英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~ジェニス王立学園解放作戦~後篇
~旧校舎~
「やはり君達か……」
エステル達が旧校舎に入るとギルバードが一人の女子生徒を人質に待ち構えていた。
「ギルバード……あんた!」
エステルはギルバートを睨んで、棒を構えて近づいたが
「おっと、それ以上は近づかないでくれたまえ。このお嬢さんを傷付けたくなかったらな。」
「い、いやっ……」
ギルバートは女子生徒に銃を突きつけた。銃を突き付けられた女子生徒は悲鳴を上げた。
(あ……!クローゼの後輩の……)
(フェンシング部に所属している子だったね……)
女子生徒を見たエステルとヨシュアは小声で会話をした。
「いつもいつも君たちは僕の邪魔ばかりしてくれる……。だがッ!今度ばかりはそうはさせないッ!この娘を手土産に、僕は”結社”の階段を上り詰めるのだからねッ!」
「へ……!?」
エステル達を睨んで叫んだギルバートの言葉を聞いたエステルは首を傾げた。
「どうやら”身喰らう蛇”は想像以上に巨大な組織らしい。今、リベールに来ているのもあくまで氷山の一角……。おそらくその影響力は大陸全土に及んでいるはずだ。フフ、さぞかし出世のしがいがあるに違いない。」
「なるほど……そういう発想もあるんだ。」
「頭の中は天晴れというしかありませんね。」
「何て言うか……いじましいまでの上昇志向ね。」
「そこまでして、どうして偉くなりたいんだろうね?」
得意げに話すギルバートを見て、アネラス、ヨシュア、エステル、ミントは呆れた。
「黙りたまえッ!元々、リベールなんていう小国ごとき僕には狭すぎたのだッ!”身喰らう蛇”こそ僕が上り詰めるのに相応しい舞台ッ!君たちなどに邪魔はさせないッ!」
「まあ、せいぜい頑張ってと言いたいところだけど……。その子を掠ったところで出世の役には立たないと思うわよ?」
必死の表情でエステル達を睨んで叫んだギルバートの言葉を聞いたエステルは呆れた表情で忠告した。
「フッ、どうやら君たちは何も知らないみたいだな……。この娘が、身分を隠したリベール王家の姫であることをッ!」
「だ、だから違うって言ってるじゃないですかぁ!」
エステルの言葉を聞いたギルバートは得意げに叫んだが、女子生徒は必死に否定した。
「フッ……しらばっくれるのは止めたまえ。僕が聞いたところによると、その姫は細剣をよく使うそうだ。そして現在、フェンシング部の女生徒は君しかいないという……。ならば君以外にあり得まいッ!」
女子生徒の言葉を聞いたギルバートは得意げに言った。しかしエステル達は呆れた表情でギルバートを見ていた。
「そ、それって……」
ギルバートの話を聞いた女子生徒は何かに察しがついて、驚いた表情をしていた。
「はあ……何と言うか。」
「思い込み、ここに極まれりだね。」
「本当にお目出度い人だねぇ。」
ギルバートの様子を見たエステルは呆れて溜息を吐き、ヨシュアは呆れた表情で頷き、アネラスは苦笑していた。
「な、なんだその反応は……」
一方エステル達の反応を見て、訳がわからなかったギルバートは戸惑った。
「あのねえ……。あんた、前にバレンヌ灯台で逮捕された時のことを覚えてないの?」
「わ、忘れるはずがないだろうッ!あの時のことを思い出すと今でも腸が煮えくり返るくらいだッ!」
「だったら僕たちに同行していた女生徒のことも覚えていますよね?一応、面識もあったみたいですし。」
「……ああ、クローゼ君のことか。そういえば拘束した生徒の中には見かけなかったような……。………………………………。え”。」
ヨシュアの話を聞いて頷いたギルバートはある事に気づき、そして考え込んだ後呆けた。
「そういう事。灯台でもクローゼ、細剣を使っていたでしょ?」
「そういえば……。……い、いやッ!そんな馬鹿な事はありえない!ここまでやったのに無駄足だったなんてことは……」
エステルの話を聞いたギルバートは同意した後、現実逃避を始めた。
「うーん……現実逃避を始めましたねぇ。」
「市長さんの秘書をやっていた頃と本当に大違いだよ………ずっと誰かの秘書をやっていた方がよかったんじゃないのかな?」
「……哀れな。」
ギルバートの様子を見たアネラスとミントは苦笑し、クルツはギルバートを哀れんだ。
「だ、黙れッ!どの道、人質を取っている以上、僕が有利なのは同じことだッ!傷付けられたくなかったら全員、すぐに武装解除しろッ!」
「ひっ……」
一方ギルバートは逆ギレして、女子生徒に銃を突きつけて叫んだ。銃を突き付けられた女子生徒は悲鳴を上げた。
(……なんか本気でぶっ飛ばしたくなってきたわね。)
(何とか隙を突ければ……)
ギルバートをエステルはジト目で睨み、ヨシュアが考え込んだその時!
