英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第34話
~監視塔~
「かかれっ!!」
「ハッ!」
「領邦軍の誇り、思い知れ!」
シュピーゲルの号令によって闘志を燃やしたドラッケン達はそれぞれ銃と剣で攻撃した。
「八葉無の型―――残月!!」
対するヴァリマールは迎撃の構えで2体の攻撃を次々と回避し
「そこだっ!!」
「グアッ!?」
銃の攻撃の後に剣で攻撃して来たドラッケンに反撃して怯ませ
「閃光斬!!」
「グウッ!?」
その隙を逃さないかのように追撃した。
「今だ、リィン!」
「ああ!――――ゲイルレイド!!」
そしてガイウスのARCUSとリンクを結んでいたヴァリマールは風属性のアーツで剣を持つドラッケンを怯ませ
「燃え盛れ―――滅!!」
「ガッ!?ば、馬鹿な……!?」
剣に炎を纏わせた強烈な一撃を叩きつけ、ドラッケンを一機戦闘不能にした!
「グッ!?」
「一機片付けたからって油断しないで!」
敵を一機戦闘不能にしたヴァリマールだったが空にいる軍用飛行艇の砲撃を受けて怯み
「おのれ……!これでも喰らえっ!!」
部下がやられた事に怒りに震えたシュピーゲルが素早い斬撃―――エクセルラッシュをヴァリマールに放った!
「クッ……!」
「そこだっ!!」
「グッ!?」
素早い斬撃に対し、ヴァリマールは剣でなんとか防いでいたがその間にチャージを完了したドラッケンの銃撃―――バーストショットを受けてダメージを受けた。
「今だ!援護射撃をしろ!!」
「させないよー!守って、リィン!!」
「ああ……!」
シュピーゲルの指示によって再び砲撃した軍用飛行艇だったが、ミリアムがARCUSを伝ってリィンに伝えたEXアーツ―――アルティウムバリアによる絶対防壁を展開して砲撃を防いだ。
「頑張って、リィン!!」
そして続けてアリサのEXアーツ―――セントアライブで霊力の供給を速くし
「秘技―――百烈桜華斬!!」
「ガッ!?」
「グアッ!?」
回復した霊力を使って2体同時に攻撃した。
「まだだっ!!」
「グウッ!?」
ヴァリマールは畳みかけるようにドラッケンに攻撃して怯ませ
「そこだっ!!」
「ガッ!?ク、クソ……!?」
更に追撃してドラッケンを戦闘不能にした!
仲間の不利を悟った軍用飛行艇は再び砲撃を放ったが
「甘い!!」
砲撃に反応したヴァリマールが剣を振るって砲撃を防いだ。
「クッ……!この化物が―――――ッ!!」
そして己の不利を悟り、破れかぶれになったシュピーゲルは大ぶりな攻撃で勢いよくヴァリマールに攻撃を仕掛けたが
「――――甘い!」
ヴァリマールは機体を僅かに逸らして攻撃を回避した。
「今よ、リィン!行くわよ!!」
「任せてくれ!」
するとその瞬間アリサの号令に応えるかのようにヴァリマールは剣に炎を纏わせ
「「神技――――陽光剣!!」」
強烈な一撃をシュピーゲルに叩きつけた!
「グアッ!?馬鹿なッ!?」
騎神と”準契約者”の協力技である強烈な一撃を受けてしまったシュピーゲルはダメージに耐えられず、戦闘不能になって地面に膝をついた!
「ぐわあっ……!?」
「お、おのれ……!まさかここまでとは……!」
「―――勝負あった!この上、やり合うならいくらでも相手になるぞ!」
「ぐうううっ……―――ええい、撤退だ!”監視塔”は一端放棄する!各自、軍用艇にて離脱!援軍の部隊に合流せよ!その後この屈辱を何倍にしても返すぞ!」
「は、はッ!」
そして機甲兵からそれぞれ操縦者である領邦軍の兵士や隊長が降りた後地上に離陸した軍用艇に乗り込み、軍用艇はその場から飛び去って行った!
