英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~アルフィン皇女の降嫁~
同日、23:50――――
~温泉郷ユミル・礼拝堂~
「え~と……本来なら二人の結婚を宣言する神父の台詞が色々とあるのですがあんな長くて面倒な台詞、私はほとんど覚えていませんし、この結婚式は非公式の簡易的な結婚式なので省略します♪なのでまともな台詞はアリサさん達と一緒に正式な結婚式を挙げる時にその際の神父を務める方に言って貰って下さい♪」
神父役を自ら申し出て務めているエイドスの発言にその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「女神が結婚式の台詞を覚えていないなんて滅茶苦茶よ……」
「聖職者なら覚えていて当然の事なのに……」
ルフィナとリースは疲れた表情で頭を抱え
「クク、しかし確かに言われてみればあの台詞は長くて面倒だな。」
「ちなみに僕も覚えていないけどね♪」
「お前もさり気なく聖職者として失格な発言をするなや……」
笑いをかみ殺しているセルナート総長と共に口元に笑みを浮かべているワジの言葉を聞いたケビンは呆れた表情で指摘した。
「ア、アンタねえ!?だったら何で神父役を申し出たのよ!?」
「お、落ち着いて、セリーヌ。」
「お願いしますから、こういう時くらい”女神”らしい所を見せてくださいよ~!」
「ま、まあまあ……簡易的な結婚式ですから、少しくらい大目に見てもいいと思いますよ?」
声を上げたセリーヌアリサにエマとセレーネは冷や汗をかきながら諌め
「一度誓いのキスを言う神父役をしてみたかったので申し出ました♪」
エイドスが悪びれも無く答えると再びその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「そ、そんな事の為に……」
「うふふ、でも女神様に直接祝福されるのですから、それだけでもいいじゃありませんか♪」
リィンが疲れた表情をしている中、アルフィン皇女は嬉しそうな表情で微笑み
「フフッ、確かに”空の女神”直々に結婚を祝福されるのだから、これ以上ない贅沢だね♪」
「た、確かにその通りなのですが……」
「幾ら簡易的な結婚式とは言え、そこまで簡易的にするか、普通!?」
オリヴァルト皇子の意見を聞いたクレア大尉は困った表情で答え、トヴァルは疲れた表情で指摘した。
「……フィーナ。フィーナは覚えていないのかい?」
「覚えていたら、せめてフィーナさんが言ってあげた方がいいと思うのですが……」
「当然覚えています!もう、あの娘ったら……!」
アドルとエレナに促されたフィーナは疲れた表情で答えた後立ち上がり、前に出てエイドスの隣の位置へと移動した。
「結婚式の台詞はエイドスの代わりに私が言いますね。」
「は、はあ……」
「うふふ、お願いしますわね♪」
「あ、待ってください。リィンさん、アルフィン皇女。指輪交換の為に必要な肝心な指輪はこれらを使って下さい。」
フィーナが始めようとしたその時、エイドスが異空間から二つの指輪を取りだしてそれぞれリィンとアルフィン皇女に一つずつ手渡した。
「あの指輪は一体……?何やら凄まじい”風”を感じるが……」
「ブッ!?ちょっ、エイドスさん!?その指輪から凄まじい霊圧を感じるんですが……!?」
「まさかとは思いますけど、古代遺物ですか……?」
指輪を見て何かに気付いたガイウスは目を丸くし、ケビンは吹き出した後表情を引き攣らせ、ルフィナは疲れた表情で問いかけた。
「あ、別に大したものではないですよ?リィンさんに渡したアルフィン皇女の指にはめる指輪は”エンゼルリング”、アルフィン皇女に渡したリィンさんの指にはめる指輪は”フォースリング”という名前で効果は偶然だと思うのですが皆さんの戦術オーブメントに嵌めている”マスタークオーツ”と同じ名前の効果を発揮して、後は指輪に上位アーツが込められていて、そのアーツを使う時だけ念じて指輪を掲げれば指輪に込められた魔力によって何度でも上位アーツを詠唱無しですぐに発動できるだけですよ?」
「ええっ!?マ、”マスタークオーツ”と同じ効果を発揮する上、しかも上位アーツが詠唱無しで何度でも放てる指輪!?」
「それってとんでもない効果じゃないのか!?」
エイドスの説明を聞いたエリオットとマキアスはそれぞれ信じられない表情で声をあげた。
「フフ、そんな物をあっさりと手放すなんて、さすがは”空の女神”だね♪」
