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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第96話

~紺碧の塔・屋上~



「ふふ……少々、遅かったみたいね。」

エステル達が屋上に到達すると、ゴスペルを装着し、起動している装置の傍で妖しげな笑みを浮かべているルシオラがいた。

「姉さん……!」

「いらっしゃい、シェラザード。それからヨシュア……久しぶりに会えて嬉しいわ。」

ルシオラはシェラザードを見た後、ヨシュアを見て言った。

「ルシオラ……どうして貴女が教授に協力しているんだ?それほど教授と親しくはなかったと思っていたのに……」

「ここは私にとっても巡業で訪れた懐かしい地だから……。つい興が乗ってしまった、といったところかしら。」

「な、懐かしい場所だっていうのにどうしてこんな事をしてるの!?シェラ姉の気持ちも考えないで……!」

ヨシュアの問いに答えたルシオラの言葉を聞いたエステルはルシオラを睨んで言ったが

「エステル……いいわ。言葉で尋ねるだけじゃ姉さんは何も答えてくれない。答えるに値する実力をあたしが証明しない限りね。」

シェラザードが制した。

「あら……うふふ。さすがに私のことをよく分かっているみたいね。」

シェラザードの行動を見たルシオラは口元に笑みを浮かべながら感心した。

「芸を教えてくれた時はいつもそうだったから……。だから姉さん……約束して。あたしが力を証明できたら”結社”に協力する理由を教えてくれるって……!」

「ふふ……いいでしょう。」

シェラザードの言葉に頷いたルシオラは一際大きい霧の使い魔や小さな霧の使い魔達を召喚した!

「で、出た……!」

「善鬼と護鬼―――陰陽司る式神たち!」

「東方の符術を私なりにアレンジしたものよ。シェラザード。見せてごらんなさい。私の元を離れてからあなたがこの地で得た力をね。」

「……分かった。”風の銀閃”の力、とくと見てもらうわ!」

そしてエステル達はルシオラ達との戦闘を開始した!



「今回の敵は霧だから、武器はこっちの方がいいわね!」

戦闘を開始し、ルシオラが召喚した霧の使い魔達を見たエステルは棒を仕舞って、神剣――”誓いの神剣(リブラクルース)”を鞘から抜いて、構えた!

「そういえば、エステル。君、いつの間に剣も使うようになったんだい?」

そこにヨシュアが敵達の行動を警戒しながら、エステルの傍に来て尋ねた。

「メンフィルの本国であたしがリフィアのお父さん――メンフィルの皇帝様から貴族の位をもらった時、リフィアが餞別としてくれたのよ。…………っと!」

「!!」

ヨシュアの問いに答えたエステルは自分達に攻撃してきた敵達に気づき、その場をヨシュアと共に後ろに跳んで、回避した。

「そういえば……ケビンさん、この剣を見て、随分驚いていたわね。”神剣”の類って答えたらしばらく固まっていたわよ?」

「エ、エステル………君の持っている剣がどれほどの価値があるのか、ちゃんと理解しているのかい………?(”星杯騎士”のケビンさんなら驚くだろうな………エステルの持っている剣………下手をしたら封印区画で戦った人形兵器を超えるアーティファクトかもしれないしね………)」

エステルの言葉を聞いたヨシュアは冷や汗をかいて言った。

「ま、そんな細かい事はいいじゃない!……パズモ!ニル!」

一方エステルはヨシュアの言葉を気にせず、パズモとニルを召喚した!

「パズモはあたしとヨシュアの援護を。ニルはあっちで戦っているクローゼの援護をお願い!」

(ええ。…………)

「わかったわ。」

エステルの指示に頷いたパズモはオーブメントを駆動させた後、その場で詠唱を始め、ニルは一人で数体の霧の使い魔達を相手にしているクローゼの元に向かった。

「我に眠りし命の炎よ……我が前へ!!」

そしてエステルはリンより受け継いだ力でありクラフト――”聖炎剣”を使って、神剣に”聖炎”を宿らせた!

「炎よ!力を!フォルテ!!」

一方ヨシュアはアーツを放って、自分の攻撃力を上げた!



「ブラッシュ!!」

そしてエステルはクラフトを放った!”聖炎”が宿っている事によって、エステルが放った衝撃波に”聖炎”が宿り、エステル達を攻撃した普通の霧の敵より何倍も大きい敵達にダメージを与えた!

