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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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外伝~獣の魔神の試練と契約~後篇

~メンフィル帝国・帝都ミルス郊外・メンフィル軍演習場~



「グオオオオオオッ!!」

カファルーは自分の弱点攻撃をしたミントを脅威に思ったのかすざましい炎をミントに吐いた!

「!魂断獄炎撃(ソウルブレイクファイア )!!」

対するミントもすざましい炎のドラゴンブレスを吐いて対抗した!カファルーとミントが吐いたブレスはぶつかり合い、ブレスによる一進一退の攻防になった!



「なんて戦いだ………」

「”最強”の存在である”魔神”と”伝説”の存在である”竜”。もはや俺達みたいな人間が介入できる戦いじゃないな………」

カファルーとミントの攻防をアガットは呆然とした表情で見て、ジンは真剣な表情で見ていた。

「ミントちゃん……」

「頑張って~!ミントちゃん!!」

クロ―ゼは心配そうな表情でカファルーとブレスの攻防を続けるミントを見続け、ティータは大声で応援した。



(エステル。ミントが魔神の注意を惹きつけている間に私達が一気に決めるわよ!)

「うん!」

パズモの念話に頷いたエステルは剣を鞘に戻して、今度は棒を構えた!

「たぁっ!」

「せいっ!」

そしてニルとエステルは二手に分かれて、それぞれカファルーの側面から、ニルは連接剣の刃を伸ばす技――連接剣伸張、エステルはクラフト――真・捻糸棍をカファルーに放ち

(猛りの風よ!我が呼びかけに応えよ!大竜巻!!)

「のびちゃえっ!酸衝撃!!」

パズモとテトリは魔術を放って、カファルーにダメージを与え

「ウオオオオオオオオッ!!」

サエラブはとてつもない雄叫びを上げて、敵を怯ませる技――拡散咆哮を放って、カファルーの攻撃を止めた!

「ハァァァァ…………せいっ!!」

さらにそこにエステルがクラフト――真・金剛撃をカファルーの頭に命中させた!

「グオッ!?ガアッ!」

エステルのクラフトが命中したカファルーは呻いた後、エステルを睨み、エステルに角を向けて突進したが

「よっと!」

エステルはカファルーの突進を回避した。そして次の魔術の詠唱を終えていたパズモとテトリが魔術を放った!



(光よ!我が仇名す者に裁きの鉄槌を!贖罪の光霞!!)

「大地よ………我が呼びかけに応え、真なる猛りを!ベーセ=ファセト!!」

「ガッ!?」

エステルに攻撃をかわされたカファルーにパズモとテトリが放った上位魔術が命中し、カファルーは呻いた!

(行くぞ………!疾風牙!!)

さらにそこにサエラブがすざましいスピードでカファルーに攻撃した後、駆け抜け

「聖なる雷よ!我が剣に宿れ!極光!電撃剣!!」

ニルは空より強襲して、カファルーにダメージを与え

「行っくよ~!惑星轟雷爆撃(プラネットサンダースパーク )!!」

ミントはすざましい雷のドラゴンブレスをカファルーに放った!

「!?グオオオオオオオッ!?」

ミントのドラゴンブレスをその身に受けたカファルーは呻き声を上げた!

「よっし!これでかなり弱らせたんじゃないかしら!」

カファルーの様子を見たエステルが喜んだその時

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオ―――――ッ!!」

カファルーは今まで以上にすざましい雄叫びをした後、身体全体にすざましい炎を纏わせた!



「………まさかカファルーを本気にさせるなんて………勝負はここからだよ、エステル。」

カファルーの様子を見たエヴリーヌは驚いた後、真剣な表情でカファルーを警戒しているエステルを見ていた。そしてカファルーは翼の部分にすざましい炎を纏わせてミントに突進した!



「アアッ!?………………っつ!………」

すざましい炎を翼に纏わせて突進するカファルーの技――紅蓮の翼を受けたミントは悲鳴を上げた後、竜の姿から人型の姿に戻り、身体にいくつかの場所に火傷と打撲を負った状態で地面に蹲っていた!

