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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第32話

~隠者の庭園~



ケビン達と共に戻ったツーヤは封印石を解放した。すると封印石は光を放ち、その光の中から見覚えのある人物が現れようとした。

「ようやく、探していた内の一人を解放できたな。」

「ええ。協力してくれてありがとうございます。」

ケビンの言葉にヨシュアは静かに頷いた。そして光の中から地面に膝をついたミントが現れた。

「はう~………まぶしかったよ~…………ねえ、パパ、一体何があったの?……………あれ??」

まぶしそうな表情をしていたミントは目を開けた後ヨシュアに尋ねたが、ヨシュアの後ろにいる人物達に気付いた。

「無事でなによりだよ、ミント。」

一方ヨシュアは優しげな微笑みを浮かべて言い

「フフ、元気そうで何よりです、ミントちゃん。」

「久しぶり、ミントちゃん。」

「えへへ………久しぶりだね、ミントちゃん!」

クローゼは優しい微笑みを浮かべ、ツーヤとティータは嬉しそうな表情で話しかけた。

「あれ??どうしてクローゼさん達が………………え!?」

クローゼ達の存在に首を傾げたミントは周りの風景を見て驚いた。

「えっと………何が起こっているの、パパ??ミント、いつの間に”裏”の”四輪の塔”に来たの??」

「ハハ、残念ながらここは違うよ。」

不思議そうな表情で尋ねてきたミントにヨシュアは苦笑しながら答えた。そしてケビン達は状況を説明し、初対面の者達は自己紹介をした。



「ふえ~………そんな事があったんだ…………」

状況を聞き終えたミントは呆けた様子で呟いた。

「やっぱり、信じられないかな?」

「ううん。ミント、信じるよ!それにこんな形とはいえ、みんなと会えて、ミント、すっごく嬉しいよ!」

ヨシュアに尋ねられたミントは嬉しそうな表情で答えた。

「いや~、今のミント君にそんな事を言われるとはボクは幸せ者だね♪という事で再会のベーゼと抱擁をしようじゃないか!」

一方オリビエは酔いしれった様子でミントを見つめて叫んだ。

「…………オリビエさん?」

(エステル)が居ぬ間にと思っているでしょうけど、そうはさせないわよ?」

「そんなにしたければ、当て身を当てて好きなだけ地面とさせるぞ?」

「ゴメンナサイ………」

しかしヨシュアとシェラザードの威圧が籠った笑顔とミュラーの言葉を聞いたオリビエはすぐに撤回した。

「まったくです!私を差し置いてミントちゃんを口説こうなんて、例え相手があの”覇王”でも許しません!」

「ほう。大きく出たな。リウイをも許さんとは。」

一方アネラスはシェラザードの言葉に強く頷き、アネラスの言葉を聞いたリフィアは感心していた。

「フフ………あ、そうだ、ツーヤちゃん!新聞とかで見たよ?ツーヤちゃん、すっごく人気者だね!」

オリビエ達の様子を微笑んで見ていたミントは嬉しそうな表情でツーヤを見つめて言った。

「別になりたくてなった訳じゃないんだけど…………そういうミントちゃんだって、凄く有名じゃない。エステルさん達みたいに二つ名も付いたし。」

「確か”黄金の百合”だったな。」

「”百合”にはさまざまな花言葉がありますけど主に代表的なのは”純潔”や”無垢”。フフ、ミントちゃんにピッタリな二つ名ですね。」

溜息を吐いた後苦笑しながら言ったツーヤの言葉にジンとクローゼはそれぞれ言った。

「はう~………シェラお姉さん達みたいに二つ名は欲しいと思っていたんだけど、実際付けられてもなんだか恥ずかしいんだよね………それにね?ミント、新聞とかで知られているせいか、街に出たらいつもオリビエさんみたいに男の人達が声をかけてくるんだ。」

「あ、あはは………ミントちゃん、すっごくモテモテなんだね………そーいえばお母さんにミントちゃんと友達って話したら、『絶対家に連れて来なさい!』って目の色を変えて言ってたよ。」

恥ずかしそうな表情で呟き、ある事を言ったミントを見たティータは苦笑しながらある事を思い出して口に出し

「フッ。それは仕方がない事だよ。これだけ美しく、可憐で、そして純粋なミント君を前にしたらシェラ君の下僕であるボクでさえも心が動かされそうだからね!」

「はいはい。………まあ、同性のあたし達が見てもミントはそれだけ魅力的だしね。あの可愛かった娘がここまで成長するとはあたしも全然予想できなかったわよ………」

(それにしてもヨシュア………こんな娘が傍にいるのに、なんであんなノーテンキ娘の方がいいんだろう?)