「見て、逃げて行くよ!」
「ふふ、予定とは違いましたが……」
「作戦成功ですわね♪」
その様子を見ていたエリオットは声を上げ、クレア大尉は苦笑し、セレーネは微笑んだ。
「クスクス……さすがはリィン様ですわね。」
「ま、まったくもう。本当に無茶ばかりして……」
「ああ……だが、だからこそリィンだ。」
シャロンは微笑み、苦笑するアリサの言葉にガイウスは静かな笑みを浮かべて頷いた。
「そしてそんな無茶なご主人様だからこそ、貴女は入学当初からご主人様を気にかけていたとベルフェゴールから聞きましたが?」
「あらあらまあまあ……!それは初耳ですわね♪後で是非、詳しい話をお聞きしたいですわ♪」
「シャロン!というかベルフェゴールも余計な事ばかり覚えていて……!」
「ア、アハハ……元気だして、アリサ……」
意味ありげな表情でアリサを見つめるリザイラの言葉を聞いたシャロンはからかいの表情になり、怒りに震えているアリサを見たミルモは苦笑した。
「フフ……どうやらここが潮時のようだ。かの”灰の騎神”の姿もしかと見届けさせてもらったし、この地での未練はない。構わないかね、黒兎君?」
「―――特に問題は。脅威度の再評価という点では非常に有意義でした。」
一方ブルブランとアルティナはアリサ達から距離を取り、ブルブランの術によって消えようとしていた。
「逃げる気……!?」
「―――動かないで!まだ、聞きたい事が……!」
仲間が二人を睨んでいる中クレア大尉は銃口を二人に向けた。
「フフ、帝国での舞台はまだ幕が開いたばかり―――やがて大いなる運命のうねりが舞台を飲みこんでいくだろう。諸君がそれにどう立ち向かうか……しかと見届けさせていただこう。”死線”のクルーガー……君自身の立ち位置も含めてな。」
「ふふ……どうぞご自由に。たとえ何が起きようともわたくしの愛は揺らぎませんが。」
ブルブランに視線を向けられたシャロンは微笑んだ後不敵な笑みを浮かべた。
「それでは失礼します。そちらの”オライオン”―――そして”アガートラム”も。機会があれば、また。そしてそ、そちらの異種族―――リ、リザイラ。あ、貴女から受けた屈辱は必ず返しても、もらいます。」
「ふふふ、精霊王女たるこの私に宣戦布告をするとは良い度胸です。その点に関しましては褒めて差し上げましょう。」
「え、え~と……悪い事は言わないから、リザイラ様には喧嘩を売らない方が貴女の為だと思うよ………?」
表情を青褪めさせて身体を震わせているアルティナに睨みつけられたリザイラは余裕の笑みを浮かべ、ミルモは冷や汗をかいてアルティナに忠告した。
「あはは、まったねー!クーちゃんも、ばいばい!」
「――――?」
一方無邪気な笑顔を浮かべるミリアムの言葉にクラウ=ソラスは困惑し
「ク、クーちゃんって……」
「”アガートラム”さんと似た存在だからと言って、同じ感覚で普通呼びますか……?」
エリオットとセレーネは脱力し
「……”クラウ=ソラス”を混乱させないでください。」
アルティナは呆れた表情でミリアムを見つめた。
「リィン・シュバルツァー。彼にもよろしく伝えてくれたまえ。それではさらばだ―――!」
そして二人はブルブランの術によってその場から消え去った!
「………………」
二人が消え去るとクレア大尉は疲れた表情で仲間達と共に武器を収めて警戒を解いた。
「はあ……とんでもない相手だったわね。」
「だが……なんとか切り抜けられたようだ。」
「とにかく、今はあの装置を停止させてしまいましょう。これで高原における危機は一旦収束に向かうはずですわ。」
「ええ、そうね―――」
シャロンの言葉に思わず頷いたアリサだったがすぐにシャロンが自分達の目的を知っている事に気付いて突っ込んだ。
「って、何で私達の目的を把握してるのよ!?」
「ふふ、お嬢様のことならなんでもお見通しですから。」
「フフ、相変わらず変わりないですわね。」
その後リィンは仲間達と合流し、導力波妨害装置の解除を見届けた。それによって高原に展開していた貴族連合の部隊や猟兵達も帝国本土へと撤退していき……ゼンダー門の第三機甲師団も本土側に戦力が集中できるようになり、最大の危機を脱した。こうして……ノルド高原にもたらされた危機は一旦、終息へと向かったのだった。
~ラクリマ湖畔~
その後ノルド高原を去る事にしたリィン達はノルドの民達に見送られようとしていた。
「―――ノルドのおける戦火は当面、去ったと見ていいだろう。おかげで大切な故郷を手放す必要もなくなった。どうか礼を言わせて欲しい。」
「いえ―――大したことはしていません。」
「実際、完全に危機がなくなったわけじゃないしねー。」
「うむ、いまだ本土方面には貴族連合の軍が展開している。ゼンダー門が陥落すれば、再びこの地がどうなるかはわからぬだろう。」
ミリアムの言葉にゼクス中将は重々しい様子を纏って頷いた。
「ええ、今後も警戒を続ける必要があると思います。」
「それでも……やはり礼を言わせてくれ。故郷を危機から救えたのはリィン達のおかげだ。」
「ガイウス……」
「はは………だとしても、当たり前のことをしたまでさ。ノルドはエレボニア帝国にとっても大切な隣人であり兄弟―――力を貸すのは当たり前だろう?」
