英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第48話
~オーロックス峡谷道~
「ううっ……”鉄機隊”の筆頭騎士であるこの私があんな訳のわからない方法で敗北するなんて屈辱ですわ…………って、なっ!?あ、ありえません!まさか貴方が敗北したというのですか!?」
自分の敗北に唇を噛みしめていたデュバリィは地面に膝をついているマクバーンを見て信じられない表情をし
「まあ……あの方を降すとはさすがはエイドス様とアイドス様と言った所ですわね♪」
シャロンは目を丸くした後微笑んだ。
「え、えっと……」
「さすがにあの二人が相手だと、逆にあの二人を相手に勝てる相手が想像できないわよね……?」
「ア、アハハ……」
「フフ、そうだな。」
一方リィンは困った表情をし、アリサは表情を引き攣らせ、エマは苦笑し、ガイウスは静かな笑みを浮かべた。
「フム……”神速”を名乗るだけあって、相当の速さだった。機会あればそなたとも手合わせ願いたいところだ。」
「グググググ……ッ!私は貴女に敗北した訳ではありませんわ、アルゼイドの娘!」
「フン、負け犬の遠吠えだな。」
ラウラに見つめられて悔しそうな表情で怒鳴るデュバリィの様子をユーシスは鼻を鳴らして見つめていた。
「フウ。さすがにこの二人がいなかった危なかったわね……」
「そうだね……二人がいなかったら負けていたのは間違いなく、僕達だよ。」
安堵の溜息を吐いたエステルの言葉にヨシュアは頷き
「―――みんな、油断しないで。」
「まだそちらの方は余力を残しています。」
アイドスとエイドスは警戒の表情でマクバーンを見つめた。
「ククク………ん?ひょっとしてお前――――”混じって”やがるな?」
一方地面に膝をついて不敵な笑みを浮かべていたマクバーンはふとリィンに視線を向けると興味ありげな表情をして呟いた。
「……何のことだ?」
「……いや。気付いてないなら別にいい。その程度だったら高が知れてるだろうしな。」
「……?」
「一体何を……」
リィンに対する答えを聞いたエマとセリーヌは不思議そうな表情をし
「んじゃ、第二ラウンドを始めようぜ?」
「次は本気で参りますわ……!」
マクバーンは不敵な笑みを浮かべ、デュバリィは表情を歪めながらそれぞれ立ち上がった。
「―――だったらお次はあたし達も混ぜてくれないかしら?」
するとその時聞き覚えのある女性の声が聞こえて来た!
「あん……?」
「こ、この声……」
「あっ!」
声を聞いたマクバーンは眉を顰め、リィンとエステルは明るい表情をし
「―――やっと来たか。」
ユーシスが静かな笑みを浮かべたその時、雷撃が次々とマクバーンとデュバリィを襲い、二人はそれぞれ回避行動に専念した。
「っと……?」
「なっ、なんなんですの!?」
突然の奇襲に驚いたデュバリィが叫んだその時!
「―――はああああああああっ!!」
何とサラ教官が跳躍して二人に奇襲攻撃を仕掛けて二人をリィン達から距離を取らせ
「甘いっ!!」
「キャアッ!?」
「チッ!?」
サラ教官に続くようにバルディエルが雷を纏った槍を振るって二人にダメージを与えた!
