれでいいとしても、”蒼の深淵”の事はどう説明するつもりじゃ。」
リィンの説明を聞いて考え込んでいたリフィアは真剣な表情で続きを促し
「かつて”結社”に属して俺も”蒼の深淵”ともある程度の交流はあった為奴の性格も少しだが把握している。”盟主”の指示ならまだしも奴が世界の命運をかけた決戦に参戦するとはとても思えんし、”結社”が崩壊した事で意気消沈している奴にそのような気力があるとはとても思えないぞ。そもそも一時的に釈放された際に隙を見て逃亡された場合はどうするつもりだ?”C”の身柄は最終的にエレボニアに引き渡されるからまだいいとしても、メンフィルで罪を償う事になっている”蒼の深淵”が逃亡すればお前にも責任が追及されるぞ。」
レーヴェは真剣な表情でリィンを見つめて忠告した。
「その時は俺が責任を持って二人を拘束しますし、俺に科される処罰も受け入れます。それにエリスの件を考えるとクロチルダさんは根っからの悪人とはとても思えないんです。」
「え……」
「何?」
「……一体どういう事じゃ。」
リィンの言葉を聞いたエリゼは呆け、レーヴェは眉を顰め、リフィアは続きを促した。そしてリィンは”パンダグリュエル”での話を説明した。
「クロチルダさんがそんな事を……」
「……何考えているんだろ?切羽詰まった状況だったのにわざわざ敵に回る可能性のあるリィンの妹のエリスやオリビエの妹のアルフィンの安全を保障するなんて。」
話を聞いたツーヤは驚き、エヴリーヌは不思議そうな表情をし
「……彼女も女性だから、同じ女性として二人に危害を加える事は許せなかったかもしれませんね……」
プリネは静かな表情で推測を口にした。
「―――例え逃亡の可能性がないとしても、結社が崩壊した事に絶望している”蒼の深淵”がお前達に協力してくれると思っているのか?」
「……できれば今から説得したいと思っています。―――エリゼ、二人に会わせてくれないか?一時的に釈放もできるんだったら、俺達との面会も可能だよな?」
「それは…………リフィア、貴女はどうするべきだと思う?」
レーヴェの問いかけに答えたリィンに見つめられたエリゼは判断に困った後リフィアに視線を向けたが
「お主の好きにすればいい。二人の拘束権を持っているのはお主なのだからな。」
「……………………―――わかりました。二人をこの場に連れてくるように今から手配します。ただし二人は拘禁の身ですので、二人にはそれぞれ手錠をした状態で兄様達と面会してもらうのでそこはご了承下さい――――」
自分の判断で決めてよいというリフィアの答えを聞いて考え込んだ後二人をリィン達に会わせる事にした。
その後少しするとクロウとクロチルダが手錠をされた状態で兵達に連れられ、部屋に入って来た。
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