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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第96話

~ルーレ~



「ここが”四大名門”の一つ―――”ログナー侯爵家”の本拠地である”ルーレ”ですか……なるほど、エレボニア帝国で随一の工業都市と呼ぶべき相応しい都市ですわね。」

「……大きな建物が一杯の街ね。」

「こちらに来るのは実習ぶりですわね……」

ルーレに入ったシグルーンとゲルドは興味ありげな様子で周囲を見回し、セレーネは静かな表情で呟いた。



「……なんだかあっさり入れてしまったな。」

「ええ、拍子抜けだわ。片方は明らかに怪しんでたみたいなのに……」

「ふむ、なにやらもう一人に助け舟を出されたようだったな。」

「何かの罠かとも思えないけど……ふむ、よくわからないわね。」

四大名門の本拠地であるルーレにあっさり入れたことにリィンやアリサ、ラウラとサラ教官は何か裏があると思い、真剣な表情で考え込んでいた。



「とにかく市内に入れたんだ。さっそく情報収集を始めよう。」

「ええ、アンゼリカさんや母様の行方を何とか掴んでみないとね。その後都市内を回って情報収集を始めたリィン達は店の中にいる学院生に気付き、声をかけた。



~RFストア~



「君達は……はは、久しぶりだね。」

「ヒューゴ!?無事だったのか……!ベッキーやロジーヌから行方不明と聞いて心配していたけど……」

平民の士官学院生―――ヒューゴと再会したリィンは驚きの表情になった。



「はは、その口ぶりだとベッキーたちも無事みたいだな。よかったら色々と話を聞かせてくれるか?」

リィン達はこれまでのことを大まかに説明しつつ情報交換を行った。

「そうか……ベッキーもカレイジャスに。やれやれ、あいつらしいな。」

話を聞き終えたヒューゴは自分が良く知る人物の性格を考え、苦笑した。



「ヒューゴのほうは、ちょうど商会の取引で来てたんだな?」

「”クライスト商会”……RFストアと取引のある帝都の商会だったわね。」

「ああ、ベッキーたちを逃がしたあと何とか実家に戻ったのさ。貴族連合の支配下にある帝都は、ある意味どこよりも安全だからな。」

「なるほど……逆の発想ですか。」

「ふむ、Ⅶ組以外で帝都出身ならたしかに実家が最も安全か。」

「ふう、さすがに強かだな。」

ヒューゴの話を聞いたシグルーンは感心し、ラウラは納得し、リィンは苦笑した。



「ただ、お前達も知っている通り帝都は以前メンフィル軍の襲撃を受けてな。幸いにも一般人には被害は出ていなかったそうだが、皇城は爆撃され、ドライケルス広場の中心地に建てられてあったドライケルス像も破壊された挙句領邦軍は相当な被害を受けたそうだ。」

「そ、それは…………」

「え、えっと……」

「……一般人に被害が出ていなかったのが不幸中の幸いね……」

「フフ、メンフィルは戦争の際は基本民達に危害を加えない方針ですので。」

ヒューゴの話を聞いたセレーネは辛そうな表情をし、言い辛そうな表情をしているアリサと真剣な表情のサラ教官と共に視線を向けられたシグルーンは微笑みながら答えた。



「そう言えば……貴族連合はメンフィル軍の爆撃によって瓦礫の山と化したバルヘイム宮の瓦礫を取り除く作業を重要視しているようだ。多くの作業員らしき人達が皇城跡方面を毎日何度も行き帰りしている所を見たし、帝都内でも瓦礫を取り除く作業の仕事を破格の給料で募集しているんだ。」

