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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第129話

~根源区画・奥~



「みんな………!」

「姉さん!」

「カリン、無事か!?」

リウイ達の登場にエステルは表情を明るくし、ヨシュアとレーヴェはプリネにかけよった。

「フフ、そんなに心配しなくても大丈夫よ。まだ、何もされていないわ。」

駆け寄った2人を見たプリネは立ち上って、優しい微笑みを浮かべた。

「…………服も乱れていないようだし、大丈夫ね。特に何か呪いの類もかけられていないようだし、何もなくてよかったわ………」

「フフ、お母様ったら心配し過ぎですよ。」

そして同じように自分にかけよって、状態を調べて安堵の溜息を吐いたペテレーネにプリネは苦笑した。

「クッ………!かなりの数の機械人形と合成獣(キメラ)を投入したというのに………それらを全て排除してここに来るとはさすがです、リウイ様。”幻燐戦争”時より強くなられましたな?」

一方吹っ飛ばされたケルヴァンは起き上がって、興味深そうな表情でリウイを見た。

「………確かに数は多かったが、俺達にかかればそれほど大した相手ではない。俺達の力量を見誤ったお前の敗因だ、ケルヴァン。」

「ま、次々と現れたのはめんどくさかったけどね~。」

「フン、私達を甘く見過ぎね。ただ裏で動く事しかできない貴様ごときに私達の強さは測れないわ。」

ケルヴァンの言葉にリウイは静かに答えた後ケルヴァンを睨み、カーリアンは溜息を吐いた後目は笑っていない状態でケルヴァンを睨み、ファーミシルスは鼻を鳴らした後ケルヴァンを睨んだ。

「クックック………それよりイリーナ様の復活、おめでとうございます。お久しぶりですな、イリーナ様?」

「誰が貴方の発言を許しましたか、ケルヴァン!その口を閉じなさい!」

ケルヴァンの言葉を聞いたイリーナは怒りの表情でケルヴァンを睨んだ。

「………ケルヴァン。一つだけ問う。」

「何でしょうかな?」

リウイに静かに尋ねられたケルヴァンは不敵な笑みを浮かべてリウイを見た。



「”幻惑の鈴”にイリーナとプリネを眠らせたのはお前の差し金か?」

「フフ……その小娘共も知っている事ですし隠す必要はありますまい。その通りです!これも貴方を真の闇の魔王に目覚めさせるため!」

「そうか………少しは心変わりをしていたのなら、今までの功績を考え許す事も考えていたが………その必要はなかったみたいだな。ケルヴァン、お前をあの時のようにこの俺の手で冥府に送ってやろう。今度は二度とその腐った魂が転生しないよう、魂ごと滅してやろう。」

ケルヴァンの答えを聞いたリウイはすざましい闘気と魔力、そして怒気を纏った!

「私とリウイ様の可愛い娘を犯して殺そうとした事………貴方だけは絶対に許しません!」

「お前だけは絶対に殺す!」

「余の妹を………我等マーシルン家の娘を毒牙にかけようとしたその罪………余自ら裁いてくれる!」

「あんただけは2度と転生しないよう、徹底的に斬ってあげるわ!」

「グラザ様とリウイ様。私が尊敬するお2人を裏切ったその罪、身を持って贖いなさい!」

さらにペテレーネ、エヴリーヌ、リフィア、カーリアン、ファーミシルスもリウイのようにすざましい闘気や魔力、怒気を纏ってケルヴァンを睨んだ!

「あたし達だってあんただけは絶対に許さないわ!」

「関係のない姉さんまで巻き込むなんて………絶対に許さないわ!」

「貴方だけは絶対に許さない………!」

「………斬る!」

そしてエステル、シェラザード、ヨシュア、レーヴェも怒りの表情でケルヴァンを睨んだ。



「やれやれ…………さすがにこの戦力差では勝てないな。なら、これを使わせてもらおう。」

それを見たケルヴァンは懐から何かの錠剤が入った瓶を取り出し、そして瓶の蓋を取って、瓶の中に入っている錠剤全てを飲んだ!