「ミント!大丈夫!?」

カファルーの攻撃を受け、地面に蹲っているミントを見たエステルは慌てた様子でミントに駆け寄った。

「うん……まだ戦えるけど、さっきのドラゴンブレスを数回使った影響で魔力が足りなくて、今は”竜化”できないよ………」

「ミントが無事なら、そんなのどうでもいいわ!………ティアラル!!」

ダメージで呻いているミントにエステルはオーブメントを駆動させて、ミントの傷を治癒した。

「火傷もしているようね。光よ!……浄化!!」

さらにそこにニルも近付いて来て、魔術でミントの火傷を治した。そしてカファルーは飛び掛かる態勢で、炎を纏わせている翼にさらにすざましい炎を纏わせ、炎によって翼の長さを倍以上にした!そしてカファルーはエステル達に翼をはばたかせ、すざましい炎の翼の形をした衝撃波――獄蓮の翼を放った!

「やばっ………!」

自分達に襲いかかるすざましい炎の衝撃波にエステルが焦ったその時

(聖なる領域よ!我等を守りたまえ!防護の聖域!!)

パズモがエステル達の前に出て、自分達の周りに結界を貼った!炎の衝撃波は結界にぶつかった!

(エステル達は………私が守る!!)

そしてパズモは結界にさらに魔力を注いだ!そのお陰である程度は威力が収まり、一部の炎は消えたが

(キャアアアアッ!?)

全ては防ぎきれず、パズモに命中した!

「パズモ!?」

カファルーの技に命中し、地面に落ちたパズモにエステルは慌てて駆け寄った。

(ごめんなさい、エステル……私は……もう………)

「後はあたし達に任せて!だから、今は休んで!」

弱々しい念話にエステルはパズモを両手ですくいあげて、心配そうな表情で言った。そしてパズモは光の玉となって、エステルの中に戻った。

「グルルルルルルルル………!」

そしてカファルーはまた、何かを溜める動作で、口にすざましい炎を収束し始めた。



「クッ………”守護天使”の名にかけて、防いで見せますわ……!」

「私もお手伝いします!」

カファルーの行動を見たニルとテトリは結界を展開しようとしたが

(……奴の攻撃は我が防ごう。ニル、テトリ。お前達は防御より攻撃に専念しろ。悔しいが我の攻撃では奴に決定打を与えられん。ならばお前達に望みを託すまでだ。)

「永恒!?」

サエラブの指示を聞いたエステルは驚いて、サエラブを見た。

「…………わかりましたわ。」

「…………はい!」

サエラブの指示にニルは重々しく頷き、テトリは真剣な表情で頷いた後、魔術の詠唱を始めた。

(獣の魔神よ……誇り高き”炎狐”の炎……思い知るがいい………!)

そしてサエラブはカファルーのように口にすざましい炎を収束し始めた!

「グオオオオオオッ!!」

そしてカファルーは口から全てを焼き尽くすような灼熱の炎を吐いた!

(”炎狐”の炎……思い知るがいい!獄炎の大渦!!)

自分達に襲いかかる炎をサエラブは口からすざましい獄炎の渦を吐いて、対抗した!カファルーの炎とサエラブの炎はぶつかりあい拮抗していたが、じょじょにカファルーの炎が圧していた。しかし

(”炎狐”を……舐めるなあっ!!)

サエラブは自らに気合を入れ、さらに炎の威力を強めてカファルーの炎を圧し戻し、カファルーの口にカファルーが吐いた炎ごと自分の炎を命中させた!

「グオッ!?」

自分の口に炎が命中した事によってカファルーは驚き、のけ反った!

(グッ……………)

一方炎を吐き終わったサエラブは力を使い果たしたかのように、弱った様子でふら付いた後、地面に倒れた!

「永恒!しっかりして!」

(フッ………勝利への布石は打った…………後は任せたぞ…………)

そしてサエラブは不敵な笑みを浮かべた後、パズモと同じように光の玉となって、エステルの身体の中に戻った。一方魔術の詠唱をしていたニルとテトリは自分達の足元に巨大な魔法陣を展開して、それぞれ”昇格”した事によって使えるようになった禁じられし魔術――大魔術を放った!

「そは忌むべき俸命にして偽印の使徒!深遠の淵へ帰れ!招かれざる者よ!」

ニルの詠唱によって、カファルーの頭上に光が収束し

「我は命ず!汝、悠久の時、妖教の賛歌を混濁たる瞳で見続けよ!」

テトリの詠唱によって、地面から巨大な禍々しい雰囲気を纏わせた人の形をした骨だけの存在がカファルーに目標を定め

「セラフィックローサイト!!」

収束した光は巨大な光の柱となって、カファルーを襲い、さらには周りに光の爆発を起こさせ

「ペドロディスラプション!!」

禍々しい雰囲気を持つ存在はカファルーに猛毒の効果も持つ地属性のブレスを吐いた!

