英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第175話
~ウルスラ病院~
「なっ、レグラムにある”槍の聖女”の石像とそっくりの人物だと!?……と言う事はお前さんがサラたちの話にあったメンフィルに寝返ったって言う結社の”蛇の使徒”か!」
「チッ、ここで現れるとはね……!」
「や、”槍の聖女”……!」
「えっと……私達に何かご用でしょうか?」
リアンヌの登場にトヴァルとサラ教官は武器を構え、アリサとエリスは不安そうな表情をした。
「まず最初に言っておきますが”試練”を乗り越えたばかりの貴方達に戦闘を仕掛けるような無粋な真似は致しません。―――今回は貴方達に伝言がある為参上しました。」
「伝言だと?」
「……一体誰からの伝言なんですか?」
リアンヌの話を聞いたユーシスは眉を顰め、リィンは真剣な表情で尋ねた。
「それを答える前に貴方達の仲間達がバリアハートとリベールで受けたそれぞれの”試練”の結果をお伝えします。」
リアンヌの言葉を聞いたリィン達は血相を変えてリアンヌを見つめ
「貴方達の仲間達はメンフィル、リベールの”試練”をそれぞれ見事乗り越える事ができました。」
「という事は……!」
「何とかメンフィルとクロスベルを交渉のテーブルに就かせる事ができたようね………」
「はい……!」
リアンヌの答えを聞いたリィンとサラ教官、エリスは明るい表情をした。
「リベールの”試練”を乗り越えた後、リベールよりロレントのメンフィル大使館にリベールに向かった者達の”試練”の結果が伝えられた際、メンフィル大使であられるリウイ陛下の代理を務めておられるイリーナ様がリベールにある依頼をしました。―――――公平を保つためにエレボニア帝国の存続についての会談の場をリベールに提供して欲しいと。」
「え……イ、イリーナ皇妃がですか?リウイ陛下の許可もなくそのような依頼をリベールに依頼をしても大丈夫なのでしょうか?」
リアンヌの話を聞いたリィンは戸惑いの表情で尋ねた。
「予めリウイ陛下からリベールの”試練”の結果がわかり次第リベールにそう依頼するように伝えられていたそうです。」
「……それでリベールはその依頼に対して、何て返事をしたんだ?」
「勿論応じたとの事です。なお、会談の場は王都グランセル郊外にある”エルベ離宮”を提供する予定だとの事です。」
「エルベ離宮……”不戦条約”の調印式の会場となった場所ね。」
「ええっ!?」
「ふ、”不戦条約”の調印式が行われ会場で今回の件についての会談をするのですか……!?」
「……確かにそこならば、今回の件の会談の場として相応しい場所だな。」
トヴァルの質問に答えたリアンヌの答えを聞いて呟いたサラ教官の話を聞いたアリサとエリスは驚き、ユーシスは真剣な表情で呟いた。
「会談には当事者であるメンフィル、クロスベル、エレボニアの三国の代表者達は当然ですが、会談の場を提供したリベールの代表者達、そしてアリシア女王陛下の提案によりその会談に”第三者の立場”として”レミフェリア公国”からの代表者も参加して頂く事になり、現在”レミフェリア公国”にその件を連絡し、返答を待っているとの事です。」
「なっ!?”レミフェリア公国”も参加するのですか!?」
「お、おいおい……既に滅亡したカルバードを除けば”通商会議”と似た状況じゃねえのか!?」
「……メンフィルとクロスベルによる二大国滅亡は西ゼムリア大陸にとって一大事でしょうから、エレボニアの件についてレミフェリアも参加すべきだと判断されたのかもしれないわね。」
リアンヌの話を聞いたリィンとトヴァルは驚き、サラ教官は真剣な表情で推測した。
「そこで話は最初に戻るのですが……――――リィン・シュバルツァー。リウイ陛下から貴方に伝言です。」
「え……リ、リウイ陛下が俺に伝言ですか……?」