「ピューイ!」
「ぐあッ!」
ジークが飛んできて、ギルバートに突進し、突進されたギルバートは女子生徒を離して、怯んだ!
「リチェル、こっちよ!」
「は、はいっ!」
そして女子生徒はエステルに言われ、エステル達の後ろに走って行った。
「ピュイ!」
「な、な、な……」
ジークの登場にギルバートは呆け
「ジーク君!」
「ジーク……どうしてここに!?」
「もしかしてクローゼに頼まれたのかい?」
ミントは嬉しそうな表情になり、エステルとヨシュアは尋ねた。
「ピューイ♪」
2人の疑問に答えるかのように、ジークは嬉しそう鳴声で鳴いた。
「はは、これは参った。」
「スゴい!スゴすぎるよ!」
ジークの活躍にクルツは感心し、アネラスははしゃいだ。
「ば、馬鹿な……。そんな馬鹿なあああッ!?」
エステル達が喜ぶ中、ギルバードは手を何度も地面に叩きつけた。
「さてと……お仕置きと行きますか♪……、ミント!」
「うん!」
そしてエステルは棒を構えて、ミントに呼びかけ、エステルの呼びかけにミントは力強く頷き
「「ハァァァァァァ………!!」」
2人は武器を構えて、その場で回転した!するとすざましい竜巻がそれぞれ2人の周りに発生した!
「いっけ~!!」
「飛んでけ~!!」
そして2人は武器をギルバートの方向に振って、構えた!すると2つの竜巻は一つに合体し、巨大な竜巻となって、ギルバートを襲った!そして攻撃を放ち終わった2人はそれぞれの行動に移った!
「う、うわああああああ~!?」
巨大な竜巻によって、ギルバートは天井に舞い上げられた!
「はぁぁぁぁぁ………!!」
「ニャァァァーーー~~!! 」
さらにエステルは落下して来たギルバートを棒で強烈な連打を放った後一端後退して離れ
「ヤア―――――ッ!!」
「ギャフン!?」
そしてミントは剣を構え、すざましい闘気と魔力で竜の頭を形どって、身体全体に覆い、突進した!そしてギルバートに突進した際、ギルバートをまた天井へと吹っ飛ばした!
「ミント!」
「うん!」
そして棒から神剣に武器を変えたエステルとミントはお互いの手を繋いだ!すると2人の周りにすざましい魔力が纏い、さらに2人の持っている神剣は強く光輝いた!
「あたし達の!」
「絆を!」
「「見せてあげる!!」」
光輝く神剣をエステルとミントは手を繋いでいない片手で頭上に上げた!するとお互いの神剣からすざましい光の刃が出て、さらに2つの光の刃は合体して、竜の姿を形どった!
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ~~~~~~っ!?
光の竜を見たギルバートは落下しながら悲鳴を上げた!その技は血は繋がっていなくても本物の親娘と変わらない”絆”を持つ2人が放つ協力技!!その技の名は……!
