カップルの失踪
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4部分:第四章
第四章
趙虎は表情を消して聞くばかりだった。そして動物達はだ。男が話す間も二人が動物園を歩き回る間もだ。始終彼等に訴える様な素振りを見せていた。それは彼等が動物園を後にするまで続いていた。
その動物園を出るとだ。すぐにだ。
趙虎は小声でだ。こうアラガルに囁いた。
「どう思われますか」
「どうか、だね」
「はい、あの動物園は」
「結論から言うとおかしいね」
アラガルはいぶかしむ声で述べた。
「動物園の動物達といいあの白衣の男といい」
「それにですね」
「それに?」
「あの青い四つ目に見えるオランウターンですけれど」
趙虎はそのオランウータンのことも話すのだった。
「あんな動物パナマにいませんよ」
「いないのかい?」
「はい、私はパナマにいたことがありますけれど」
それでわかるというのである。
「あんな動物いませんよ」
「そうか、いないのかい」
「他の動物もおかしなのばかりですし」
「中には自然の摂理を無視したようなのもいるしね」
「絶対におかしいですね、あの動物園は」
「しかも研究所でもあるし」
アラガルはこのことにも注目した。
「何かあると思っていいかな」
「それじゃあ今夜にでもですね」
「調べようか」
こうしてだった。そのうえでだ。
二人はだ。その夜に実際にその動物園に潜入した。夜の動物園はだ。
静まり返り暗闇しかなかった。二人はその中を進んでいく。
そしてやがて。奥にある建物に気付いた。そこは。124
「ここ、何だと思います?」
「一見するとただの建物だけれどね」
外見は学校の校舎に見える。しかしなのだった。
アラガルも趙虎もだ。直感でそこに怪しいものを感じた。それでだ。
二人でだ。そこにも潜入した。その中は。
「!?何だここは」
「何か変わり栄えしませんね」
そこはこの建物の動物園だった。全く同じだった。
ガラスがありその中に動物達がいる。そうした場所だった。
やはり変わった動物達がいてそれぞれ蹲り寝ている。何か悲しさをたたえながら。
アラガルはそれを見てだ。趙虎に述べた。
「ここはね」
「はい、彼等はですね」
「目を覚まさせないようにしよう」
こう彼に話すのだった。
「彼等を起こしたら可哀想だよ」
「そうですね。それは」
「後、ここに誰かがいたら」
その危険は充分にあった。アラガルはそのことも話すのだった。
「彼等が起きて騒いだら」
「その誰かが来て」
「厄介なことになるから。静かに行こう」
「わかりました。それなら」
二人はこう話してだ。そのうえでだ。
建物の中を調べている。だが中は何処も同じだった。やはり普通の、何かが変わった動物園だった。その中を進んで、であった。
調べているとだ。一階の奥にだ。
関係者以外は立ち入り禁止と書かれた扉があった。それを見てだ。
アラガルがだ。また趙虎に言った。
「扉の中に入るかい?」
「そうするべきですね」
こう答える趙虎だった。
「ここは是非」
「そうだね。それじゃあ」
「中に入ろう」
扉は暗証番号形式だった。それを見てだ。
アラガルは小さな金色のカードを出した。それを番号を入力するキーボードに着ける。するとだ。
それだけで扉が開いた。番号が入力されてた。
「便利ですね、相変わらず」
「うん、こうして触れさせるだけで暗証番号を読み取って開かさせる」
「本当に使えますね」
「悪用されたら洒落にならないものだけれどね」
「それでもですね。こうした時は」
「便利なものだよ」
こんな話をしてだ。そのうえでだった。
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