英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~特務支援課の決意~
~メルカバ・玖号機・甲板~
「しっかし、思えば遠くに来ちまったって感じがするな。」
「そうですね……狭いクロスベルの中にいるのは変わらないのに。」
疲れた表情で言ったランディの言葉にティオは頷き
「………多分、私達だけじゃなくて、クロスベル、ううん大陸全土が動き始めてるからだと思う。ひょっとしたら歴史の転換点に立ち会っているのかもしれない…………………………」
エリィは複雑そうな表情で言った後黙り込んだ。
「――――エリィの言う通り、ここが歴史の転換点。ここから………ううん、キョクチョー達がクロスベルの覇権を握ってからメンフィルと一緒に二大国に戦争を仕掛けて、ゼムリア大陸の状況が大きく変わるよ…………………」
「「「…………………」」」
「キーアちゃん………………………………」
目を伏せた後真剣な表情で言ったキーアの言葉を聞いたロイド、ティオ、ランディはそれぞれ複雑そうな表情や不安そうな表情、厳しい表情で黙り込み、エリィはキーアを見つめた後目を伏せて黙り込み
「エリィ………やっぱりマリアベルさんたちと事を構える事やマクダエル議長の引退と共に局長達に政府の実権を握らせる事には抵抗があるのか?」
ロイドは複雑そうな表情でエリィを見つめて尋ねた。
「そうね………私にとっては馴染み深い人達だったから。それに、政治の観点から言えば彼らのやろうとしている事や局長達のやろうとしている事にも否定しきれない自分もいる………そして………お義兄様や局長達の性格上、絶対にディーターおじ様やベルを生かしておかないでしょうね。むしろ反乱分子の意志を砕く為やメンフィルに逆らった見せしめとして処刑するような気がするわ……………」
尋ねられたエリィは複雑そうな表情で頷いた後疲れた表情になり
「……………………………」
「……そうか……………」
ティオは黙り込み、ロイドは疲れた表情で溜息を吐いた。
「………ねえ、キーアちゃん………10年後にもベルとディーターおじさまは生きているのかしら?」
エリィは不安そうな表情でキーアに尋ねたが
「………ゴメンなさい………人の生死を教えるのもまた未来に影響する事だからゼッタイに教えられないの………そしてその人の”運命”を変える事も……………」
(――――過去の者が未来を知るのは”禁忌”の一つだ、エリィ。下手をすれば目の前にいる”キーア自身”が消えかねない事だぞ。)
「(そう………)………ごめんね、言い辛い事を聞いてしまって………」
キーアの答えとメヒーシャの念話を聞いたエリィは頷いた後寂しげな笑みを浮かべた。
「……ま、鉄血宰相じゃねえが、もっとエゲつない事をしてる連中は山ほどいるだろうしな………」
そしてランディが疲れた表情で溜息を吐いたその時
「――――でも、これだけは言える。どれだけ状況が変わろうと私達は『特務支援課』だわ。その部分だけは何があっても揺るがないと思う。」
エリィは決意の表情で言った。
「エリィ………」
「……エリィさん………」
「えへへ……それでこそキーアが大好きな『特務支援課』だよ♪」
「はは、何だよお嬢。警察なんぞ所詮、腰掛け程度じゃなかったのか?」
エリィの言葉を聞いたロイドやティオは口元に笑みを浮かべ、キーアは笑顔になり、ランディは苦笑しながら尋ね
「ふふ、最初の頃はね。………でも駄目ね。もう私は染まってしまった。多分、将来どんな道を選ぶことになったとしても………貴方たちと過ごした日々は今後も私にとっての根っこであり続けるような気がするわ。」
尋ねられたエリィは微笑みながら答えた。
「………そっか。」
「わたしも……同じです。」
「勿論キーアも♪」
エリィの答えを聞いたロイドとティオは静かな笑みを浮かべ、キーアは笑顔を浮かべて言い
「ハハ、そういう意味じゃ課長も因果な部署を立ち上げたもんだよな。いや、元はと言えばロイドの兄貴のアイデアか。」
