英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第70話
リィンとアルフィン皇女が先に進み、広い場所に出るとそこにはある人物が待ち構えていた。
~パンダグリュエル・艦内通路~
「……っ………!?」
「先輩の忠告通り、やはりいたか……」
待ち構えている人物―――デュバリィを見たアルフィン皇女は息を呑み、リィンは警戒の表情をした。
「アルフィン皇女も連れて脱出とは……全く……大胆な事をしてくれますわね。」
デュバリィは呆れた表情でリィンをアルフィン皇女を見つめていた。
「貴女も……まさか先回りされるとはね。”神速”―――二つ名は伊達じゃないみたいだ。」
「む…………生意気な口を。まあいいですわ。剣士としての格の違い、存分に思い知らせてくれますわ!」
リィンの言葉にジト目になったデュバリィだったがすぐに気を取り直して剣と盾を構え、リィンも太刀を鞘から抜いて迎撃の構えをした!
「……リィンさん……」
「大丈夫です、殿下。この程度の戦力差なら何とか切り抜けてみますから。」
心配そうな表情で自分を見つめるアルフィン皇女を安心させるかのようにリィンはアルフィン皇女に視線を向けて言った。
「ひ、彼我の実力差も弁えぬ、愚にも付かぬ大言壮語ぶり……そこに直りなさい!わたくしが成敗してくれます!」
リィンの言葉を聞いて顔に青筋を立てて笑顔を浮かべていたデュバリィは剣の切っ先をリィンに向けて声を上げた!
「―――それはこちらの台詞だ。」
するとその時リィンは胸を抑え、全身から凄まじい”気”をさらけ出し始めた!
「っ……!?」
「リ、リィンさん……」
リィンの様子を見たデュバリィは驚き、ユミルでの出来事を思い出したアルフィン皇女は心配そうな表情でリィンを見つめた。
「ありがとう……アルフィンやエリス、そしてエリゼのおかげだ。いや、Ⅶ組のみんなや世話になった全ての人の――――おおおおおおおっ……!神気――――合一!!」
そしてリィンは銀髪と真紅の瞳へと変貌し、周囲から凄まじい”気”をさらけ出していたが今までと違い、正気を保っていた。
「な、なんですのっ……!?」
「…………あ…………」
リィンの変貌にデュバリィは戸惑い、アルフィン皇女は呆けた。
「八葉一刀流、中伝。リィン・シュバルツァー、参る!」
そしてデュバリィに戦闘を仕掛けたリィンは圧倒的な”力”で”執行者”と同等の実力を持つ”神速”のデュバリィをたった一人で圧していた!
「な、なんですの!?この力はっ……!」
リィンと距離を取って対峙しているデュバリィはリィンの強さに信じられない表情をしてリィンを見つめた。するとその時
「縛ッ!!」
リィンはクラフト―――魔眼を発動した!
「グッ!?なっ!?こ、これは……”魔眼”!?何故貴方がこれを使えるんですの!?」
突如身体の動きが封じられたデュバリィは驚きの表情で声を上げた!
「リィンさん……」
「―――殿下、失礼します。」
「え。」
リィンの言葉にアルフィン皇女が呆けたその時リィンは太刀を鞘に収めてアルフィン皇女を抱き上げた!
「きゃっ……」
そしてリィンは人間業とは思えない身体能力で跳躍して上層部に着地し、その場から去って行き
「ま、待ちやがれですわ~~っ!」
その様子を見ていたデュバリィは悔しそうな表情で声を上げた!
「……このまま一気に甲板を目指します。大丈夫ですか、殿下?」
アルフィン皇女を抱き上げた状態で走り続けるリィンはアルフィン皇女に視線を向け
「は、はいっ……!……その、別の意味でドキドキしていますけど……」
「別の意味?」
頬を赤らめて嬉しそうな表情をしているアルフィン皇女の言葉を聞いたリィンは不思議そうな表情でアルフィン皇女を見つめ
(うふふ、これが本当の”お姫様抱っこ”ね♪)
(ふふふ、まさに言葉通りの状態ですね。)
(フフ、アルフィン皇女が羨ましいですね。)
(……そうね。)
その様子をベルフェゴール達は微笑ましそうに見守っていた。
「おいおい、この状況でよくイチャつくことができるな。」
その時声が聞こえ、声が聞こえた方向に視線を向けるとそこにはヴァルカンが武器を構えてリィン達を待ち構えていた!