「―――!!グオオオオオオオオ!?」

2人の大魔術を受けたカファルーは大ダメージを受け、悲鳴を上げるかのように雄叫びを上げた!

「フフ………サエラブとパズモの仇はとったわよ……!」

「ハア……ハア……あ、あはは……2人は死んでいませんって…………」

大魔術を使った事により、大量の魔力を消費した影響で息を切らせながら不敵な笑みを浮かべるニルの言葉にテトリも同じように息を切らせながら苦笑して指摘した。

「グオオオオオッ!!」

しかしそこにカファルーが炎を纏って、2人に突進した!

「カハッ!?」

「ひゃん!?」

疲弊した影響により回避できなかった2人はカファルーの突進によって、大ダメージを受けると共に吹っ飛ばされ、地面に倒れた!

「ニル!?テトリ!?」

「2人とも大丈夫!?」

カファルーの攻撃を受けた2人を見たエステルとミントは2人に駆け寄って、声をかけたが

「フフ……油断したわね………後、少しで倒せると思うわ……だから……頑張って………!」

「エステルさん達に………森の加護を………」

ニルとテトリはエステル達に満足そうな笑みを浮かべて応援の言葉をかけた後、2人は光の玉となって、エステルの身体に戻った。



「…………………みんな…………ありがとう…………みんなの思いを無駄にしない為にも、絶対に勝つ!!

自分の為に力を使い果たしたパズモ達をエステルは一滴の涙を流した後、決意の表情になり、カファルーを睨んだ。

「グルルルルルル……!」

エステルに睨まれたカファルーはまた、溜める動作で、口にすざましい炎を収束し始めた。

「そう何度も喰らうものですか!ミント、避けるわよ!」

カファルーの行動を見たエステルはミントに声をかけたが、ミントは剣を両手で持って、振り下ろそうとする状態で固まっていた。

「ミント!?何しているの!?回避するわよ!」

ミントの行動を見てエステルは慌ててミントに声をかけたが

「ママ。ミントはこの剣の名通り、ママの”希望を拓く”ね。だから、絶対勝ってね!」

ミントは優しい微笑みをエステルに見せて言った。そしてカファルーはすざましい炎をエステル達に放った!

「!!ミント、避けて!!」

横に飛んで回避したエステルはその場を動かないミントに警告したが、ミントは動かず剣に自分に残っている魔力を全て込めた!魔力を込められた剣は神々しい光を放った!

「剣よ!ミント達の希望を”拓いて”!………希望を拓く(エスぺランサー)!!」

ミントが放った神剣の名と同じ名前の技にして神剣に込められる神力を引き出すSクラフト――”希望を拓く(エスぺランサー)”は神々しい光の槍を剣から放ち、カファルーの炎を消滅させ、カファルーに命中させた!

「グオオオオオオオッ!?」

神々しい光の槍が描く軌跡によって光の道と化した攻撃を受けたカファルーはさらに大ダメージを受け、悲鳴を上げた!

「マ……マ…………頑張って……………」

そして残っていた力を剣に全て込め、力を使いはたしたミントは地面に倒れ、気絶した!



「ミント………………」

満足そうな笑みを浮かべて気絶しているミントを見て、エステルは涙を流した。

「グルルルルルルル…………!」

一方カファルーは度重なる大ダメージを受けても、それでも闘志は失わず、エステルを睨んでいた。

「……みんなの思い、絶対に無駄にしない!……ハアッ!!」

そしてエステルは決意の表情になり、ラピスとリン、2人の力を同時に解放した!

「はぁぁぁぁ!!」

2人の力を解放したエステルははその場で回転して、闘気と棒の遠心力によってできた巨大な竜巻を作った!

「いっけ~!」

そしてその竜巻を棒を思いっきり振って、カファルー目掛けて放った!

「グオオオオオオ!?」

巨大な竜巻を受けたカファルーは苦悶の声を上げた!

「これが!”あたし達”の!とっておき!!我に眠りし命の炎よ……ここに来たれ!」

そしてエステルは鞘から剣を抜いて、片手で握り、もう片方の手には棒を握って叫んだ!すると、剣には”聖炎”が宿り、棒は”聖炎”によって刃が宿り、槍と化した!

「これで……終わりよ!」

エステルは両方の武器を構えて、そのままカファルー目掛けて突進した!その技は(エステル)(ラピス)(リン)が合わさった究極の技にして、聖なる炎を宿した奥義!

「聖技!!」

突進したエステルは槍と化した棒と剣で、カファルーを十字(クロス)に斬った!!