ランディは苦笑した後ある事に気付いてロイドを見つめた。
「はは、兄貴もさすがにこんな状況になるなんて想像もしてなかったと思うけど。」
仲間達に見つめられたロイドは苦笑し
「……………キーアを取り戻すかつ”今ここで笑顔を浮かべているキーア”を守り、今回の事件を解決すること。多分それは、特務支援課として果たすべき使命の象徴かもしれない。ただ、そんな理屈を無理に考えなくてもいいと思う。俺達にとって大切と思えるもののために………今はただ、前を向いて進もう。」
そして気を取り直して真剣な表情でキーアに視線を向けた後エリィ達を見回しながら言った。
「ええ……!」
「キーアも”この時代のキーア”の”未来”を守る為に頑張るね!」
ロイドの言葉にエリィとキーアは頷き
「音信不通の課長も探さないといけませんね。」
「ハハ……だな。」
ティオが呟いた言葉にランディは苦笑しながら頷いた。
「そういや鉄血宰相で思い出したがまさか俺達が以前”特別模擬戦”で戦ったあのリィンって奴が鉄血宰相の実の息子とはな……」
「エリゼさん達からその話を聞かされた時はマジで驚きましたね。」
「その話にも驚いたけど、私は”四大名門”の”アルバレア公爵家”の長男が”鉄血の子供達”の”筆頭”である事に驚いたわ……」
「どちらもエステルが”空の女神”の子孫だって判明した時と同じくらい驚く情報だよな……」
ある事を思い出したランディの言葉に続くようにティオやエリィ、ロイドは疲れた表情で溜息を吐き
「……………………」
キーアは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「そんでもって俺らが”Ⅶ組”の連中や正規軍がエレボニアの内戦を終結させるよりも早くクロスベルを解放すればエレボニアはゲームオーバーとか、色々な意味でプレッシャーがかかるじゃねえか……」
「……まあ話を聞く限りそうなった事や戦争回避条約でメンフィルに滅茶苦茶搾り取られる事になったのもエレボニア帝国の自業自得だと思いますが。」
「……メンフィル帝国領であるユミルに2度に渡る襲撃をした事に加え、ユミルの領主夫妻に危害を加えた事やエリゼさんの妹であるエリスさんの誘拐と脅迫によるリィンさんの誘拐……メンフィルが戦争を仕掛ける理由としては十分すぎるわ。むしろメンフィル側から戦争を回避できる条約を提示してもらえただけでも”奇跡”に近いでしょうね。」
疲れた表情で溜息を吐いたランディの言葉に続くようにティオはジト目になり、エリィは複雑そうな表情で呟き
「………キーアは知っているんだよな?エレボニアがどうなるかも。」
「うん…………未来は教えられないけど……――――キーアの時代のエレボニアの人達も前を向いて頑張っている。それは確かな事だよ。」
ロイドに尋ねられたキーアは静かな表情で答えた。
「そうか…………」
「私達にとってそれを聞けただけで十分よ……」
「……ですね。」
「だな。未来を知っているキー坊からのお墨付きも貰った事だし、これで”Ⅶ組”やエレボニアの連中に気にする事なくクロスベルを解放して俺達の時代のキー坊を取り返せるな!」
キーアの答えを聞いた後ロイド達と共に静かな笑みを浮かべたランディはロイド達を見回し
「ああ!」
「はい!」
「ええ!」
ロイド達はそれぞれ力強く頷いた。
「フフ………それにしても未来のキーアちゃんがこんな素敵な女性になっているなんてね………う~ん、今のキーアちゃんに合う服を選べないのが凄い悔しいわ……しかも今のキーアちゃんは大人なんだから、香水やお化粧だって必要だし。」
「それは同感です。そこの所については未来のわたし達に嫉妬ですね。」
エリィは微笑みながらキーアを見つめ、エリィの言葉にティオは頷き
「ハハ………」
「ま、気長にキー坊が成長するのを待とうぜ。でないとキー坊の成長を楽しめないだろう?」