「感心している場合じゃないよ、アンちゃん……そ、その結婚式で使うだけで後で返す必要があるんですよね?」
口元に笑みを浮かべているアンゼリカの言葉に呆れたトワは冷や汗をかきながらエイドスに尋ねた。
「いいえ、先程渡した指輪は結婚するお二人への”祝い品”として渡しましたから返す必要はありません。というか在庫処分ですので、返品は受け付けません♪」
笑顔で答えたエイドスの言葉にその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「ハア……ラウラの時同様、あのハチャメチャ女神にとってはそんなとんでもない代物も大した物ではないのでしょうね……」
「こんな時くらい、遠回しな言い方はできんのか!?」
「アハハ、本音が出たね~。」
「結局はそれなんだね。」
我に返ったサラ教官は疲れた表情を溜息を吐き、ユーシスは疲れた表情で指摘し、ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべ、フィーはジト目で呟いた。
「へ、返品は受け付けないって……」
「在庫処分したいと思っている指輪を結婚用として使うなんて、非常識過ぎなの。」
「というかエイドスは一体どれ程の凄まじい効果を秘めた様々な武具や装飾品を持っているのかしら?」
エイドスのあんまりな発言にナユタとノイ、クレハはそれぞれ呆れた表情をしていた。
「あ、リィンさんと婚約している人達は後で私に申し出てくださいね♪リィンさん達に渡したのと似たような指輪はまだたくさんありますので、結婚祝いとしてそれを渡しますので♪」
「ううっ、それもどうせ”在庫処分”をしたいからなんでしょうね……」
「え、えっと……女神様直々に祝いの品を送られるのですから、気にしない方がいいのでは?」
(私も後でエイドスに申し出ようかな……?)
エイドスの発言を聞いたその場にいる全員が再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中、疲れた表情をしているアリサにエリスは苦笑しながら答え、ゲルドは静かな表情で考え込み
「ちょっ、エイドスさん!?頼みますから外部の人達にそんなポンポンとオレ達の時代では古代遺物扱いされる代物を渡さないで下さいよ!?」
「お願いしますから、少しは自重してください……!本来でしたら星杯騎士団が回収して保管すべき古代遺物なのですから……!」
ケビンとリースは疲れた表情でエイドスに指摘した。
「今の内に言っておきますがリィンさん達に渡す指輪はラウラさんの魔剣同様”空の女神”である私自身が所有を認めた方達なのですから、反論は許しません♪」
「「う”……」」
「フッ、それを言われてしまっては我々はお手上げだな。」
「何せ僕達の崇めている存在の意志を無視する訳にはいかないしねぇ?」
「ハア…………」
エイドスの答えを聞いたケビンとリースが唸り声を上げている中、口元に笑みを浮かべているセルナート総長とワジの言葉を聞いたルフィナは疲れた表情で溜息を吐いた。
「もう、この娘ったら……―――それじゃあ気を取り直して始めますね―――――」
一方その様子を呆れた表情で見守っていたフィーナは気を取り直して真剣な表情でリィンとアルフィン皇女を見つめてエイドスが省略した長い台詞を言い始め、やがてその台詞も終えようとしていた。
「汝、リィン・シュバルツァーは、アルフィン・ライゼ・アルノールを妻とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
「はい、誓います。」
「汝、アルフィン・ライゼ・アルノールは、リィン・シュバルツァーを夫とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
「はい、勿論誓いますわ。」
「では互いの指輪を交換してください。」
フィーナの言葉に応えるかのようにリィンはアルフィン皇女の指に、アルフィン皇女はリィンの指にそれぞれエイドスから手渡された指輪をはめた。
「「では、誓いのキスを。」」
そしてフィーナとエイドスの言葉によって、年がちょうど変わる1月1日24:00ちょうどに二人は互いに口付けをし
「”自由の女神”フィーナと……」
「”空の女神”エイドスと……」
「「”イース”の名において、二人が結ばれた事をここに宣言します!」」
フィーナとエイドスの宣言が終わるとその場にいる全員は拍手をした!
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