英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)
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第40話
~第六星層・冥き途~
「へ…………?」
「ここは一体………?第二や第四星層のようなどこかを模造した場所に見えますが………」
第六星層に到着したエステルとリースは首を傾げ
「!ここは………!」
「…………許さない。よりにもよって”冥き途”の偽物を作るなんて………!」
一方星層の特徴を見て何かに気付いたエクリアは驚き、リタは怒りの表情で呟いた。
「ここが………なるほど。『魂の道』という言葉に一致していますね。………という事は出てくる魔物達も恐らく…………」
リタの言葉を聞いて驚いていたリースは静かに答え、警戒した表情をしたその時妖しげな光陣が現れ、そこにリタ達の世界の亡霊―――”魂の狩人”が現れた!
「早速か………!」
「!いえ、他にもいます!」
敵を見たアドルは警戒し、ある事に気付いたリースが叫んだその時リース達を囲むようにリタ達の世界の亡霊―――”死魂霊”が現れた!
「………囲まれましたね。」
「―――迷いし哀れなる魂達よ………今、安らかに眠らせてあげます………」
敵達に囲まれた事に気付いたイリーナは真剣な表情で呟き、リースは祈った後仲間達と共に戦闘を開始した!
「はっ!えっ………!?」
「攻撃が………効いていない………!?」
敵達にそれぞれの武器で攻撃したが武器がすり抜けた事にエステルとリースは驚いた。
「みなさん!その子達は私と同じく”霊体”!魔法属性のない武器では攻撃は通りません!」
「な~るほど。じゃ、こっちの番ね!」
「………どうやらアーツや魔術で対抗した方がよさそうですね………」
リタの忠告を聞いたエステルは頷いた後棒を収めた後神剣―――リブラクルースを鞘から抜いて構え、リースは魔術の詠唱を開始した。
「ソニックスライド!!………やっぱりこの剣なら効果はあるな………」
一方アドルは特殊な鉱石で作られ”破邪”の効果を持つ自分の剣―――クレリアソードでクラフトを放って敵の一匹を一閃した後、納得した表情で呟いた。
「……………」
そして敵達はリース達に暗黒魔術を次々と放った!
「大海に呑まれなさい!デネカの大海!!」
「はぁっ!レイ=ルーン!!」
しかしリタとエクリアが魔術を放って相殺し
「光焔!!」
「光球!!」
リースとイリーナが敵達の弱点である神聖魔術を放って大ダメージを与え
「いくわよ~!―――疾風!!」
「ハァァァァァァァ………終わりだっ!!」
エステルはアリオスに教えてもらった剣技―――疾風を、アドルはクラフト―――ブレードラッシュを放って止めを刺した!
「は~………何とか終わったわね………それにしてもこの”星層”はさっきの奴等ばかりの事を考えるとかなり嫌ね………お化けとか正直、苦手なのに………」
(………こやつ、何を言っておる?)
(さっきまで平気で戦っていたでしょうが………)
戦闘終了後安堵の溜息を吐いて呟いたエステルの言葉を聞いたサエラブとパズモは呆れていた。そしてリタがリース達の前に飛んで行き
「………ここは私とナベリウスが良く知る場所。奥までの道もわかりますので、私が先頭に立ってみなさんを案内します。」
「お願いします。………しかし、先ほど現れた敵の特性を考えると連れて行くメンバーが限られてきますね………」
「しっかり準備をしてから進みましょう。」
リタの申し出にリースは頷いた後考え込み、イリーナは提案した。その後リース達はリタを先頭に時折現れる亡霊や不死者達を倒しながら進むと2つの封印石を見つけて回収した。
「まあ、綺麗な石……………一体何なのでしょう?」
「封印石。それに私や貴女が封じられていたわ。」
「まあ………これが?………という事はどなたかが解放されるのですね。」
初めて見る封印石の説明をエクリアから聞いたイリーナは驚いた後呟いた。
「黒騎士は『魂の駒』と言っていたけど君達に心当たりはあるかい?」
「少なくとも私やエクリアちゃん達にはありません。主は次の星層にいるみたいですし………」
「今までの事を考えると浮遊都市の戦いに参加したあたし達の世界のメンバーで残っているのはレーヴェぐらいだけど………イリーナさんのほうはどう?」
「………そうですね。リウイを除けばカーリアン様達ですけどあの方たちが『魂の駒』という言葉に一致しないと思いますし………」
「………どちらにせよ、一度拠点に戻る必要がありそうですね。」
アドルに尋ねられ考え込んだリタ、エステル、イリーナを見たリースは提案し、そしてエステル達と共に庭園に戻って封印石を解放した。
~隠者の庭園~
「え、この方達は………!」
「………確かにこの方達なら『魂の駒』という言葉に一致しますね…………」
封印石が解放され光の中から現れようとした人物達を見たティナは驚き、イリーナは微笑みながら呟き
「なっ!?この方達は!し、しかしエステルさんがこうしていらっしゃるのに………!」
「ああ………一体どうなっているのじゃ?」
プリネは驚いた後戸惑った様子で呟き、リフィアは首を傾げ
「ほえ?」
「エステルに関係して………いる?」
プリネの言葉を聞いたミントとヨシュアは不思議そうな表情でエステルを見つめ
「えへへ………もう会えないと思ったのにこんな形で会えるなんてね。」
見つめられたエステルは微笑みながら光を見つめていた。そして光からはエステルと同じ髪型をした美しい黒髪と澄んだ翡翠の瞳を持つ女性と輝く金髪と紫紺の瞳を持つ女性が立った状態で現れた!
