ドリトル先生北海道に行く
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第十幕その十一
そうしたお話を動物の皆がしているとです、ふとです。
ここでトミーは先生にです、こうしたことを言いました。
「山の中を見回していますと」
「うん、穴はね」
「これといってですね」
「ないね」
こう言ったのでした、先生も。
「いい穴が」
「はい、穴自体が少なくて」
「これではね」
「冬眠は」
「難しいね」
「はい」
「ツキノワグマならいけるけれど」
本州や四国にいるこの熊ならというのです。
「羆はね」
「身体が大きい分」
「それも難しいね」
「そうですよね」
「本当にツキノワグマは小さいんだ」
「熊としてはですね」
「相当にね、けれどやっぱり熊だから」
このことは言い加える先生でした。
「近寄る際は気をつけないといけないよ」
「そのことはですね」
「羆と違って犠牲になった話は聞かないけれど」
それでもというのです。
「大怪我をした話はあるからね」
「何十針も縫った人いますよね」
「だからツキノワグマでも気をつけないといけないんだ」
「熊は熊ですね」
「そう、大怪我をしたら元も子もないからね」
「そういうことですね」
「羆だと余計にだよ」
あらためて言う先生でした。
「気をつけないといけないんだ」
「近寄る際はですね」
「そうなんだ、それでだけれど」
「穴はですね」
「ないね」
このことをまた言った先生でした。
「それだけの穴が」
「羆の入れそうな穴が」
「本当にないね」
「ましてやかなり大きいそうですから」
「はい、ウルはです」
シホレさんも先生達に応えてきました。
「本当に大きな熊で」
「普通の羆よりもですね」
「大きいです」
こうトミーにも答えるのでした。
「倍はあります」
「普通の羆のですか」
「そうなると」
先生もそれだけ大きいと聞いて言いました。
「羆嵐位にですか」
「はい、本当に」
「ではそれだけ大きいとなりますと」
「冬眠の穴に困りまして」
「そうですね、あまり穴が多くない山ですし」
「これまでは何とかなっていました」
シホレさんはこれまでの事情もお話しました。
「ただ。その穴が今年は塞がってしまいまして」
「それはどうしてですか?」
「梅雨の雨で小さな土砂崩れでしたが」
「その土砂崩れで、ですか」
「穴が塞がってしまいまして」
そのせいでというのです。
「そのたった一つの冬眠出来る穴もなくなってしまいました」
「わかりました」
その辺りの事情もと答えた先生でした。
「そういうことですか」
「はい、それで先生と皆さんをお見掛けしてです」
「声をかけて下さったのですね」
「そうです」
「それではですね」
「これからウルのところに案内しますので」
「お願いします」
「もう少し進めばです」
山の中をというのです。
「おいで下さい」
「それでは」
「こちらです」
シホレさんは皆を山の中にと案内していきます、そしてでした。
先生達は次第に山の奥にと入っていきました、そのとても大きな羆が待っている山の奥に奥にとです。
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