ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)
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第1章:メルキド編
18:守る準備と逃げる準備。戦う準備は如何します?
(メルキド)
リュカSIDE
竜王軍を撃退して一息つく。
拠点を見渡すと派手に壊されている。
石の守りはほぼ消滅……炉と金床も壊され鉄が加工出来ない。
まぁ壊された物は作り直せば良いだけだし、死者が出てないだけマシだ。
傷薬や薬草は皆で大量に作って置いたし、嘆くには及ばないだろう。
でも……ハゲ、結構強かったなぁ。
さて、鉄製品の加工は急務なので、急いで作り直そうと材料を集めてたら、そのハゲが大金槌を肩にかけ近付いてきた。
先程の戦いを見て『オメェもやるなぁ。ワシの事をアニキと呼んでもいいぜ』とか言ってきたら殴ろう。
「リュカよ。炉を直すのなら、ワシの知識を生かしてランクアップした、新たな炉を作っるのだ!」
アニキと呼べとは言われなかったが、上から目線の命令口調にイラッとする。
「如何すんの?」
反発したい気持ちを抑え、如何するのか指示を仰ぐ。でもイラッとはしてる。
守りは堅め直さなきゃならないから、ランクアップした炉は必要そうだ。
流石のロッシも、あの状態を体験したら反対とは言わないだろう。
やっぱり守りは大切だからね。
「ワシの知ってる神鉄炉と金床があれば、鉄を強化して鋼を精製する事が出来るぞ」
ほぅ、鋼とは凄い。
命令されるのは嫌だが、指示に従った方が良いね、これは。でもイラッとはしてるんだよ。
そんな訳で、作り方を聞いて作成に取り掛かる。
するとヒゲが突然、「リュカよ、鋼が作れる様になったら“鋼の守り”を造って、石の守り以上に強固な防壁を築き上げるぞ」と騒ぎ出した。
なんかムカつくから殴って静かにさせようかと考えたけど、鋼の守りってのが気になったので、黙って頷き新しい炉を作る。
そして出来上がった神鉄炉と金床を使い、大量にある鉄を鉄のインゴットに加工する。
更にそれを生成して鋼のインゴットにしたら準備万端。
そしたらヒゲの指示通り“鋼の大扉”と“バリケード”を作り、石垣とトゲ罠の数を揃えて、旧石の守り跡地に赴く。
後は汚ー字で書かれたヒゲの設計図通りに、鋼の守りを完成させる。
石の守りよりも壁の高さが増し、石垣の壁の前にバリケードを配置し、壊されにくく工夫された。
しかもバリケードと石垣を破壊しようと頑張ると、足下にはお馴染みのトゲ罠……更には、両サイドから火を噴く石像が火炎攻撃を浴びせまくる。
更に恐ろしい罠として、鋼の守りの中央には入って下さいとばかりに鋼の大扉が設置されてる。
夜中でも目立つ様に、壁掛け松明で照らし出されて……
そんな扉に近づいても、簡単に開く訳もなく無残にもトゲ罠と火炎の餌食となる。
ホント……俺の趣味じゃ無い。
俺が居るときに敵が攻めてきたら、絶対にコレを使わない様にする。
でも、この間の様に留守中の襲撃があった場合は活躍してもらうしかない。
「おいリュカ……ちょっと良いか?」
出来上がった鋼の守りを繁々と見詰めてたら、真剣な表情のロッシが近付いてきた。
何だろう……またピリンとの仲の事を聞き出しに来たのか?
どうしよう……赤裸々に語ってやろうかな? それともキキララの話でもしてやろうか?
「俺の描いた設計図通り、見張り台を建ててくれ」
あまり詳しくないキキララの情報を脳内で掻き集めてると、俺の予想とは全然違う頼み事をしてきた。
見張り台を造るって事は……ロッシも遂に戦闘デビューか?
ピリンに格好いい所を見せたくなったか!?