オリビエは酔いしれった様子で叫び、それを聞いたシェラザードは溜息を吐き、ジョゼットは心の中で首を傾げていた。



「………………」

「ほえ?え~っと、ティナさん?ミントに何かついているの??」

一方ティナはミントをじっと見つめ、見つめられたミントは首を傾げた尋ねた。

「いえ………シルフィア様の家名を名乗る事を許されている方の事をリフィアさん達から聞いて、どういう方なのか気になっていたので………」

「そうなんだ。えっと………ミント、そのシルフィアさんって人の事は知らないけど、シルフィアさんの家名を名乗るのに相応しいのかな?」

ティナの説明を聞いたミントは頷いた後、首を傾げて尋ねた。

「フフ、あの方はそんな事は一切気にしない方ですよ。それにミントさんのような方が自分の名を受け継いでいる事を知ったら、むしろ喜ばれると思います。」

「生前のシルフィア様を存じているティナ様が言うと真実味がありますね。」

「そうなんだ。えへへ………」

ティナとプリネの言葉を聞いたミントは恥ずかしそうな表情で笑った後、表情を戻してケビン達を見つめた。

「さて………と。君の力、期待しているで?ミントちゃん。」

「はーい!ミント、一杯頑張るね!」

そしてケビンの言葉にミントは元気よく答えた。その後ケビンはメンバー編成をして、ケビン、ヨシュア、ミント、プリネ、リタ、シュリのメンバーで探索を再開し、ロッジ内にある石碑に転位すると外は夜になっていたので、外を出て探索を開始した。



~ル=ロックル訓練場~



「あれは………!」

「転位陣………次の星層への入口か!」

外に出て、崖の所にある転位陣を見たヨシュアとケビンは真剣な表情をした。

「それにしても、昼間の絶景があんな光景になってしまうなんて…………」

「ここが偽物の場所だということが納得させられるよね………」

一方シュリは昼間の光景を思い出して信じられない表情をし、ミントは頷いた。

「さてと………このまま先に進みますか?」

「そやな………まずは様子だけでも確かめて―――」

リタに尋ねられたケビンが頷いたその時、ケビン達の目の前に巨大な妖しげな光陣が現れた!

「くっ………!」

「ここで来たか……!」

仲間達と共に武器を構えたプリネは警戒し、ケビンは叫んだ。すると妖しげな光陣から巨大な戦斧持ち、”第二星層”で戦った悪魔―――ロストルムに似た巨大な悪魔が現れた!

「こ、これは………!」

「お、大きい………!」

「聖典に記された七十七の悪魔の一匹………煉獄を守る門番のもう一柱にして恐るべき禁呪を使う魔導の使い手!”深淵”のアスタルテか!」

「…………色々な意味で私やナベリウスと似た存在の悪魔ですね………こんなのが私達と似ているなんて不愉快です。さっさと倒しましょう―――」

ヨシュアとミントは悪魔を見て驚き、ケビンが警戒した様子で説明し、リタは不愉快そうな表情をして全員に促したその時、アスタルテはなんとクラフト―――魔眼をケビン達に放った!

「きゃっ………!?」

「ああっ………!?」

魔眼の攻撃によって結界に閉じ込められると同時に身体が動かなくなり、さらに地面に膝をつけさせられたプリネとシュリは悲鳴を上げ

「こ、これは………ワイスマンの”魔眼”!?」

「多分あれの原型となった空間そのものを呪縛する禁呪や!クソ………指一本も動かせへんとは………!」

「道理で”霊体”である私でさえも動きを封じられるはずです………!」

ヨシュアは驚き、ケビンは説明した後舌打ちをし、リタは魔眼に苦しみながら呟いた。そしてアスタルテは戦斧にすざましい雷を込めて振り上げた!