(行くわよ!消沈!!)

さらにパズモは魔術を放って、敵達の動きを遅くし

(アースランス!!)

続けてアーツを放ち、1体の敵にダメージを与えた!

「ペトロクラウド!!」

そしてヨシュアもアーツを放って、敵達にダメージを与え

「おぉぉぉ!」

クラフト――真・魔眼で敵達の動きを止め

(光よ、集え!光霞!!)

そこにパズモが短い詠唱で済む魔術を放って、さらにダメージを与え

「聖なる光よ……我が仇名す者を貫け!聖槍!!」

止めに放ったエステルの魔術が1体の敵に命中し、光の槍は爆散して、命中した敵を滅した!



(大いなる戦意の祝福!!)

続けてパズモは援護魔術を放って、自分達の身体能力を上げ

「ソウルブラー!!………絶影!!」

ヨシュアはオーブメントを駆動させた後アーツを放った後すぐに、クラフトを放って攻撃をした!ヨシュアがクラフトを放ち終わると同時にヨシュアが放ったアーツが追撃の如く、敵を襲い、ダメージを与えた!

「…………………」

しかし敵もやられっぱなしではなく、すざましい霧の嵐をエステル達に放った!

「きゃっ!?」

「くっ!?」

(っつ!?)

敵の攻撃が命中したエステル達は呻いた!

(ラ・ティアラル!!)

ダメージを受けたエステル達だったが、パズモが治癒アーツを放って、受けたダメージを回復した!

「ありがとう、パズモ!………燃えつきなさい!火球!!」

パズモにお礼を言ったエステルは火の魔術を敵に放った!エステルが放った火の球は敵に命中すると同時に爆発した!

「朧!!」

エステルの魔術が命中するのを見たヨシュアはすかさず、クラフトを放って、攻撃を命中させた!

「聖炎剣!剛!!」

そこにエステルがリンより受け継いだ技で、そして聖炎を宿した事によって威力が倍増したクラフト――聖炎剣・剛を放った!

「わっと。ちょっと外しちゃったわね~。」

しかしエステルが放った攻撃は敵の手の部分を切り落とし、本体を狙ったつもりのエステルは後ろに跳んで後退した後、苦笑していた。

(フフ、大丈夫よ。後は私に任せて。今、とっておきの魔術の詠唱が終わったから、私が止めを刺してあげるわ!)

「パズモ………うん、任せたわよ!」

パズモの念話を聞いたエステルはパズモを見て微笑んだ。そしてパズモは自分が放てる最高の魔術でありSクラフトを放った!

(聖なる意思よ、我が仇為す敵に断罪の稲妻を!……ディバインセイバー!!)

パズモが放った神聖属性も交えたすざましい雷を放つ魔術――ディバインセイバーは敵を閉じ込めるかのように周りに小規模の雷を落としてダメージを与えた後、今までとは比べ物にならないくらいのすざましい雷を最後に落とした!雷が消滅すると、敵は消滅しており、さらに敵のいた場所は黒焦げになっていた!



「クッ…………」

エステルがパズモ達を召喚する少し前、クローゼは次々と霧を放ってくる敵達の苛烈な攻撃を回避しながら、反撃の機会を探っていた。

「ダークマター!!」

その時、アーツが1体の敵に命中した!

「行くわよ――極光剣!!」

そしてニルはオーブメントを駆動させた後、武器に上級神聖魔術を籠め、攻撃するクラフト――極光剣を放って1体の敵に止めを刺して、クローゼの所に来た。

「クロックアップ改!!」

クローゼの元に来たニルはさらにアーツを放って、クローゼの身体能力を上げた!

「大丈夫?援護に来たわよ。」

「はい、お蔭さまで。……援護、お願いします!」

「ええ、任せて。」

クローゼの言葉にニルは力強く頷いた。そして敵達はクローゼとニルを囲むように移動し、そして同時に攻撃を仕掛けた!

「ハッ!」

「フッ!」

しかしクローゼは横に跳んで、ニルは空中に跳んで回避した!