何時になく真剣なロッシの表情に、思わずニヤケてしまう正直者な俺。
そんなイケメンのニヤケ顔に気分を害したチェリーボーイ(予想)ロッシは、木の皮の裏に石炭で描いた設計図を俺に押し付け立ち去った。
ロッシの頼みを叶える為に、設計図を確認する。
おお……字が綺麗だ。アイツを生前のグランバニアに呼んで重要な役職に就けたら、さぞかし活躍する事だろう。
ヒゲは無理だな……アイツは字が汚い。仕事の出来ない男だ。
さて……読みやすい設計図のお陰で、見張り台建造は滞りなく進む。
材料も現在庫だけで対応出来るし、ヒゲの依頼と違って遣りやすい。
日が暮れる前に完成した見張り台。
依頼人のロッシに成果を見せると、哀しく引き攣った笑顔で礼を言ってきた。
如何やらピリンに格好いいとこを見せたい為に依頼してきたのではないらしい。
流石の俺もニヤケるのを止めて真剣に訳を聞く。
「神鉄炉と金床を見たよ……凄そうだな。アレがあれば鋼の守りの様な凄い物を沢山作れるだろう。そうなればゴーレムは必ず襲いに来る。だから俺は見張り台でゴーレム襲来を見張るんだ。真っ先に逃げ出せる様にね……」
「……ロッシ。お前は何を知ってるんだ? 如何してメルキドの守り神だと言われてるゴーレムが、メルキドの町を壊しに来ると言い続けるんだ?」
「リュカはメルキド城塞を見たんだろ? だったら解るだろう……あの城塞が内側から壊されてる事に。それを人間が行える訳が無い事に!」
「あぁ……それは薄々感づいてた」
「俺の先祖もあの城塞に居た者なんだ。そして代々に渡り、城塞内で起きたおぞましい出来事を聞かされてきた。だから解るんだ……メルキドを守る為に生まれたゴーレムの悲しみが。守るべき価値の無い存在に自ら落ちた者達への怒りが!」
「ロッシ……お前「リュカよ、その様な者の戯れ言に耳を貸す事は無いぞ!」
本気で脅えるロッシに、何かを言おうとした。何を言おうとしたのかは俺にも解らないのだが、何かを言わなきゃならないと思ったんだ。
でもヒゲのアホに阻まれて何も言えなかった。
「メルキドを守る為に作られたゴーレムが、何故メルキドの人々を襲うのだ!? 馬鹿馬鹿しくて話にならん」
「じゃぁ話しに来るなよ馬鹿。あっち行けアホ」
もうマジでコイツの偉そうな態度に腹が立つ。
「リュカよ何を言うか! 我が輩はな、遂に解読したのだよ……最強の防壁であるメルキドシールドを!」
「何だメルキ「リュカ……俺みたいな腰抜けになど構わず、町の防御力を上げるんだ。それが皆の……ピリンの為なんだろ?」
今度はロッシに阻まれる。俺、嫌いなんだよね……言葉を阻まれるのって。
「その通りだ愚か者め。お前の様な不安を煽り、町の発展を阻害する輩は、今すぐに出て行け! 皆が一丸となって同じ目標に向かってるときに、お前みたいな輩は邪魔なのだ」
とんでもない一言を言われ、ロッシは肩を落として見張り台へと上ろうとする。
「黙れアホヒゲ!」
流石に頭にきたね。
俺はイケメンだけど、怒ったりもするんだ。
「自分の意見と違う事を言うからと言って出て行けとは何事か!?」
「あ、いや……リュカよ……これはだな……「黙れと言っている! 皆が一丸となって同じ目標に向かってると言ったが、俺とピリンの目標は町の強化では無い! 皆が仲良く楽しく暮らせる町造りが目標だ!」
「し、しかし……お前は町の強化に協力を……」
「町の強化に協力してるんじゃ無い。敵が攻めてくるから、それに対抗してるだけだ! 敵さえ攻めてこなければ、石の守りも鋼の守りも必要だとは思ってない。誰が好き好んであんな面倒臭い物を造りたがる? 造らんで良いのなら、あんな物は造りたくなかったわ!」
遂に言ってしまった。
人間関係をギスギスした物にしたくなかったから、俺なりに我慢してきたつもりだったのだけど、ヒゲの尊大な態度に我慢も限界。
「メルキドシールドだと? さっさと作り方を教えろボケ! 作ってやるよ、俺はビルダーだからな。お前の守りを向上してやるよ! ロッシは逃げ出す準備をしてれば良いさ……俺は最後まで戦う! 町を発展させて竜王軍に警戒させて、ゴーレムを誘き寄せて戦うさ! 皆自由にすれば良い……死にたくないから逃げる準備の奴。死にたくないから守る準備の奴。どちらも結構だね。俺は死んでも戦い抜く!」
ちょっと違うな。
死んだけど戦い抜くってのが正解だな。
リュカSIDE END
(メルキド)
ケッパーSIDE
相変わらず仲の悪いロロンドさんとロッシさんに挟まれて、リュカさんの怒りも爆発した。
ショーター君とも話したのだが、この町の実力者は間違いなくリュカさんだ。
そのリュカさんが、ロロンドさんともロッシさんとも決別するのであれば、我々はリュカさんに付いていく。
その事を確認するかの様に、ショーター君と顔を見合わせて頷き合う。
そして意を決してリュカさんに賛同する意思を表明しようとした、その瞬間……
突如、邪悪な気配が町に迫ってきた!
慌ててリュカさんに視線を向けると、彼も気配に気付いたらしく、剣を抜き放ち新設した鋼の守りの上へ飛び乗った。
以前の石の守りよりも高さが増してるのに、簡単に飛び乗る身体能力は脱帽だ。
「大変だ……美女がモンスターに襲われている! イケメンは助けるのが責務!」
鋼の守りが視界を遮り私には状況が見えないのだが全てを把握してるリュカさんは、その台詞と共に町の外へ飛び出した。
そして聞こえてくる戦闘音。
リュカさんの強さを熟知してる我々は、誰も外へと出ようとはしない。
邪魔になるだけだから……
ケッパーSIDE END
後書き
ゴールデンウィーク中にもう少し書いておけば良かった……
何だか納得のいかない出来だよぉ~……
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