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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第169話

~ウルスラ間道~



「コォォォォ……ハアッ!!」

「雷よ、あたしに力を!!」

「機を逃すな……一斉にかかれっ!!」

戦闘開始時リィンとサラ教官は気功技で自身の身体能力を上昇させ、ユーシスはクラフト―――ノーブルオーダーで仲間達の闘志に加えて魔法攻撃能力も上昇させ

「炎よ、我が矢に宿れ!ブラストエッジッ!!」

「アークス、駆動……!」

「行きます……!」

「………………」

アリサは炎の魔力を纏わせた矢を数本放ってツァイトに命中させ、トヴァルとエリスがオーブメントを駆動させている中、メサイアは魔術の詠唱を開始した。



「オォォォォオ――――――ッ!!」

「キャッ!?」

「グッ!?何!?」

「オーブメントの駆動が止められるなんて……!」

しかしツァイトの咆哮によって怯んだメサイアは詠唱を妨害され、トヴァルとエリスのオーブメントの駆動も妨害された。



「フン!」

そしてツァイトは口を大きく開けてリィン達に襲い掛かり

「散開しろ!」

トヴァルはリィン達に警告し、リィン達は散開してツァイトの攻撃を回避した。

「ヤァァァァ……!」

「この……っ!」

サラ教官はクラフト―――鳴神で、アリサは次々と矢を放ってツァイトにダメージを与え

「二の型―――大雪斬!妖の型―――弧武身妖舞!!」

「ハッ、ハッ、ハッ……セイッ!行くぞ――――斬!!」

「虎口一閃!まだですっ!月影剣舞!!」

「トライスラッシュ!―――光よ!ラウンドエッジ!!」

リィンとユーシス、メサイアとエリスはそれぞれツァイトの足を武器で攻撃し

「アークス駆動――――エクスクルセイド!!」

トヴァルは短い駆動時間で高火力のアーツを放ってダメージを与えた。



「金耀の力よ、我が呼びかけに応えよ……!」

その時ツァイトはその場で周囲の霊力を集束してアーツを撃つ準備をしていた。

「!この詠唱はエイドスさんがしていたのと同じ……!みんな、何としても妨害するんだ!――――相手はアーツを撃つ気だ!四の型―――紅葉切りっ!!」

ツァイトの聞き覚えのある詠唱を聞いてツァイトがアーツを撃とうとしている事を悟ったリィンは仲間達に警告をした後敵の溜めやアーツの準備の妨害攻撃をするクラフトをツァイトに叩き込み

「チッ、さすがはオーブメント無しでアーツを使っていた女神の眷属だけあるな!そらっ!セイッ!」

「ハァァァァァ……!ソウルスライサー!!」

「参ります―――マーシーワルツ!!」

「セイッ!双葉崩し!!」

「させない!ファイアッ!!」

「間に合うかしら……!?」

リィンに続くようにトヴァル達はそれぞれ行動を妨害するクラフトを叩き込んでいる中、サラ教官は戦術オーブメントを駆動させた。



「行くぞ――――ラストディザスタ―ッ!!」

そして駆動を終えたツァイトがアーツを発動するとリィン達の足元から凄まじい光が現れ

「アークス駆動――――クレセントミラー!!」

サラ教官がアーツを発動すると同時に光の衝撃波がリィン達を襲った!しかしギリギリ魔法反射の結界を展開するサラ教官のアーツが間に合っていた為、リィン達を襲った衝撃波は反射して術者であるツァイトへと襲い掛かった!

「ぬぅ……!?」

7人分の反射攻撃を受けたツァイトは唸り声を上げて怯んだ。



「切り刻め―――紫電一閃!!」

「燃え盛れ……龍炎撃!!」

「聖なる光よ、我が剣に宿れ!―――昇閃!!」

ツァイトの様子を見たサラ教官とリィン、メサイアは次々クラフトを放ってツァイトにダメージを与え

「「「「アークス、駆動……」」」」

後方にいるトヴァル達はそれぞれ戦術オーブメントを一斉に駆動させ始めた!