「え……」

「一体何の為かしら?」

「壊れたお城を早く直したいからじゃないの?」

「フム……その可能性は考えられるが……」

ヒューゴの説明を聞いたリィンは目を丸くし、サラ教官は考え込み、ゲルドの推測を聞いたラウラは頷いた後考え込み

「…………………………」

シグルーンは真剣な表情で黙り込んでいた。



「その……話を戻すけどアンゼリカさんや母の行方もやっぱり知らないのよね?」

「ああ、RFストアとは何度か取引をしているが……詳しい情報は今のところない。さすがに本社方面までは潜りこむこともできないしな。悪いな、役に立てなくて。」

「いや、おかげで帝都方面の状況も少しだけ整理できた。これからも帝都と行き来するならどうか気を付けてくれ。」

「ああ、君達も。ベッキーにもよろしく言っておいてくれ。」

そしてヒューゴと別れたリィン達は店を出た。



~市内~



「……どうやら”貴族連合”はバルヘイム宮の地下に封印されてある自分達にとって”切り札”となる存在を掘り出す事に必死のようですわね。」

店を出るとシグルーンは静かな表情で呟き

「え…………」

「き、貴族連合の”切り札”ですか?」

「……そういえばあんた達は”総参謀”であるルーファス卿に自白剤で色々と吐かせたって言ってたけど……それが何なのか、当然知っているのよね?」

シグルーンの言葉を聞いたリィンは呆け、セレーネは戸惑い、サラ教官は真剣な表情で尋ねた。



「ええ。バルヘイム宮の地下には貴族連合にとって切り札となる存在―――”緋の騎神テスタ=ロッサ”が封印されているとの事です。」

「なっ!?」

「”騎神”ですって!?」

「”騎神”……リィンが操縦するヴァリマールと同じ人形の事ね。」

「バルヘイム宮の地下に”騎神”が封印されてある等、初耳ですが……というか皇家の方々はご存知なのですか?」

シグルーンの説明を聞いたリィンとアリサは驚き、ゲルドは静かな表情で呟き、ラウラは戸惑いの表情でシグルーンを見つめて尋ねた。



「恐らくそれを知るのは現エレボニア皇帝であるユーゲント三世のみでしょうね。」

「じゃ、じゃあどうしてルーファスさんはその事を知っていたんですか?」

「――――貴族連合の”主宰”であるカイエン公爵。彼は”獅子戦役”でかつての”緋の騎神”の操縦者にしてドライケルス帝に敗れたオルトロス・ライゼ・アルノールの末裔だった為、バルヘイム宮の地下に”緋の騎神”が封印されてある事をカイエン公爵家に先祖代々伝えられていたとの事ですわ。」

「何ですって!?」

「カイエン公爵家があの”偽帝”オルトロス皇帝の末裔だと……!?」

「し、信じられない……!」

リィンの質問に答えたシグルーンの話を聞いたサラ教官は厳しい表情になり、ラウラとアリサは信じられない表情をし

「しかもかつての”獅子戦役”でも”騎神”が使われていたなんて……」

「……………………」

リィンは不安そうな表情をし、ゲルドは静かな表情で黙り込んでいた。



「その……シグルーン様。もしかしてメンフィル軍がバルヘイム宮を爆撃したのは貴族連合にとって切り札となる存在であるその”緋の騎神”を使えなくする為でしょうか?」

その時ある事に気付いたセレーネは複雑そうな表情で尋ねた。

「いいえ。元々バルヘイム宮の爆撃は帝都を襲撃する際に貴族連―――いえ、エレボニア帝国に対する”報復”として決まっていた事ですわ。バルヘイム宮が瓦礫の山と化した事で貴族連合は自分達の”切り札”が瓦礫の山で封印された事により、瓦礫の山を取り除いて地下まで埋まっている瓦礫も取り除かない限り”切り札”である”緋の騎神”は使用できないでしょうね。バルヘイム宮を爆撃した事で貴族連合の”切り札”が長期間使用できなくなってしまった事は正規軍や貴方達にとっても朗報なのでは?結社の技術を使ったとしても、瓦礫の山を片付けて地下深くに眠る”緋の騎神”の場所まで瓦礫を取り除くには相当な日数がかかる事は目に見えていますわ。」