「「ドラゴンラッシュ!!」」
そして2人は同時に神剣を振り下ろした!すると光の竜は落下して来るギルバートを襲った!
「そんな~~~~~~っ!?ゲフン!……………」
光の竜はギルバートに突進した後消え、そしてギルバートがいる所は光の大爆発を起こして、ギルバートをボロボロにして戦闘不能にした!”人”と”竜”が結んだ”絆”によって、お互いの魔力を混じ合わせる事ができ、すざましい光の竜の衝撃波を放つエステルとミントのコンビクラフト――ドラゴンラッシュの威力はすざましく、広間全体を強烈な光を走らせ、さらにギルバートの後ろの壁を破壊した!
「これがあたし達の!」
「絆だよ!」
技を出し終えた2人は神剣を構え直して、口元に笑みを浮かべて言った!
「……あうあう……お、お願いします……。命ばかりはお助けを……」
一方ギルバートは起き上がった後、土下座をして命乞いを始めた。
「まったくもう……。いきなり卑屈にならないでよ。」
「何だか弱い者イジメしているみたいで、こっちが悪く感じるよね……」
「自業自得というものだ。それでは協会規約に従い、君の身を拘束させて―――」
ギルバートの様子を見たエステルは呆れ、ミントは苦笑し、クルツは真剣な表情で言った後、ギルバートを拘束しようと行動し始めたその時!
「それは困っちゃうなあ。」
なんとカンパネルラがエステル達の前に現れた!カンパネルラが登場すると、エステル達は警戒して後退した。
「あ、あんた……!」
「廃坑に現れた……!」
「……カンパネルラか。」
カンパネルラを見たエステルとアネラスは睨み、ヨシュアは冷静な表情で睨んだ。
「ウフフ、ごきげんよう。君たちが学園に突入するあたりから見物させてもらったけど……。いや~、これが面白いの何のって!まさかあのタイミングで飛び入りの役者が登場するとはねぇ。」
「ピュイ?」
カンパネルラに見られたジークは首を傾げた。
「カ、カンパネルラ様……。助けに来てくれたんですね?」
ギルバートは希望を持った表情で尋ねたが
「……ねえ、ギルバード君。僕、王家の姫君を掠えなんて命令した覚えないんだけどなぁ?」
「ッ……」
カンパネルラの静かな問いかけに黙った。
「そりゃあ、現場には現場の判断があるからね。あんまり細かいことを言うつもりはないんだけどさ。……でも、それで失敗したら意味ないよね?」
「ひっ……ひいッ……」
カンパネルラの冷笑を見たギルバードが後ずさった。そしてカンパネルラは指を鳴らした!すると炎がギルバートを包んだ!
「ひああああッ……!?」
炎に包まれたギルバートは悲鳴を上げた!
「な、なんなの!?」
「魔術やアーツも使っていないのに炎が……!」
炎に包まれているギルバートをエステルとミントは驚いて見ていた。
「炎の舌……。ルシオラが使うのと同じ攻性幻術の一種か。」
「うふふ、さすがに彼女ほど上手くはないけどね。でも、これくらいなら操れる。」
ヨシュアの推測にカンパネルラが答えると、炎の勢いがさらに増し、ギルバートを吹き上げた!
