英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~剣帝の苦労~後篇
~帝都ミルス郊外・メンフィル軍演習場~
「そこだっ!!」
レーヴェはオーブメントを駆動させると同時に先制攻撃代わりにクラフト――零ストームをリウイに放った!
「風よ!ウィンディング!!」
しかしリウイはクラフトを放って、相殺し
「セアッ!!」
一気にレーヴェに近づいてクラフト――フェヒテンケニヒを放った!
「!!」
リウイの攻撃に気付いたレーヴェは横に跳んで回避し
「せいっ!クロックアップ改!!」
アーツを使って、自らの身体能力を上げ
「飛燕斬!!」
クラフト――飛燕斬をリウイに放った!
「……………」
しかしリウイは身体を少し横に傾けて回避し
「ハッ!!」
一気に詰め寄って、レーヴェにレイピアで攻撃した!
「……!」
リウイの攻撃に気付いたレーヴェは剣で受け流し
「シルバーソーン!!」
さらにアーツを至近距離で放ち、すぐにその場を離れた!
「ほう………」
レーヴェの行動にリウイは感心しながらもレーヴェのようにすぐにその場を離れてアーツを回避した!
「ソウルブラー!!」
さらにレーヴェは続けてアーツを放った!
「……駆動時間が少なく、手数の多いアーツを選び、さらに”刻耀球”を使ってより駆動時間を少なくしてのアーツの発動は考えたものだが……それだけでは通用せん。……フェヒテンアルザ!!」
しかしリウイはクラフトを放って、レーヴェが放ったアーツを次々と打ち消した!
「せいっ!!」
そこにレーヴェが一気に詰め寄って、リウイに攻撃したが、リウイのクラフトはまだ続いていて、レーヴェの攻撃は相殺された!しかし!
「ハァァァァァ………!」
レーヴェは続けてクラフト――破砕剣を放って、リウイの反撃を許さないかのように連続で攻撃を続けた!
「………………………」
一方リウイは冷静にレーヴェのクラフトをレイピアで捌きながらレーヴェの剣筋を見極めた後
「セアッ!!」
クラフト――フェヒテンケニヒを放った!
「させん!!」
しかしレーヴェはクラフトを放ち続けるのを中断して、真正面でリウイの攻撃を受け止めた!そして2人は鍔迫り合いの状態になった!
「………どうした?この程度なら、ルーアンの時と変わっていないな。」
鍔迫り合いの状態でリウイはレーヴェを真っ二つに割るかのように持っている武器に力を入れて、レーヴェを圧しながら冷静な表情で言った。
「……………」
一方レーヴェはリウイの問いに何も返さず、鍔迫り合いをやめて一端後ろに跳んで後退し
「出でよ、幻影。」
分身の自分自身を作り出し
「「そこだっ!!」」
本体と分身は二手に分かれて、左右からクラフト――零ストームをリウイに放った!
「…………………」
しかしリウイは前に跳んで、左右から襲い掛かるクラフトを回避し
「フッ!」
すざましい一撃を本物のレーヴェに放った!
「!!」
リウイの攻撃に気付いたレーヴェは剣で防御したがリウイの一撃のすざましさに吹っ飛ばされた!
「……………」
しかしレーヴェは空中で受け身をとって、着地した!そしてリウイが本物のレーヴェに攻撃した隙を狙って、分身のレーヴェがリウイに攻撃を仕掛けた!
「せいっ!!」
「甘い!!」
分身のレーヴェの攻撃をリウイは受け流し
「ラグナブラスト!!」
いつの間にか駆動させていたオーブメントを発動させ、アーツを分身のレーヴェの至近距離で放った!
「グアアアッ!?」
至近距離で上位アーツを受けた分身のレーヴェは呻き
「フレインバル!!」
「っつ!?…………」
続けて放ったリウイのクラフトによって、大ダメージを受け消滅した!
「カラミティブラスト!!」
そこにリウイに吹っ飛ばされたはずのレーヴェが時属性の中でも最高位の威力を誇るアーツをリウイに放った!
「………………」
次々と自分に襲い掛かる時属性のすざましいエネルギーをリウイは目にも止まらぬ速さで回避した!
「旋風斬!!」
そこにレーヴェが斬りかかって、クラフトを放った!
「フッ!」
しかしリウイはレイピアで防御し
「セアッ!!」
クラフト――フェヒテンケニヒを放った!
「!!」
しかしレーヴェは紙一重で回避して、一端後退し
「むんっ!受けて見ろ、荒ぶる炎の渦を…………」
Sクラフトの構えをすると同時にオーブメントの駆動を発動させた!