「それは…………あれ?でも、その”騎神”の”起動者”はいるんですか?」

シグルーンの問いかけにリィンは複雑そうな表情をしたがすぐにある事に気付いて不思議そうな表情で尋ねた。



「”緋の騎神”は他の”騎神”と異なり、”アルノール家”の血を引く者でなければ動かせないとの事です。」

「”アルノール家”と言う事は……!」

「陛下達か……!」

シグルーンの話を聞いたアリサとラウラは血相を変え

「ええ。ただ話によるとオルトロスの末裔とは言え、既に血が薄くなっているカイエン公では起動できなかったらしく。予定ではセドリック皇子を利用するとの事ですわ。」

「何だって!?」

「セドリック皇子殿下を利用するだと!?」

「セドリック皇子……アルフィン皇女の双子の弟ね。」

更にシグルーンの口から出た驚愕の事実を聞いたラウラはリィンと共に厳しい表情をし、ゲルドは静かな表情で呟いた。

「……というかそんな重要な情報、何で今まで黙っていたのよ?」

サラ教官は厳しい表情でシグルーンに尋ねた。

「メンフィル帝国が手に入れた重要な情報をそう易々と他国―――それも”敵国”に教える訳にはいきませんでしたので。」

「?じゃあどうして今私達に教えてくれたの?」

シグルーンの答えを聞いたゲルドは不思議そうな表情で尋ねた。



「フフ……それはゲルドさん、貴女がメンフィルにとって重要な予言をされたとの事ですので、その報酬の一部としてゲルドさんの仲間である皆さんにも教えて差し上げたのですわ。」

するとシグルーンはゲルドを見つめて予想外の答えを口にした。

「へ……」

「私?」

微笑みながら答えたシグルーンの答えを聞いたリィンは呆け、ゲルドは不思議そうな表情をし

「ゲ、ゲルドがメンフィルにとって重要な予言をしたって……」

「……一体どんな内容をいつ、メンフィルに教えたのだ?」

アリサは戸惑いの表情をし、ラウラは不思議そうな表情で尋ねた。



「あ……もしかして補給の時に寄ったケルディックでゲルドがプリネさん達に教えた予言の事ですか?」

「お兄様?何かご存知なのですか?」

ある事に気付いたリィンの問いかけを聞いたセレーネは不思議そうな表情で尋ねた。そしてリィンはその場にいる全員にゲルドの予言―――ケルディックが焼き討ちされる事を説明した。



「何ですって!?」

「りょ、猟兵達にケルディックが焼き討ちされるって……!」

「クッ……愚かな真似を……!”貴族連合”は一体何を考えている……!?メンフィルにあれだけ痛手を喰らわされたというのに……!そのような暴挙を行えば、メンフィルが黙っていると思っているのか!?」

説明を聞き終えたサラ教官は厳しい表情で声を上げ、アリサは表情を青褪めさせ、ラウラは怒りの表情をし

「あ、あの……その時のお姉様やプリネ様達は何をしていらっしゃるのですか……!?お姉様達がいれば、そのような事にはならないと思うのですが……」

ある事に気付いたセレーネは不安そうな表情をした。



「ゲルドの話ではその時のプリネさん達はケルディック要塞を攻めている領邦軍と戦っているらしい。」

「ええっ!?りょ、領邦軍と!?」

「……国境の防衛で手薄になった所をケルディックに潜入していた猟兵達が焼き討ちするって寸法ね。それで対策は何か取っているの?」

リィンの説明を聞いたアリサは驚き、厳しい表情で状況を推測したサラ教官はシグルーンに尋ねた。

「ええ。領邦軍によるケルディック要塞への襲撃が始まった際は街に残す防衛部隊が遊撃士協会と連携して市民達の避難誘導や救助を最優先に行うとの事ですわ。なお、防衛部隊は1個大隊程残し、レオンハルト少佐がケルディックに残って防衛部隊を指揮するとの事です。」

