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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第174話

~ウルスラ病院~



「あ……!」

「兄様……!」

「お見事です……!」

リィンの勝利にアリサやエリス、メサイアは明るい表情をし

「フッ、どうやら勝負あったようだな。」

「ギリギリだったが、何とか超える事ができたようだな……」

「フフッ、やっと特別模擬戦で受けた借りに対して一矢報いる事ができたわね。」

ユーシスやトヴァル、サラ教官は口元に笑みを浮かべてリィンを見つめていた。



「ハア……ハア……グッ……!?」

一方リィンは息を切らせながら地面に膝をつき

「フゥ……特別模擬戦の時にその”力”を使われていたら負けていたかもしれないな……」

同じように地面に膝をついているロイドは疲れた表情で呟いた。



「だ、大丈夫、ロイド!?」

「歴史に残ってもおかしくない凄まじい一騎打ちでしたね。」

「ああ。リーシャちゃんとの一騎打ちより凄かったぞ……」

エリィはロイドを心配し、ティオの意見にランディは静かな表情で頷いた。



「ああ……何とかね。いたた…………―――おめでとう。君達の”勝ち”だ。マルギレッタさんは病院内にいるから、詳しい場所については受付の人に聞けばわかると思う。」

「……わかりました、わざわざ教えて頂きありがとうございます。あの……こんな事を言うのも変だと思いますが、ロイドさん達が俺達”Ⅶ組”の最後の”試練”でよかったと思いました。」

「へ……」

「リ、リィン……?」

リィンの言葉にロイドは呆け、アリサは不思議そうな表情をした。



「俺達”Ⅶ組”とは目的が異なりますが、多くの人々と接し、”自分達の意志”でそれぞれが協力して様々な問題に立ち向かい続け、俺達と違い自分達の”目的”――――クロスベル解放やキーアさん奪還を果たした貴方達”特務支援課”は俺達にとって超えるべき”壁”でした。そして今貴方という”壁”を超える事ができて、普通なら不可能と思われる事をも可能にできる自信がつきました。」

「兄様…………」

「…………」

リィンの言葉にエリスは驚き、ユーシスは目を伏せて黙り込んでいた。



「フフッ、まさか私達がそんな風に見られていたなんてね。」

「まさか”壁”を超える側だった俺達自身が”壁自身”になる日が来るとはなぁ。」

「人生わからないものですね。」

一方エリィ達は苦笑しながらリィン達を見つめ

「ハハ……この間まで”壁”を超える側だったのに、いつの間にか”壁”自身になっていたとは光栄だよ。――――いつも”壁”を超えていた側としての助言だと思って聞いてくれ。”絶対に諦めない事”。俺達は兄貴譲りの諦めの悪さで今まで”壁”を超えて来て大切なものを守る事ができた。俺達のような真似をしろとは言わないけど、参考にはなると思うよ。」

「”絶対に諦めない事”…………」

「お前さんの兄貴って言えば………」

「…………事件の真相も未だ不明の殉職した捜査一課のエース、ガイ・バニングスね。」

ロイドの助言を聞いたリィンが呆けている中、トヴァルとサラ教官は複雑そうな表情でロイドを見つめていた。



「ええ、兄貴の事件もようやく解決する事ができました。ですから俺の事は気にしないで下さい。―――局長達に加えてリウイ陛下達に挑むのは”あらゆる意味”で厳しいと思うけど、君達なら何とか”落としどころ”を見つけて、局長達を納得させてエレボニアを国として生き延びさせる事ができると信じているよ。」

「ありがとうございます……!それと……お祝いの言葉が遅くなりましたが言わせて下さい。――――クロスベル解放、そしてキーアさんの奪還、おめでとうございます。」

「ハハ……クロスベルを解放できたのもキーアを取り戻す事ができたのも俺達だけの力じゃなく、みんなのおかげだよ。でも、ありがとう。もう一つの”俺達”と言ってもいい君達に祝われると他の人達に祝われるより嬉しい気がするよ。」

