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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第2話

~始まりの地~



「…………………」

ケビンはリースを見つめて信じられない表情で口をパクパクさせていた。

「……また唐突に現れたわね。って、あなた!?」

「………何か?」

エリカの様子にリースは首を傾げた。

「くっ………騙されないわよ!そんな恰好してるからって騙されてあげないんだから!」

「???」

自分を睨んで呟いたエリカの言葉が理解できていないリースは不思議そうな表情でエリカを見つめた。

「お、恐るべし星杯騎士団……こんな娘を派遣してこちらの意気を挫くなんて………で、でも!私には強い味方があるわッ!見るがいい、これを!!」

そしてエリカは呟いた後、大声で叫んで笑顔のティータが映った写真をリースに見せた。

「博士、それは………」

「ティータちゃんの写真?」

「………可愛い。」

ティータの写真を見たシードとケビンは呆け、リースは口元に笑みを浮かべて呟いた。

「いま可愛いって言った!?可愛いって言ったわよね!?そうでしょ、そうでしょ!これがもうホッペぷにぷにで愛くるしくて最高なのよ!

うーん、やっぱり可愛いは可愛いを知るのか!」

「「「……………………」」」

「コホン、そういうわけで………あなたがいくら可愛いからって免疫のある私には通用しないんだからね?」

自分の暴走を黙って見つめている3人に気付いたエリカは慌てた後、真剣な表情でリースに言った。

「あの………先ほどから仰っていることがいささかわかりかねるのですが。可愛いって………その、私のことですか?」

「当たり前じゃない!クールで涼しげなのにどこか幼さを残した端正な容貌!少女から脱皮したばかりのしなやかな身体を包み込む可憐で控えめなシスター服!くっ、なかなかの破壊力だわ…………」

「………………………」

エリカの説明を聞いたリースは冷たい目線でエリカを見つめた。

「はっ…………だから違うんだってば~!」

「………グラハム卿。こちらの方々は?」

「あ、ああ………中央工房のエリカ・ラッセル博士と王国軍のシード中佐や。せやけどお前、グラハム卿って…………」

「なるほど………発見者の方々でしたか。………ご苦労様でした。後はこちらで引き受けます。どうかお引き取り下さい。」

ケビンの言葉にリースは答えず、シードとエリカに頭を下げて言った。



「へっ………」

「え…………」

「ちょ、ちょっと待った!なに勝手に話進めてんねん!」

リースの行動に2人は呆け、ケビンは慌てて言った。

「………グラハム卿の手間を省略しただけです。いくら力を失ったとはいえ”異変”によって破壊された、かの”七至宝”に関わる遺物………

おいそれと世俗の者に渡せるとでも………?……ただでさえリベールは”七至宝”を我々に断りもなく破壊するという勝手な行為をしたというのに。」

「そ、それは………」

「ふ、ふ~ん。なかなか言ってくれるわね。でも悪いけど盟約が絶対である以上、そっちの法的根拠はないのよ?どうゴリ押しするつもりなのかしら?それに”輝く環”を破壊するという判断をしたのはリベール(わたしたち)ではなく、メンフィルと遊撃士協会よ。貴女も知っているでしょ?”環”を破壊した人の一人――”ブレイサーロード”はリベール国民だけどメンフィルの”侯爵”で”遊撃士”の一人だってことを。」

リースの説明を聞いたケビンは口ごもり、エリカは不敵な笑みを浮かべて言った。

「………法的根拠が無いのはそちらも同じではないかと。盟約を絶対とするなら力を失った古代遺物は誰も所有権を主張できません。ただそこに打ち捨てられた物。そう解釈するしかできない筈です。それに”ブレイサーロード”は貴女の仰る通り、確かにメンフィルの貴族で遊撃士ですが彼女に”異変”解決の為の依頼したのはリベール(あなたたち)。依頼者にも責任の一端があってもおかしくないと思うのですが?」

「要するに……そっちがこのままガメても文句は言わせないってことね?」

「ありていに言えば。」

「あら。ならメンフィルはどうなのかしら?向こうは生きた古代遺物をそのままガメて使っているじゃない。その実例から考えれば、既に死んだ古代遺物を私達がガメても問題ないのじゃないかしら?」

「………メンフィルは例外です。彼らは異世界出身なのですから、”盟約”は意味をなしません。……確かに彼らの行動も問題視されていますが、今の所問題はおこっていないので彼らの未知の技術力を信じて、彼らが古代遺物を扱っても問題ないと判断しているのです。」