「はい。『今回の会談についてアルフィン皇女は当然として当事者であるお前にも当然発言権がある為アルフィン皇女と共に参加してもらう。その際はエレボニアの代表者側として参加してもお前を含めたシュバルツァー家の者達のメンフィルに対する忠誠は疑わない故、自分や家族の事は心配せず我らメンフィルに遠慮する事なくエレボニアの味方をしても構わん。クロイツェン州の統括領主になる者として”社会勉強”にもなるだろう。今回の会談でメンフィルとお前自身の”糧”とする為にも色々学ぶがいい。』――――以上です。」
「しゃ、”社会勉強”って……!」
「………………」
「兄様…………」
リアンヌの言葉を聞いたアリサは厳しい表情をし、ユーシスは重々しい様子を纏って黙り込み、エリスは心配そうな表情で見つめ
「……そんな事をわざわざ伝えるなんて随分と舐められたものね。」
「それにリィンを未来のクロイツェン州の統括領主として見ているって事は情状酌量が認められてもクロイツェン州はエレボニアに返還されない事を言っているようなものだな……」
「…………伝言は以上でしょうか?」
サラ教官は厳しい環境でリアンヌを睨み、トヴァルは疲れた表情で呟き、リィンは静かな表情で問いかけた。
「ええ、リウイ陛下の伝言は以上です。それとは別になりますがメンフィルとクロスベルはエレボニアの代表者はアルフィン皇女とオリヴァルト皇子以外は認めないとの事です。当然その認めない人物の中にはユーゲント三世も入っています。」
「ええっ!?ど、どうしてそのお二方しか駄目なんですか!?」
「国の存亡がかかっているのだから、陛下が代表者の中に入るのは当然だと思うのだが?」
リアンヌの話を聞いたアリサは驚き、ユーシスは厳しい表情で問いかけた。
「内戦終結に向けて積極的に動いていたお二方と違い、自ら脱出するような気概すらも見せず、ただ状況が変わるのをひたすら待ち続けていたユーゲント三世を含めた貴族連合に幽閉されていた”アルノール家”の者達にエレボニアの存亡がかかった会談に参加する”資格”はないとの事です。」
「なっ!?」
「そ、そんな……」
「確かにエレボニアは敗戦国だけど皇帝に対して普通、そこまで失礼な扱いをしますか……!?」
「…………ッ……!」
リアンヌの答えを聞いたリィンは厳しい表情をし、エリスは悲痛そうな表情をし、アリサは厳しい表情で反論し、ユーシスは怒りの表情で唇を噛みしめ
「―――だが逆に考えればメンフィルとクロスベルはその二人の意見には耳を貸すって事にもなるな……」
「それに二人の参加を認めたのは”戦争回避条約”と”救済条約”に直接サインした本人であるからかもしれないわね。」
トヴァルとサラ教官はそれぞれ落ち着いた様子で推測していた。
「更にお二方の補佐役の人物の中にレクター・アランドールの参加は禁ずるとの事です。」
「レクター少尉もですか!?」
「……一体どんな理由でレクター少尉の参加を禁ずるのよ。」
予想外の人物の参加を禁じられた事にリィンは驚き、サラ教官は真剣な表情で尋ねた。
「レクター・アランドールはかつてクロスベルに凶悪犯罪組織――――”赤い星座”を呼び寄せ、滞在させた張本人。クロスベルに多くの被害を齎した凶悪犯罪組織をクロスベルに呼び込み、滞在させた”重罪”は先程説明した件を守る代わりに帳消しにするとの事です。」
「……そう言えば”クリムゾン商会”――――”赤い星座”と契約してクロスベルに滞在させた張本人は情報局のあの少尉だったな……」
「まさかとは思うけど”赤い星座”を雇う事を決めた”鉄血宰相”も許せないから、”鉄血宰相”子飼いの他の”鉄血の子供達”が二人の補佐役を務める事も禁じているのかしら?」
リアンヌの答えを聞いたトヴァルは複雑そうな表情をし、サラ教官は質問を続けた。
「ミリアム・オライオンに関しましてはレクター・アランドールと同じ情報局に所属しているという事でその会談に参加する者として相応しくないとの事で禁じていますが、クレア・リーヴェルトに関しては認めるとの事です。」