「フン、またその技か。我が魔の力、思い知れ!」
一方リウイもSクラフトの構えをし
「鬼炎斬!!」
「魔血の目覚め!!」
2人は同時にSクラフトを放った!お互いの技はぶつかったが、リウイの技が勝ち、レーヴェの技を呑み込み、レーヴェを呑みこもうとしたその時!
「アースガード改!!」
レーヴェのオーブメントの駆動が終わり、レーヴェに絶対障壁がかかり、アーツを放ったレーヴェはそのままリウイの技に呑み込まれた!
「………………」
自分の技に呑み込まれたレーヴェを確認したリウイだったが、警戒した表情でレイピアを構えていたその時!
「凍てつく魂の叫び、その身に刻め…………おぉぉぉぉぉぉぉ……!」
なんとリウイの身体が地面から伝わってくる氷によって、凍りつき始めた!
「………フッ!!」
しかしリウイは全身にすざましい闘気と魔力を込めて、凍りつき始めた身体の状態を元に戻したその時!
「せいっ!!」
いつの間にかリウイの背後に回っていたレーヴェが背後からリウイに攻撃した!
「大地よ!メーテアルザ!!」
しかしリウイは冷静な表情でクラフトを放った!
「ハァァァァァァ…………!」
リウイのクラフトを受けたレーヴェだったが、残っていた絶対障壁によって無効化され、そのまますざましい剣の連撃をリウイに放った!
「……………………」
レーヴェの激しい連撃に対し、リウイは冷静な表情で捌いた!
「せいっ!!」
「フッ!!」
2人は同時にすざましい一撃を放った!2人のすざましい一撃がぶつかる事により、2人の周囲に衝撃波が起こった!そして2人は一端後退し
「ハァァァァァァ………!」
「オォォォォォォォ………!」
レーヴェは剣で斬りの態勢の状態で、リウイは突きの態勢の状態でお互いすざましい闘気を込め
「はあっ!!」
「セアッ!!」
2人はまた同時に攻撃した!するとレーヴェの剣は弾き飛ばされ、リウイのレイピアの切っ先がレーヴェの首筋ギリギリで止まっていた!
「………勝負はついたな。」
「……はい。………まだまだだな、俺は………」
リウイに静かに問いかけられたレーヴェは頷いた後、静かな表情で呟いた。そしてリウイはレイピアを鞘に収めた。リウイがレイピアを鞘に収めると同時に勝負の行方を見守っていた兵士達は驚嘆の叫びをあげた!
「レーヴェ!」
その時、プリネが血相を変えてレーヴェに駆け寄った。
「大丈夫!?」
「ああ。特に怪我は負っていないから、安心しろ、カリン。」
「よかった…………」
心配そうな表情をしているプリネを安心させるようにレーヴェは口元に笑みを浮かべて答えた。
「うふふ……いつもながら相変わらず、仲好しね♪あの2人は。その内、子供とかも作っちゃうんじゃないかしら?」
「フウ………いつも思っているが、レン。………お前はは少しませ過ぎだ。」
「子作り!?そんなの絶対、絶対許さない………!」
リウイ達の戦いを観戦していたレンの言葉を聞いたリフィアは呆れ、エヴリーヌは驚いた後、殺気が籠った視線でレーヴェを睨んでいた。
「レオン=ハルト。」
一方その様子を黙って見つめていたリウイは静かな口調で口を開いた。リウイが口を開くと辺りは静かになった。
「人間でありながら、そこまでの力は見事なものだ。お前なら先に逝った我が戦友達の力と見劣りしないだろう。………その力を評してこれよりお前を我が娘、プリネの護衛騎士見習いの位を授ける。正式な授与は後日、シルヴァンが行う。」
「俺がカリンの……」
「お父様………!」
リウイの言葉を聞いたレーヴェは驚き、プリネは明るい表情をした。
「………勘違いするな。俺が評したのはあくまでその”力”だけだ。それとペテレーネからミラの件に関しての説明を受けた。……その説明を聞いて、正直驚いたが………着眼点としてはいい。……もし”神格者”に到れば、プリネの伴侶としても認めてやろう。」
「お父様、それは本当ですか!?」
「………”神格者”が増える事は国にとっても、喜ぶべき事だからな。……それとツーヤ!」
希望を持った表情で尋ねた疑問にリウイは答えた後、ツーヤの名を呼んだ。
「は、はい!」
「……これからは奴がお前の部下だ。」
「え!?な、何故でしょうか……?」
リウイの言葉を聞いたツーヤは驚き、戸惑った様子で尋ねた。
「……これから奴はプリネの護衛騎士見習い……すなわち、プリネ直属の護衛騎士を務めているお前の部下になる事も当然の流れだろう?」
「そ、それはそうですが………」
「………今回の事を提案したのだから、責任をとってもらわないと、戦った俺としても困る。」
