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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第22話

その後ケビン達とリース達は偶然にも同時に門から出て、終点で合流した。



~第三星層・終点~



「ふう………どうやら本物みたいやな。ったく……あんまり心配させんなや。」

「………それはこちらの台詞。私達は天使のエリザスレインさんがいたお蔭ですぐに偽物だとわかったし。」

苦笑しながら言ったケビンの言葉を聞いたリースは口元に笑みを浮かべて答えた。

「そういえば、そっち”も”探索中に仲間が増えたみたいやな。それもまた、例の浮遊都市の件のメンバーやんか。」

「うん。ケビンのほうも増えたみたいね。………やっぱりそちらの2人も例の浮遊都市の?」

ケビンに尋ねられたリースは頷いた後、尋ね返した。

「いや、全然違う。それどころかここにいるメンバーの誰とも面識がないし、第一住んでいる世界が違うしな。」

「………どういう事?」

ケビンの言葉を聞いたリースは不思議そうな表情で尋ねた。そしてケビンはリース達にナユタとノイの事情を説明した。

「え!?他にも異世界があるなんて………!」

「一体どれほどの世界があるのでしょう………?」

「あ~もう!頭がこんがらがってくるわ~!」

ナユタ達の事情を聞いたクローゼとユリアは他に驚いている仲間達のように驚き、マリーニャは疲れた様子で溜息を吐いた。

「凄い………!おとぎ話で出てくる天使やエルフって本当に存在していたんだ!」

「し、信じられないのね~!」

一方ナユタとノイはエルフのセラウィや天使のエリザスレインを見て、興奮していたり、信じられない表情をしていた。

「フフ、ちょっとだけはずかしいですね。」

「やっぱり他の世界には私達のような存在はいないのかしら?」

ナユタとノイの反応を見たセラウィは微笑み、エリザスレインは興味ありげな視線でナユタ達を見つめた。

「ナユタ達の世界か………一体どんな素材があるんだろう…………?」

(まったく………新たな世界を知ってまず思うことはそれですか!?)

一方ウィルは目を輝かせ、その様子をプリネの身体の中から見ていたフィニリィは呆れていた。



「話を戻すけど………やっぱりあれは”グリモア”だったみたい。」

「ああ………そうみたいやな。」

「グリモア…………」

「さっきの変身していた魔物さんのことですか~?」

リースとケビンの会話を聞いたミュラーは敵の名前を繰り返して呟き、サリアは尋ねた。

「ええ、やはり聖典に記されている魔物です。魔物というよりも………”煉獄”に落とされた魂の成れの果てと言うべきか。」

「魂の成れの果てって………」

「………不吉な響きですね。」

「ええ………それにしてもやはり七耀教会をよく知っている方の仕業なんでしょうか………?」

ケビンの説明を聞いたジョゼットは不安そうな表情をし、ヨシュアとツーヤは考え込みながら答え

「実際の”冥き途”にはあんなのはいませんから、安心して下さいね?」

「リタの………言う通り……みんな………魂となって………冥き途に………くる………」

「こらこら、話の腰をおらない。」

リタとナベリウスはそれぞれ意見を言い、それを聞いたマリーニャは呆れながら注意した。

「………七耀教会の教養によれば罪深き魂は”煉獄”に落とされます。そして絶え間なき業火に苛まれ、しだいに自我を失っていき………最後には混沌たる魂魄(こんぱく)の魂………”グリモア”となるとされています。」

「は、はわわっ。」

「………私達の世界にいる”亡霊”に近い形かもしれませんね。」

「うむ、そうだな………」

リースの説明を聞いたティータは不安そうな表情をし、プリネとリフィアは真剣な表情で考え込んだ。

「それでは………あの擬態していた魔物がその”グリモア”だったと?」

「ええ……共に現れた鏡や砲台も”煉獄”に由来する呪具ばかり。どうやら敵は………いかなり禁忌を用いてか知りませんが地獄の蓋を開けてしまったようです。」

そしてクローゼの疑問にリースが答えたその時!

「………フフ、言いえて妙だな。」

周りに聞き覚えのある声が聞こえてきた!

「………っ!」

「………この声は!」

声を聞いたリースとケビンは驚いた後、仲間達共に振り向くと、妖しげな光陣が現れ、そこから黒騎士が現れた!



「…………っ!?」

「なっ…………!?」

「………?(何、このムカつく感じは………?どっかで感じたことがあるんだけど………)」

黒騎士を見たヨシュアとプリネは信じられない表情をし、エヴリーヌは首を傾げ

「来たか………!」

ユリアは警戒した様子で呟き

「あの人………強い。下手をしたらシグナどころか、師匠を超えているかも………」

「おじげづく事はないの、ナユタ!今はこんなに仲間がたくさんいるのだから大丈夫なの!」

ナユタは黒騎士の強さを感じ取って驚き、その一方ノイは強気で言った。

「のこのこ現れよったか………”影の王”とやらの命令でオレらの様子を見に来たんか?」

一方ケビンは動揺せず、口元に笑みを浮かべて尋ねた。

「フフ………確かにそれも役目の一つではある。”隠者”の導きもあるのだろうがなかなか順調な道程で何よりだ。」

「”隠者”………」

「もしかして………あの女性の霊のことですか?私達に何かと助力してくださっている……」

黒騎士が呟いたある言葉を聞いたケビンは真剣な表情をし、クローゼは尋ねた。

「そう、虚ろなる庭園の主にして”影の国”に取り残された亡霊だ。クク、もっとも我が王によってその力の大半を失っているがな……」

「フン、ようわからへんが………アンタらの敵ってことは結局オレらの味方ってことやな?」

「さて、あれが果たして本当にお前達の味方になるのやら………それはさておき―――”影の王”からの伝言を伝えよう。『―――次なるは獣の道。光の巫女達を手に入れ、進むがいい。そして新たなる供物を喰らい、汝が印を発言させるがいい。

