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ドリトル先生北海道に行く

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第十一幕その一

                 第十一幕  羆の冬眠
 まだ夏です、ですが。
 先生は熊の冬眠についてです、動物の皆にお話しました。
「これは本当に大事なことなんだ」
「熊さんにとってはだよね」
「とてもだよね」
「そう、どうして冬眠をするか」
 それこそがというのです。
「熊が生きるうえで最も大事なことの一つなんだ」
「子供を産んで育てることとだね」
「同じ位だよね」
「熊さん達にとって冬眠はね」
「本当に大事だよね」
「そうだよ、だから冬眠出来なかったね」
 それこそというのです。
「最悪の状況なんだよ」
「だからだね」
「先生も今回本当に心配しているんだね」
「それこそ」
「そうだよ、その冬眠しそこなった羆がね」
 まさにというのです。
「さっき話した大事件を起こしたから」
「八人も死んだっていう」
「その事件だね」
「この北海道で起こった」
「そうした事件のことがあるから」
「今はそうした粗末な開拓村もないし」
 それにと言う先生でした。
「銃もあるしね、日本は銃規制は厳しいけれど」
「猟師さんもだね」
「しっかりいるね」
「猟師さんは後継者と今の人達の数の少なさに悩んでいるそうだけれど」
 それでもというのです。
「いるからね」
「昔よりはだね」
「まだすぐに羆に対応出来る」
「そうなんだね」
「うん、その分だけましだけれど」
 それでもというのです。
「羆自身も可哀想だし」
「冬眠出来ないと」
「それだけで」
「リスやヤマネ、蝙蝠もね」
 こうした生きもの達もというのです。
「冬眠するけれど」
「そうした生きものはね」
「普通にだよね」
「冬眠出来る穴があるから」
「大丈夫だね」
「そうなんだ、まだね」
 先生は今も山の中を見回しています、そのうえでの言葉です。
「それ位の穴は結構あるね」
「問題は羆さんね」
 ガブガブが言いました。
「羆さん達が冬眠出来るだけの穴ね」
「確かにそこまで大きな穴はないね」
 トートーも先生と同じく山の中を見回しています。
「ツキノワグマさんなら何とかなりそうでも」
「羆になると」
「ちょっとね」
 チープサイドの家族もです、山の中を見回しています。
「ないね」
「そこまで大きな穴は」
「というか穴熊さんいないの?」
 ホワイティはオシツオサレツの背中から先生に尋ねました。
「北海道には」
「あっ、そういえばいないね」
 ジップはホワイティの言葉でそのことに気付きました。
「北海道には」
「日本にもいるけれど、穴熊さん」 
 ダブダブも言います。
「北海道ではいないのかな」
「うん、どうもね」
 チーチーは首を傾げさせています、かなり人間的な仕草です。
「いないみたいね」
「狐、熊、栗鼠、狸、鹿はいても」
 老馬もこう言います。
「穴熊はいないのかな」
「北海道にもいるってね」
「自然に思ってたふしがあったかな」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。 
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