「フン、よく言うわよ。……怖いんでしょ?かの”百日戦役”でエレボニアが蹂躙されたように、メンフィルに逆らった七耀教会……いや、星杯騎士団がメンフィルに蹂躙されることを。メンフィルが本気になれば、あなたたちを潰す事もたやすい事でしょうし。」

「…………………それとこれとは話が別です。」

「フン、上等じゃない………」

リースと舌戦を繰り広げていたエリカは鼻を鳴らした後、振り向いてケビンを睨んで言った。

「ケビン・グラハム!あなたの考えはどうなの!?」

「………どうなのですか?」

「オ、オレ!?いきなり振られても…………正直言うんなら回収したいのは山々ですわ。せやけど、リベールは色々と協力した仲ですから無碍にするんもちょいと………」

エリカに続くようにリースに尋ねられたケビンは慌てた後、苦笑しながら言った。

「ふむ、どちらの言い分にも決め手に欠けるということか。これは面倒なことになったね。」

「ちょっと中佐………そんな他人事みたいに。」

シードの言葉を聞いてケビンが溜息を吐いたその時、ケビンとリースは何かの音を聞いた!

「え………」

「あ………」

音を聞いた2人は呆けた表情で呟いた。

「なんだ、どうした?」

「2人とも………なに目を丸くしてるのよ?」

「な、なにって………」

「……今の聞こえなかったのですか?」

シードとエリカに尋ねられたケビンは戸惑った表情をし、リースは尋ねた。

「だから何が聞こえたって言うの―――え。」

リースの疑問にエリカが答えようとしたその時、何かに気付いたエリカは振り向いて封印されているアーティファクトを見つめた。

「あ………」

そしてリースが呟くと今まで沈黙していたアーティファクトが突如輝き出し、封印が解かれ、中から小さな”方石”が現れ、宙に浮いた!

「こ、これは………」

「あ、ありえない………だって導力反応が完全に消えていたのよ!?なのに、どうして………」

その様子を見たシードとエリカは信じられない表情をした。



「……………………決まり、ですね。」

一方その様子を黙って見つめていたリースは静かな表情で呟いた。

「ああ………」

リースの言葉に頷いたケビンはアーティファクトが置かれてある台座に近づいた。

「立方体のアーティファクト………今まで見たことも聞いたこともないタイプや。あえて呼ぶとしたら”方石”といったとこか。」

そしてケビンはアーティファクト――”方石”を手に取った。すると輝いていた光は収まった。

「あ………」

「…………………シード中佐………それにエリカ・ラッセル博士。盟約に従い、星杯騎士団、ケビン・グラハムの名において当古代遺物(アーティファクト)を回収させてもらいます。お二方、ならびに関係者の

方々の誠意ある対応に感謝しますわ。」

その後ケビンはエリカ達を帰した後、リースと共に大聖堂を出た。



~グランセル・夜~



「は~………何かえらい長引いたなぁ。まさかエリカ博士があそこまで食い下がるとは。」

「………そうですね。」

「しっかし、あの最後の一言には正直ぶっとんだわ。『それを持っていくなら代わりにその子を置いて行きなさい!』って………はは………アネラスちゃんやないんやから。」

「アネラスちゃん………?」

ケビンの口から出た知らない名前にリースは首を傾げた。

「おっと、すまん。リベールでの知り合いや。遊撃士やっとる子でたしかリースと同じくらいの歳やったと思うけど。」

「………そうですか。」

「はは………その…………………えっと………リースさん?」

「………なんでしょうか?」

「その………ひょっとして怒っとる?今までロクに連絡も取らへんで………」

「―――グラハム卿。」

「は、はいっ。」

リースに唐突に呼ばれたケビンは姿勢を正した。

「………5年という歳月があなたを守護騎士という要職に就かせたのと同じように………この5年間で私もまた変わりました。今の私は星杯の従騎士。あなたを支え、守るためだけの存在です。」