「クックック………人間も中々面白い物を作る。わいて来たぞ……叡智が!力が!”環”よ!この私に従え!」

錠剤を呑んだケルヴァンは凶悪な笑みを浮かべた後、近くに落ちてあったワイスマンの杖を拾って、杖を掲げた!するとケルヴァンの身体は変貌して、巨大化し、さらに先ほど戦ったワイスマンのようにいくつもの大きな翼や蛇のような尻尾がついていた!

「なんて霊圧…………!」

「………もはや”神”といってもおかしくない霊圧をしているわね……!」

変貌したケルヴァンがさらけ出す”気”にセラウィは驚き、エリザスレインは目を細めてケルヴァンを睨んだ。

(まさか奴が使った力って…………まあええ。それは俺の権限外やし、気にせんとこか。ただ、あの”薬”をどないして、手に入れたんやろ?まさか………”教団”の生き残りがおるんか?)

ケビンはケルヴァンが使った力に引っかかったが気にせず、ケルヴァンが呑んだ錠剤を見て、目を細めた。

「なっ………ケルヴァン、貴様!」

「さすがにその姿は笑えないわね………!」

「お前っ!!」

「よりにもよってグラザ様の姿を真似するなんて………!あんたって奴はどこまで腐りきっているのよ!!」

一方変貌したケルヴァンの姿を見たリウイ、カーリアン、エヴリーヌ、エステルは怒鳴ってケルヴァンを睨んだ。変貌したケルヴァンの姿――それはリウイの父、魔神グラザとよく似た姿だった!

「クックック……今の私はもはや”あの方”のように………いや、”あの方”以上の力を持ち、空の”(デミウルゴス)”となった!もはや貴様らごとき、私の敵ではない!」

変貌したケルヴァンは高々と叫んだ。さらにケルヴァンの傍に屋上で戦った人形兵器や合成獣(キメラ)が数体ずつ現れた!



「………エステル。お前達は下がっていろ。奴の存在に気付かず、今まで放置していた俺達の責任だ。……カーリアン、ペテレーネ、ファーミシルス、シェラ、ルース。……いけるな?」