「貫け!氷剣!!」

「ストーンインパクト!!」

そしてクローゼは反撃に魔術を放ち、ニルは続くようにアーツを放って1体の敵に止めを刺した!それを見た残りの数体の敵は一斉に霧を放って攻撃したが

「そんな攻撃、効きませんわ!」

ニルがクローゼの前に立ちはだかって、簡易結界を展開して防いだ!

「光よ、降り注げ!爆裂光弾!!」

そしてニルは魔術を放った!空よりいくつも飛来する光の弾を受けた敵達は傷を負いながら怯んだ!

「万物の根源たる七耀を司るエイドスよ…………その妙なる輝きを持って我らの脅威を退けたまえ…………」

一方クローゼはニルが攻撃している間に目を閉じてその場で強く祈りながら一度膝をついて、その後、立って祈り続けた!するとクローゼの周りに神聖な光の帯が廻り始めた!

「光よ!我に集いて魔を討つ陣となれ!」

そしてクローゼは目を見開いて、両手を広げた!するとクローゼの周りで廻っていた光の帯は消え、敵達の周りにすざましい光の帯が現れ始め

「サンクタスノヴァ!!」

光の帯は小規模な爆発を次々と起こした後、大爆発を起こした!献身的な女神(エイドス)への祈りで敵を打ち倒す光の帯を発生させるクローゼのSクラフト――サンクタスノヴァによって、残りの敵達は消滅した!



「大いなる戦意の祝福!!」

エステル達が戦っている一方、ルシオラと対峙しているシェラザードは魔術を放って、自分とリタの身体能力を強化した!

「シャドウスピア!!」

さらにリタはアーツをルシオラに放った!

「ふふっ。」

しかしルシオラはその場から消えて、回避し、シェラザード達の側面に現れ

「ふふふっ……」

すざましい炎の衝撃波を放つクラフト――風魔火炎を2人に放った!

「!!」

「槍よ、飛んで。」

ルシオラの攻撃に気付いたシェラザードはその場を離れ、リタは座っている槍を空に飛ばして回避した!

「はっ!!」

そしてシェラザードは鞭をルシオラに振るった!

「ふふ。」

しかしルシオラは鉄扇で攻撃を受け流し

「それっ!」

さらに鉄扇をルシオラに投げた!



「!!」

ルシオラの攻撃に気付いたシェラザードは横に跳んで回避した!そして鉄扇はブーメランのようにルシオラの元に戻って来た。

「剛震突き!!」

そこにリタが空中よりルシオラに襲い掛かった!

「っ!」

リタのクラフトが脇腹に命中し、攻撃を受けたルシオラは顔を顰めたが

「ティアラル!!」

アーツを放って、リタの攻撃で受けた傷を治癒し

「さあ、お眠りなさい…………」

鈴を鳴らして、敵達を眠らせるクラフト――幻術・夢見の鈴音を2人に放った!

「ッ……………」

シェラザードは突如襲い掛かって来た眠気を耐えるように顔を顰めた。

「そこです!玄武の地走り!!」

一方リタは平気の様子でクラフトをルシオラに放った!

「ひぅっ!?…………クッ!」

リタのクラフトが命中したルシオラは後ろに跳んで、後退してリタを睨み

「闇に呑まれなさい!ティルワンの闇界!!」

魔術をリタに放った!



「ふふ。」

ルシオラの魔術に命中したリタだったが、命中したにも関わらず傷を一切負わず、自分を襲った暗黒の霧から飛び出してルシオラに迫り

「耐えられます?」

クラフト――薙ぎ払いを放った!

「!!」

リタの攻撃に気付いたルシオラは横に跳んで回避したが

「ああっ!?」

回避しきれず、リタの攻撃がかすった!

「出でよ!雷の槍よ!雷槍!!」

そこにシェラザードが放った魔力によって発生させた雷の槍を放つ魔術――雷槍をルシオラに放った!

「出でよ、魔槍!狂気の槍!!」

しかしルシオラは暗黒の槍を発生させる魔術を放った!暗黒の槍と雷の槍は空中でぶつかって、お互いの攻撃を相殺して消滅した!

「花は散ってこそ花………旋風よ、砕き散らしなさい!奥義、華散風魔の舞!!」

そしてルシオラはSクラフト――華散風魔の舞をシェラザードに放った!