「………?なっ!?ラピスお姉様!」
「………わかっているわ、リン。既に魂だけの存在になり、エステルと同化したのにそれぞれ自分の身体があるなんて一体何が………え………」
金髪の女性―――リンは驚いた後黒髪の女性――ラピスに話しかけ、話しかけられたラピスは静かに答えた後、目の前にいるリース達に気付いて呆けた。
「えへへ………また会えたね、ラピス、リン!」
「フフ………再び貴女達に会えるとは思いませんでした。」
「エステル、イリーナ様………!」
「私達も貴女に会えて嬉しいわ、エステル。そしてイリーナ様。再び陛下と結ばれ、おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。」
「おめでとうございます!」
エステルとイリーナに微笑まれたリンは驚いたが、ラピスと共にイリーナを祝福した。
「ありがとうございます、ラピス姫、リン姫。フフ………ティナさんに続いて貴女達に会う事やこうして祝福して貰うなんて思いもしなかったわ。」
「え………?………!貴女は………!」
「ティナ!なぜお前が………!」
イリーナの言葉に首を傾げたラピスはリンと共にティナを見て驚いた。
「お久しぶりです、ラピス様、リン様。私を見て驚くのもわかりますが、もっと驚く方がいらっしゃいますよ?」
「え?………なっ!あ、貴女は………!」
「姫、”姫将軍”!?クッ………下がれ、エステル!」
「イリーナ様、ティナ。どうか私達の後ろに。」
ティナの言葉に首を傾げたラピスはリンと共にエクリアを見て驚いた後、それぞれエクリアに武器を構えてエステルやイリーナ達を庇った!
「………あんたの過去を聞いて予想はしていたけど、かなり嫌われているみたいね、エクリア………」
「う~………エクリア母様、とっても優しいのに酷いです~!」
「………いいのよ。むしろラピス様達の態度が当然なのだから………」
ラピス達の様子を見たマリーニャは真剣な表情で、サリアは悲しそうな表情でエクリアを見つめ、見つめられたエクリアは静かに答えた。
「あ、あはは………まあ、あんな紛らわしい格好をしているんだから2人の気持ちもわからなくはないわ。あのね、2人とも………」
ラピス達の行動にエステルは苦笑した後、リース達と共に状況を説明し、自己紹介をし合った。
「「………………」」
「え、えっと………やっぱり信じられないかな?」
話を聞き終えて考え込んでいるラピスとリンにエステルは遠慮気味に話しかけた。
「―――いや、逆に納得した。」
「人の思いに反応する世界………きっとエステルは私達と”また会いたい”と強く願っていたから、こうして私達が現れる事ができた………一応の筋は通っているわ。」
「えへへ………」
そしてリンとラピスの答えを聞いて恥ずかしそうに笑った。
「フフ………私がアドルさんに呼ばれたように、貴女達はエステルさんに呼ばれたんですね。」
「ハハ………」
一方フィーナは微笑みながらラピス達を見つめ、フィーナの言葉を聞いたアドルは苦笑し
「もし、私達が強く願ったらクレハ様も現れるのかな………?」
「ノ、ノイ。この世界だと冗談じゃすまなくなるから、やめた方がいいって!さすがにクレハまで巻き込むわけにはいかないし。」
ノイが呟いた言葉を聞いたナユタは焦りながら忠告した。
「こ、この方達がエステルさんの前世にしてリウイ陛下の側室の方達………」
「うむ!バルジア領主、リン・ファラ・バルジアーナ。そしてセルノ領主の妹、ラピス・サウリン。………ティナ様に続いてまさか2人にも会う事ができたとはな!」
そしてラピス達の事を知ったクローゼは驚き、リファアは興味深々な様子で2人を見つめた。
「フフ、それは私達もですよ。まさか陛下とカーリアン殿、そしてシルフィア殿の血を引く方とこうしてお会いできるなんて………」
「それとペテレーネの………もだな。ようやくあの娘も自分が最も求めていたもの―――プリネ、お前自身を産めたようだな。」
「はい、リン様。………父や母達からお二方の話は聞いていましたけど、想像以上の方達ですね。」
リフィアの言葉にラピスが答え、リンの言葉を聞いたプリネは微笑んだ。
「フフ、そんな風に見てくれてありがとう。………そして貴女も久しぶりね、エヴリーヌ。」