「え……何故クレア大尉は構わないのでしょうか?」
「普通に考えたらミリアムよりあの女の方が厄介だと思うのだけど。」
意外な人物が会談の参加を認められている事にエリスは戸惑い、サラ教官は不思議そうな表情で問いかけた。
「彼女に関しましてはユミル襲撃の事件後、自ら率先してユミル防衛を行っていた事とリィン・シュバルツァーの婚約者の一人なのである程度の信頼がおけるので構わないとの事です。」
「ユミル防衛はともかくリィンの婚約者だからっていう理由だけで……」
「まさかここでもリィンの女運が関係してくるとはねぇ?」
「恐るべきは兄様の”そういう所”ですね。」
「う”…………」
リアンヌの答えを聞いたアリサが脱力している中、口元をニヤニヤさせているサラ教官とジト目のエリスに見つめられたリィンは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「会談の詳しい日程等については決まり次第トールズ士官学院に連絡が行く手筈になっています。何か質問はありますか?」
「あの……メンフィルが拘束したクロウとクロチルダさんは無事なんですか?」
「あの二人は現在牢屋に拘禁されていますが危害は加えられていません。」
「そうですか……」
「何とか一安心だな……」
リアンヌの言葉を聞いたリィンとトヴァルは安堵の表情をしたが
「―――ですがあの二人は状況が落ち着けばカイエン公と共に”処刑”される予定です。このままでは”処刑”される事になるでしょうね。」
「!!」
「やっぱりクロウにも処刑の判決が出ていたのね……まさかとは思うけど”S(スカーレット)”にも処刑の判決が出ているのかしら?」
リアンヌの次の答えを聞くとリィンは血相を変え、サラ教官は重々しい様子を纏って呟いた後厳しい表情で尋ねた。
「あ……」
「奴もクロウ同様”列車砲”でメンフィル帝国のVIP達の命を狙ったという罪があったな。」
「そ、そんな……兄様が決死の想いで救ったのに……」
「―――問題ない。クロウ達の”減刑”を申し出る時に彼女の減刑も申し出ればいいだけだ。」
サラ教官の問いかけを聞いたアリサは不安そうな表情をし、重々しい様子を纏って呟いたユーシスの話を聞いたエリスは悲痛そうな表情をしていたが、リィンは静かな表情で答えた。
「彼女に関しましては”処刑”やその身に直接危害を加える判決が出ない事が決定していますので、彼女の身を心配する必要はありませんよ。」
「何?」
「クロウ達を助けるつもりはないのに、どうしてあの女は助けるのよ。」
リアンヌの答えを聞いたトヴァルは眉を顰め、サラ教官は戸惑いの表情で問いかけた。
「彼女はメンフィルの客将の一人――――ベルフェゴールの”使徒”になったとの事です。よって、メンフィルはテロリスト一人の命だけの為に客将でもある”七大罪”の一柱の機嫌を損ねたくないと判断したのか、彼女自身に危害は加えない判決を降す事にしたそうです。」
「ええっ!?”S”がベルフェゴールの!?リィン、もしかしてその事を知ってたの!?」
「いや、初耳だ!(ベルフェゴール、今の話は本当か!?)」
リアンヌの話を聞いて驚いたアリサに尋ねられたリィンはベルフェゴールに尋ねた。
(ええ。あの女は本気で”生きたい”って思っていたようだから、”使徒”にしてあげたわ。メンフィルの客将の私の”使徒”なら少なくても処刑は免れる事ができると思っていたけど、目論見通りに行って幸いね。)
(そ、それじゃあクロウとクロチルダさんも同じ方法で……!)
(それは無理よ。”使徒”の契約は本人が心の奥底から主である私達の”使徒”になる事を受け入れない限り無理だし、バンダナ男に関しては彼が”男”だから”使徒”にできる力を持っている私もそうだけどアイドスも最初から”使徒”にするつもりはないわよ。)
(な――――どうしてだ!?)