「うわあああああああッ!!!?」
「ま、ギルバード君の道化っぷりもなかなか愉しませてもらったし。今回だけは死なない程度のお仕置きで勘弁してあげようかな。」
そしてカンパネルラはもう一度指を鳴らした!すると炎が消えて、ギルバートは地面に落ちた。
「……ううう………」
地面に落ちたギルバートが呻いたその時、カンパネルラとギルバートは消えようとした。
「ちょ、ちょっと!?」
「ま、また逃げるの!?」
「あはは、まあ今回は申し訳なかったと謝っておくよ。今後、”結社”がこの学園に手出しすることはないと誓おう。それでは皆様―――お騒がせさま。」
エステルとアネラスの問いに答えず、カンパネルラは笑いながら謝った後、ギルバートと共に消えた。
「ま、また……」
「逃げられちゃったねぇ……」
「今回は人質も助かったことだし、仕方がないでしょう。」
「そうだね……人質を助ける事が一番優先すべき事だものね。」
「”道化師カンパネルラ”……何とも得体の知れない少年だな。」
カンパネルラが逃げた事にエステルとアネラスは溜息を吐き、ヨシュアの言葉にミントは頷き、クルツは真剣な表情でカンパネルラが消えた場所を睨んでいた。
「ええ……そうですね。ですが、彼の約束はある程度信用できると思います。」
「そうか……」
ヨシュアの話を聞いたクルツは頷いた。
「まあ、心残りはあるけど……。これで一応、一件落着と言っていいのかな?」
「うん、いいんじゃないかな?」
「ピュイ♪」
エステルとアネラス、ジークが頷いたその時
「そう言いたい所だが………エステル君、ミント君。………あの壊した壁をどうするつもりだい?」
「え”。」
「え、えっと……クルツさん?」
クルツに言われたエステルは呆けた声を出し、ミントは冷や汗をかいて尋ねた。
「2人が放った技……凄く威力があったもんねぇ………」
「少しは場所を考えて、使いなよ………」
アネラスは苦笑しながら言い、ヨシュアは呆れた表情で言った。
「ほ、ほら!結社の奴らが壊したって事にすれば……」
一方エステルは焦って言ったが
「偽りの報告をするつもりかい?」
「う”………」
クルツに睨まれてエステルは黙った。
「ママ~……後で学園長さん達に謝ろう~。」
「……そうね。弁償の代金も足りなかったら、メンフィルの本国に保管されているあたしとミントの金庫に毎月納められているって言うお金を使わせてもらうか……」
ミントに言われたエステルは疲れた表情で頷いた。
「へ……メンフィルの本国にあるエステルちゃん達の金庫ってどういう事??2人がメンフィルの貴族になったって事は知っていたけど……」
一方アネラスは首を傾げて尋ねた。
「あ、うん。………あたし達は別に使うつもりはないんだけど、本国を去る時、リフィアからあたしとミントはメンフィルの”貴族”になったから、それぞれに毎月リフィアが手配してくれたあたしとミントの金庫にメンフィル帝国の税金の一部が納められているって、リフィアが言ってたの。で、使いたい時に言えば、金庫から引き出してくれるって。」
「エ、エステル………それは僕も初耳だよ?」
エステルの説明を聞いたヨシュアは冷や汗をかいて言った。
「滅多な事がない限り使うつもりもなかったから言わなかっただけよ。生活するだけだったら、遊撃士をやっていたら十分だからいらないし。」
「ふえ~………それで2人とも毎月どれぐらい貰っているの?」
エステルの話を聞いたアネラスは呆けた後、尋ねた。
「……う……ま……よ。」
アネラスに尋ねられたエステルは小声で答えた。
「?エステルちゃん、聞こえなかったからもう一度言ってくれない?」
エステルの声が小さすぎて聞こえなかったアネラスは聞き返した。
「……20万よ~!」
聞き返されたエステルはやけ気味に叫んで答えた。
「あ、あはは………ちなみにミントはママの半分の10万だよ………」
そしてミントは苦笑しながら答えた。
「「なっ………!」
「え、え~~~~~!?」
2人の答えを聞いたクルツとヨシュアは驚き、アネラスは大声で叫んだ。
「エ、エステルちゃん!20万って貰いすぎじゃないの!?」
「あたしもそう思って、リフィアにせめてもう少し少なくするよう言ったんだけど、『お前達が遠慮すると思って、これでも大分少なくした』って言ってたし……」
