焼き鳥ハイスクールD×D ~ ちょいワルホスト系に転生した男 ~
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初めての眷属は英雄のクローン
「えっと、聞き間違いか?今俺の眷属にしてほしいと聞こえたんだが…」
突然の呂布の俺の眷属入りを願う発言に、俺は聞き間違いか確認する意味も込めて呂布にそう聞き返す。
「聞き間違いじゃない…。私をライザーの眷属にしてほしい…」
どうやら聞き間違いではないらしい。強い意志の込められた瞳でそう言われたら聞き間違いですますわけにはいかないだろう。
「あー、じゃあ理由を聞いてもいいか?」
「理由…?」
「そ、理由。別になにも考えないで俺の眷属になりたいって言ったわけじゃないだろ?だったら俺が理由を知りたいと思うのは当然だと思うが?」
確かに彼女が俺の眷属になってくれたらかなり嬉しい。でも理由も無しに眷属にするってのはなんか違うと思うしな。
呂布は少し考え込むような仕草を見せてからゆっくりと口を開く。まるで発する言葉を、一文字一文字。どこからか探すかのように。
「…ととさまに言われたから」
「初代様に?」
「そう。もし自分の子孫を気に入ったのなら、その人に力を貸してやってくれって……」
くわしく聞くと、彼女が封印されるまえにあるお願いを初代様にされたのだという。
そのお願いとは、“もし自分の子孫がお前たちのお眼鏡にかなったら、彼らに力を貸してくれないか?”というものらしい。最も、あくまでできればということらしいが。
「それでお前さんは俺のことを気に入ったから眷属になりたいと思った。…そういうことか?」
呂布は俺の言葉に頷くが俺には納得できなかった。
「だが呂布。俺がお前さんと出会ってからまだそれほど時間が経ってねえ。せいぜい二時間か三時間くらいだ。それで俺のどこを気に入ったっていうんだ?」
そう、こいつと俺は出会ったばかり。こいつが俺を気に入る理由がわからなかった。
呂布か俺の言葉に再度口を開く。
「ご飯くれた……」
「「「そこっ!?」」」
予想外の言葉に思わずネネ、レーレンの二人と一緒に突っ込んでしまった。
いや、確かにあげたけどさ、それはないだろ!?
ただ、さすがに理由はそれだけではなかったみたいで、呂布は俺たちのリアクションをスルーして言葉を続ける。
「それにライザー、ととさまに似ている……」
「へ?」
初代様に?俺が?
その呂布の言葉を聞いて、「そう言われれば…」と、ネネが覗きこむように俺の顔をまじまじと見てくる。
「確かに似ていますな。…特に目つきの悪いところとか」
「余計なお世話だ!」
というか、結構気にしてんだからそのこと言うのやめてくれ。それからレーレン。笑うのはやめなさい。口を押さえててもわかるから。
「だからライザーの傍にいると落ち着く……」
「それも俺の眷属になりたいという理由の一つか?」
「(コク)……だから一緒にいる」
ふむ。どうするか。
呂布の俺の眷属になりたいという理由はわかった。初代様に言われたというのもあるだろうが、彼女は俺に初代様の影を見ているのだろう。封印されていた理由をネネに聞いている間、ずっと見られてた気がするし。
でもなあ、だからといってそれだけで眷属にするっていうのもなんか違うような気がする。
とりあえず彼女の使い魔であるネネにも意見を聞いてみよう。
「ネネはそれでいいのか?呂布はこう言ってるが…」
「ネネはいいですよ?あくまでネネは使い魔ですから呂布殿のご遺志に従うまでなのです。それによく考えれば呂布殿がライザー殿の眷属になれば利点もありますから」
「利点?」
なんだそれ?
「ライザー殿の眷属に呂布殿がなれば、もし仮に呂布殿がクローン技術の使われた存在だということがばれたとしても少なくとも表では手をだすことはなかなかできないはずなのです。少なくともライザー殿が呂布殿を引き渡そうとしないかぎりは」
「いや、そんなことするわけないじゃん」
俺に得があるわけじゃなし。大体俺政府中枢のあの年取った悪魔たちあんま好きじゃないんだよね。あくまで原作知識で実際に会ったわけじゃないけど。
俺のその言葉を聞くと、ネネは満足そうな笑みを浮かべた。
「なら大丈夫。ネネは賛成なのです!」
どうやらネネは呂布が俺の眷属になるのは賛成のようだ。
ふと呂布の顔を見ると、期待。そして不安の感情が込められた瞳でこちらをじっと見つめていた。
「……はぁ」
そんな目で見られたら俺が悪者みたいじゃないか。
最初から彼女を眷属にするのは別に嫌だというわけではなかったので、(むしろ心の中ではなってくれないかなあと思ってた)、俺は今まで座っていた椅子から立ち上がり、机の周りをまわって呂布の目の前に立つ。
皆の視線を感じながらも俺は彼女にむかって言葉を発した。最後の意思確認の意味も込めて。
「本当にいいんだな?」
「(コク)うん……」
「危険なことがあるかも知れないぞ?命を落とすこともあるかもしれない」
ちなみにこれは脅しじゃない。俺はレーティングゲームに出るつもりだし、いずれはぐれ悪魔の討伐にもだされるだろう。そしたら俺の眷属たちも戦いの場にでることになる。
しかし、そんな事を聞いても彼女の意思は変わらなかった。
「大丈夫…。私強いから…」
「俺が君を裏切るかもしれない」
「それはない」
彼女はゆっくりと口元を笑みの形に変え、俺に向かってこう言った。
「ライザー、やさしいから」
……うん。思わず見とれちまった俺は悪くない。ネネなんか今の呂布の顔を見て鼻血でてるし。
というかその笑顔でその言葉は反則だろ!絶対、俺顔真っ赤だよ今……。
と、とりあえず俺の覚悟はこれで決まった。俺は机の上に広げられている俺のイーヴィルピースから『兵士(ポーン)』の駒を手に取る。
何故この駒なのかというと、おそらく悪魔の体を素体にしたクローンとはいえ、彼女の素質は体術方面には間違いなく強いはずなので、その時点で候補の駒は『僧侶(ビショップ)』を除いた他の四つになるのだが、魔力方面の素質があるかどうかは今はわからないので『女王(クィーン)』はとりあえずとっておくことにする。となると残るのは速さを強化する『騎士(ナイト)』、力と防御力を底上げする『戦車(ルーク)』、そして兵士(ポーン)の三つとなるのだが、ならば彼女の能力の高さはある程度保障されているので、条件はあるが全ての駒になれる兵士(ポーン)の駒がいいと考えたのだ。
俺は彼女の目の前にとりあえず兵士(ポーン)を八つ全て掲げる。
「それじゃあいくぞ?」
「(コク)ん…」
「『我、ライザー・フェニックスの名において命ず。汝、呂布 奉先よ。我が眷属と成るため、悪魔と成れ。汝、我れ唯一の『兵士(ポーン)』として、新たなる生に歓喜せよ!』」
すると、俺の持っていた兵士(ポーン)の駒八つの内七つが呂布の体の中に入っていき、彼女の背中から黒い悪魔の翼が現れた。
そうして、彼女『呂布 奉先』が、俺の初めての眷属となった。
というか、強力な神器(セイクリッド・ギア)も持たないで駒七つ分とか、クローンとはいえ流石呂布さんまじ半端ないと思ったのは、…まあどうでもいいか。
とりあえずは、
「父上たちにどう説明しよう……」
これからのことについて考え、少し憂鬱になるのだった。
後書き
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