そして互いに笑顔で見つめるリィンとロイドを見たその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。



「ハア……プリネ達の話通りの人ね……」

「兄様みたいな方が他にもいらっしゃるなんて……」

「フッ、まさに似た者同士だな。」

「ア、アハハ……」

アリサとエリスは疲れた表情で呟き、静かな笑みを浮かべるユーシスの言葉を聞いたメサイアは苦笑し

「向こうも大変でしょうね……」

「………ですね。それによく考えてみたらリア充同士の決戦にもなりましたね。」

「ったく、これだからリア充共は……!お前らのその必殺無差別笑顔攻撃にどんだけの被害者が出たかちゃんと自覚しているのか!?」

同情の目でアリサ達を見つめるエリィの言葉に頷いたティオはジト目でロイドとリィンを見つめ、ランディは悔しそうな表情で二人を睨んだ。



「ええっ!?”お前ら”って事は俺も入っているんですか!?」

「ちょっ、ランディ!被害者ってどういう意味だよ!?」

「おいおい……自覚していない所も一緒かよ。」

「アハハハハハッ!”天然”な所もまさに一緒ね♪」

慌てているリィンとロイドを見たトヴァルは呆れ、サラ教官は腹を抱えて笑った。



「ハア……何でこんな事になったんだ?――――そうだ、君は確か温泉郷ユミルが故郷だったね。」

「え?はい。それがどうかしたのですか?」

「――――マルギレッタさんに会った後にユミルに行けば、”ある人物”が今いると思う。その人物を味方にする事ができれば、リウイ陛下や局長もその人物の意見には耳を貸すと思うからメンフィルとクロスベルを説得できる可能性が高くなると思うよ。」

「へ……」

「ユ、ユミルにですか!?一体どなたなのでしょうか??」

ロイドの話を聞いたリィンが呆けている中、エリスは信じられない表情で尋ねた。



「あー……確かに”あの人物”は”色々な意味”で反則的な存在だからありえるだろうな……」

「……ですがあの人の事ですから、めんどくさがって引き受けないんじゃないんですか?」

「ティ、ティオちゃん!え、えっと……気難しい方?だけど、説得して味方にする事ができれば、ロイドの言う通りメンフィルとクロスベルに情状酌量を認めてもらえる可能性が高くなると思うから頑張って。」

ロイドが言っている人物に心当たりがあるランディは苦笑し、ジト目で言ったティオの推測に慌てたエリィは冷や汗をかいて苦笑して必死に言葉を選びながら答えた。



「メンフィルとクロスベルに意見できる人物等普通に考えてありえないと思うが………」

「一体どのような方なのでしょう?」

(……ねえ、トヴァル。まさかとは思うけどあのハチャメチャな自称”ただの新妻”の事を言っているんじゃないかしら?)

(あー……”あんなの”でも一応ゼムリア大陸の人々が崇める存在だからな……確かに”アレ”が口を出せばメンフィルとクロスベルも耳を貸すかもしれねぇな。)

ユーシスとメサイアが戸惑っている中、心当たりがあるサラ教官とトヴァルは疲れた表情をした。



「その……ユミルにいるというその方の事を詳しく教えてくれ――――」

その時考え込んでいたリィンがロイド達を見つめて尋ねたその時

「ロイド、無事!?」

ナース服を身に纏ったセシルが慌てた様子で病院から出て来てロイド達に近づいてきた。



「セ、セシル姉!?何で出て来たんだ!?」

「勝負は終わったようだし、あなたの事が心配になって出て来たのよ。もう……一騎打ちだなんて、ムチャな事をして……しかも切り傷まで作って……すぐに手当てするから行きましょう?」

驚いているロイドにセシルは心配そうな表情で答えた後ロイドの腕を両手で掴んで自分の豊満な胸へと引き寄せた。

「いや、一緒に行くもなにもセシル姉が既に俺の腕を掴んでいるんだけど……というか一人で歩けるから掴む必要はないって!リウイ陛下に関係を疑われたらセシル姉も困るだろう!?」

腕から伝わるセシルの豊満な胸の感触に慌てたロイドは顔を真っ赤にして反論したが

「フフッ、リウイさんはロイドと私が昔から本当の姉弟のように親しい事を知っているからこのくらいの事で妬かないわよ。それじゃあ私達は失礼するから、貴方達も頑張ってね。」

