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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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外伝~サティア・セイルーン~


~隠者の庭園~



「セリカ………約束…………」

「?もしかしてマリーニャさん達のお知り合いの方ですか?」

地面に横たわっている女性の言葉を聞いたヨシュアは首を傾げてマリーニャ達を見て尋ねた。

「………いや、あたし達は初対面よ。」

マリーニャは静かに首を横に振って答えた。

「…………?」

「あ……………!」

「起きたみたいだね………」

そして女性は目を覚まし、その様子を見たエステルは声を上げ、ナユタは静かに呟いた。

「これは一体………?どうして私の身体が…………?」

起き上がった女性は自分の身体を見て戸惑っていた。

(サティア………!)

その時パズモがエステルの身体の中から出て来て、女性―――サティアの目の前に飛んで行った。

「え………パズモ・メネシス?どうして貴女が………」

(どうしてはこっちの台詞よ………!またこうして貴女に会えるなんて奇跡よ…………!)

パズモに気づいたサティアは不思議そうな表情で呟き、パズモは涙を流しながらサティアの周りを弧を描くように周った後サティアの肩に止まって見つめた。

「パズモ…………」

パズモの念話を聞いたサティアは優しい微笑みを浮かべた。

「クー!!」

さらにクーも自分からエステルの身体の中に出て来て、サティアに顔を近づけた。

「?…………………………!……………もしかして………あの時………ノヒアで会った水竜の仔かしら?」

クーに気付いたサティアは首を傾げたが、クーを見つめて考え込んだ後、尋ねた。

「クー♪」

サティアの言葉を聞いたクーは肯定するかのように嬉しそうに鳴いてサティアに顔をすり寄らせた。

「そう………フフ…………あの時の仔が随分大きくなったわね………」

そしてサティアはクーの頭を優しく撫でた。

「あの…………」

そこにリタが遠慮気味に話しかけた。

「…………貴女はあの時、”魔槍ドラブナ”に囚われていた……リタ・セミフね。………どうやら新しい生き方を見つけたみたいね?」

「!!やはり貴女はあの時の………!………はいっ………!主と貴女………そして貴女達と一緒にいた神官の方のお蔭です………!」

「リタ…………知り合い………?セリカに……………凄く…………似ている…………」

サティアに微笑まれたリタは驚いた後嬉しそうな表情をし、その様子を見たナベリウスは首を傾げた。

「ほう…………フフ、普段の顔もそうだが笑った顔もまた美しい。ぜひ、貴女のお名前を漂泊の詩人にして演奏家にして愛の追求者たるこのボクにも教えて頂けませんか?レディ。」

そこにオリビエがちゃっかりサティアの前に出て来て、紳士の態度でサティアに尋ねた。



「こんな時に何をやっているんですか………」

「それに今のあんたは一国の皇子でしょうが…………」

「エレボニア人として恥ずかしいよ………」

「あ、あはは………」

「……………このお調子者が…………!」

(なっ………!?)

「な、な、なっ………!!」

オリビエの行動を見たヨシュアとシェラザード、ジョゼットは呆れ、クローゼは苦笑し、ミュラーは顔に青筋を立ててオリビエを殺気が籠った視線で睨み、サティアの肩に止まっていたパズモは絶句し、エステルは口をパクパクさせた。

「フフ、面白い人ね。――――私はサティア・セイルーン。貴方は”運命”という言葉を信じるかしら?」

「フッ、それは勿論。”運命”のお蔭で貴女のような美しいレディと出会えるのだしねっ!!」

サティアに微笑まれたオリビエは高々と言った!

「このスチャラカ演奏家が…………いい加減、やめんか――――――っ!!」

しかしその時怒りに震えたエステルがクラフト――――”聖炎棍”をオリビエに放ってオリビエを吹っ飛ばした!

「あ~れ~…………はうっ!?あ、あちちっ!さ、さすがにこれはやり過ぎじゃないかい、エステル君………!?」

エステルの攻撃によって石碑まで吹っ飛ばされたオリビエは服に燃え移り始めた”聖炎”を消しながら恐る恐るエステルを見て尋ねた。

「た、大変!今、治療します!」

一方ティナは慌てて駆け寄ってオリビエに治癒魔術をかけ始めた。

「以前言ったでしょ!今度馬鹿な真似をしたら棒に”聖炎”を込めてブッ飛ばすって!まさかよりにもよってサティアさんに馬鹿な真似をするとは私も思わなかったわよ!!」

「貴様にはいい薬だ、阿呆。」

そしてエステルはオリビエを睨んで叫び、ミュラーはエステルの言葉に頷きながら言った。

(…………あの時言った言葉を本当に実行するとは………)

