英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~黒の霊姫(ダークプリンセス)アルティナ・オライオン~前篇
その後仲間達と合流したリィンはカレイジャスに乗船した。
~カレイジャス・ブリッジ~
「それじゃあリィン君、次はどこに行くの?」
「えっと……その前にⅦ組のみんなやエリス達をこの場で集めてください。後アルフィン皇女殿下も。」
「ふえ?」
「?何かあるのかしら?」
リィンの申し出を聞いたトワは不思議そうな表情をし、サラ教官は首を傾げて尋ねた。
「その……みんなが集まったら言いますのでお願いします。」
そして少しするとⅦ組のメンバーや協力者達、アルフィン皇女がブリッジに現れた。
「それでリィンさん?わたくし達にお話があるとの事ですが……一体何なのでしょうか?」
その場にいる全員を代表してアルフィン皇女が尋ね
「その……さっきユミルで新たな”契約”を結んだ仲間がいるので、混乱が起きない内に紹介しておこうと思いまして。」
リィンは疲れた表情で答えた。
「ええっ!?ユミルでだって!?」
「ビックリ。いつ、どこで”契約”を結んだの?」
「恐らくオレ達と離れていた時だと思うが……」
リィンの話を聞いたマキアスとフィーは驚き、ガイウスは目を丸くしてリィンを見つめ
「そ、それより……”契約”と言う事はその方はお兄様の使い魔になられたのですよね?」
「ベルフェゴール達の事を考えたら、その使い魔ももしかして女性じゃないかな~?」
ある事に気付いたセレーネは表情を引き攣らせ、ミリアムは興味ありげな表情でリィンを見つめた。
「に・い・さ・ま~~~~~??」
「う”っ…………」
膨大な威圧を纏ったエリスに微笑まれるとリィンは表情を引き攣らせて身体を震わせ
「待って、エリス……もしかしたらユーシスみたいに見た目は魔獣みたいな異種族と契約したのかもしれないから、一端落ち着きましょう?」
(ヒッ!?またアリサが怖くなった……!)
アリサも顔に青筋を立てて膨大な威圧を纏って微笑みながら口元をピクピクさせてリィンを見つめ、その様子を見たミルモはアリサを怖がった。
「おい……天使族のアルバレア号を魔獣如きと一緒にするな。」
「フフ、確かにその可能性は考えられますが……」
「今までが今までだからとてもその可能性だとは思えないわよねぇ?」
ユーシスは目を細めてアリサに指摘し、苦笑するシグルーンの言葉に続くようにサラ教官は口元をニヤニヤさせ
「というかその使い魔もまた異種族の王族種とかじゃないでしょうね?」
「確かに……アイドス殿を除いたリィンと契約している異種族達の者は皆王族に値する者達だな。」
「ア、アハハ……」
呆れた表情をしたセリーヌの言葉を聞いたラウラは考え込み、エマは冷や汗をかいて苦笑した。
「それでリィン。その人はどんな人なの?もしかして私が貴方を見た時に”見えた”人?確かミリアムと同じくらいの年齢に見える女の子だったけど……」
「「なっ!?」」
ゲルドの問いかけを聞いたアリサとエリスは声を上げ
「う”…………多分その通りだよ……(というかそこまでわかっていたんなら、その時に教えてくれよ……)――――アルティナ!」
唸り声を上げて疲れた表情をしたリィンはアルティナを召喚した。
「ふえっ!?こ、子供??」
「ええっ!?あ、貴女は……!」
「ユミルで私と姫様を誘拐した……」
アルティナの登場にトワやアルフィン皇女は驚き、エリスは信じられない表情をし
「ちょ、ちょっと!?その娘は確か……!」
「ユミルの時にリフィア殿下に討ち取られた貴族連合の協力者……確かアルティナという名前だったな……」
「ど、どどどどど、どうなっているんだ!?彼女の遺体は僕達がこの手で埋葬したぞ!?」
エリオットは驚き、ガイウスは目を丸くし、マキアスは混乱した様子でアルティナを見つめた。
「まさかお化けとか?」
「―――その推測に修正を求めます。私は”凌恋の霊姫”を先程取りこみ、自らの”糧”としたので種族名で言うなら”凌恋の霊姫”と呼ぶべきかと。」
「”凌恋の霊姫”……”憑魅霊”族の王族種に当たる”幽霊”ですわね。」
フィーの疑問に静かな表情で答えたアルティナの答えを聞いたシグルーンは真剣な表情で呟いた。
「と言う事はそなたは……!」
「わ、私達に埋葬された後この世に未練があった為、幽霊としてこの世に残っていたのですか……!?」
シグルーンの説明を聞いたラウラは目を見開き、エマは信じられない表情でアルティナを見つめ
「……わかりません。気が付けば私とクラウ=ソラスが埋葬された墓の前にいました。勿論クラウ=ソラスもいます。――――クラウ=ソラス。」