「勿論よ!今度は二度と生を受けないように徹底的に殺すわよ!」

「はい!」

「「「ハッ!!」」」

エステルを見て言ったリウイはカーリアン達と共にケルヴァンに戦いを仕掛けようとしたが

「な~に、寝ぼけた事言っているのよ!あたしにラピスとリンの魂が眠っている事を忘れた?」

「………だが、”エステル”であるお前には関係のない事だろう。」

「関係なくなんてないわ!……ラピスとリン……2人と一緒になった今ならわかる………2人とも凄く怒っている!大事な思い出の人や子供を侮辱した事を……!」

リウイに言われたエステルは2人の力を解放した状態で決意の表情で答えた。

「あなた。勿論、私もいます。それに他のみなさんもあなた達だけに任せる気はなさそうですよ?」

「何………?」

イリーナの言葉に驚いたリウイが仲間達へと振り返ると



「余達を忘れるな、リウイ!メンフィルの次期皇帝として!リウイ達の孫として!余も戦う!ディアーネ、お前も出てこい!」

「フン。今思えば貴様はこの我を利用したのだったな………この我を利用すればどうなるか……思い知らせてくれる!」

「エヴリーヌも戦う!プリネを犯そうとした事やお兄ちゃん、そしてグラザお兄ちゃんを裏切った事、絶対に許さない!」

「”空の守護者”ティファーナの娘として!私も戦います!父上!」

「リスティ、戦いは嫌ですけど、ご主人様の為に頑張ります~!」

リフィア、リフィアに召喚されたディアーネ、エヴリーヌ、サフィナ、リスティはそれぞれ決意の表情で武器を構え

「私は戦う事はできませんが、お母様のように傷ついた皆さんを治癒します!お母様……イーリュンよ………私達をお守りください………!」

ティアは杖を構えて決意の表情で言った後、その場で強く祈り

「うふふ………今までの中で最高のお茶会になりそうね♪……来て!パテル=マテル!」

「……………!」

レンは小悪魔な笑みを浮かべた後、パテル=マテルを呼び出し

「レンと一緒にパパ達に刃向う愚か者達を殲滅するわよ!」

「……………!」

決意の表情で指示をした後、武器を構え、またパテル=マテルはレンの指示に答えるかのように両目を光らせ

「ご主人様とイリーナ様の為に………!」

「………こんな私を受け入れてくれた父様の………新たな祖国、メンフィルの為に!」

さらにマーリオンやセオビットもリウイの身体から出て来て、武器や戦いの構えをして決意の表情で叫び

「人間と闇夜の眷属が仲良く暮らしていくためにボクも戦う!」

「精霊王女たるこのわたくしがウィルが目指す理想を認めたのです!それを邪魔する愚か者等、絶対に許しませんわ!」

「美しき音楽を奏でるプリネを……芸術を汚そうとした事………美と芸術を愛する魔神たるこの我も許さんぞ!ソロモンの”一角候”たるこの我の力……存分に思い知るがよい!」

「―――――――――――!!」

ペルル、フィニリィ、アムドシアス、パラスケヴァスもそれぞれの武器を構えて決意の表情で叫び

(セリカとサティアが望んだ世界の……そしてエステルの為に!)

(我が友………ウィルとエステルの為に!)

「が、頑張ります!」

「勝利はニル達にありますわ!」

「クー―――――――ッ!!」

「グオオオオオオオオオオオオーッ!!」

自分からエステルの身体や腕輪から出て来たパズモ達も決意の表情で武器を構えて叫び

「エステルとプリネちゃん………2人の為に、全力を出させてもらいます!……来て!」

リタは決意の表情になって言った後、異空間からかつての決戦で使った魔槍――”七大罪の魔槍”を出し、それに座り、魔槍ドラブナを異空間に仕舞い

「”魔槍のリタ”、参ります………!」

そして決意の表情で戦う事を叫び

「全ての種族達の……そしてセティ達の未来の為に!貴方を倒します!」

「貴方のような魔族をこの私が見逃すと思って?今保たれている”秩序”を守る為、貴方を塵も残さず浄化してあげるわ!」

セラウィ、エリザスレインも武器を構えて決意の表情で叫び

「全ての種族達が共存して行く為にも俺も一緒に戦う!アスモデウス!」

「魔神アスモデウス。召喚に応じ、契約者ウィルフレド・ディオンの敵を滅する………!」

ウィルも決意の表情で武器を構えて叫んだ後アスモデウスを召喚し、召喚されたアスモデウスはケルヴァンを睨んで、戦いの構えをし



「やれやれ………相手があれだけ凄いのに、なんでかしらね?勝利する未来しか見えないわ……!”風の銀閃”改め、”嵐の銀閃”……行くわ!」

「ハハ、なんせ”覇王”達が勢ぞろいしている上、このメンバーだ。誰でもそう思うさ。……師父(せんせい)から継いだ”活人”と”泰斗”の拳………存分に震わせてもらう!」

シェラザードは苦笑した後、ウィルと博士が協力して作った武器――”天狼鞭・嵐”を、ジンは笑った後シェラザードの武器のようにウィルと博士が協力して作った武器――”天将甲”を構えて決意の表情になり

「リベール王太女クローディア・フォン・アウスレーゼ!リベールに住む全ての民、そして闇夜の眷属や異種族達の為に!全身全霊を持って貴方を倒します!」

「リベール王室親衛隊隊長、ユリア・シュヴァルツ!祖国リベール、そして我が主と義の為に……参る!」

クローゼは”エージエペ”を、ユリアはウィルと博士が協力して作った武器――”デヴァインノヴァ”を構えて決意の表情で叫び

「フッ………両世界に生きるみんなへの愛の為に!」

「破邪顕正………ヴァンダールの剣の前に砕け散るがいい………!」

オリビエは髪をかきあげた後”マスカレイドアイΩ”を、ミュラーはウィルが作った武器であり、すざましい威力の冷却属性の秘印術が籠っている事によって”氷剣”の異名を持つ大剣――アウドムラを構えて叫び