「その程度では私は倒せんぞ!」

「グッ!?」

「キャッ!?」

ツァイトはその場で足を振るって足元を攻撃しているリィンとメサイアを吹っ飛ばし

「フン!!」

「ッ!?カハッ!?」

鋭い気迫と共に戦場を駆け抜けるクラフト―――疾風牙でサラ教官にダメージを与えて吹っ飛ばし、吹っ飛ばされたサラ教官は近くの木に叩きつけられて呻いた!



「えい!グランシュトローム!!」

「行け!ラグナヴォルテクス!!」

「これでも喰らいなさい!―――サウザントノヴァ!!」

その時オーブメントの駆動を終えたエリス、ユーシス、アリサがそれぞれの属性の最高位アーツを発動してツァイトにダメージを与え

「とっておきのこいつで沈め!――――ソル・イラプション!!」

本来なら長い駆動時間が必要なロストアーツの駆動時間を大幅に短くしたトヴァルは3人の後にロストアーツを発動し、ツァイトに大ダメージを与えた!しかし――――



「”ソル・イラプション”か。フフッ、懐かしき術だな。ならばこちらも見せてやろう。今は失われし術を。オォォォォ……!」

3種の最高位アーツとロストアーツをその身に受けたにも関わらず、未だ平気な様子を見せ、そして全身に膨大な霊力を溜め始めた!

「チッ、今のに耐えるとかどんだけタフなんだよ!?マイト・ハンマー!!」

ツァイトの様子を見たトヴァルは舌打ちをした後両手でスタンロッドを持ってツァイトに思いっきり叩きつけて衝撃波を発生させてダメージを与えると共に怯ませようとしたが、ツァイトは一切怯まず霊力を溜めていた。

「もう一回跳ね返してあげるわ!アークス駆動……!」

「………(何か嫌な予感がするな……)アリサ、エリス、戦技(クラフト)で回復技を頼む!」

サラ教官が再び魔法反射結界のアーツを発動する為に戦術オーブメントを駆動させたその時、直感で危機を感じ取っていたリィンはアリサとエリスに指示をした。



「わかったわ!みんな、頑張って!!」

「女神よ……癒しの雨を降らせたまえ……!!」

リィンの指示に応えるかのようにアリサとエリスはそれぞれのクラフトで仲間や自分達の傷を全快させ

「俺達は引き続き攻撃を仕掛けるぞ、ユーシス、メサイア!」

「言われるまでも無い!」

「はい!」

リィンはユーシスとメサイアと共にツァイトに攻撃を加え続けていた。



「クレセントミラー!!」

「七耀の怒り、思い知るがよい!―――――プレッシャーエクスプロージョン!!」

そしてサラ教官が魔法反射結界のアーツを発動して自分達に魔法反射結界を付与したその時、霊力を溜め終えたツァイトが古代魔法であるSクラフト―――プレッシャーエクスプロージョンを発動し、超越した爆発を戦場に起こした!超越した爆発は魔法反射結界をも破壊し、リィン達に襲い掛かり、大ダメージを与えた!

「女神よ、私達にお慈悲を……!――――ホーリースコール!!」

「みんな、今助けるわね!それっ!!」

「今助けてやるから少し待ってろ!アークス、駆動……!」

ツァイトのSクラフトを耐えきったエリスとアリサはそれぞれ痛みに表情を歪めながら回復の戦技(クラフト)で仲間達の傷を回復し、トヴァルは”EPチャージ”でほぼ0になりかけていた戦術オーブメントのEPを回復させた後治癒アーツの発動を開始した。

「私も手伝いますわ!」

「―――いや、メサイアは大魔術を頼む。このまま長引かせるのは不味い。一気に決める為にも頼む。」

「わかりましたわ。………………」

「みんな、メサイアの詠唱時間を稼ぐ為に何とか注意を引きつけてくれ!」

治癒魔術を使おうとしたメサイアを制止して指示をしたリィンは仲間達に号令をかけて仲間達と共にツァイトに様々な攻撃を加えて自分達に注意をひきつけていた。



「十戒の鼓動、起死の招来。善導の聖別がもたらせしは、魂滅による安息と知るがいい!」

リィン達が注意を引きつけている間に詠唱を終えたメサイアの足元から巨大な魔法陣が現れると共にツァイトの頭上に巨大な光の魔法陣が現れ――――

「ファントムデストラクション!!」

「グゥッ!?異世界の古代魔法か……!?」

魔法陣から巨大な光の道が現れ、ツァイトを襲った!そしてツァイトから距離を取ったリィン達が大魔術の発動が終わるのを待っていると、何と大魔術を受けてもなおツァイトは未だ立った状態で現れた!