「―――――」
アルティナは複雑そうな表情で答えた後クラウ=ソラスを召喚した。
「ふええええっ!?ミリアムちゃんのアガートラム君と同じ……!」
「あ、クーちゃん!」
「――――?」
「ですから、クラウ=ソラスを混乱させないで下さいと何度言えばわかるのですか。」
「ハアッ!?何で傀儡まで幽霊になっているのよ!?」
クラウ=ソラスの登場にトワは驚き、ミリアムは嬉しそうな表情をし、アルティナは呆れた表情でミリアムに指摘し、セリーヌは驚きの表情で尋ねた。
「本人が言うにはクラウ=ソラスも自分の魂の一部だからだそうだが…………―――アルティナ。ちょうどいい機会だ。エリスとアルフィン殿下にユミルの件での事をちゃんと謝るんだ。」
「…………了解しました。アルフィン皇女殿下並びにエリス様。ユミルの時は危害を加えてしてしまい、大変申し訳ございませんでした。お詫びに可能な限りお二人の求めている事をするつもりですので、何かあれば遠慮なくご命じください。」
リィンに言われたアルティナはエリスとアルフィン皇女を見つめて頭を下げ
「い、いえ。わたくし達はあの件はただ命じられてやっただけで、貴女自身の意志でやった事はないと理解していますから、もう気にしていませんわ。そうですわよね、エリス?」
「ええ。―――――それよりも。今から話し合う事がありますので、訓練室まで来てもらいますね。に・い・さ・ま~~~??」
戸惑いの表情をしているアルフィン皇女に視線を向けられたエリスは頷いた後膨大な威圧を纏って微笑みながらリィンの腕を掴んだ。
「エリス!?何で訓練室で話し合う必要があるんだよ!?」
「勿論私も付き合うわよ、エリス?(こんな小さな子供にまで性魔術をするなんて……!幾ら何でも節操がなさすぎよ!)」
「……今日という今日はそなたの普段の行動がどれほど罪深く、早急に改善が必要である事なのかをその身に叩きこんでやる。二人とも、私も付き合うぞ。」
「アリサ!?それにラウラまで何でだ!?ちょっ、誰か助け―――」
そしてリィンはアリサ達に連れて行かれ、その様子を仲間達は誰一人として助けることなく冷や汗をかいて見守っていた。
「……あ………この後リィンがエリス達に酷い目に合される所が”見えた”わ……」
「予知能力がなくてもアタシ達でも”見える”わよ、そのくらいのこと。」
「ア、アハハ……」
リィン達が退出した後静かに呟いたゲルドの言葉をセリーヌは呆れた表情で指摘し、エマは苦笑し
「アハハハハハッ!ついに子供にまで手を出すとはね!いつかやるとは思っていたわよ♪」
「阿呆が。こんな幼子にまで手を出すとは見境がなさすぎるだろう。」
「というか幽霊と”契約”するなんて非常識な……いや、女神とも契約しているんだから、”今更”か……」
「しかもまた王族種だものね……」
「フフ、リィンだから仕方ないかもしれないな。」
大声で笑ったサラ教官は口元をニヤニヤさせ、ユーシスとマキアスは呆れ、エリオットは苦笑し、ガイウスは静かな笑みを浮かべた。
「クレア大尉の件も合わせてエリゼお姉様に後で凄く怒られるのでしょうね……」
セレーネは冷や汗をかいて苦笑し
「……そう言えばマスターの話によると私の遺体とクラウ=ソラスの残骸を貴方達が丁重に埋葬してくれたとの事。遅くなりましたが、お礼を言わせて下さい。―――――敵対関係であった私とクラウ=ソラスを丁重に埋葬して頂いた上私達のお墓まで作って頂き、本当にありがとうございました。」
「――――――」
ある事を思い出したアルティナはⅦ組の面々を見回した後その場で頭を下げ、クラウ=ソラスも続くように機械音を出し、アルティナの行動と言葉にその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「え、えっと……」
「ど、どういたしまして……と言うべきでしょうか……?」
「死体を埋葬した本人達に死体を埋葬した事にお礼を言われるのなんて、色々な意味で非常識すぎるぞ……」
そして我に返ったエリオットは困った表情をし、エマは苦笑し、マキアスは疲れた表情で呟き
「?そう言えば以前会った時より、胸がかなり大きくなっていない?」
「あ、ホントだ。なんでなんで~??」
アルティナの豊満な胸に気付いたフィーは目を丸くし、ミリアムは興味ありげな表情をして尋ねた。
「”凌恋の霊姫”を取りこんだ際に、膨大な魔力を得ると共に胸も大きくなりました。」
アルティナの答えを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「何それ。訳わかんないだけど。」
