英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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第103話
~エリーズ街道~
「フフ………久しぶりに見たな、”謳われし闇王”と称えられるリウイの号令を。」
「ふふっ………さすが父様♪素敵…………!」
リウイの号令を見たリフィアは不敵な笑みを浮かべ、セオビットはうっとりとした表情で遠くにいるリウイを見つめた。
「あれが”覇王”の号令…………こっちまで自然と戦う気分になってくる。………さすがと言った所か。」
「ええ………正直、身震いがしたわ………」
一方リウイの号令を見たジンとシェラザードは畏怖を持った表情でメンフィル軍を見ていた。
「!結社の連中が突撃してくるぞ!」
突撃してくる敵軍を見たアガットは血相を変えて言った。
「リウイ様、敵軍、進軍を開始しました。」
「ああ。………重歩兵!前へ!」
エステル達がリウイの号令に驚いている中、突撃してくる敵軍を見たファーミシルスはリウイに声をかけ、リウイは指示をした!すると最前衛にいた全身に鎧を覆い、身の丈以上の大きさの盾を片手に持ち、そして剣、槍、斧のどれかを持った重歩兵――重武将や、彼らを率いる将――将帥達がゆっくりと進軍した!
「クククク!死ね―――っ!!」
そして猟兵が銃弾を放ち、それに続くように機械人形や猟兵達は銃弾を放った!しかし重歩兵たちは盾を構えて防御し、また銃弾は重歩兵の鎧にもあたったが、堅牢な鎧の為、銃弾を弾いた!
「チッ……なら、これならどうだ!」
その様子を見た猟兵は舌打ちをし、ブレードライフルの剣の部分で斬りかかった!また、接近戦の猟兵達も襲い掛かった!しかし!
「ガハッ!?……………」
重歩兵達が突き出した槍に貫かれ、さらに斧を持った重歩兵に首を切断されて絶命した!また、他の接近戦を挑んだ者も次々と堅牢な鎧や盾に跳ね返され、反撃によって討ち取られて行った!
「弓兵!射て!」
さらにリウイの号令により、弓を武器とする狙撃手、馬を駆って弓を射る騎兵――弓騎将、そして彼らを率いる将――神射手や白銀騎将達が空に向かって弓を引き絞って、矢を放った!
「ガッ!?」
「ギャアッ!?」
メンフィル軍が放った矢の雨に刺さった敵達は悲鳴を上げた!
「魔道兵!たたみかけろ!」
さらに魔術師や、馬に乗って魔術を放つ騎兵――魔道騎将や彼らを率いる将である大魔術師達が次々と魔術を放った!さまざまな魔術に命中した機械人形達は爆発を起こして、滅し、さらに猟兵達も魔術によって怯み、そしてダメージを受けた!
「騎馬兵!水竜騎兵!竜騎兵!奴らを蹂躙しろ!!」
「ハッ!」
そしてたたみ掛けるように馬を駆って戦う騎馬に乗ってそれぞれの武器を使う剣騎将、槍騎将、斧騎将、重装備で戦う騎兵である重騎将、騎兵たちを率いる将である黄金騎将、水竜騎士、そして竜騎将達が馬や水竜、竜を駆って矢を受けて苦しんでいる敵達に電光石火のごとく近づいて武器を振るった!
「ギャアアアアッ!?………」
「ガハッ!?…………」
メンフィル兵達の電光石火の攻撃に矢を受けて苦しんでいた敵達は次々と討ち取られていった!
「よし………俺達も行くぞ!」
「フフ、久しぶりね、この空気。…………楽しませてもらうわよ!」
「ハッ!全軍突撃!!」
「オォォォオオォォォォォォオオオォォッッッ!!!!」
そしてリウイ達も突撃を開始し、交戦を始めた!