「………リース………」

「………ですから気遣いは無用に願います。そうでなければ………私がこのような格好をしている意味がありません。」

「…………………」

リースの話を聞いたケビンは押し黙った。



「………国際定期便の最終便に乗るのでしょう?早目に発着場に向かった方がいいかと。」

そしてリースはケビンの返事も聞かずに進みだした。

「あ、おい………」

その様子を見たケビンが声をかけたその時、お腹が鳴る音が聞こえた。

「………今の。」

「……………空耳です。」

「へ…………」

「グラハム卿。お疲れのようですね?ありえない音が聞こえてしまうくらいに。船に乗ったら座席で少しお休みになった方が――」

呆けて自分を見つめるケビンに口元に笑みを浮かべたリースが言ったその時、またお腹が鳴る音が聞こえた。

「………少しお休みになった方がいいかと思います。」

するとリースは一瞬固まった後、わずかに顔を赤らめて話した。

「くっ…………はははははははっ!『きゅるるる~っ』って!お前、全然変わってへんやん!相変わらずいつも腹ペコやなぁ~!」

その様子を見たケビンは大声で笑った後、安心した様子でリースを見つめた。

「こ、これはただの生理現象というものです。この程度の生理コントロールが出来ないのは修行不足の証拠………自分の至らなさを痛感します。」

ケビンに大笑いされたリースは自分のお腹を押さえて、説明した。

「至らなさって………クク、そういう問題ちゃうやろ。そやな~、やっぱりリースは腹ペコやないとあかんで。そんで厨房に忍び込んでつまみ喰いしては怒られて………」

「っ………もういいです!」

ケビンの話を聞いたリースは顔を赤らめた後、ケビンを置いて先に進もうとしたが

「ああ、待った待った!」

ケビンが慌てた様子でリースの進む先を防いだ。



「………邪魔です。どいて下さい。」

「悪かった。謝るって。懐かしかったからつい悪ノリしてもうた。」

「………別に。謝罪の必要はありません。あなたの謝罪ほどいい加減で、その場限りのものはありませんから。」

「おっと、調子が出て来たな。一つお願いやねんけど………それ、止めへんか?」

「………何のことですか?」

ケビンの頼みを聞いたリースは訳がわからない様子で尋ねた。

「その丁寧口調や。他の連中にならともかくくすぐったくて仕方ないわ。」

「……………………………」

「それとグラハム卿いうのも止めてくれ。昔通り呼び捨てでいい。」

「お断りします――と言ったら?」

「拝み倒す。お前が『うん』と言うまでひたすら土下座させてもらうわ。」

「………やっぱり。」

ケビンの話を聞いたリースは呆れた様子で溜息を吐いた。

「ま、三つ子の魂百までとも言うからな。腐れ縁のノリっちゅうんはそうそう変わらへんってことや。」

「………………の方から………としたくせに…………」

ケビンの説明を聞いたリースは呆けた後、表情をわずかに暗くして小声で呟いた。

「ん、何か言ったか?」

「―――いえ。仕方ありませんね。ご命令とあらば―――」

「ちゃうちゃう、命令やない、お願いや。そこんトコ間違わんといてや。」

「くっ…………ケビン。相変わらずワガママ過ぎ」。

ケビンの説明を聞いたリースはケビンを睨んだ後、目を閉じて考え込み、そしてかつてケビンと接していた口調でジト目でケビンを睨んで言った。

「っ………ははっ………そうそう、それやで!」

リースの口調や様子を見たケビンは驚いた後、安心した様子で言った。



「言っておくけど、言葉遣いを戻しただけ………あなたが守護騎士で、私が従騎士なのは変わらない。そこの所、間違わないで。」

「うん、そやな。昔に戻るなんて………そんなの出来るわけないもんな。」

「………………………………」

寂しげな笑みを浮かべて語るケビンにリースは何も返さず黙っていた。

「さてと………もう一つ提案なんやけど。最終便までもう少しあるし、東街区にある百貨店に寄らへん?船ん中で喰えるパンでも買っとこうや。」

「………それは賛成。残り物はぜんぶ買い占めてもいいくらい。」

「そこまで腹ペコやったんかい………」