「そ、そんなっ!?」

「今のを喰らってもまだ倒れないの!?」

「チッ、奴は不死身なのか!?」

「これが”神狼”の生命力………!」

「ったく、よくエステル達はこんなとんでもない化物を相手にできたものだぜ……!」

「さすがは女神の”眷属”って所ね……!」

ツァイトの様子を見たメサイアとアリサは信じられない表情をし、ユーシスは舌打ちをし、エリスは驚きの表情でツァイトを見つめ、トヴァルとサラ教官は厳しい表情でツァイトを見つめ

「クッ…………(後々の事を考えて温存したかったが……使うしかないのか?)」

リィンは自身に秘められている”力”を使うかどうかの判断に迷っていた。



「フム……――――”合格”だ。」

「え…………」

そしてツァイトが呟いた言葉を聞いたリィン達が呆けたその時ツァイトは出会った時と同じ狼の姿に戻った!



「元の狼の姿に……」

「……何のつもりだ。」

エリスが呆けている中、ユーシスは眉を顰めて尋ねた。

「お前達は私に”合格”と思わせる程の”力”を示した。よってこれ以上の戦いは無益な為、今の姿に戻ったまでの事。」

「え……それじゃあ勝たなくてもよかったのかしら?」

ツァイトの答えに目を丸くしたアリサは不思議そうな表情で尋ねた。



「他の者達は知らぬが、人の身で女神の”眷属”である私に挑むのは”無謀”というもの。ここまで食い下がった時点で十分だ。」

「”無謀”とは言ってくれるわね。」

「せっかく”試練”を超えた事にしてくれているんだから、わざわざ喧嘩を売るなよな……」

ツァイトの話を聞いて厳しい表情でツァイトを睨むサラ教官にトヴァルは疲れた表情で指摘した。するとその時ツァイトが何らかのアーツを発動し、アーツによってリィン達は全快した!

「え……」

「傷や体力だけでなく、魔力や闘気までも……!」

ツァイトの突然の行動にリィンが呆け、メサイアは驚きの表情をした。



「女神の”眷属”である私に認められる程食い下がった餞別だ。ロイド達の前に控えているのはロイド達のかつての”壁”。ロイド達に辿り着きたいのならばロイド達がかの者に挑んだ時同様全身全霊を持って挑む事だな。」

リィン達に助言をしたツァイトは森林へと跳躍し、去って行った。

「行ってしまわれましたね…………」

「しかも意味深な言葉まで残していきやがったな。」

「……”神狼”の言葉を信じるなら奴等――――”特務支援課”は最後に控えているようだな。」

「リィン様や皆様”Ⅶ組”の最後の”試練”の相手としてある意味彼らが相応しいのかもしれませんね……」

「……そうね。」

ユーシスの言葉に続くように呟いたメサイアの意見にサラ教官は静かな表情で頷き

「ロイドさん達のかつての”壁”……相手はわからないけど、多くの激戦を潜り抜け、あの”碧の大樹”をも消滅させたロイドさん達の”壁”なのだから尋常ならぬ相手なんだろう。だけどその”壁”を……そしてロイドさん達を超えなければエレボニア帝国滅亡を防げないし、クロウとクロチルダさんも助けられない……みんな、”試練”は後半分だ!最後まで全力で行くぞっ!」

「おおっ!!」

リィンは仲間達を見回して号令をかけた。その後リィン達が先を進み、病院の近くの街道を歩いているとある人物がリィン達に声を掛けてきた。 
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