「―――ふう、やれやれ。急いだ甲斐があったわね。ここまで化物じみた相手が来ていたなんて。幾らエステル達がいてもさすがに厳しかったでしょうし。」
「アンタは――――」
「サ、サラ教官!?」
「お久しぶりです、サラさん。」
サラ教官の登場にセリーヌは目を丸くし、エマは声を上げて驚き、ヨシュアは明るい表情で声をかけた。
「遅くなったわね。あたしが来たからには君達に指一本触れさせないわ。”Ⅶ組”の担任教官としてね!」
「教官……!」
「フフ、生徒想いの素晴らしい教官ですね。」
サラ教官の言葉を聞いたリィンは嬉しそうな表情をし、エイドスは微笑んだ。
「A級遊撃士―――”紫電”のバレスタイン……!」
「へえ、聞く名前だな。」
「夢……じゃないわよね?」
「だが……偶然ではあるまい。」
「まさか……ユーシス、そなたが?」
サラ教官の登場にアリサは呆け、ガイウスは静かな笑みを浮かべ、ある事を察したラウラはユーシスに視線を向けた。
「フフ、あるルートから極秘裏に連絡がとれてな。万が一を考えて保険をかけていたわけだ。」
「そうだったのか……」
「ふふ、サラ様。ご無事で何よりでしたわ。」
「はいはい、そりゃどうも。この子達の為に”蛇”の仲間相手にやり合ってくれたみたいだし。一応、感謝しとくわ。エステル達もまたその子達を助けてくれて感謝するわ。」
シャロンに話しかけられたシャロンは苦笑しながら答えた後エステル達にも話しかけ
「アハハ、あたし達は大した事はしていないって。」
「ええ、僕達も仕事を手伝ってもらいましたからお互い様です。」
話しかけられた二人はそれぞれ謙遜した様子で答えた後リィン達と共に武器を構えた!
「くっ…………遊撃士風情が加わったくらいで勝った気にならないでくださいまし!」
「クク、だがまあ面白くなってきたぜ。…………人里もなさそうだし、本気を出しても良さそうだな。」
デュバリィが唇を噛みしめている中、不敵な笑みを浮かべたマクバーンは地面から凄まじい黒い焔を顕させ、纏い始めた!
「……!?」
「な、何あれ!?」
「不味い……!」
「いけない……!」
「ほう……?どうやら久方ぶりに我が雷を存分に震う時が来たようだな?」
「―――仕方ありませんね。」
「私達も”本気”で対処するしかなさそうね。」
「ったく、しつこいわね……!」
その様子を見たサラ教官とエステルは驚き、ヨシュアとシャロンは厳しい表情をし、バルディエルは興味ありげな表情をした後凄まじい雷を纏い始め、エイドスとアイドスはそれぞれ膨大な神気を纏い始め、ヴァレフォルは嫌そうな表情で膨大な魔力を纏い始め
(あれは……)
何かに気付いていたリィンは不安そうな表情をした。
「ちょ、待ってください!さすがにそれは―――ってわたくしまで巻き込むつもりですのっ!?」
「―――貴様ら、何をしている!!」
そしてデュバリィがマクバーンを制止しようとしたその時拡声器の声が聞こえ
「……ああ?」
「この声――――」
声を聞いたマクバーンは闘気や焔を引っ込めて不機嫌そうな表情で声が聞こえた方向にその場にいる全員と共に視線を向けるとそこには高級車の傍に執事とアルバレア公爵がいた!
「あれは……アルバレア公爵!?」
「あ、あの人が!?」
「”四大名門”の”アルバレア公爵家”の当主か……」
「なるほど、彼が皆さんの話にあったメンフィル帝国に戦争を仕掛ける”原因”を作った”全ての元凶”ですか……………」
リィンの言葉を聞いたエステルは驚き、ヨシュアは真剣な表情をし、エイドスは厳しい表情でアルバレア公爵を見つめた。
「……父上、それにアルノー。」
「ユーシス様……」
「ユーシス、貴様……!一体、どういう了見だ!?あんな置き手紙を残して……気でも狂ったか!?」
「お、置き手紙……?」
アルバレア公爵の怒鳴り声を聞いたエマは戸惑い
「……おいおい、公爵さん。邪魔してくれるなよ。せっかく点きかけた火が湿気っちまうだろうが。」
マクバーンは呆れた表情でアルバレア公爵を見つめて言った。
「ええい……部外者は黙っているがいい!ユーシス―――貴様は私の言う事だけを聞いていればよいのだ!下らぬ真似をして家名に泥を塗るつもりか!?」
「……手紙に記した通りです。自分は、Ⅶ組の仲間と共に自分自身の”道”を往きます。あくまで父上や兄上とは別に、”アルバレア”の在り方を見極めるために……そしてメンフィル帝国への”償い”を見つける為に。」
「ユーシス……」
「君は最初から彼らと共に行くつもりだったのか……」
(んー……”償い”って言っても、リウイ達―――メンフィル帝国の”怒り”はそんなものでは絶対に収まらないと思うのよね……少なくても”アルバレア公爵家”が取り潰しになる事は間違いないでしょうね………)
アルバレア公爵に伝えたユーシスの話を聞いたリィンは嬉しそうな表情をし、ヨシュアは静かな笑みを浮かべ、エステルは複雑そうな表情をした。
「くっ、痴れ言を……!やはり貴様などを公爵家に迎え入れたのは失敗だった!―――来るがいい、クロイツェンの騎士たちよ!」
アルバレア公爵が叫ぶと機甲兵の部隊と装甲車が現れた!