ロイドは苦笑し、ランディは口元に笑みを浮かべて言った。
「えへへ………ちなみにキーアの付けている香水やお化粧はみんなエリィ達に教えてもらったんだよ♪」
「そう……………」
「……早くわたし達の時代のキーアを取り戻して、色々教えましょう。」
無邪気な笑顔を浮かべて言ったキーアの言葉を聞いたエリィは微笑み、ティオは静かな笑みを浮かべて言った。
「そうね………―――――それよりも。ロイド。キーアちゃんの事情を聞いた時からずっと思っていたけど………ど・う・し・て!未来のキーアちゃんは貴方のファミリーネームを名乗っているのかしら??まさかキーアちゃんにまで手を出すとは思わなかったわよ?」
ティオの言葉に頷いたエリィは膨大な威圧を纏った笑顔を浮かべてロイドを見つめ
「だ、だから違うって言っているだろう!?」
見つめられたロイドは慌て
「そう言えばお嬢、ロイドの奴、リーシャちゃんを説得する為に『君は俺がもらう』って言ってやがったぞ!」
「ランディッ!!」
ランディはからかいの表情でエリィに視線を向けて言い、ランディの言葉を聞いたロイドは声を上げた。
「へー……随分と大胆な告白をしたのね?私にはそんな言葉、一言も言ってくれた事はなかったのに。(当面のライバルはルファディエルさんと思っていたけど………まさか伏兵が潜んでいたなんて。本当に油断も隙もないわ………)」
するとエリィはさらに膨大な威圧を纏ってジト目でロイドを見つめて近づき
「い、いやこれには訳が………!」
エリィに近づかれたロイドは後ずさり
(あ、エリィ。ちなみに未来のロイド、たくさんの奥さんがいるよ♪しかもみんな、エリィの知り合いだよ♪)
キーアは無邪気な笑顔を浮かべてエリィに小声でささやき
「(そう………”やっぱり”ね。)フフ………時間はたくさんあるのだから、じっくりと2人っきりで”話し合い”ましょうね?」
「ちょっ、エリィ………そんな引っ張らなくてもいいんじゃ………!」
そしてキーアの言葉に頷いたエリィは微笑みながらロイドと腕を組んだ後その場からロイドを無理矢理連れてその場から去り
「へっ、たっぷりと怒られやがれっ!!」
「自業自得ですね。」
(全くだな。むしろまだまだ足りん!)
「えへへ……………これが本当のシュラバだね♪でも、リィンと比べればまだマシかな♪」
ロイド達が去った方向を見つめて言ったランディの言葉にティオとラグタスはそれぞれ頷き、キーアは無邪気な笑顔を浮かべて言った。
「リィンさんですか。確かに今の状況を考えるとヴァイスさんやロイドさんよりも凄い事になっていますものね。しかもサティアさんの妹であるアイドスさん―――”女神”と契約したどころかエレボニア帝国のアルフィン皇女と結婚確定とかあの人のリア充っぷりはロイドさんやヴァイスさん、後はリウイ陛下やセリカさんをも越えている気がします。」
「あの真のリア充野郎め……!下手したら将来は世界中の綺麗所を全部落として喰う気じゃねえのか!?」
「しかもロイドさんと同じ”天然”ですから性質が悪すぎです……被害者は最終的に一体何人になるのやら。エリゼさんやアリサさん達には同情しますね。」
キーアが呟いた言葉を聞いたティオはジト目になり、ランディは身体を震わせて悔しそうな表情で声を上げた。
「とりあえずロイドの倍はいる事は確実だよ♪ちなみにキーアの時代のシュバルツァー家は子供が何人もいて、とっても賑やかな家庭だよ♪」
「何十人の間違いじゃないですか?」
「畜生――――――ッ!あんのリア充野郎め―――――――ッ!いつかギルドにエステルちゃんとセリカ達がロイドとテメェに天罰を与える依頼を出してやるから首を洗って待っていやがれっ!!」
そして無邪気な笑顔を浮かべるキーアにティオはジト目で指摘し、ランディは悔しそうな表情で声を上げてエレボニア帝国がある方向を睨みつけていた。
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