英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~黒旋風の最後~
同日、13:30―――――
~帝都近郊~
帝都近郊の街道ではメンフィルとクロスベルによる連合軍と槍を持つ特別なヘクトルを操縦するウォレス准将率いる領邦軍との戦闘が繰り広げられ、ウォレス准将の部隊はメンフィル帝国が予め領邦軍が潜ませておいた部隊によって挟み撃ちにされたとはいえ、ウォレス准将の獅子奮迅の戦いで勇気づけられて迎撃し続けた。しかし幾らウォレス准将が優れている将とは言え、多勢には無勢だった為次々と機甲兵を操縦する領邦軍の兵士達は絶命して行き、その結果ウォレス准将が操縦するヘクトルが完全に包囲され、絶対絶命に陥っていた!
「フッ、まさかここまで差があったとはな。だがこれもまあ、風の導きだろう。天下分け目の戦の宴は貴様らの勝ちになるだろうが、俺は最後の最後まで足掻き続ける!全員纏めてかかってくるがいい――――ッ!!」
ヘクトルの中にいるウォレス准将は己の死を覚悟して静かな笑みを浮かべた後好戦的な笑みを浮かべて声を上げた。
「フッ、”黒旋風”と言ったか……その心意気を称してせめて儂自ら相手にしてやろう。ルース殿、この一騎打ち、手を出さないで頂けるか?」
一方クロスベル帝国軍を率いているガルムスは不敵な笑みを浮かべた後メンフィル帝国軍を率いているルースに視線を向け
「………勝算はあるのですか?」
視線を向けられたルースは真剣な表情で尋ねた。
「無論。それにこの”戦鬼”ガルムス・グリズラーの名を異世界に轟かせるのにちょうどいい獲物なのでな。それに死兵と化した奴による被害がこれ以上出る前に儂が片付けて我ら連合軍の被害を抑えよう。」
ガルムスは好戦的な笑みを浮かべた後ウォレス准将が操縦するヘクトルを見つめ
「……わかりました。確かに仰る通り”黒旋風”による被害が徐々に拡大しつつあるのも事実。ならば奴の討伐はガルムス元帥にお任せします。」
「マスター!ご武運を!!」
「うむ。」
ガルムスの説明を聞いたルースは納得し、ベルは真剣な表情でヘクトルに向かうガルムスを見つめていた。
「ん?爺さん、あんた何者だ?結構やりそうだが。」
ヘクトルの中にいるウォレス准将は自分と対峙したガルムスを見た後ガルムスが相当の使い手である事を一瞬で見抜いて不敵な笑みを浮かべ
「聞けぃ、”黒旋風”!!儂の名はガルムス・グリズラー!!人呼んで”戦鬼”!!此度の帝都制圧作戦を行うクロスベル帝国軍を率いる将だ!」
「へえ……!クロスベルの”戦鬼”と言えば、”赤の戦鬼”だが、どうやらそいつとは別人のようだな?」
ガルムスの名乗りを聞いたウォレス准将は興味ありげな様子で問いかけた。
「フン!あのような小童と儂を比べるでない、若僧が!戦場を求めるあまり主たる皇族を裏切った挙句内戦を引き起こした愚か者達に協力するという軍人の風下にもおけん行動は許せんが……死兵と化してでも、足掻き続ける貴様のその魂に免じて儂自ら相手して、貴様を冥府へと送ってやろう!!」
ウォレス准将の言葉に鼻を鳴らして答えたガルムスは全身から溢れ出る程の闘気をさらけ出して獲物である双槍を構え
「クク……ハハ……ハハハハハハハッ!面白い!この”黒旋風”の首、取れるもなら取ってみろ!!返り討ちにしてくれる!!」
ガルムスの言葉を聞いて不敵な笑みを浮かべて笑った後ヘクトルを操縦してガルムスとの戦闘を開始した!
「セイッ!!」
「!!」
ヘクトルが繰り出した槍をガルムスは後ろに跳躍して回避し
「まだだぜっ!!」
ヘクトルはそのままガルムスに詰め寄って薙ぎ払いを放った。
「ぬるいわぁっ!!」
しかしガルムスは側面から襲い掛かって来た槍を跳躍して回避し
「天震撃!!」
双槍に膨大な闘気を纏ってヘクトル目掛けて叩きつけて来た!
「させないぜ……!―――なっ!?クッ……!」
繰り出された双槍を槍で防御したヘクトルだったが、あまりの威力の凄まじさに後ろへと吹っ飛ばされて怯んだ。ガルムスはそんな隙を逃さず一気にヘクトルに詰め寄ってクラフトを叩き込んだ!
「オォォォォォォ……!!」
「グッ……!?ヘクトルには僅かな隙間しかない関節を狙ってくるとはなんて爺さんだ……!」
ガルムスはクラフト――――空裂槍連撃による怒涛の連続突きでヘクトルの関節部分を狙って攻撃し
「玄武の烈燐撃!!」
「うおおおおおおっ!?」
最後の一撃に膨大な闘気を込めた双槍による同時攻撃を叩きつけて武器を持っていない片腕の関節部分を破壊して片腕を使い物にならなくした!
「チッ……片腕を持って行かれたか!だが、面白くなってきたじゃねえか!」
ウォレス准将は舌打ちをした後不敵な笑みを浮かべてガルムスとの戦闘を再開した。しかしガルムスの圧倒的な武の前には防戦一方になり、また片腕が使えなくなってしまった事も響いてその結果武器を持つ残りの片腕の関節部分もついに破壊され、攻撃手段を失った!
「グアッ!?しまった!?攻撃手段が――――」
関節部分が破壊され、武器を持つ片腕が地面に落ちた事にウォレス准将が表情を歪めたその時、全身に膨大な闘気を纏ったガルムスは攻撃を仕掛けた!
「オォォォォォォォ―――――――――!!」
双槍による乱舞攻撃は操縦席の部分にあたるヘクトルの頭目掛けて放たれ、乱舞攻撃によってヘクトルの頭の装甲は破壊し続け
「悉くを滅してくれよう!岩壊撃!!」
「ガハッ!?クク……こんな事なら……生身で……戦う……べき……だった…………な………………」
最後の強烈な斜め十字による一撃でヘクトルの頭を粉砕すると共に操縦席に座っているウォレス准将の身体も斜め十字に斬り裂き、斬り裂かれた際に心臓まで斬り裂かれたウォレス准将は口から大量の血を吐いて静かな笑みを浮かべて絶命した!
「”黒旋風”のウォレスはこの”戦鬼”ガルムスが討ち取った!!」
「オォォォオォオオオオ――――――ッ!!」
そしてガルムスの勝利宣言にその場にいる全員は勝利の雄たけびを上げ
「これで我々を阻む者はいなくなった!全軍、帝都を制圧せよ!!」
「邪魔する者達は全て殺せ!!」
「オォォォオォオオオオ――――――ッ!!」
更にルースとベルの号令によって帝都制圧の為に帝都へと進撃した!
ウォレス准将がガルムスと戦っている一方、別の街道でメンフィル・クロスベル連合軍を待ち構えていたオーレリア将軍率いる部隊もウォレス准将のように配下の中にメンフィル兵が潜んでいた為、混乱に陥り、オーレリア将軍以外は全員戦死した。しかしオーレリア将軍が操縦する黄金のシュピーゲルはまさに鬼神の如く暴れていた為、連合軍はオーレリア将軍の討伐に手こずっていた。
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