「行くわよ…………嵐の力よ!我が鞭に宿れ!」

一方シェラザードは鞭に雷と風を纏わせ

「フフ…………!」

さらに身体全体に魔力を纏って鞭を持った状態でその場を踊り子が踊るように、華麗に舞った!するとシェラザードを囲むように雷が鳴り響く竜巻が発生した!

「嵐よ、切り刻みなさい!奥義!ハリケーンスラッシュ!!」

シェラザードが鞭を地面に叩き付けるとシェラザードの周りで発生した雷が鳴り響く竜巻がルシオラを襲った!全身に魔力を纏って華麗に舞いながら、嵐を発生させ、敵を攻撃するシェラザードのSクラフト――ハリケーンスラッシュはルシオラが放ったSクラフトの竜巻とぶつかり、相殺して消滅した!



「シェラ姉!」

「こっちは終わりました!」

その時、ルシオラの式神達を倒したエステル達が武器を構えて、シェラザードとリタの元に来た!

「あら……私の奥義が相殺されるなんて。”剣聖”と”闇の聖女”の指導の賜物(たまもの)かしら?それにおチビちゃん達も強くなったわね。私の式神を倒すなんて。」

Sクラフトを相殺され、シェラザード達の元に来たエステル達を見たルシオラは感心した様子で言った。

「はあはあ…………ええ、そうよ。武術はカシウス先生、魔術はペテレーネ師匠よ。そのお蔭で今のあたしがいるんだから。…………姉さん……どう!?」

ルシオラの言葉を聞き、一気に魔力を使い過ぎた反動で息を切らせていたシェラザードは頷いた後、息を整えてルシオラを睨んで叫んだ。

「ふふ……頑張ったご褒美に教えてあげる。私が”結社”に入ったのは……自分の闇を見極めたかったからよ。」

シェラザードの叫びを聞き、頷いたルシオラは口元に笑みをを浮かべた後、静かに語った。

「え……」

「8年前……座長が崖から転落して亡くなった事は覚えているわね?」

「あ、あたり前じゃない。あの事故がきっかけであたしたちのハーヴェイ一座は……」

ルシオラの唐突な問いかけにシェラザードは戸惑いながら答えかけた所を

「そう……一座は解散してバラバラになってしまった。でも、どうして座長が一人であんな人気(ひとけ)のない場所にいたのかとうとう誰にも分からなかった……。一体、どうしてだと思う?」

ルシオラが続けて、シェラザードに問いかけた。

「ど、どうしてって……」

問いかけられたシェラザードが戸惑ったその時

「答えは簡単……。あの時、座長は一人きりで崖の近くにいたのではないの。私が座長の側にいて……そしてあの人を突き落したのよ。」

なんとルシオラの口から信じられない言葉が出て来た!



「………………………………。……なに……何を言ってるの姉さん?」

ルシオラの言葉が理解できず、半分放心状態でシェラザードは尋ねた。

「ふふ、だから言ったでしょう。ハーヴェイ座長は私がこの手で殺したの。」

「あはは……冗談キツイよ。だってあの時、姉さんは……」

ルシオラの説明を聞いたシェラザードは渇いた声で笑いながら否定しようとしたが

「自分の手で座長を殺してから何食わぬ顔でみんなの元に戻る。そしてその場で鈴を鳴らして座長の叫び声の幻聴を聞かせる。―――私の幻術を使えば造作もないトリックだったわ。」

ルシオラがシェラザードの思いを否定するかのように残酷な真実を語った。

「やめて……やめてよ!姉さんは座長を殺したなんて……そんな事あるわけないじゃない!本当の親子みたいに……それ以上に仲が良かったのに!」

ルシオラの話を聞き、シェラザードは泣きそうな雰囲気で必死に否定して言った。

「だからこそ(ゆる)せなかった。あの人が私たちの元から去って行こうとしたことが……」

「え……」

ルシオラの言葉にシェラザードが驚いたその時、今までの塔と同じように妖しい光を放っていたゴスペルは光を放つをやめた!