「う………か、かしこまりました。」
リウイの説明を聞いたツーヤは呻いた後、気を取り直して会釈した。そしてリウイはプリネとレーヴェに背を向けて同じように観戦していたイリーナの元に向かった。
「あなた、お疲れ様です。フフ………本当に子煩悩な人になったわね。もし、いつか私とあなたに子供ができて、その子が娘でプリネのように好きな人を連れてきた時、どうするのかしら?」
「イリーナ………まだ身籠ってもいないのに、その話はさすがに早すぎるぞ………」
上品に笑っているイリーナを見たリウイは苦笑しながら答えた。
「あら。だったら早く身籠るようにたくさん抱いて下さいね。」
「……言われなくても、そのつもりだ。お前との子は皆が望んでいる事だし、今の俺にとって最も望んでいる事だしな。」
魅惑的な笑みを浮かべて自分を見つめるイリーナにリウイは口元に笑みを浮かべて答えた。
「フフ………あのリウイが随分、子煩悩な”子”になったわねぇ。」
その時、明るい紫の髪と琥珀の瞳を持ち、”魔導鎧”とは言い難い露出度の激しい衣装に身を包んだ女性が上品に笑いながら、リウイ達に近づいて来た。
「ミラ。……来ていたのか。」
「まあ………ミラ様、お久しぶりです。」
女性――”闇の訓練所”の主であり、かつてはリウイの父、グラザの愛人、そして自らの力のみで神格位に到った女性――ミラ・ジュハーデスに気付いたリウイは若干驚き、イリーナは驚いた後、会釈をした。
「フフ、久しぶりね。転生、おめでとうと言っておくわ。……話に聞くところ、貴女も神格位に到ったそうね?よかったじゃない。これからは本当の意味でリウイを常に支え続けられるのだから。」
「フフ……あくまで”神核”に近い力を得ただけですから、ミラ様やペテレーネのように”神格者”とは言えません。でも……カーリアン様達のように永くリウイの傍に居続けられるのは私にとってこの上なく幸せな事です。」
「そう。これからもこの親不孝なこの子を……リウイの事をよろしくね。」
「はい。」
「………いつまで俺を子供扱いするつもりだ。今の俺には子供どころか、孫もいるのだぞ?」
イリーナとミラの会話を聞いていたリウイは呆れた表情で溜息を吐いた。
「私にとっては貴方はいつまでも子供よ。………それよりあの”子”がペテレーネの手紙にあった”子”ね。フフ……さっきの戦いを見せてもらったけど、結構やるじゃない。私の予想だと、あの強さならそう遠くない未来に私のように神格位に到れるんじゃないかしら?」
「………………………さあな……………」
ミラの言葉を聞いたリウイはレーヴェから視線を外して、呟いた。そしてミラはレーヴェとプリネの元に近づいて行った。
「なかなかやるわね。本気のリウイ相手にあそこまで食い下がれるなんて。」
「?貴女は………?(っつ!なんだこの威圧感は…………!”鋼の聖女”と見劣りしないぞ………!恐らくこの女性……”鋼の聖女”と同等の力を持っているな……)」
「あ……もしかして、貴女がミラ様ですか?」
ミラに話しかけられたレーヴェは内心ミラからさらけ出される強者の気配にたじろぎながらもそれを顔に出さずに正体を聞き、プリネはミラの容姿を見て尋ねた。
「ええ。貴女がリウイとペテレーネの娘ね?」
「はい。はじめまして、ミラ様。」
「フフ………母親に似て、礼儀正しい子ね。それと赤ん坊だった頃の貴女は知らないけど、赤ん坊の貴女に私は一度会いに行った事があるから私と貴女は初対面じゃないのよ?」
「まあ、そうだったんですか?」
「ええ。2人の子供がどんな子か気になったしね。……さて。その”子”がペテレーネの手紙にあった私に鍛えてほしい”子”かしら?」
自分の話を聞いて意外そうな表情をしているプリネに答えたミラはレーヴェに視線をやった。
「はい。………こちらの男性が私が決めた伴侶――レオン=ハルトです。私を含めた皆さんは愛称で”レーヴェ”と呼んでいるので、良ければミラ様もそう呼んでください。」
「フフ…………『獅子の果敢』とは面白い名前ね。さて………ペテレーネの手紙に書いてあったけど、私のように”神格位”に到りたいそうね?」
プリネの話を聞いたミラは口元に笑みを浮かべてレーヴェを見て尋ねた。
「………ああ。カリン――メンフィル皇女、プリネ・カリン・マーシルンと結ばれる為にどうしても”神格位”に到りたい。だが俺は神を信仰していないし、これからもそのつもりはない。」
ミラの問いにレーヴェは決意の表情で答えた。