「レオンハルト教官が……!」

「………”結社”で猟兵達を指揮していたあいつなら猟兵達の行動パターンとかもある程度予想できるでしょうから、猟兵達を相手にするにはうってつけの人材ね。」

シグルーンの説明を聞いたリィンは驚き、サラ教官は納得した様子で呟いた。



「シグルーン様……もし、ゲルドさんの予言通り貴族連合が雇った猟兵達によるケルディックの焼き討ちがされた場合、メンフィル帝国は”期間以内”にエレボニア帝国に再び攻めてくるのでしょうか……?」

「あ…………」

「それは…………」

セレーネの問いかけを聞いたリィンは呆け、ラウラは複雑そうな表情をし

「皆様には辛い答えでしょうがさすがに”焼き討ち”と言った余りにも卑劣すぎる暴挙は見逃せませんわ。―――レン姫も仰った通り、その際はオリヴァルト皇子かアルフィン皇女に予め連絡して貴族連合が作ったメンフィル帝国に対するエレボニア帝国の”罪”を償わせる機会を与えますので、すぐには攻め入りませんわ。」

シグルーンは静かな表情で答えた。



「そ、そんな……焼き討ちされるって前もって教えてもらっているのに何故ですか!?」

シグルーンの答えを聞いたアリサは辛そうな表情で反論したが

「―――アリサさん。ゲルドさんの警告はあくまで”予言”……予言が当たらないという可能性も一応考えられますから不確かな情報ですし、そもそもゲルドさんはエレボニア帝国に所属している訳ではありません。メンフィルはあくまで”ゲルドさん個人の警告”として受け取り、念には念を入れて先程説明した対策を取っているのです。」

「………………」

シグルーンの正論を聞くと黙り込んだ。

「ゲルドの”予言”は今の所全部的中しているけど、”国として”はあっさり信じる訳には行かないでしょうね…………さっき聞いた対策を取っただけでも正直、”奇跡”に近いわ。」

「ええ……しかもゲルドさんは身元不明の上記憶喪失……普通に考えればそのような経歴を持つゲルドさんの”予言”は”妄言”として受け取られる可能性が非常に高いですわ。」

サラ教官とセレーネはそれぞれ複雑そうな表情をした。



「………………あの時私はケルディックの一番偉い人――――プリネに私が”見えた”ものを言ったけど……無駄だったの?」

「いや……少なくてもゲルドの”予言”で犠牲になるケルディックの人達を一人でも少なくする事ができるかもしれないんだ。ゲルドのした事は決して無駄ではないさ。」

仲間達の反応を見て悲しそうな表情をしているゲルドを見たリィンは首を横に振って口元に笑みを浮かべてゲルドを見つめて答え

「リィンの言う通りよ。――――それじゃあ情報収集を再開しましょう!」

「うむ。」

アリサも続くように言った後仲間達を促し、アリサの言葉にラウラは頷いた。その後情報収集をしていたリィン達はラインフォルトグループの本社の前に来た。



~RF本社ビル前~



「ラインフォルト社の本社ビル……アリサの実家でもある場所か。」

「前回の実習ではルーレに滞在している間はこちらでお世話になりましたわね。」

「ここがアリサの家……」

ビルを見つめるリィンとセレーネの会話を聞いていたゲルドは目を丸くしてRF本社ビルを見上げ

「アンゼリカさんの話だと母様はどこかに軟禁されている……ゲルドの予言を信じるとしたら間違いなく”アイゼングラーフ号”の中に軟禁されているんでしょうけど…………表向きは”行方不明”になってるなら、今はかなり混乱してるかもしれないわね……」

アリサが複雑そうな表情でビルを見上げて呟いたその時、一台のリムジンがビルの前に停車し、本社ビルからは支配人が現れ、リムジンから姿を現した貴族の男性を迎えた。



「……お疲れ様ですハイデル取締役。お荷物をお持ちします。」

「んん、ご苦労。」

(あの人は……)

(知り合いか、アリサ?)