自分の提案を聞いて言ったリースの言葉を聞いたケビンは呆れた様子で溜息を吐いた。そしてケビンとリースは百貨店で食料を買った後、百貨店を出た。



「まさかホントに残らず買い占めるとは………売り場のお姉さんもさすがに引いとったで?」

「これも女神のお導き。余って捨てられるくらいなら有効活用させてもらうだけ。」

呆れた様子のケビンに言われたリースは悪びれもなく、微笑んで答えた。

「それにしたってなぁ………騎士団の俸給、喰い物だけにつぎ込んでのとちゃうやろな?」

「……心配無用。私ほどタイムセールを愛している女はそういない。」

苦笑しながら言ったケビンの言葉を聞いたリースは自慢げな様子で答えた。

「はあ………まあええけどな。しかし、オレもいい加減胡散臭いカッコしとるけど………さすがにそのシスター服で残りモン買い漁るってのは………」

「ケビン、うるさい。……そろそろ時間だし発着場に行きましょう。私のお腹が悲鳴を上げてる。」

「へいへい。」

リースの提案をケビンが苦笑しながら頷いたその時

「あら?お久しぶりですね。」

なんとリタがケビン達に近づいて来た。



「ん?って、リタちゃんやないか!久しぶりやな!何でこんな所におるん?確か”異変”の後、リタちゃんは大陸中を旅するって聞いていたけど………」

「タルタロス様達に一度目の中間報告をする為に一端”冥き途”に戻ろうと思って、リベールに戻って来たんです。」

「ほ~、そうなんや。」

「………ケビン、その娘、誰?感じる気配からして死者のようだし、しかもその娘が座っている槍って、”魔槍”じゃない。」

リタと親しげに話しているケビンにリースは警戒した様子でリタを睨んで、尋ねた。

「おっと、そうや。紹介しないとな。この娘は報告にあった異世界の”冥き途”っちゅう所を守っている”守護霊”や。間違ってもこの娘を滅しようなんて考えるなよ?この娘は死者の魂を導く役割をしているねんからな。」

「!!そう………その娘が。」

ケビンの説明を聞いたリースは驚いた後、警戒を解いてリタを見つめた。

「初めまして。”冥き途”の見習い門番、リタ・セミフと申します。どうぞお見知りおきを。」

「……星杯従騎士、リース・アルジェントです。……私達の世界の死者達の魂もあるべき場所へと導いて頂き、ありがとうございます。」

「フフ、それが私とナベリウスのお仕事ですから。」

リースにお礼を言われたリタは可愛らしい笑顔を見せた。

「(可愛い………)……ナベリウス………ソロモン72柱の一柱、”冥門候”ですか。」

「ええ、私にとってはずっと一緒にいる親友ですよ。」

「ハハ………(にしてもどんな奴なんや?”冥門候”って。)」

リタとリースの会話を聞いたケビンは心の中でナベリウスがどのような人物なのかを首を傾げながら苦笑していた。そして3人は雑談を少しした後、別れようとした。

「ほな、オレ達はそろそろ行くわ。」

「……はい、また会う日が来るといいですね―――」

ケビンの言葉にリタが頷いたその時

「「……………」」

何かの気配に気付いたケビンとリタはお互い、真剣な表情をしていた。

「2人ともどうしたの………………!……………」

2人の様子を不思議がっていたリースだったが、2人と同じように何かの気配に気づき、そしてジト目で黙り込んだ。



(………悠長にパン喰っとる場合じゃなくなったみたいやな。)

何かの気配に気付いたケビンは苦笑しながら小声でリースに言った。

(……許せない……誰だから知らないけど半殺しにしてもいい………?)

(フフ、変わったシスターですね。貴女みたいな方、初めて見ました。)

(……気持ちはわかるけど落ち着き。それにしてもえらい下手ば尾行やな………)

静かな怒りを見せるリースを見たリタは興味深そうな様子でリースを見つめ、ケビンは溜息を吐いた。

(素人に毛が生えた感じ………ただし訓練は受けてるみたい。)

(やな………仕方ない。最終便は諦めるとするか。リタちゃんはどうする?)

(別に急いでいるわけではありませんから、せっかくですからお手伝いします。)

(そか、助かるわ。)

(どこかで仕掛ける………?)

(ああ………こういう時のためにうってつけの場所がある。)