「……!」
「あんたか……!」
ヴァルカンの姿を見たアルフィン皇女は不安そうな表情をし、リィンは厳しい表情をした。
「クク、いい度胸だぜ、小僧。ここから先は通行止めだ――――ん……!?」
不敵な笑みを浮かべたヴァルカンだったが何とリィンは人間業とは思えない動きでヴァルカンを惑わしながら分け身達と共にヴァルカンを通り越した!
「おいおい、嘘だろ?チッ、この様子じゃスカーレットも無理かもしれねぇな……!」
去って行くリィン達を呆けた様子で見つめていたヴァルカンだったがすぐに気を取り直してリィン達の追跡を始めた。
「殿下、すみません……!」
「だ、大丈夫です……!わたくしの事は気にしないで……!……その代わり、もっと強く抱きついてもいいですか……?」
走り続けるリィンに心配されたアルフィン皇女は期待を込めた目でリィンを見つめた。
「ええ、もちろん。……!」
アルフィン皇女の言葉に頷いたリィンだったが気配を感じ、正面を見つめるとスカーレットが待ち構えていた。
「フフ、皇女殿下を抱えて逃げるなんて、リーダーの言う通り、とんでもない女タラシね。」
「誤解を招くことを言わないでくれ……!」
スカーレットの言葉を聞いたリィンは疲れた表情で答えながらスカーレットに近づいたその時リィンはアルフィン皇女を肩に担いだ!
「きゃっ……!?」
突然の出来事にアルフィン皇女が驚いたその時リィンはスカーレットが攻撃を仕掛けると同時に片手で鞘から太刀を抜いてスカーレットを吹っ飛ばした!
「いたた……フウ、逃がしちゃったわね……追いつけるかしら?」
吹っ飛ばされて壁にぶつかったスカーレットは痛みに表情を顰めた後リィンの追跡を開始した。
「……………………」
再びリィンに抱き上げられた状態になったアルフィン皇女は黙ってリィンを見つめた。
「すみません、殿下。咄嗟だったとはいえ……」
「そ、それはいいですけどっ……リィンさんってやっぱり多くの女性に想いを向けられる罪深い人なんですねっ……!」
「えっと……真に受けないで頂けると。」
アルフィン皇女の言葉を聞いたリィンは冷や汗をかき
(うふふ、真に受けないもなにもその通りよね♪)
(ふふふ、全くですね。)
(クスクス、それに関しては言い訳のしようがないわよね。)
(ア、アハハ……)
ベルフェゴールとリザイラ、アイドスは微笑み、メサイアは苦笑していた。
「どうやら終点みたいです……!」
「あっ、誤魔化した……!」
そして二人はようやく甲板に到着したが、何と甲板にはクロウが待ち構えていた!
~甲板~
「あれが『灰の騎神』…………あ……クロウさん……」
ヴァリマールを見たアルフィン皇女は驚いたがクロウの姿を見て不安そうな表情をした。
「………………」
リィンは無言でアルフィン皇女を降ろした後クロウと対峙した。
「”鬼”の力―――ようやく使いこなしやがったか。しっかし、現金なヤツだぜ。まんまと可愛い子ちゃんに元気付けてもらいやがったな?」
「はは……まあね。それに妹達と、みんなと……ある意味クロウにもかもな。」
「ったく……」
リィンの言葉に苦笑したクロウだったがすぐに表情を引き締め、ダブルセイバーを構えた!
「殿下……下がっていてください。」
「……わかりました。」
アルフィン皇女が下がるとリィンは鞘から太刀を抜いた!
「”C”の仮面無しで立ち会うのは初めてか。騎神を駆るのは俺が上。生身じゃどちらが上か―――決着をつけるとすっか?」
「ああ……望む所だ。以前、ザクセン鉄鉱山の時はレン姫とアイドスの助力のおかげでお前に勝てたけど……今回ばかりは一人で届かせてもらう……!」
「ハッ、言ってろ。」
リィンに睨まれたクロウは鼻を鳴らした後全身に闘気を纏った!
「おおおおおおおっ……!」
「らぁああああおあっ……!」
そして二人は一騎打ちを開始した!
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