「リィン……」
「うんうん、そーゆーコト。」
「水臭い事を言う必要はありませんわ。」
「……ありがとう、みんな。本当に感謝してもし足りないくらいだ。」
仲間達の心強い言葉にガイウスは自然と微笑みを浮かべた。
「しかし、高原の危機はしばし去ったとはいえ……やはり帝国本土の状況は芳しくないみたいじゃのう。」
「ええ、ラインフォルト社のあるルーレ市も同様です。RF本社やザクセン鉄鉱山、ルーレ工科大学に至るまで……それらの主要施設は完全に貴族連合の支配下にあります。」
「そう、やっぱり……」
「ふむ……合点がいったわい。あの”導力波妨害装置”にしても工科大学で開発された形跡があった。おそらくは―――”シュミット”のヤツが関わっておるのじゃろう。」
シャロンの話を聞いたアリサが辛そうな表情をしている中、グエンは納得した様子で頷いた。
「シュ、シュミットって……もしかして―――”G・シュミット博士”ですか!?」
「エレボニア帝国における導力技術の”基礎”を作ったっていう……」
「小さい頃にお祖父様を通じて会ったことがあるけど………」
「うむ、ワシとは腐れ縁だがいけす好かんヤツでな。おそらくあの”機甲兵”や貴族連合の巨大飛行戦艦にも一枚噛んでおるんじゃろう。というか、あれほどのものを完成させられる技術者をワシはあやつ以外は知らん。」
「へー、グエンじーちゃんがそこまで言うくらいなんだ?」
「なんかとんでもないジイさんみたいね。」
グエンの話を聞いたミリアムは目を丸くし、セリーヌは真剣な表情をした。
「……でも、どうしてシャロンがそんな時にこんな所へ?内戦が始まってからはルーレに戻ったんでしょう?シャロンがいれば、母様だってきっと安心だったでしょうに……」
「ふふ、お嬢様の居場所がやっと掴めましたので。それに……会長の指示でもありましたから。」
「母様の指示で……!?」
「ええ、しばらくお嬢様たちのお手伝いをするようにと。ルーレを出て以来、会長との連絡は付かなくなってしまいましたが……」
「…………」
シャロンの説明を聞いたアリサは不安そうな表情で黙り込んだ。
「アリサ……」
「……ううん、大丈夫。あの母様だもの……きっと無事でいると思うし。今は自分自身のやるべきことをやっていくわ。いつか母様と約束した……自分の”道”を示すためにも。」
「お嬢様……」
「うむ、それがよかろう。」
アリサの決意をシャロンは驚きの表情で見つめ、グエンは静かな表情で頷いた。するとその時何かの駆動音が聞こえて来た!
「この音は……!」
「!まさか……!」
音を聞いたシャロンとクレア大尉が血相を変えると何と軍用艇、機甲兵、そして猟兵の混合軍がラクリマ湖畔に近づいてきた!
「貴族連合軍……!?撤退したはずでは……!」
貴族連合の登場にセレーネは信じられない表情をし
「クッ、撤退したと見せかけて本土からの援軍と合流し、迂回してこちらに来たのではないでしょうか……!?」
「―――恐らくそうだろうな……しかし、何故ゼンダー門に攻撃せず、こちらに来たのだ……!?」
副官の推測に頷いたゼクス中将は厳しい表情で貴族連合を睨みつけた。
「―――見つけたぞ、”灰の騎神”!今度こそ我らがカイエン公の為にその命、もらい受ける!そして賊軍に手を貸す原住民もこれを機会に滅ぼしてくれる!」
「何ですって!?」
「待て!―――手を出すなら我ら正規軍だけにしろ!彼らは正規軍とは無関係だ!」
「不味いわね……ヴァリマールはさっきの戦いで大分消費したし、さすがにあの数相手は……!」
「クッ……!」
機甲兵から聞こえて来た操縦士の声を聞いたアリサは驚き、ゼクス中将は厳しい表情で声を上げ、セリーヌとリィンは唇を噛みしめ
「………………」
「に、にいちゃん……」
「ふえ……」
「クッ……どうすればいいんだ……!?このままではみんなが……!」
ラカンは厳しい表情で黙り込み、ガイウスの妹達は不安そうな表情をし、ガイウスは唇を噛みしめたその時、突如先頭の機甲兵の部隊の足元から巨大な竜巻が発生した!
「うおっ!?」
「な、なんだ……!?」
突如発生した竜巻に機甲兵が驚いたその時!
「…………………」
リザイラは怒りの表情で全身から溢れ出るような膨大な魔力を纏いながらリィンの傍に現れて貴族連合を睨みつけていた。
「リ、リザイラ!?まさかあの竜巻はリザイラなのか!?」
「ええ。――――ご主人様、あの愚か者達は”私達が全て滅します”ので貴方達はそこで”私達”――――”精霊達と自然の怒り”がどのようなものなのか、しかとその目に焼き付けなさい。」
「え……」
「それは一体どういう意味なのでしょうか……?」
リザイラの言葉にリィンは呆け、セレーネは不思議そうな表情で尋ねたその時!
「―――”精霊王女”リザイラの名の下に今こそ集え!”リスレドネー”の精霊達よ!!」
リザイラが全身から膨大な魔力を解放して叫ぶとリザイラの背後の空間が突如歪んだ後、何と様々な精霊達の軍団が次々と現れた!
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