「わ、我が奥義”聖炎剣”がこのような下らぬ事に…………」

「………え、えっと……………その………元気を出してね、リン?」

一方サエラブは信じられない表情でエステルを見つめ、リンは落ち込み、ラピスは表情を引き攣らせ、冷や汗をかきながらリンを慰めた。

「フフ………本当に面白い人達ね。今まで貴女達のような人達には会った事はないわ。(それにここにいる人達みんなからセリカのように優しく暖かい気持ちを感じるわ………私はこういう人達と会いたかった………)」

その様子を見ていたサティアは微笑みながらエステル達を見つめた。

「あはは………恥ずかしい所を見せてしまって、ごめんね、サティアさん。………まさかこの世界のお蔭で貴女に会えるとは思わなかったわ。」

「?どうして私を知っているのかしら?」

微笑まれたエステルは棒をしまって恥ずかしそうに笑いながらサティアを見つめ返した。一方エステルの言葉を聞いたサティアは首を傾げて尋ねた。その後リース達はサティアに事情を説明し、自己紹介をした。



「………そう。………………フフ、私がこの”影の国”に取り込まれたのはエステル。貴女のお蔭ね。」

「へっ!?な、なんで!?」

事情を聞き終えたサティアはエステルに微笑み、微笑まれたエステルは戸惑った。

「人の想念に反応する世界……………エステル、貴女がその剣に”誓った”私とセリカの”約束”を叶えるという”誓い”…………その”誓い”の為に貴女は私やセリカに会いたいと強く願っていたのでしょう?」

「あ…………う、うん。」

「だからこうして魂だけの存在となり世界を彷徨っていた私も当時の姿で現れる事ができた…………本当にありがとう、エステル。貴女に………貴女の”運命”に心より感謝するわ。」

(本当にありがとう、エステル………!貴女と出会っていなければ、こうしてサティアが再び現れるなんてことはなかったと思うわ………!)

「あ、あはは……………そんなに大した事はしていないんだけどな………」

サティアとパズモにお礼を言われたエステルは恥ずかしそうに笑った。

「フフ………プリネさんのお父さんを止めた事といい、本当に凄いね、ママ!」

「ハッハッハ!旦那もきっと驚くぞ。」

「ええ………エステルさんには失った”絆”を再び結ばせる力があるのかもしれませんね。」

そしてミントははしゃぎ、ジンは豪快に笑い、イリーナは優しい微笑みを浮かべていた。

「フフ………それにしてもセリカは私と違って、共に生きる”使徒”を見つけたようね。」

サティアはエクリア達を見つめて微笑んだ。

「「「「「………………………」」」」」

一方サティアに見つめられたセリカの使徒達―――エクリア達はそれぞれ困惑、真剣、複雑といったさまざまな表情でサティアを見つめていた。

「う~………?サティアさん、ご主人様と凄く似ているのはなんでですか~?」

「サ、サリア!」

そして不思議そうな表情でサティアを見つめて呟いたサリアの言葉を聞いたシュリは慌てた。

「………セリカは”使徒”の貴女達には話していないのかしら?」

「はい。セリカ様はサティア様の事も含め何故”神殺し”になったのかさえも覚えておられません………ただ”生きる”という言葉しか覚えていないのです。」

サティアの疑問を聞いたエクリアは静かな表情で答えた。

「………そう。………それでもセリカは少しは覚えていてくれたのね…………そして今はもう一人じゃなく、心から信頼する人達がこんなにもいるのね………フフ、少し安心すると同時にセリカとずっと一緒にいる貴女達を羨ましく思ったわ。」

(アストライア…………)

「サティア様…………」

エクリアの答えを聞いたサティアは静かな表情で考え込んだ後、苦笑しながらエクリア達を見つめ、見つめられたレシェンテとシュリは表情をわずかに悲しげに変えてサティアを見つめていた。そしてエクリア達から視線をリース達に変えたサティアは言った

「――――では、行きましょうか。」

「?一体どこへ………?」

サティアの言葉を聞いたリースは首を傾げて尋ねた。



「勿論、この”影の国”の探索よ。セリカと再び会う為に………そして私を呼んでくれたエステルや貴女達を元の世界に戻す為に私も協力するわ。探索に加えたい時はいつでも声をかけて。」

「………わかりました。先程現れた敵の事を考えると今は一人でも戦力が欲しい所。………貴女から感じるすざましい魔力と霊圧からして只者ではない事は感じ取っています。これからよろしくお願いします。」

サティアの申し出を聞いたリースは静かに頷いた。

「えへへ………これで後はセリカを見つけるだけね!」

(ええ………!)