「また………!」

「戻るの………!?」

ゴスペルの光が消え、装置の起動が終わる様子を見たエステルとクローゼは呟いた。そして装置は完全に止まり、他の塔と同じように周りに風景は元に戻った。

「ふふ……どうやら時間切れのようね。」

周りの様子を見たルシオラは妖しい笑みを浮かべていた。

「ね、ねえ……。ここにあった結界って何のために張られていたの?”結社”は一体、何をしようとしているわけ?」

そしてエステルは遠慮気味にルシオラに尋ねた。

「残念だけど、私たちも詳しい事は教わっていないの。教授に指示された通りのことをやっていただけだから。ただ、隠された塔の内部を見て何となく見当はついたのだけど。」

「え……」

ルシオラの答えを聞いてエステルが驚いたその時、ルシオラは鈴を鳴らした。するとルシオラの姿が薄らぎ始めた。

「待って姉さん!まだ全部答えてもらってない!どうして姉さんが座長を殺さなくちゃならなかったの!?……あんなに優しかった……みんなの親代わりだった人を……!」

「ふふ……悪いけど今回はここまでよ。今度会えた時に続きは全部教えてあげるわ。それまで良い子にしてなさい。」

血相を変えて尋ねるシェラザードの問いにルシオラは答えず、その場から姿を完全に消した。



「あ、あの、シェラ姉……」

「シェラさん……」

ルシオラが消えた後、エステルとヨシュアが心配した様子で話しかけた。

「……大丈夫、心配しないで。あたしは姉さんの真実に一歩、近づくことができた。今は……それだけで充分よ。」

「シェラザードさん…………」

「………………」

シェラザードの言葉を聞いたクローゼとリタは心配そうな表情で見つめていた。

「”四輪の塔”もこれで3つ……。”アルセイユ”に戻って最後の塔に向かいましょう。」

そしてエステル達はアルセイユに戻り、最後の塔である琥珀の塔に向かった。



~リベール上空~



エステル達が”四輪の塔”の事件を解決している間、王国軍警備艇が”結社”の飛行艇に牽制射撃を行いながら、追いかけていた。

「ふん……往生際の悪い。多少、速力で勝ろうとも包囲網から逃れられるものか。そのまま追い詰めて拿捕(だほ)せよ!」

「イエス・サー!」

飛行艇の中で指示をしたモルガンの言葉に兵士達は頷いた後、結社の飛行艇を執拗に追った。



~同時刻・王都グランセル~



同じ頃、王都周辺の人形兵器を掃討し、王都に戻って来た王国兵、メンフィル兵達をシードと副官が見守っていた。

「やれやれ、何とか夕刻までに人形どもを掃討できましたねぇ。ようやく一息つけそうです。」

「そうだな……兵達も疲れているだろう。後の警備は後詰めに任せて今日はゆっくり休ませてやれ。」

「了解ッ!」

シードの指示に副官は敬礼をして頷いた。



~同時刻・レイストン要塞・指令室~



さらにその頃指令室でカシウスは王国軍士官から報告を聞いていた。

「―――以上をもちまして各方面からの報告は終わりです。メンフィル軍の援護のお蔭で、戦闘が想定していたよりも速く終わり、”アルセイユ”の遊撃士も含め、予想以上に順調と言っていいかと。」

「ふむ……そうか。」

士官の報告を聞いたカシウスは頷いた。

「しかし、”結社”と言っても所詮は犯罪者の集まりですな。王国軍の敵ではなさそうです。ましてやこちらにはあの”大陸最強”のメンフィル軍も味方にいるのですから。」

「油断するな。例の”方舟”が残っている。警備艇には引き続き王国各地の哨戒に当たらせろ。なお、緊急指令は全部隊に徹底させるように。」

「了解しました!」

カシウスの指示に敬礼をして答えた士官は部屋を出て行った。士官が部屋を出て行った後、カシウスは一息ついた。

「緊急指令……異変時における行動指令書か。杞憂に終わってくれればいいのだが……。………………………………」

その場で考え込んでいたカシウスはやがて立ち上がり、部屋に備え付けられてある通信機を手に取って、誰かに通信を始めた。

「―――ご苦労。カシウス・ブライトだ。突然ですまないが彼をここに呼んでくれ。」

カシウスがある人物と会話をしているその頃、アルセイユは”琥珀の塔”の上空に到着し、エステル、ヨシュア、ティータ、アガット、リタのメンバーで塔を探索し、屋上に到達すると予想外の人物がいた……………





 
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