ベルフェゴールの非情な答えを聞いたリィンは信じられない様子で念話を送った。
(あのね、リィン……性別が異なる場合の”使徒契約”をする場合は”性魔術”でないとダメなの。)
(せ、”性魔術”って事は……)
しかしアイドスの答えを聞いたリィンは表情を引き攣らせ
(そ。ご主人様はあのバンダナ男の命を救う為だけに私達の意志を無視して私達にあの男に抱かれろって言うつもり?先に言っておくけど私とアイドスはあのバンダナ男に抱かれるなんて絶対嫌よ。)
(う”…………)
ベルフェゴールの問いかけを聞くと唸り声を上げて黙り込んだ。
「兄様?ベルフェゴール様は何と仰っていたのですか?」
「あ、ああ。確かに”S”を”使徒”にしたって言っていた。……ただ、クロウ達をその方法で助けるのは無理だって言われた。」
「ええっ!?ど、どうしてよ!?」
エリスの質問に疲れた表情で答えたリィンの答えを聞いたアリサは驚きの表情で尋ねた。
「何でも”使徒”にする契約の際、”使徒”になる本人が心の奥底からベルフェゴール達の”使徒”になる事を受け入れない限り無理だそうだ。」
「という事は”S”はベルフェゴールの”使徒”になる事を心の奥底から受け入れたって事になるよな……」
「エオリアといい、”使徒”になった連中の考えは全然理解できないわ……」
「フン、だが”S”については心配無用とわかっただけ僥倖だな。――――それよりも”槍の聖女”。貴様自身に聞きたい事が一つある。」
リィンの説明を聞いたトヴァルは目を丸くし、サラ教官は疲れた表情をし、ユーシスは鼻を鳴らした後真剣な表情でリアンヌを見つめた。
「何でしょうか。」
「貴様は現メンフィル皇帝の母君の生まれ変わりとの事だが、”槍の聖女”として仕えていたかのドライケルス帝の祖国の存亡の危機やドライケルス帝の子孫であるユーゲント陛下達の窮地について何も思わないのか。」
「ちょっと、ユーシス。そんな言い方をしなくても……」
目を細めてリアンヌを睨むユーシスの問いかけにアリサは焦った表情で指摘し
「……そう言えば最後のゼムリアストーンの結晶を手に入れる為に向かった”精霊窟”で”蒼の深淵”に見せられた”記憶”とやらではあんたは自身が死ぬまでドライケルス帝に仕えるみたいな事を言っていたわね。」
「あ……」
サラ教官の言葉を聞いたエリスは最後の精霊窟での出来事を思い出した。
「――――私の事は今朝初めてお会いした時にも伝えたように、私にかつての過去を話してもよい人物であると認める”力”を示したのならば話しても構いません。最も、万全の状態ではない今の貴方達が私に挑んでも私の兜すら砕けないでしょうが。」
「貴様……俺達を侮辱しているのか?」
「私は事実を言ったまでです。――――それと言い忘れていましたが、ラマール州全土の制圧も本日の昼頃に完了しました。なお、カイエン公爵夫人に関しましてはユーディット嬢の交渉に応じたヴァイスハイト陛下からの要請により処刑はせず、またカイエン公爵家はクロスベル帝国に仕える為、貴族として存続できるとの事です。」
「ええっ!?」
「絶望的な状況であったカイエン公爵家を救ったユーディットという方は一体何者なのでしょう……?」
リアンヌの話を聞いたアリサは驚き、エリスは不思議そうな表情で尋ねた。
「ユーディット嬢というのはカイエン公のご息女にしてカイエン公爵家の長女に当たる方だ。確か”才媛”として社交界でも有名な存在で、カイエン公爵自身も自慢していた方だ。」
「ユーディット・カイエン嬢の情報なら俺が西部で活動していた時も耳にした事がある……何でも彼女は妹のキュア嬢と共に元々内戦を引き起こす事に反対して、内戦後は自らの私財をなげうってまで民達に支援物資を送っていたそうだぜ?」