そしてケビン達はどこかに向かった。



~グランセル・波止場~



「くっ………どこに行った………!?たしかこちらの方に入って行った筈なのに!」

ケビン達を尾行していた人物――ダルモアの秘書をしていた頃に来ていた服装のギルバートはケビン達を見失い、慌てていた。

「なんや……兄さんやったんか。」

そこにケビン達が現れた。

「なっ………ば、馬鹿な………この僕の完璧な尾行術に気付いていたというのかっ!?」

背後を取られたギルバートは信じられない様子でケビン達を見た。

「あれのどこが完璧なのですか?」

「完璧って……ハハ、相変わらずやなぁ。」

「……誰?」

ギルバートの言葉を聞いたリタは首を傾げ、ケビンは苦笑し、ギルバートを知らないリースはケビンに尋ねた。

「一応、”蛇”の手先や。無数にある尻尾の先っちょくらいやけどな。」

「要するに”結社”の一般兵ですね。」

「………確かにそれっぽい。」

「さ、先っちょや一般兵言うな!それにそこの小娘!それっぽいとはどういう意味だ!?」

ケビン達の会話を聞いたギルバートはリースを睨んだ。

「…………………どこからどう見ても小物にしか見えませんし。勢い込んで空回りした挙句、勝手に自滅するタイプ………しかも懲りない。」

「なっ………!?」

「凄いですね。一度会っただけでエステル達から聞いた特徴をそこまで見抜くなんて………」

「あ、相変わらずやな。よく初対面でそこまで見抜けるモンや………」

リースの観察眼にギルバートやケビン達は驚いた。

「この人の雰囲気はわかりやすい………見事なまでの小物っぷりを漂わせているもの。」

「き、貴様………!ククク、いいだろう。そこまで言ったからには覚悟してもらうぞッ!」

リースの説明を聞いたギルバートは怒りに震えた後、秘書の服装をその場で脱いで猟兵姿になり、銃を構えた!

「ちっ………」

「…………」

その様子を見たケビンとリタはギルバートを睨んだその時

「……………」

なんとリースが自分の得物――法剣(テンプルソード)を構え、そしてギルバートを強襲した!

「ぶぎゃっ!」

リースの攻撃を受けたギルバートは悲鳴を上げて吹っ飛んだ!

「!法剣(テンプルソード)……それがお前の得物か。」

「………ケビンがボウガンを選んだように私もこれを選んだ。ただ、それだけのこと。」

「………そうか…………………………」

(2人の武器に何か意味があるのでしょうか?)

ケビンとリースの意味ありげな様子を見たリタは首を傾げた。

「ば、馬鹿な………い、今のはなんだ………全然見えなかったぞ………!?」

一方攻撃されたギルバートは信じられない様子でリースを見た。



法剣(テンプルソード)………星杯騎士団に伝わる武具でな。刃が幾つもの節に分かれてワイヤーで結ばれとるから伸縮自在っちゅうカラクリや。確かそっちの世界では”連接剣”って呼ばれているんやったっけ?」

「ええ。扱いは少々難しいですが、使いこなせば万能な戦いができる武器ですからね。それを使いこなせるリースさん、凄いですね。」

「……ありがとうございます。」

「くっ………」

ケビン達の説明や会話を聞いたギルバートはケビン達を睨んだ。

「さてと、そろそろ事情を聞かせてもらおかな。なんで指名手配中のアンタがグランセルになんかいるんや?―――どこまでこちらの事情を知っとる?」

(?事情って、一体………あ、プリネちゃんのお話だと”星杯騎士”の役割はアーティファクトの回収、もしくは外法を滅する事。そのどちらかの為にケビンさん達がリベールにいたんですね。)

「フ、フン………誰が貴様らなんかに―――」

ケビンに尋ねられたギルバートは鼻を鳴らして答えようとしなかったが

「………」

リースが無言で近づいて来て武器を構えた。

「ひっ………」

「往生際が悪いですね………とっとと口を割りなさい。」

「あー、オレのツレ、腹減って機嫌悪いんや。素直に話した方が身のためやで。」

「くっ………くぬぬ………―――かくなる上は!」

リースの命令とケビンの忠告を聞いたギルバートは歯ぎしりをした後

「どうか勘弁してください!こんな場所にいるのも運悪く不時着したからで!偶然あなた達を見かけたから後をつけてみただけなんです!」

なんとその場で何度も土下座をしながら説明した!

「………訂正。ある意味、只者じゃないかも。」

その様子を見たケビン達は脱力し、武器を収めたリースは静かな表情で呟いた。



「それは同感や………それで、一体どういうことや?不時着ってことはどこかに”結社”の飛行艇があるんかいな?」

「そ、それが違うんです!不時着したっていうのは飛行艇なんかじゃなくて――」

ケビンに尋ねられたギルバートは慌てた様子で説明した。するとギルバートの背後にある海から何かが出ようとした。

「―――コイツのことさあああっ!」

そしてギルバートが不敵な笑みを浮かべて叫ぶと、海から飛行する人形兵器が現れた!

「な、なんや!?」

「人形兵器………?」

「今まで戦ったのとは少し違いますね………」

人形兵器の登場にケビン達は武器を構えた!そしてギルバートは素早く銃を拾って、銃を構えた。

「ふはは、形成逆転だな!さあ!G-アパッシュよ!その大いなる力をもってこいつらを叩きのめすがいい!



そしてケビン達はギルバート達との戦闘を開始した………!


 
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