「フフ………いいわね、その眼。幼い頃のリウイの眼に少し似ているわ。………一つだけ聞きたいのだけど、どうして”神格位”に到りたいのかしら?」
レーヴェの答えを聞いたミラは口元に笑みを浮かべて答えた後、尋ねた。
「……それは本当の意味でカリンを支え続ける為だ。」
「へぇ?それは一体どういう事かしら。」
「……カリンは”闇夜の眷属”――俺のような”人間”と違い、長寿の種族だ。俺はカリンが生まれ変わったとはいえ、生きている事を知り、決意した。………今度こそカリンを失わせないと。……その為に俺はカリンと同じ時を生き続け、カリンを守る為に”神格位”に到りたい……ただ、それだけだ。」
「……………………」
静かに語ったレーヴェの話を聞いたミラはわずかに驚いた表情をしていた。
「ミラ様?どうかなされたのですか?」
その様子を見たプリネは首を傾げて尋ねた。
「………何でもないわ。フフ……レーヴェといったわね?いつでも”闇の訓練所”にいらっしゃい。神格位に到った私の修行を私直々が教えてあげるわ。……ただし、常に”死”を覚悟しておくことね。神に頼らず神格位に到る修行は並大抵ではないわ。貴方はそれに耐えられるかしら?」
「…………望む所だ。」
挑戦的な瞳のミラに見つめられたレーヴェは不敵な笑みを浮かべてミラを見つめた。
「フフ、そう。………そういえば、プリネ。一つ聞きたい事があるのだけどいいかしら?」
レーヴェの答えに満足したのか、口元に笑みを浮かべたミラはプリネを見て尋ねた。
「貴女から漂う雰囲気からして”女”になったみたいねぇ。………いつ、処女をその男にあげたのかしら?」
「え!?ど、どうしてそれを………!」
ミラの言葉を聞いたプリネは信じられない表情をし
「なっ!?」
「何!?」
ミラの言葉が聞こえたエヴリーヌとリウイは驚いた!
「………カリン。」
「!!え、えっとミラ様……!こ、これはその……!」
溜息を吐いたレーヴェの言葉を聞いたプリネは我に返った後、慌てて言い訳をしようとしたが思いつかなかった。
「フフ、私は別に関係ないからいいわよ。それにしても本当に似た者母娘ねぇ。母親と同じ年頃で”女”になったんだから。……それに今は言い訳をする相手は私ではなく、他にする人達がいるでしょう?」
「え……?あ………!」
おかしそうに笑っているミラの言葉を聞いたプリネは首を傾げた後、すぐにミラの言葉の意味がわかり顔を青褪めさせたその時
「………………まさか、そこまでの仲に進んでいたとはな…………」
「許さない、許さない、絶対に許さない………!」
すざましい殺気を身体全体に籠らせたリウイとエヴリーヌが2人に近づいて来た!
「お、お父様……エ、エヴリーヌお姉様………」
「……………」
自分達に近づいて来た2人に気付いたプリネは冷や汗をかき、レーヴェは顔には出さなかったが、2人が出すすざましい殺気に呑み込まれていた。
「……ミラ。この男の面倒には容赦は一切いらん。”神格位”に到る事がどれほど難しいか思い知らせてやれ。」
「フフ、元からそのつもりよ。……それと貴方の気持ちはなんとなくわかるけど、ほどほどにしてあげなさい。」
「……一応考えておこう。……セアッ!!」
「死ねっ!!」
ミラの言葉に答えたリウイはエヴリーヌと共にレーヴェに攻撃を仕掛けた!
「っつ!!」
しかし2人の攻撃をレーヴェは間一髪で回避した!
「……お前とは前から一度、ゆっくりと話し合おうと常々思っていた所だが……ちょうどいい機会だ。先ほど聞いた事といい………俺達に隠している事を全て聞かせてもらうぞ。」
「殺す、殺す、殺す、殺す――――っ!!やっぱりお前なんか認めないっ!!」
「あ、あわわわわっ!リ、リウイ様………!」
「はあ…………2人とも過保護すぎですよ。」
「やれやれ………ま、余の妹を……メンフィル皇女を伴侶にするのなら、その程度の壁は軽く超えてもらわないと……な。」
「うふふ、レンもあの中に混じろうかしら♪」
リウイとエヴリーヌの様子を見たペテレーネは慌て、イリーナは呆れて溜息を吐き、リフィアは溜息を吐いた後口元に笑みを浮かべ、レンは興味深そうな表情で見つめていた。
こうして、レーヴェはミラの下で”神格位”に到る修行を始めた。余談だが、リウイとエヴリーヌがレーヴェを見る視線の厳しさは以前に増してより一層厳しくなり、さらに”話し合い”という名の模擬戦を仕掛ける回数が多くなった……………
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