「おいでなすったわね……!」
「機甲兵……!オーロックス砦の部隊か!」
「見た事のない機体もいるわ……!」
「あれは……メンフィル帝国軍にあった”新型”……!」
「ったく、学生相手にあんなものまで持ち出すなんて、相変わらず大人気ないわね~。」
「―――油断しないで、エステル。”パテル=マテル”と比べればスペックは大した事ないだろうけど、それでも脅威だよ。」
機甲兵達の登場にリィン達が驚いたり警戒している中、呆れた表情をしているエステルにヨシュアは警告した。
「……白けちまった。あとは好きにやってくれ。」
するとその時呆れた表情で呟いたマクバーンは炎に包まれてその場から消え
「あ、あなたはもう……!」
デュバリィも続くように光に包まれ、その場から消えた。
「―――リィンさん!」
「ああ……!」
「どうやら出番みたいね!」
「ここが正念場、お願いします、リィン様。」
「……………………」
「ちょっ、エイドス!?」
「ま、まさかとは思いますけど……」
仲間達がリィンに注目している中、詠唱を開始しているエイドスに気付いたエステルは慌て、ヨシュアは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「来い――――”灰の騎神”ヴァリマール!!」
「応――――!」
そしてリィンの呼びかけに応じたエペル街道に待機していたヴァリマールは跳躍して飛行し、領邦軍の前に着地した!
「灰色の騎士人形……!双龍橋の部隊を邪魔したという忌々しい機体か……!」
ヴァリマールを見たアルバレア公爵は怒りの表情をすると共に手柄を手に入れる機会が廻ってきた事に興奮した。
「これが”灰の騎神”……!」
「”巨いなる騎士”……トリスタの攻防戦以来か……!」
一方サラ教官は目を丸くし、ヴァリマールの力を知っていたユーシスは静かな笑みを浮かべた。
「あの時以上の霊力の高まり……!」
「フフ……何という風格だ……!」
ヴァリマールの霊力が以前以上に高まっている事を感じていたエマは驚き、ラウラは静かな笑みを浮かべた。そしてアイドスはリィンの太刀に戻り、リィンとセリーヌがヴァリマールの中に入るとヴァリマールは武器を構えた。
「―――やれ!クロイツェンの騎士たちよ!ここで奴を捕えられれば”貴族連合”の主導権を手に入れたも同然だ!”新たなる騎士”の力を存分に見せつけてやるがいい!」
「ハッ!」
そしてアルバレア公爵が機甲兵達に指示をしたその時!
「天地を貫く白銀の剣よ、汝の裁きにて悪しき者達を救い、七耀の楽園へと導きたまえ!――――ロストオブエデン!!」
詠唱を終えたエイドスがアーツを発動した。すると空から無数の銀色の剣が機甲兵達の周囲に降り注いだ後それぞれ魔法陣を展開すると巨大な魔法陣が機甲兵達の足元に現れ、天をも貫く虹色の光が舞い上がった!
「ぎゃああああああああ―――――っ!?」
「ぐああああああああ―――――っ!?」
「がああああああああ――――――っ!?」
「め、女神様―――――ッ!?」
すると機甲兵達や装甲車から操縦者達の悲鳴が聞こえた後光が消えると機甲兵達や装甲車の残骸の中に全身ボロボロになった操縦者達が身体をピクピクと痙攣させ、やがて気絶した!
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