「ちょっ、セシル姉……!?」

セシルはロイドの反論を笑顔で流し、リィン達に微笑んだ後ロイドを病院へと連れて行き、その様子をリィン達とエリィ達は呆気に取られた様子で見守っていた。



「フウ……相変わらずね、セシルさん。」

「ティナさんを知っている身とすれば、とてもティナさんが転生した人物に見えないですね。というか”シメ”は自分のリア充っぷりを見せつけるとはさすがはロイドさんですね。」

「畜生、この弟王が!頼むからその位置を一度でいいから変わって下さい!」

我に返ったエリィは疲れた表情で溜息を吐き、疲れた表情で呟いたティオはジト目でロイドとセシルを見つめ、ランディはロイドを悔しそうな表情で睨んでいた。



「え、えっと……今の方は一体?リウイ陛下と親しいような口ぶりでしたが…………」

その時我に返ったメサイアは苦笑しながらエリィ達に尋ねた。

「さっきの人は幼い頃のロイドの世話をロイドの兄に当たるガイさんと一緒に世話をしていた方で、ロイドにとって姉同然の方なんです。」

「ちなみにあの人はガイさんの元婚約者で、今はリウイ陛下の側室の一人ですよ。」

「ええっ!?」

「ハアッ!?」

「”英雄王”の側室の一人だと!?」

「何故それ程のやんごとなき身分の方が病院に務めているのだ……?」

ティオの説明を聞いたアリサとサラ教官が驚いている中、トヴァルとユーシスは信じられない表情でロイドとセシルが入った病院を見つめていた。



「…………”セシル”…………あ。ま、まさか、今の方がリウイ陛下の第一側室のセシル・パリエ・ノイエス様ですか!?」

「兄様、セシル様の事をご存知なのですか?」

驚きの表情で声を上げたリィンの様子を見たエリスは不思議そうな表情で尋ねた。

「あ、ああ……――――セシル・パリエ・ノイエス。リウイ陛下が今年の2月くらいに側室として娶った方で、側室の中でも本来なら側室としての序列は最後であるはずなのに”第一位”の序列を与えられた事が有名な方で、その事からイリーナ皇妃に次ぐリウイ陛下の愛妻ではないかと噂をされている方だ。」

「ハアッ!?あ、あの”聖皇妃”に次ぐ”英雄王”の愛妻ですって!?」

「というかさっきお前さん達のリーダーの兄貴の婚約者でもあったって言ってたよな?一体どういう経緯があってあの”英雄王”とそんな仲になったんだ?」

リィンの説明を聞いたサラ教官は驚き、トヴァルは目を丸くしてエリィ達を見つめて尋ねた。



「―――その説明をし出すと時間がかかりますし、何よりもめんどくさいので詳しい事情は全部終わって状況が落ち着いてから本人に聞いて下さい。」

しかしジト目で説明を放棄したティオにリィン達は冷や汗をかいて脱力し

「もう、ティオちゃんったら……」

「ここで完全に説明を放棄するとか、さすがはティオすけだな。―――そんじゃあ、俺達もロイド達の後を追うか。」

エリィは呆れた表情で溜息を吐き、ランディは苦笑した後提案した。

「そうですね。」

「ええ。―――それじゃあ私達はこれで失礼するわ。そちらも頑張って。」

「気絶したアリオスのオッサンは俺が運んでおくぜ。」

そしてランディはトヴァルが背負っているアリオスを回収した後エリィ達と共に病院の中へと入って行った。



「行ってしまわれましたね……そう言えば兄様。先程のお話ではセシル様は”第一側室”との事ですが、リウイ陛下の側室の中で序列が一位の方はセシル様を除いていらっしゃらなかったのですか?」