「くっ………このままじゃ………!」

「………くっ………(こうなったらアレを………)」

絶体絶命の状況にヨシュアが叫び、ケビンが心の中である事を覚悟をしていたその時!

「―――下がりなさい。女神に背く災いなる獣よ。」

なんとアスタルテに法剣の刃が次々と襲い掛かって怯ませ、アスタルテの行動を中断させた!

「リースさん!?」

突然の出来事に驚いたヨシュアは自分達の背後にいる人物―――法剣の刃を戻したリースに気付き、驚いた。

「よかった………間に合ったみたいですね。ここはお任せを………一気にケリをつけます。」

リースは安堵の溜息を吐いた後、アスタルテに襲い掛かり激しい攻撃や高火力のアーツを組み合わせてアスタルテにダメージを与えると共に怯ませた!

「凄い………」

「………驚きました。あれほどの強さを持っていたなんて。」

「シスターさんなのに、凄く強いね!」

「従騎士とはいえ、あの強さ………あれが”星杯騎士”………!(もしかしたらマーズテリアの騎士の強さとほぼ同等じゃないかしら………?)」

リースの奮闘にクローゼとリタは感心し、ミントははしゃぎ、プリネは驚きの表情で見つめていた。

「リース、無理すんな!一人で調伏できる相手やないことくらいわかるやろ!?」

一方ケビンはリースに警告した。



「それでも私は………星杯の従騎士だから………!言いたい事は………山ほどあるけど…………!それでも私はケビンのことを守る………!私を守ってくれた………ケビンと姉様のように………!」

「!!」

決意の表情のリースが叫んだ言葉にケビンは目を見開いた。そしてリースはアーツ―――ラグナブラストをアスタルテに放った!しかしアーツが当たる瞬間、アスタルテは転移してリースの背後に回った!

「あ………」

背後に回られたリースは呆けた声を出した後、慌てて振り向いたその時アスタルテは戦斧をリースに振るった!

「あうっ………!」

「リ、リース!」

敵の攻撃により吹っ飛ばされ、さらに傷を負ったリースを見てケビンは叫んだ。そして敵はリースの目の前に転移した!

「う………ぁ…………」

目の前の敵を見たリースは呻いた。すると敵は戦斧にすざましいエネルギーを溜めて振り上げた!

「いけない………!」

「リースさん!」

それを見たヨシュアとミントは叫んだ!

「くっ………………っおおおおおおおおおおおッ!!」

一方ケビンは決意の表情になった後、身体全体に何かを溜めて叫んだ後、何かの力を解放して、自分の背中に何かの紋章を現して魔眼による効果と結界を打ち破った!

「!?」

「ケ、ケビン………?」

それを見たヨシュアは驚き、リースは戸惑っていた。また、アスタルテは背後の違和感に気付いてケビン達に振り向いた。ケビンの背中にある紋章はケビンに力を貸すかのように紋章と同じ妖しげな赤い光をケビンに纏わせた!

「クク…………まさかオレにコイツを使わせることになるとはな…………」

「(まさかあれが”守護騎士(ドミニオン)”が持つ”力”…………?なんて禍々しい…………!)……………パラスケヴァス!!」

「――――――!!」

一方ケビンは冷たい微笑みを浮かべて呟き、それを見たプリネは心の中で驚いた後、パラスケヴァスを召喚し、召喚されたパラスケヴァスは叫び声をあげて巨大な槌を構えた!

「悪魔相手に今更やけど………改めて貴様を”外法”と認定する。祈りも悔悟(かいご)も果たせぬまま!千の棘をもってその身に絶望を刻み!塵となって無明の闇に消えるがいい!!」

その後ケビンはすざましい殺気をアスタルテに向けて叫んだ!



そしてケビン達は戦闘を開始した…………!
 
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