アネラスに尋ねられたエステルは疲れた表情で答えた。
「少ないって………本当ならどれぐらい貰った事になっているんだい?」
エステルの話を聞いたヨシュアは信じられない表情で尋ねた。
「えっと……リフィアさんが言うにはミントが100万でママが200万って……」
「なっ………!?………他国出身の君達によくそれほどの金額を毎月簡単に渡せるな………」
「毎月そんなに渡して、国庫が空にならないんですかねぇ?」
ミントの説明を聞いたクルツは驚いて呟き、アネラスは苦笑しながら言った。
「あたしもそれを心配して聞いたんだけど、リフィアが言うには毎月国に納められている税金の一部――しかもほんのちょっとしか、使っていないんだって……」
「ちょっとって…………」
「よほどの金額が納められているようだが………それで市民の生活は苦しくないのだろうか?」
エステルの話を聞いたヨシュアは信じられない表情をし、クルツは疑問に思った。
「あたしもそれが気になったんだけど、それだけの税金を納めて本国の人達は十分な生活をしているそうよ。レンでさえ300万も貰っているって聞いたし。……まあ、プリネ達とかみんな凄い金額を毎月もらっているらしいけど、そんなに貰ってもほとんどは国庫に廻しているって言ってたわよ。ちなみに国庫のお金からイーリュン教が経営している孤児院の経営金の大部分が出ているそうよ。」
「どれだけの国力があるんでしょうねぇ?メンフィルは。」
「そうだな………私はメンフィル帝国領のギルドに出向した事もあり、市民も言っていたが、以前より税が軽くなり生活が潤っている事を話していたことを聞いた事がある。一体どんな政治をしたら、民の生活を潤わせ、考えられないほどの税を徴収できるのだろうな………」
エステルの話を聞いたアネラスは苦笑し、クルツは真剣な表情で答えた。
「まあ、あたしとミントもリフィア達みたいに毎月もらっているほとんどはあたし達が変更を申し出るまではメンフィルの国庫に8割ぐらいは廻してもらっているわ。」
「………エステルちゃん。毎月そんなにもらっていたら遊撃士をやる必要なんて、ないんじゃないの?というかずっと遊んで暮らせるよ?」
「そんな事していたら公爵さんみたいになっちゃうわ!それにあたし達は遊撃士の仕事が大好きだし。」
アネラスに尋ねられたエステルは答えた。
「……その考えは立派だけど、エステル。それでも2割ぐらいは貰っているんだよね?なんで?」
「ギクッ。ほ、ほら!あれよ!何かあった時用の貯金よ!(実はストレガー社の新作の靴や新しいロッドとかをいつでも買えるようにしている為に貰っているなんて言えないわ……)」
「ミントはマーシア孤児院にお金を送っているんだ!今までお世話になったお礼を少しでも返すちょうどいい機会だもの。ツーヤちゃんも一緒に送っているよ!」
ヨシュアに尋ねられたエステルはヨシュアから視線を外した後、心の中で考えている事がばれないように慌てて言った。一方ミントは嬉しそうな表情で答えた。
(ミントはともかくエステルは絶対嘘だろうな………エステルの事だから、大方ストレガー社の新作や釣りの道具を買う為にもらっていそうだな……)
その様子を見たヨシュアは心の中でエステルが言っている事が嘘だと気づいた。
「………まあ、どう使うかは君達次第だから、私は何も言わないが………無駄遣いだけはやめておくのだぞ?君達のお金は市民の血税なのだから。」
「うん、わかっている。」
「遊撃士として貰っている依頼料も市民の人達が働いたお金だものね。」
クルツに真剣な表情で言われたエステルとミントは頷いた。
こうして強化猟兵たちによる学園占拠事件は幕を閉じた。王国軍が到着した頃には学園の内外にいた猟兵たちはことごとく撤退してしまい……学園長やジルたちの働きによって生徒の動揺も収まっていった。ちなみにエステルとミントは壊した壁の事を学園長に説明し、弁償することも申し出たが、学園長より壊れたのは今では使われず、基本的に立ち入り禁止にしている旧校舎の壁だったためとエステル達にはギルバート達を追いだした恩もある為、必要ない事を言い、2人を安心させた…………
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