「いや……以前はいたけど、その方は人間だったから寿命で随分前に崩御されている。……ちなみにその方はティア神官長の産みの母親に当たる方だ。」

「何だと!?」

「……ちょっと待って。さっきのナースの女性の名前に”癒しの聖女”の家名―――”パリエ”があったわよね?もしかしてそれと何か関係があるのかしら?」

エリスの疑問に答えたリィンの話を聞いたユーシスは驚き、サラ教官は真剣な表情で尋ねた。



「それはさすがにわかりません。―――ただセシル様はティア神官長にとって義母に当たる方で、ティア神官長もセシル様を自身の義母として認めている事は確かな事実です。」

「え……ティ、ティア神官長のですか?」

リィンの話を聞いたエリスは戸惑いの表情をした。

「色々と気になるが………今は関係のない事に時間を取っている暇はないぞ。」

「そうね。――――行くわよ。」

「はい。」

その後リィン達は病院の受付でマルギレッタがいる場所を聞き、屋上のベンチでリ・アネスと共に休憩しているマルギレッタを見つけて声をかけた。


「お母様!」

「この声は……!」

「メサイア。それにリィンさん達も……フフッ、どうやらヴァイス様の”試練”を無事に全て乗り越えたようですね。」

メサイアの声を聞いたリ・アネスが驚いている中、マルギレッタは自分達に近づいてきたリィン達に微笑んだ。



「……お久しぶりです、マルギレッタさ―――いえ、マルギレッタ様とお呼びするべきでしょうか。」

「まだ私を含めたヴァイス様の側室の方達は正式に側室として発表されていませんから、”さん”付けで構いませんし、いずれは”家族”の関係になりますからそんな固い呼び方をしなくても構いませんよ。」

「ちなみにクロスベル両皇帝の正室は誰になるんだ?」

リィンの言葉に苦笑しながら答えたマルギレッタの話を聞き、ある事が気になったユーシスは真剣な表情で尋ねた。



「ギュランドロス殿の正妃はルイーネ殿です。」

「ルイーネって言うとあの時お前さん達と現れた……」

「”微笑みの剣妃”ね。」

「まあ、そうなりますわよね。お父様の正室はどなたですか?やはりリセル様でしょうか?」

リ・アネスの話を聞いたトヴァルは目を丸くし、サラ教官は嫌そうな表情で呟き、メサイアは納得した様子で頷いた後マルギレッタを見つめて尋ねた。



「いいえ。リセル様とエルミナ様よ。」

「ええっ!?せ、正室が二人もいるんですか!?」

「フッ、その程度で驚く事か?リィンの場合は下手をすれば全員正妻にしなければならない状況だぞ?」

「う”っ……」

マルギレッタの話に驚いているアリサに静かな笑みを浮かべて指摘したユーシスの言葉を聞いたリィンは冷や汗をかいて唸り声をあげ

「ア、アハハ……でもリセル様はわかりますけど、エルミナ様はかなり意外ですわね……あの方は他の妾の方達と違って隷属の身であったにも関わらずお父様やメルキアに従う事を良しとせず強情を貫き続けた方で、完全にお父様に従属したのは自身の子供を孕まされた時でしたし……」

ユーシスの指摘に苦笑していたメサイアは意外そうな表情で呟いた。



「メサイア様の世界のエルミナ殿がどのような方だったのかはわかりませんが、エルミナ殿がヴァイス殿に対して強情だったのは私達の時も同じでしたね。エルミナ殿がヴァイス殿に心を開いた”方法”も普通なら考えられない方法だったとの事でしたし……」

「ア、アハハ……た、確かにそんな事もあったわね。―――さてと。数々の”試練”を乗り越えて私の元に来た皆様の目的はわかっています。――――私にクロスベル皇族の一員であるメサイアとリィンさんの婚約を正式に認めてもらう為ですよね?」

リ・アネスと共にかつての出来事を思い出して苦笑していたマルギレッタは気を取り直してリィン達を見つめた。

「―――はい。」

「お母様、私達の最初の”試練”の相手―――リーシャ様から”試練”を乗り越える事ができれば私達の望みに応じると話を聞いていますが……」

「ええ。クロスベル皇帝ヴァイスハイト・ツェリンダーの側室の一人―――マルギレッタ・シリオスの名において我が娘メサイア・シリオスとリィン・シュバルツァーの婚約を正式に認めます。なお、ヴァイスハイト陛下からも”試練”を乗り越える事ができた際は二人の婚約を正式に認めると伝えられています。」