「わ、私だって頑張ります!足手纏いにならないよう精一杯戦います!」

「もう、ミーシャのように………絶対に誰も失わせねえ!」

「わしはついでに一緒に来たもんじゃが、凄い事になったのお!」

ティータはウィルと博士の技術によって作成された導力、魔導、両方の力を出せる武器”アルテマバスター”を、アガットは大剣――デュランダルを構えて決意の表情で叫び、また周りの様子を見た博士は驚きの表情で叫び

「なんかボク達は場違いのような気もするけど……メンフィル兵達に”山猫号”の修理の手伝いを手配してくれた恩もあるし、戦うよ!」

ジョゼットはウィルに作ってもらった自分専用の銃――”ワイルドキャット”を構えて決意の表情で叫び

「ガッハッハ!俺達も行くぞ、キール!」

「はいはい………ったく。こんな熱い場面で戦うなんて、俺らしくねえんだけどな………!」

ドルンは豪快に笑った後、導力砲を構え、ドルンの言葉に溜息を吐きながら頷いたキールは苦笑した後、決意の表情で長めのナイフを構え

「全く……オレの持っている武器といい、ほかの人達が持っている武器はみんなアーティファクトクラスやないか………しかもそれを作ったのがたった2人の人物って………おまけに異世界の商品を見せてもらったけど、それすらもアーティファクトクラスやし…………ホンマ、頭が痛くなって来るわ………」

ケビンは疲れた表情で溜息を吐いた後、ウィルと博士が協力して作った武器――武器に秘められる風の秘印術によって持ち主の身体能力をあげる事から”疾風の弓”の異名を持つボウガン――ミュルグレを構え

「空の女神(エイドス)の名の元に!俺も戦わせてもらうで!」

そして決意の表情で叫び

「ママの”パートナー”として!”竜”として!そしてみんなの未来を!希望を”拓く”為!ミントも戦う!」

ミントは神剣――エスペランサーを構えて決意の表情で叫び

「もう、これ以上悲劇を繰り返さない為に……私も戦います、お父様!」

「マスターの傍で戦う……それが”パートナー”!」

「もう2度とカリンに手出しはさせんぞ………!」

「姉さん、エステル、レーヴェ………みんなを守る!」

プリネは”プリンセスエペ”を、ツーヤは”聖刀アルフ”をウィルと博士の技術によってさらに強化した事によって竜の鱗すらも容易に切断する威力になった上、神力に近いすざましい力を秘めた刀――”神刀アルフ・カティ”へと名前を変えた刀を、レーヴェは”ケルンバイター”を、ヨシュアは”真・鳳凰剣(鳳・凰)”を構えて決意の表情で叫び



「フフ、”幻燐戦争”の時以上に仲間が集まったわね。ま、お姉さんに任せときなさい!」

周囲の様子を見て口元に笑みを浮かべたカーリンは武器を構えて叫び

「リウイ様の理想の為に!」

「争いのない世界を作る為に………!」

「俺も共に戦います、リウイ様!」

ファーミシルス、ペテレーネ、ルースも武器を構えて決意の表情で叫び

「ケルヴァン・ソリードを敵と再断定。これより殲滅に入ります。」

シェラは淡々とした様子で言った。

「…………………………」

仲間達の様子を見たリウイは目を見開いた状態で仲間達を見回した。

「フフ………みんな、私達の為に共に戦ってくれるようですよ、あなた。」

「みんな、あたしみたいにあんたを”仲間”って思っている証拠よ!」

驚いている様子のリウイにイリーナとエステルは微笑んだ。

「…………フッ。どうやらそのようだな…………」

2人の言葉に口元に笑みを浮かべて頷いたリウイは2人と共に武器を構えた!

「みんな!これが本当の最後の戦いよ!絶対に勝って、誰一人欠けずにみんなで生きて帰るわよ!」

「行くぞ!我が戦友(とも)達よ!」

そしてエステルとリウイは全員に号令をかけた!

「おおっ!!」

そして仲間達は2人の号令に力強く頷き、戦闘を開始した!



今ここに!後に”伝説”と化して語られる、光と闇の”英雄”達による”軌跡”が描かれる…………!




 
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