「はうう~……ちょっと、羨ましいよ……ちょっとだけでもいいから、わたしにもわけて欲しいくらいだよ……」
「異種族が昇格すれば姿も変わる事はよく聞きますが……一部の身体的特徴だけ変わるのは初めて聞くケースですわね……」
フィーはジト目で呟き、トワは羨望の眼差しでアルティナの豊満な胸を見つめた後控え目な大きさの自分を胸を見て溜息を吐き、シグルーンは目を丸くしてアルティナの胸を見つめていた。
「むぅ……リィンさんの将来の妻の一人になるわたくしもアルティナさんに負けないようにバストアップの努力を今からしておく必要がありますわね!ちなみにゲルドさん。わたくしの胸は将来、どのくらい大きくなるのか”見えます”か?」
「殿下……」
「えっと…………」
頬を膨らませた後真剣な表情でゲルドに尋ねるアルフィン皇女の様子を見たユーシスは疲れた表情をし、ゲルドはアルフィン皇女をジッと見つめて予知能力を使おうとし
「アンタもそんな下らない事に予知能力を使わなくていいわよ。」
セリーヌは呆れた表情でゲルドに指摘した。
「そ、そう言えばこの場合、”戦争回避条約”はどうなるのでしょう……?」
「それは……」
「アルティナさん自身はあの時リフィア殿下に処刑されましたが、幽霊とはいえ今この場に存在していますものね……」
その時ある事に気付いたセレーネの言葉を聞いたガイウスとエマは不安そうな表情でアルティナを見つめ
「……まさかとは思うけど、幽霊でも処刑するとか言いださないでしょうね?」
サラ教官は真剣な表情でシグルーンを見つめて尋ねた。
「フフ、その点はご安心ください。”戦争回避条約”にも記されてあった通り”アルティナ・オライオンの処刑は既に実行された事になっています”。それにメンフィルの貴族であるリィンさんが幽霊の彼女と”契約”しているのですから、”一応”条約文通りメンフィルに引き渡された事になっています。後で私の方でリフィア殿下に連絡して彼女の事を説明し、幽霊になってしまった彼女の処刑はしないように説得しておきますのでご安心ください。殿下もよほどの事が無い限り、魂の消滅までは求めませんし、”被害者”であるリィンさんに直接仕える事になりますから、きっと彼女の事をお許しになると思われますわ。」
「……私はリィン様――――マスターの使い魔ですので、決してマスターに逆らう事はしませんし、マスターが望むのならば不埒な行為も致します。」
シグルーンの答えに続くようにアルティナは静かな表情で答え
「ア、アルティナさん!?」
「うふふ、わたくしも負けませんわよ♪」
「はわわわわわわっ!?」
アルティナの答えを聞いたセレーネは驚き、アルフィン皇女はからかいの表情になり、トワは真っ赤になった顔で慌て
「ふ、”不埒な行為”ですか……」
「一体何の行為をするつもりよ……」
ある言葉が気になったエマは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、セリーヌは呆れた表情をした。
「ま、まままままま、まさかとは思うがいかがわしい事じゃないだろうな!?」
「フッ、エリゼと”氷の乙女”が知ればアリサ達と似たような反応をするだろうな。」
「アハハ……というかセレーネのお姉さんであるツーヤもまた増やした事に怒って、アリサ達と同じ反応をするような気がしてきたよ……」
「……まあ、今までが今までだったからな。」
マキアスは混乱した様子でアルティナを見つめ、静かな笑みを浮かべたユーシスの推測を聞いたエリオットとガイウスは苦笑し
「というか前々から思っていたけどリィンの好みってやっぱり巨乳なのかな?……何だかムカついてきた。わたしもラウラ達に付き合って来る。」
「わ、わたしも一緒に行ってリィン君を注意して来る!まだ学生なんだからエッチなのはダメだって事を生徒会長としてしっかり注意しないと!」
「あ…………」
そしてジト目になった後その場からトワと共に退出する様子のフィーをゲルドは呆けた様子で見守っていた。
「えへへ!何はともあれよろしくね~、アルティナ、クーちゃん!これからは仲間だから、いつでもいろんな事をたくさん話せるね♪」
「――――?」
「……ですからクラウ=ソラスを混乱させないで下さいと何度言えば理解できるのですか。それと私に抱き付く意図が理解できません。」
そしてアルティナは嬉しそうに自分に抱き付くミリアムにジト目で指摘した。
数時間後シグルーンから連絡を受けたリフィアはロイド達と合流したエリゼにアルティナの件を伝えていた。
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