その様子をエステルとエステルの肩に戻ったパズモは嬉しそうな様子で見つめていた。

「「「………………………」」」

一方ティオ、セラウィ、エリザスレインは真剣な表情でサティアを見つめていた。

「ティオちゃん?どうしたの?」

「セラウィとエリザスレインも。さっきからずっとサティアさんを見つめていたけど、一体どうしたんだい?」

「………いえ。気のせいですから気にしないで下さい。(………あの人から感じる霊圧からしてあの人は恐らく…………)」

「ティオの言う通りです。私達の気のせいですから………ね、エリザスレイン。」

「…………そうね。」

その様子に気付いたティータとウィルは尋ね、尋ねられた3人はそれぞれ誤魔化した。

(フィーナ………あのサティアさんって人………何となく君と似ている感じがするんだけど………)

(アドルさんも気付きましたか………ええ………恐らく彼女も私と同じく……………)

さらにアドルとフィーナはサティアを見つめながら小声で会話をし

「なんだろう………?あの人、なんとなくだけどクレハと雰囲気が似ている気がする………」

「私もそう思ったの………あの人って一体………」

ナユタとノイは不思議そうな表情でサティアを見つめていた。その後休息をした後リース達はメンバーを編成し直し、リース、エステル、アドル、リフィア、エヴリーヌ、エクリア、サティアのメンバーで探索を再開し、ついに転位陣が見える終点に到着した。



~冥き途・終点~



「あ…………!」

「次の”星層”に行く転位陣………ね。」

転位陣を見たエステルは驚き、サティアは静かに呟いた。しかし、その時巨大な妖しげな光陣が目の前に現れた!

「やはり来たか………!」

それを見たアドルは仲間達と共に武器を構えて警戒した。そして妖しげな光陣からすざましい暗黒を纏った巨大な”何か”が現れた!」

「な、何よコイツ………!」

「…………今まで戦った”悪魔”とは桁違いの力を感じます。下手をすれば”魔王”クラス………!」

新たな敵を見たエステルは信じられない表情をし、リースは警戒した様子で敵を睨んだ。

(ぴ、ぴえっ!?そ、そんな………!)

(馬鹿な!?貴様は………!)

(グオッ!?)

「!?そ、そんな………!お、お祖父ちゃん!!」

一方それぞれの契約者を通して敵を見たテトリ、ディアーネ、カファルーは驚き、エヴリーヌは信じられない表情をして叫んだ。

「………オオオォゥアアア……………」

エヴリーヌに見つめられた敵は叫び声をあげていた。

「エヴリーヌ?こやつを知っているのか?」

「………ザハーニウ。………エヴリーヌ達”深凌の楔魔”第一位にして”深凌の楔魔”の盟主だよ。」

「!!なっ………こやつが………!」

エヴリーヌの答えを聞いたリフィアは目を見開いて敵――――ザハーニウを見つめた。

「”第一位”って………それってめちゃくちゃ強いじゃない!エヴリーヌやカファルーより上って………どれだけの強さなのよっ!?」

「!話は後です!来ます!」

さらにエステルも驚きの声を上げ、エクリアは敵の行動を見て警告した!

「クッ………力を貸して、テトリ!!カファルー!!」

「ディアーネ!お前もだ!!」

そしてエステルとリフィアはそれぞれ召喚した!

「ぴ、ぴえええ~………!だ、大丈夫、大丈夫………!あの時とは状況が違うんですから………!」

召喚されたテトリは身体を震わせながら自分を叱咤し

「グオオオオオオオオオオオ―――――ッ!!」

「ハハハハハハッ!まさか貴様と矛を交える事になるとは思わなかったぞ、ザハーニウよっ!!」

カファルーは辺りを響き渡らす雄たけびをあげ、ディアーネは大声で笑った後、凶悪な笑みを浮かべてザハーニウを見つめた。

「………オオオォゥアアア……………」

「お祖父ちゃん!?ねえ!一体、どうしたの………!」

一方エヴリーヌは叫び声をあげているザハーニウを見つめて叫んだ。

「ぴ、ぴえええ~………!や、やっぱりあの時のままです………」

「!?お祖父ちゃんを知っているの!?」

悲鳴を上げて呟いたテトリの言葉を聞いたエヴリーヌはテトリに振り向いて尋ねた。



「は、はい………ブレアードっていうご主人様を狙う人に乗っ取られた状態でご主人様の前に現れたんです………」

「なっ………ザハーニウが!?」

「グオッ!?」

テトリの言葉を聞いたディアーネとカファルーは驚いた!

「………そう………ブレア―――――ド―――ッ………!絶対、絶対、許さないっ………!!」

一方エヴリーヌは静かに呟いた後、すざましい殺気を纏って空高くに向かって叫んだ!

「………お祖父ちゃん………今、楽にしてあげるね………!」

叫び終わったエヴリーヌはザハーニウを見つめて涙を流しながら弓を異空間から取り出して構えた!



そしてリース達は”深凌の楔魔”第一位にして自分を召喚した主―――ブレアードに乗っ取られた哀れなる闇の王―――”嘆きのザハーニウ”との戦闘を開始した………!









 
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