「え……ヴァイスハイト陛下が本当にそのような事を?」

マルギレッタの言葉を聞いたリィンは目を丸くして尋ね

「はい。それとヴァイス様から伝言がありますわ。」

「伝言だと?」

リィンの質問に答えた後話を続けたマルギレッタの言葉にユーシスは眉を顰めた。



「『よくぞ俺の”試練”を乗り越えた。お前なら俺の娘が嫁ぐ相手として相応しい。メサイアやお前が娶る他の女性達との結婚式を楽しみにしている。』」

「お父様…………」

「た、”楽しみにしている”って事は式に参列する気満々って事じゃない………」

「クロスベルの皇帝陛下が私達の結婚式に参列なされるなんて……まだ先の話なのに何だか緊張してきました………」

「そりゃ自分の娘の結婚式なんだから出ない方がおかしいわよねぇ?」

「全くだな。それにユーゲント陛下の愛娘であるアルフィン殿下も共に結婚するのだから当然ユーゲント陛下達も参列なさるだろうな。」

「クク、よかったな、リィン。お前さん達の結婚式は各国のVIP達が参列する事は間違いなしだぜ。」

「……………………」

マルギレッタの言葉を聞いたメサイアが嬉しそうな表情をしている中、アリサとエリスは疲れた表情をし、からかいの表情をしているサラ教官達に見つめられたリィンは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせていた。



(結婚か……私もリィンとしたいと思っているけど、貴女達はどう思っているのかしら?)

(うふふ、私はご主人様の事が大好きだしここは流れに乗っておくべきだと思うし別にいいわよ♪)

(ふふふ、”精霊王女”が愛人や使い魔という立場はどうかと思いますし、仕方ありませんね。)

(私は………マスターがそれを望むのならば構いません……)

アイドスに尋ねられたベルフェゴールとリザイラはそれぞれ興味ありげな様子で答え、アルティナは頬を赤らめて呟いた。



「『―――だが、俺達がお前達の結婚を認めたからと言ってそう簡単にエレボニア帝国滅亡を防げると思ったら大間違いだ。俺やリウイ達相手を説得できるかどうかはお前達やオリヴァルト皇子達次第だ。』――――以上です。」

「!!それは……」

「……”試練”を乗り越えて浮かれた気持ちになっているあたし達に釘を刺しているのでしょうね。」

「フン、俺達だけじゃなく殿下達をも試しているとは何様のつもりだ。」

「ったく、つくづくとんでもねぇ存在だな、”六銃士”は……」

「姫様…………」

「リィン……」

「………………」

マルギレッタの言葉で雰囲気が変わったリィン達をメサイアは複雑そうな表情で見つめ

「……ヴァイス殿達は確かに手強い方達ですが、自身に落ち度があればそれを偽る事なく認める誇り高き方達です。ヴァイス殿達の”落ち度”を見つけてそれを盾に”情状酌量”を認めてもらうのも弁論で勝つ手段の一つです。貴方達の健闘、マルギレッタ様と共に心からお祈りしております。」

リ・アネスはリィン達に助言をし、静かな表情で会釈をした。その後二人と別れ、メサイアを身体に戻したリィンは仲間達と共に病院を出てバス停がある場所まで移動した。



「フゥ……今日は本当に疲れる一日だったわね……せっかくクロスベルまで来たんだからクロスベル市に戻って”ガランテ”あたりで一杯ひっかけて疲れを癒したい所だけどそうも言ってられないわね。」

「はい。ロイドさん達が言っていたユミルにいるというメンフィルとクロスベルに意見ができる人物……何としてもその方がユミルを去る前に会って協力を取り付けるべきです。」

疲れた表情で溜息を吐いたサラ教官の言葉に頷いたリィンは真剣な表情をし

「一体どんな人なのかわからないけど、居場所がわかっている内に何とか協力を取りつけないとね……!」

「ああ。その人物にメンフィルとクロスベルとの交渉の場に参加してもらう為にも急いでユミルに行くぞ。」

「それにしても一体何者なのでしょう……?」

「あー……そいつの事だが、俺とサラの予想では――――」

アリサとユーシスが決意の表情をし、エリスが戸惑っているのを見たトヴァルが苦笑しながら答えようとしたその時

「――――フフッ、”特務支援課”のリーダーとの一騎打ち……中々の名勝負でしたよ。」

何とリアンヌが転移術でリィン達の前に現れた! 
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