(ええ、一応面識はあるわ。”第一製作所”の取締役、ハイデル・ログナー氏……アンゼリカさんの叔父に当たる人でもあるわね。)

アリサの説明を聞いたリィン達は緊張した様子で男性―――ハイデル取締役を注目していた。



「いやはや、忙しく目が回るねぇ。”ご病気で療養中”のイリーナ会長の代行とは言え、グループの総括も大変だよ。ハハ、願わくば早い所復帰してもらいたいものだな。」

「は、はあ……」

「ああ、しばらく私は24Fで寛いでいるからね。後でお茶でも持って来てくれたまえ。会長のメイドがいればそちらに頼むんだがねえ。」

「で、ですが取締役。24Fは……」

24Fはアリサ達―――”ラインフォルト家”の”家”である事を理解していた支配人は取締役に反論したが

「んん?何か文句でもあるのかね?」

「い……いえ。なんでもありません……」

ハイデル取締役に睨まれると肩を落とした様子で首を横に振り、ハイデル取締役と共に本社ビルの中に入って行った。



「会長代行って……まさか今は、あの人がイリーナ会長の代わりを?」

「アリサのお母さんは病気になっていると言っているけど……」

「あ、ありえない……デタラメだわ。それに24Fってラインフォルト家の居住スペースじゃない……!」

「イリーナ会長を軟禁した上その軟禁した人物の”家”を堂々と使うとは……余りにも卑劣で愚かな行為ですわね。」

リィンとゲルドに尋ねられたアリサは怒りの表情で本社ビルを睨み、シグルーンは不愉快そうな表情をしていた。



「特別実習の際、わたくし達が泊まったアリサさんの実家ですわよね?」

「ログナーというからには彼も四大名門なのだろうが……どうやら会長のおられぬ間にやりたい放題やっているようだ。」

「にしても、部外者が勝手に他人の家に寛いでるなんてねぇ。」

セレーネは複雑そうな表情をし、ラウラは眉を顰め、サラ教官は呆れた表情で溜息を吐いた。

「はあ……文字通り大切なものを土足で踏みにじられた気分だわ。とにかく今は、本社ビルには近寄れないわね。」

「ああ、他の場所で聞きこみをするとしよう。」

その後情報収集を再開したリィン達だったがアンゼリカとイリーナ会長の行方は掴めなかった。



~市内~



「……ダメだわ。母様もアンゼリカさんも、まったく行方がわからない。この街も完全に貴族連合に支配されているみたいだし……」

「ある程度状況はわかったけど手詰まりになってしまったな。どこかに手がかりがあればいいんだが。」

今後の方針にリィン達が考えているとアリサのARCUSが鳴り始めた。



「あら、私のARCUSが……」

「カレイジャスから……ってわけじゃなさそうだな。さすがに通信範囲外だろうし。」

「ええ……ちょっと出て見る。もしもし……?」

通信相手を若干警戒しながらアリサは通信を開始した。



「もしもし、アリサ?私よ。ユーナよ。元気にしていた?」

「ユーナ……?久しぶりじゃない!そっちこそ元気にしていたの?」

「ふふ、おかげさまでね。アリサ、突然だけど今から”ドヴァンス食堂”に来てくれない?とても大事な話があるの。」

「……大事な話?というか、どうして私がルーレに戻ってるって知ってるのよ……!?」

「ふふ、ちょっと事情があってね。それじゃあ待ってるわね。また後で。」

「ちょっ――――ユーナ!?」

一方的に通信を切られた事に驚いたアリサは声を上げた。



「切れちゃった……」

「確かアリサさんの友達でしたっけ?」

「ええ、何だか私達に大切な話があるらしくて。西口にある”ドヴァンス食堂”に来て欲しいみたいなの。」

「……ちょっと気になるな。よし、確かめに行ってみるか。」

その後リィン達は通信相手に指定された食堂に向かった。 
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