「そんな方があのカイエン公のご息女なのですか……」
「とてもあのカイエン公の娘とは思えないわね。ちなみに一体どんな条件を”黄金の戦王”に提示して、”黄金の戦王”はそれに応じたのかしら?」
ユーシスとトヴァルの説明を聞いたリィンは驚き、サラ教官は眉を顰めた。
「私も詳しい経緯はまだ聞いていませんが、何でも彼女自身がヴァイスハイト陛下の側室として嫁ぐ為、メンフィル帝国はヴァイスハイト陛下の要請に応じ、カイエン公爵家が貴族として存続する事とカイエン公爵夫人の命を奪わない事にしたとの事です。」
「なっ!?」
「ええっ!?カイエン公爵家の長女が自分達の領土を制圧した国の皇に嫁ぐんですか!?」
「しょ、正直信じられません……」
リアンヌの説明を聞いたリィンとアリサはそれぞれ驚き、エリスは信じられない表情をし
「なるほどね……”黄金の戦王”は好色家として有名だから、それを彼女は利用してカイエン公爵家とカイエン公爵夫人を守ったみたいね……」
「そういや、ユーディット・カイエンは相当な美人だって話も聞いた事があるな……」
「ユーディット嬢は社交界に参加する度に多くの貴族達が求婚する程見目麗しい方だ。大方相当な好色家であるあの男の目に止まり、ユーディット嬢を側室にする事を引き換えにあの男がユーディット嬢の嘆願に応えたのであろうな。」
(ううっ、お父様なら本当にありえそうですから否定できません……)
サラ教官は呆れた表情で呟き、トヴァルは苦笑し、呆れた表情をしているユーシスの推測を聞いたメサイアは冷や汗をかいて疲れた表情をしていた。
「フフ……伝えるべき事は伝えましたので、私はこれで失礼します。」
「今のが”槍の聖女”にして結社の”蛇の使徒”の”第七柱”―――”鋼の聖女”か……”特務支援課”はよくあの化物に膝をつかせる事ができたものだな……」
「……ま、あの女の事は置いといて……”英雄王”がわざわざ使いを寄越してリィンにエレボニアに味方をしてもいいって事の伝言したって事は、メンフィルはリィンとエリスがエレボニアの為にメンフィルに逆らうと予想して、リィン達――――シュバルツァー家にその件についての罪を問わない事を伝える為でもあったようね……ま、その理由の一つにはエリゼも関係しているでしょうね。」
リアンヌが転移術で去った後に呟いたトヴァルの後に続くように呟いたサラ教官は真剣な表情で考え込みながらリィンとエリスに視線を向けた。
「はい……”戦争回避条約”の”救済条約”を提案したのも姉様だとの事ですし……」
「もしかしたらエリゼは戦争が避けられないとわかった後、エレボニアの被害をできるだけ抑える為に”救済条約”を提案したのかもしれないな……」
「”戦争回避条約”の猶予期間が伸びたのもエリゼのお蔭だって話だし。よく考えてみたら私達、エリゼに陰で支えられていたのね……」
「………………」
エリスやリィン、アリサがそれぞれ静かな表情で推測している中、ユーシスは目を伏せて黙り込んでいた。
「……あの娘には大きな借りがあるから、今回の件が落ち着いたらあたし達も改めてお礼を言うべきね。」
「ええ。それじゃあベルフェゴール達に頼んでガレリア要塞跡に転移魔術で移動しましょう――――」
その後リィン達はベルフェゴールの転移魔術によってガレリア要塞跡に転移し、既に迎えに来ていたカレイジャスに乗り込み、トリスタに帰還し、今後の事について話し合い……ロイドの言葉を信じ、メンフィルとクロスベルに意見できる人物に協力を仰ぐ為にトリスタにユーゲント三世達を残し、ユミルへと向かった。
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