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昔の歌

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2部分:第二章


第二章

4.分かれ道
 急に目の前に現われたのは

 二つに分かれた道だった

 どちらに行けばいいのか迷ってしまう

 けれど声が聞こえてくる道があった

 そこには何があるのか誰がいるのかわからない

 けれどそこには何かがある  それは確かだった

 何もない今なら何かを掴める  そう思ったから

 声がする道を選んだ  迷いはしたけれど

 この先に何があるのかわからないけれど

 とにかく一歩前に踏み出した


 いきなり前に出て来たその

 分かれ道のうちの一つに

 今足を踏み出して先に進んでいく

 聞こえてくる声は悪くはない

 僕を呼んで静かな場所へ案内しているようだ

 それは本当なのかさえ  わかりはしないけれど

 けれど行ってみないと何も  手に入らないから

 その先へ進んでいくんだ  怖いけれども

 この先には絶対に何かがあるのは確かだから

 とにかくその場所へ行ってみたい


 何もない今なら何かを掴める  そう思ったから

 声がする道を選んだ  迷いはしたけれど

 この先に何があるのかわからないけれど

 とにかく一歩前に踏み出した


5.歌と詩
 歌を歌えば詩を思い出す

 詩を詠めば歌を思い出す

 何故かこの二つを常に心に持っている

 頭の中から離れはしないこの二つのものは

 そのまま人の糧になっている

 寂しい時も悲しい時も一緒で

 心を慰めてくれるもの

 人の口から現われるそれを

 今日も口ずさんで人は生きる

 歌と詩どちらもかげがえがないから

 今日も歌って詠っていたいもの

 
 歌を歌うのは詩を詠むことで

 詩を詠めば歌を歌っている

 この二つを分けることはできはしない

 心に住みついているこの二つの友は

 人を導いて育ててくれるもの

 楽しい時もおかしい時も一緒で

 心を誘ってくれるもの

 人の心から生まれ出るそれを

 人は今日も感じて生きている

 詩も歌もどちらも人の周りにあり

 何時でも人を包み込んでくれる


 人の口から現われるそれを

 今日も口ずさんで人は生きる

 歌と詩どちらもかげがえがないから

 今日も歌って詠っていたいもの
 

6.蜃気楼
 目に見えていた筈なのにそれは嘘だった

 そこにあるのは幻だった

 掴みかけていたのに消えてしまい

 今目の前にあるのは何もない

 荒野がただ広がっているだけだった

 その荒野は何処までも果てがなく

 何かが出ては消えていく

 今度は蜃気楼ではなく真を見たい

 荒野の中で一人思う  それはないかも知れないけれど

 真は何処かにあると信じているから


 目に見えるものは実は幻に過ぎず

 すぐに掻き消えるものだ

 そのかわりに出て来るのは砂で

 他には何も見えたりはしない

 その砂はまるで人の心のように

 渇いてそしてまとまることがない

 風が吹けばそれで散って

 真実もきっとそういうものだろう

 世の中は荒野だから  けれどそれでも諦めたりはせず

 真を探して世界を巡りたいんだ


 今度は蜃気楼ではなく真を見たい

 荒野の中で一人思う  それはないかも知れないけれど

 真は何処かにあると信じているから
 
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