英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~”剣聖”カシウス・ブライト~前篇
~トラット平原道~
「……来たようだな。榴弾砲、撃ち方用意!」
近づいて来る人形兵達を見た王国軍士官は指揮をした。
「援護部隊、構え!」
一方メンフィル兵の部隊長も指揮をした!メンフィル兵の指揮により指揮をしたメンフィル兵以外のメンフィル兵達は弓や魔導砲を構え、さらに魔術の詠唱やオーブメントの駆動を始めた。そして人形兵器達はどんどん近づいて来た。
「撃て(ファイアー)!」
「放て!」
2人の指揮により、王国軍からは榴弾砲が連続で、メンフィル軍からはさまざまな遠距離攻撃が人形兵器達に放たれた!両軍の遠距離攻撃により、人形兵器達は傷ついたが、それでも進んでいた!
「撃ち方止め!総員突入!一匹たりとも街に近付けるな!」
「イエス・サー!」
「我等も行くぞ!メンフィルの真の強さを見せてやれっ!!」
「オオ―ッ!!」
そして王国軍とメンフィル軍は人形兵器達に接近し、戦闘を開始した!
~遊撃士協会・ツァイス支部~
「……なるほど。だいたい状況は分かったわ。こちらは軍の守備隊が先ほど作戦を開始したみたい。万全の態勢の上、援軍のメンフィル軍もいるからギルドの援護は不要でしょう。………………………………。……そう、次は”紅蓮の塔”に向かうのね。分かった……武運を祈るわ。」
王国軍とメンフィル軍が戦っていたその頃、通信器で誰かと話していたキリカは話し終え、通信器を置いた。
「……相変わらず隠し事が下手な人。全然変わっていないわね。さて……そうなると色々と忙しくなりそうね。」
そして誰もいないギルドで口元に笑みを浮かべて呟いた。
一方その頃、ロレントの街道では激しい戦いが繰り広げられ、レナは兵士達の誘導によって、ロレント市に避難している所だった。
~エリーズ街道~
「くっ………まだ追って来るか……せめて、前線で我が軍と共に戦っているメンフィル兵達の内の数名をこっちに廻してもらうべきだったか………!」
「後少しでロレントに到着できるというのに……!」
「怯むな!必ずロレントに送り届けるぞ!」
レナを護衛している王国軍兵士達は執拗に自分達を追ってくる紅蓮の猟兵達に銃を撃って威嚇していた。
「あ…………!そ、そんな……!」
一方レナは背後を見た時、自分達に走って近づいて来る数体の装甲を身体に覆った大型の狼の魔獣に気づき、声を上げた。
「な…………!」
「反対側からだと!?」
背後の敵達に気付いた兵士達は驚いた!
「よし!”剣聖”の妻を確保するぞ!そうすれば、俺達は評価される!」
「オオ―ッ!」
一方猟兵達は士気を上げていた。
「クッ………!執拗に追って来たのはやはり、准将の奥方と知ってか………!」
一方猟兵達の声が聞こえた兵士は表情を歪めた。
(……あなた………エステル……ヨシュア………ミント………お願い……”私達”を守って………!)
レナが目を閉じて、祈ったその時!
「はあっ!裂甲断!!」
すざましい衝撃波が魔獣達の背後を襲い、1体を残して倒した!
「そら!そら!そら!どりゃあっ!」
そして魔獣の背後からカシウスが現れ、棒で目にも止まらぬ速さとすざましい威力を持つ達人の技――百烈撃を放って、残りの魔獣を倒した!
「あなた………!」
「じゅ、准将!?どうしてこちらに……!」
カシウスの登場にレナは明るい表情をし、兵士達は驚いた!
「何。少し嫌な予感がして、俺単独で急いでこっちに来たのだが……どうやら間に合ったようだな。」
カシウスはレナ達を見て安堵の溜息を吐いた。
「ええ……ありがとう、あなた。」
「お前……いや、”お前達”が無事でよかったよ。」
「あら………知っていたの?」
安心した表情で自分を見つめるカシウスの言葉を聞いたレナは驚いた表情で尋ねた。
「……エステルとミントが教えてくれた。………今度は絶対にお前と……そして俺達の子供を守って見せる。」
「フフ、……ありがとう、あなた。」
真剣な表情で自分を見つめるカシウスにレナは優しく微笑んだ。そしてカシウスは頷いた後、兵士達に指示をした。
「―――ここは俺が防ぐ。お前達はレナを早くロレントに連れてやってくれ。」
「ハッ!ご武運を!」
そして兵士達はレナを連れてロレントに向かった。
「さて………と。」
レナを連れた兵士達を見送ったカシウスは目を細めて猟兵達を睨んだ。
「クッ…………まさか、”剣聖”自身が現れるとは………!」
「怯むな!この数では勝てまい!喰らえっ!」
カシウスの登場に猟兵の一人は後ずさったが、他の猟兵は不敵な笑みを浮かべて銃弾をカシウスに放った!
「甘い!」
しかしカシウスは目の前で棒を回転させて、銃弾を弾いた!
「………レナを狙うとはいい度胸をしているな………はあぁぁぁぁーっ!ふんっ!!」
カシウスは猟兵達を睨んだ後、気功で大幅に身体能力を上げる東方のクラフト――麒麟功を使い、身体能力を上げ、そして身体全体にすざましい闘気と怒気のオーラを纏った!
「なっ………!」
カシウスがさらけ出すオーラに猟兵達は呑み込まれ、後ずさった!
「……俺の妻と、そしてこれから産まれて来る俺達の子供を狙った事……後悔させてやろう。――――行くぞ。」
そしてカシウスは目の前で棒を何度か回した後一振りして、構えた!カシウスが棒を回し振った間は大地も怒るかのように、カシウスの周りの大地は地鳴りを上げていた!
「ヒッ!」
「怯むなー!ここで討ち取るぞっ!!」
それを見た猟兵の一人は悲鳴を上げて後退したが、他の猟兵が喝を入れた。そしてさらに約1個中隊の猟兵達も援軍に来たのか、武器を構えている猟兵達に近づき、それぞれ武器を構えた!
今ここにゼムリア大陸にその名を轟かせる”理”に至った”英雄”――”剣聖”カシウス・ブライトの戦いが始まった………!
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