「グランドクロス!!」

エステルがカファルーの背後まで駆け抜け、叫ぶと闘気と聖炎によってできた十字架がカファルーに刻まれた!

「グオオオッ!?グルルルルル………!」

聖技・グランドクロスを受けたカファルーだったが、それでもエステルを睨んで体全体に炎を纏い、エステルに向かって突進の構えをして、助走を始めだした!

「クッ!?ハア……ハア………絶対に負けるもん……ですか……!」

カファルーの様子を見たエステルは元の姿に戻り息を切らせながらも、棒を構え、そして残る力を全て棒に注ぎ込んだ!

「とっておきを見せてあげるっ!はっ!とりゃあぁぁぁぁ!」

身体全体に闘気を纏ったエステルは回転しながらジャンプし

「せいっ!まだ………まだぁっ!」

ジャンプしたエステルは突進しようとしたカファルーの前に飛び込み、そして!

「はぁぁぁぁ!奥義!太・極・輪!!」

カファルーの周りを回転するように駆け抜けながら攻撃した!エステルの回転によって、カファルーの周りは巨大な竜巻が出来た!

「グオオオオオオオオオオッ!?」

回転が生み出すあらゆるエネルギーを打撃に応用したエステルの奥義にしてSクラフト――太極輪を受けたカファルーは悲鳴を上げて、地面に倒れた!

「ハア……ハア……もう……ダメ……………」

一方全ての力を使い果たしたエステルは倒れているカファルーの目の前で、気絶して倒れた!



「………グオ。グルルルルル………」

一方倒れていたカファルーはゆっくりと起き上がって、倒れているエステルを見下ろした。

「そ、そんな!まだ立ち上がるなんて……!」

その様子を見たクロ―ゼは信じられない表情で見ていた。

「エステル!ミント!起きなさい!」

「お願いだから、起きて!2人とも!!」

シェラザードとティータは必死の形相で2人に呼びかけたが、意味はなく2人は何の反応もしなかった。

「……俺達も加勢するぞ!」

「ああ……!これ以上は見ていられん!」

一方アガットとジンは武器を構えたが

「待って。」

なんとエヴリーヌが2人の前に出て制した。

「どけっ!あいつらが殺されちまうだろうがっ!!」

自分達の前に来て制したエヴリーヌをアガットは怒鳴った。

「カファルーを見てよ。もう、カファルーに戦闘する意思はないよ。」

「……何……?」

エヴリーヌの話を聞いたジンは驚いた後、カファルーを見た。

「…………………………」

カファルーは倒れているエステルを見続け、そして

「グオオオオオオオオオオオオ―――――!!」

すざましい雄叫びをした!すると倒れているエステルの腕に炎が宿ったかのような、炎の色をした腕輪が現れ、エステルの腕に装着した。

「…………………………」

そしてカファルーはエステルに背を向け、どこかに飛び去った。



「エステルさん!ミントちゃん!」

カファルーが去った後、クロ―ゼ達はエステルとミントに駆け寄った。

「………大丈夫のようね。2人とも気絶して眠っているだけよ。」

エステル達の状態を調べたシェラザードは安堵の溜息を吐いた。

「よ、よかった~……」

「はい。本当によかったです………」

シェラザードの言葉を聞いたティータとクロ―ゼは安堵の溜息を吐いた。

「フム。結局”契約”の件はどうなったのかな?」

「…………”契約”は成功したよ。エステルの腕を見てみれば、わかるよ。」

2人を見て呟いたオリビエの疑問にエヴリーヌは答えた。

「腕だと……?ん?エステルの奴、こんな腕輪、さっきまでしていたか?」

エヴリーヌの言葉を聞いたアガットはエステルの右腕に装着されている腕輪を見て首を傾げた。

「……その腕輪はさっきカファルーがあげたみたいだからね。……多分、それが”契約”の証だよ。その腕輪を掲げてカファルーの名を叫べばカファルーを召喚して使役できると思うし、エステルの魔力と同化した訳じゃないからエステルの魔力に負担がかからないし、後はその腕輪を付けていればカファルーの加護を受けれるよ。……まさかカファルーがエステルの事をここまで認めるとは思わなかったよ。」

「フフ……相変わらず、あたし達を驚かせてばかりね、この娘は。まさか”魔神”とも契約するなんて。」

エヴリーヌの話を聞いたシェラザードは気絶して眠っているエステルに微笑みながら見つめていた。



こうしてエステルは新たな仲間であり、”最強”の存在との契約を成功させた…………!



 
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