さすれば煉獄の炎はされに猛り、我が王国は真の完成に近づく―――』」

「えっ…………!?」

「…………………」

黒騎士の言葉を聞いたリースは驚き、ケビンは呆けた表情をした。

「………どういう意味だ………?」

「それに”光の巫女達”とは一体どういう意味なのじゃ………?」

一方ユリアとレシェンテは考え込んだ。

「フフ………どう受け取るからはお前達の自由だとの仰せだ。それでは確かに伝えたぞ。」

その様子を見た黒騎士は妖しげな笑みを浮かべた。

「………くっ………はは………はははははははッ!!!」

その時、ケビンは急に大声で笑い出した!

「ケ、ケビン………?」

「………………………」

(何でしょう?今、一瞬あの方からとてつもない”負”の気を感じ取りましたが………)

(ククク………あの神父………先ほどの言葉を聞いた瞬間、相当の”負”の気を感じたぞ………興味深い………)

ケビンの様子にリースは戸惑ってケビンを見つめ、エリザスレインは目を細めて睨み、セラウィは真剣な表情でケビンを見つめ、ウィルの腕輪の中から見ていたアスモデウスは不気味に笑っていた。

「クク………いや、悪い悪い。あんまり思わせぶりなこと言うからついツボに入ってしもたわ。大方、オレらを煙に巻くための戯言やとは思うけど………それにしたって、いくらなんでも芝居がかかりすぎとちゃうか?」

一方ケビンはリース達の様子に気付かず答えた後、目を細めて、声をわずかに低くして尋ねた。



「……………………」

しかし尋ねられた黒騎士は何も語らず、ケビンを見つめた。そしてそれを見たケビンはボウガンを構えて、冷徹な視線で黒騎士を睨んで言った。

「………話がそれだけならとっとと消えたらどうや。下らん戯れ言に付き合うほどオレらはヒマやないで。」

「フフ………どうやら我が王からの下賜(かし)、気に入ってもらえたようだな。さぞや懐かしかろう?」

「なっ………!」

しかし笑みを浮かべて言った黒騎士の言葉にケビンは驚いた。

「ケビン………?」

ケビンの様子に気付いたリースは不安そうな表情で見つめた。そして黒騎士は妖しげな光陣を自分の足元に発生させた。

「あ………!」

「に、逃げる気!?」

それを見たヨシュアは驚き、ジョゼットは黒騎士を睨んで尋ねた。

「はは、いずれ改めて相見えることになるだろう。我が名は”黒騎士”。”影の国””表”の随一の守護者なれば。フフ………それではさらばだ。」

そして黒騎士は妖しげな光陣から消えて、転移した。すると黒騎士が消えた場所に2つの封印石が現れた!



「………あれが”黒騎士”………」

「………どうして………」

「マスター………?」

黒騎士が消えた後ヨシュアは黒騎士が消えた場所から目を逸らして呟き、プリネは信じられない表情で呟き、プリネの様子に気付いたツーヤは首を傾げた。

「フン、捨て台詞が好きなところは飼い主そっくりやな。ハッタリで適当なことをほざいてるんが見え見えやで。」

「………………………」

ケビンは鼻を鳴らした後、苦笑し、リースは何も語らず、黙っていた。

「『―――次なるは獣の道。光の巫女達を手に入れ、進むがいい。そして新たなる供物を喰らい、汝が印を発言させるがいい。さすれば煉獄の炎はされに猛り、我が王国は真の完成に近づく―――』」

「………確かに、どのようにでも解釈できる言葉ではあるな。下手に真に受けると足を取られる恐れもある、か。」

一方ユリアが黒騎士の伝言を復唱し、ミュラーは伝言の意味を考え込んだ。

「ええ、そういう事です。………さてと。あっちにあるのを合わせて封印石が4つも入ったし、いったん”拠点”に戻ろうか。そこの石碑を解放しておけばすぐにでも探索を再開できるし。」

「そ、それもそーですね。」

「………今度はどなたが封じられているんでしょうか?」

「先ほどの話を聞いた感じ、4つの内、2つは”光の巫女達”みたいだけど………一体誰なんだろうね。」

ケビンの提案にティータは頷き、クローゼとエヴリーヌは封印石の中にいる人物達の事を考えた。

「もしかして一人はティアお姉様でしょうか?」

「なるほど。確かにティア殿は光勢力の神官の上、今ではゼムリア大陸中のイーリュンの信徒達を導く神官長だから”光の巫女”という言葉にも当てはまるし、リベル=アークにも共について来たし、ありえるな………」

そしてプリネの推測を聞いたリフィアは納得した表情で頷いた。

「だとするともう一人はもしかしてロカかしら?」

「わ~、ロカさんなら嬉しいです~。」

一方マリーニャも推測し、それを聞いたサリアは喜んだ。



しかしその時、現れた2つの封印石が突如光を放ち、それぞれから栗色の髪と蒼い瞳を持ち、マリーニャ達と同じメイド服を着た女性と、ある人物と瓜二つの容姿だが唯一異なる”ある特徴”のイーリュンのシスター服を着た女性が現れようとした………




 
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