「ひっ……………!」
「見るな、ティータ!」
「な、何よこれ………!こんなのもう、戦争としかいいようがないじゃない!」
「………………………」
殺されていく猟兵達や武器と武器がぶつかり合い、そして誰かが討ち取られていく様子を遠くから見ていたティータは泣きそうな表情で悲鳴を上げて身体を震わせ、それを見たアガットは両手でティータの目を隠し、エステルは信じられない表情で叫び、ヨシュアは真剣な様子で戦場を睨んでいた。
「プリネ様!我等はいつでも戦えます!」
「こちらもです、ツーヤ様!」
「我等もです、レン様!」
「殿下!我等にも突撃の命を!」
その時、それぞれの部隊の兵達が次々と武器を掲げて、プリネ達に言った。
「わかりました。……サフィナお姉様。エステルさん達を王都付近まで誘導してくれませんか?」
「ええ、わかったわ。………みなさん、準備はよろしいですか?」
兵達の言葉を聞き頷いたプリネはサフィナを見て尋ね、尋ねられたサフィナは頷いてエステル達を見て言った。
「ちょっ、ちょっと待って!リフィアやエヴリーヌ、セオビットはまだわかるけど、プリネ達も戦うの!?」
「レ、レンちゃんやツーヤちゃんも!?」
尋ねられたエステルとティータは血相を変えて尋ねた。
「クスクス♪今更、何を言っているのかしら?2人は。レン達は”皇族”なんだから、兵士さん達を率いて戦うのは当たり前でしょう?」
「で、でも………あそこで起こっている戦いは”殺し合い”だよ!?」
レンの言葉を聞いたミントは信じられない表情で言った。
「………エステルさん達のおっしゃりたい事はわかりますが………これも”闇夜の眷属”達を率いる一族の”義務”です。確かに人を殺すのは好きではありませんが………だからと言って、戦わない訳には行きません。私達は民の生活を守る為に存在し、そして民は私達を信じて税を収めているのですから。……例え他国とはいえ、民に国境はありません。」
「プリネ………………」
「…………………………」
凛とした表情で語るプリネをエステルは何も言えず、ヨシュアは辛そうな表情で見つめた。
「ふ、2人は怖くないの………?今からあの戦いの中に行くなんて………」
そこにティータがおずおずとした様子でレンとツーヤに尋ねた。
「………あたしはマスターの”騎士(パートナ―)”だから共に戦う。それがあたしの戦う理由。」
「うふふ………レンがパパ達に拾われる前に見ていた光景と比べれば、こんなの大した事ないわよ♪それに民を守る為に戦うのもレン達、お姫様のお仕事でしょう?」
「ツーヤちゃん…………レンちゃん………」
ツーヤとレンの答えを聞いたミントは何も言えなくなった。
「さて……と。行くぞ、みな。」
「「はい。」」
「はーい♪」
「キャハッ♪」
「ふふっ♪」
リフィアに言われたプリネ達はそれぞれ返事をした。プリネ達の返事を聞いて頷いたリフィアは兵達に向き直って、全身に”覇気”を纏って杖を掲げて叫んだ!
「皆の者!我等はこれより前線で戦うリウイ皇帝陛下達の援護をする!結社の者共に余達に剣を向ければどうなるか、思い知らせてやるぞ!兵は将をよく補佐せよ!そして将は兵を奮い立たせよ!何人たりとも、余達に遅れを取ることは許さんぞっ!!」
「今こそ、誇り高き”闇夜の眷属”の力を振るう時!」
「そして”大陸最強”の誇りを存分に見せる時です!」
「一人残らず殲滅するわよ!」
リフィアに続くように、プリネ、ツーヤ、レンは兵達に向き直ってそれぞれの武器を掲げて号令をかけた!
「オォォォオオォォォォォォオオオォォッッッ!!!!」
リフィア達の号令にメンフィル兵達は武器を掲げて雄たけびを上げて勇んだ!そしてリフィアは掲げていた杖を戦場へと向け
「全軍!突撃っ!!」
大声で号令をかけた!
「オォォォオオォォォォォォオオオォォ――――――――ッッッ!!!!」
リフィアの号令の元、リフィア、プリネ、ツーヤ、レン率いる護衛部隊のメンフィル軍は辺りを轟かせる雄たけびを上げながら、地面には地響きをたてながら進軍を開始した!
「ふふっ♪敵をたくさん殺して、父様に可愛がってもらうわよ!」
「賛成~!じゃ、エヴリーヌは先に行って、遊んでいるね♪」
セオビットは異空間より魔剣を出して、そして翼を羽ばたかせて空を飛んで、竜騎士や睡魔達と共に戦場に向かい、エヴリーヌは転移した。
「………さすがは”覇王”の血を引くだけあるわね。あの穏やかなプリネさんにもあんな面があるなんて………」
「ああ。メンフィルの皇族達は自ら兵を率いて戦うという噂を直に見れた瞬間だな………」
進軍して行くリフィア達をシェラザードは驚いた表情で呟き、ジンは真剣な表情で頷いた。
「…………………………」
「……………行こう、エステル。僕達には僕達のすべき事がある。」
「プリネちゃん達なら大丈夫だよ。みんな強い事はエステルが一番よくわかっているでしょう?」
その様子を黙って見続けているエステルにヨシュアが話しかけ、リタが安心させるような言葉を言った。
「………………わかった。ミント、”竜化”を。」
「うん!ハァァァァァァ…………!!」
エステルの指示に頷いたミントは白銀の竜になった!そしてエステルは男性達と共にカファルーの背に乗り、女性達はミントの背に乗った。
「王都付近までの誘導………お願いします、サフィナさん!」
「ええ。みなさんを必ず無事に送り届けます!」
そしてサフィナが飛竜を空へと舞いあがらせると続くように、エステル達を乗せたカファルー、シェラザード達を乗せたミントが空へと舞い上がった!
「戦場の上空は危険なので、ミストヴァルト方面に迂回して王都に向かいます!………総員、彼女達を守るように、飛行しなさい!」
「ハッ!」
サフィナの指示により、竜騎士を率いる将として最強で、そして最高の称号を持つ神竜騎士であるサフィナ率いるメンフィル竜騎士団はカファルーとミントを守るように、少しの距離をとって、囲むような陣形になった!
「では行きます!」
「はい!カファルー、ミント!サフィナさんにしっかりついて行ってね!」
「グオッ!」
「うん!」
そしてエステル達はサフィナの誘導の元、空を飛んで王都付近の街道に向かった………………!
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