「ん。今回の件を機会にラピスが知っているグラザお兄ちゃんの事、全部教えてね。エヴリーヌも知っている事全部話すから。」
「ええ、喜んで。」
エヴリーヌの言葉にラピスは微笑んだ。
「フッ。これほどの美しい女性達を娶るとはさすがはかの”覇王”!愛と美の追求者たるこのボクも見習って、”覇王”のようなハーレムを作らなければならないね♪」
「………このお調子者が………!その前にもっと他に手本とすべきことがあるだろうが………!」
オリビエは酔いしれった様子で呟き、その呟きを聞いたミュラーは顔に青筋を立てて言った。
「しっかしこの方達がエステルの前世ねぇ………リン姫はまだわかるけど、ラピス姫がエステルの前世なんて信じられないわ………」
「ちょっとシェラ姉、どういう意味?」
シェラザードの呟いた言葉を聞いたエステルはジト目でシェラザードを睨み
「そりゃそうだよ。こんないかにも”お姫様”って感じのお姫様の生まれ変わりがこのノーテンキ娘だなんて、誰も信じられないよ。それならまだリベールのお姫様の方が納得できるし。」
「え、えっと…………」
「まあ、そうだな。」
ジョゼットの言葉を聞いたクローゼは苦笑しながらエステルを見つめ、アガットは頷いた。
「あ、あんですって~!?」
「………それは遠まわしに私も侮辱しているという事でいいのか………?」
「リ、リン様。」
「………落ち着きなさい、リン。それとエステルも。」
一方エステルはリンと共にジョゼット達を睨み、その様子を見たティナとラピスは2人を宥めた。
「ミントはそうは思わないけどな?だって、ママ、凄く優しいし。」
「そーだよね?」
「フフ………」
ミントとティータは首を傾げ、その様子をツーヤは微笑んで見つめていた。
「まったく、後で覚えていなさい……それより、ラピス、リン。………力を貸してくれるかな?」
「ええ、喜んで。私は貴女でもあるんだから。」
「これを機会に我が奥義、”聖炎剣”の全てを伝授してやろう!」
そして気を取り直したエステルに尋ねられたラピスとリンはそれぞれ力強く頷いた。その後リース達はメンバーを編成し、リース、エステル、アドル、ラピス、リン、ティナ、リタのメンバーで探索を再開し、しばらく進むとリース達の目の前に妖しげな光陣が2つ現れた!
~冥き途~
「……来ましたね。」
「みんな、気を引き締めて。」
妖しげな光陣を見たリタは静かに呟き、ラピスは警戒した様子で仲間達と共に武器を構えて警告した。そして妖しげな光陣から見覚えのある双鎌を構え、虚ろな目をした甲冑姿の女性とエメラルドグリーンの髪を持った白銀の鎧を装備し、聖気を纏った大剣を構えた女性が虚ろな目をした状態で現れた!
「サフィナさ………いや、”人間”のようだし違うわ!多分、あの人は………………って、もう一人はそ、そんな………!嘘でしょう!?」
敵を見たエステルは驚いたがある事に気付いた後もう一人のある人物を見て信じられない表情をした。
「ティファーナ様!それにシルフィア様まで………!」
「話にあった”グリモア”………か。しかし厄介な方達に化けましたね、ラピスお姉様。」
「ええ。………エステル。貴女なら知っているとは思うけど気を付けて。ティファーナはシルフィア殿やファーミシルス大将軍達に次ぐ強さだし、シルフィア殿の強さはファーミシルス大将軍とカーリアン殿と並ぶ………もしくは2人を超えているわ………!」
一方ティナはかつての仲間であり、ある理由により公式上隠されていたリウイの側室の一人、そして”ミレティアの英雄”と称えられたティファーナ・ルクセンベールと同じくリウイの側室でありかつては”メンフィルの守護神”と称えられ、リウイ達”魔族”の味方をした罪によって神格位を剥奪され、逝ったシルヴァンの亡き母であり、リフィアのもう一人の祖母にして”軍神”の聖騎士―――シルフィア・ルーハンスの登場に驚き、リンは真剣な表情でラピスに話しかけ、ラピスは頷いた後静かな口調で警告した。
「かの”戦妃”達以上とは………かなりの強敵のようですね。」
「………来るぞ!」
ラピスの説明を聞いたリースは気を引き締め、アドルは敵達の行動を見て、全員に警告した!
「ニル、手伝って!!」
そしてエステルはニルを召喚し、リース達と共に戦闘を開始した…………!
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