英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~獣の魔神の試練と契約~前篇
~メンフィル帝国・帝都ミルス郊外・メンフィル軍演習場~
「ヤッ!」
「………!」
戦闘開始直後、エステルは棒で攻撃したがカファルーは回避し
「グオッ!!」
「!クッ………!」
回避したカファルーは肩足をエステルに振りおろして攻撃し、エステルは棒で防御した。しかし
「グルッ!!」
「あうっ!?」
「エステルさん!」
カファルーは炎を纏った尾でエステルを薙ぎ払い、エステルは火傷や打撲によるダメージを受けると同時に吹き飛ばされ、テトリはそれを見て声を上げた。
「癒しの光よ……癒しの息吹!!」
吹き飛ばされたエステルにニルがかけよって、魔術でエステルの傷を治癒した。
「ありがと、ニル。一撃喰らうだけでも、結構痛いわね………」
「当り前よ。相手は魔神なのよ。」
エステルの言葉にニルはカファルーを警戒しながら頷いて答えた。
(消沈!)
「………!?」
エステルがニルに治療を受け終わった時、詠唱をしていたパズモの魔術が発動し、カファルーの身体能力を下げ
「さらなる時よ!クロックアップ改!!」
ミントのオーブメントが発動し、サエラブの身体能力を上げ
(……行くぞ!)
身体能力の上がったサエラブはアーツによってさらに素早くなった身体で、カファルーに鋭い爪で襲いかかった!
「グオオオオオ!」
自分に襲いかかるサエラブを見たカファルーはサエラブに向かって、巨大な炎の玉を吐いき、サエラブに、命中させた!
(フッ……我に炎等、無意味!フン!)
”炎狐”のサエラブにはカファルーの炎は効かず、サエラブは炎の中から出て、カファルーに攻撃した!
「グオッ!」
サエラブの攻撃を受けたカファルーだったが、怯まず、サエラブに炎を纏った爪で反撃して来た!
(チッ!さすがにそう簡単には傷つかんか……!)
カファルーの反撃をサエラブは舌打ちをしながら回避をして、距離をとった。
「ヤアッ!3連射撃!!」
(風よ……行けっ!連続風弾!!)
サエラブの行動の後にテトリが技を放ち、パズモは風の魔力の弾を連続で2回放つ魔術――連続風弾をカファルーに放った!
「グオオオオ!」
しかしカファルーは口からすざましい炎を吐いて、矢や魔力の弾を消すと同時に2人に攻撃した!
「あわわっ!」
(!!)
自分達に襲いかかる炎に気付いた2人は回避した!
「光よ、降り注げ!爆裂光弾!!」
そしてニルの魔術が発動し、無数の光の弾がカファルーに降り注ぎ
「大地に降り注ぐ光よ!弾丸となり、敵を貫け!シャインブレッド!!」
ミントは”成長”した事によって新たに習得したニルが放った魔術のように空から光の弾を降らす空属性を持つ魔術――シャインブレッドを放った!
「グオッ!?」
ニルとミントが放った魔術によって無数の光の弾が雨のように降り注ぎ、カファルーがのけ反った!
「聖なる光よ……我が仇名す者を貫け!聖槍!!」
そこに契約したパズモ達が”昇格”した事によって今まで使えた魔術が強力になった魔術の一つ――聖槍をエステルが放った!エステルが放った魔術はカファルーに命中し、激しい光の爆発が起こった!爆発によって煙がカファルーを包み込んだ!
「よっし、命中したわね!」
カファルーに魔術が命中し、エステルは喜んだが、魔術の爆発によってできた煙が晴れると、傷は少しだけ負っているカファルーがいた!
「なっ!?」
「ミント達の魔術が命中したのに……!」
「さすがは魔神と言った所ね………」
魔術が命中したにも関わらず平気な様子でいるカファルーを見てエステルやミントは驚き、ニルは苦い表情をした。そしてカファルーは翼をはばたかせ、飛び上がって、炎を纏った足にさらにすざましい炎を纏わせて、エステル達に急降下した!
「グオオオオオオッ!」
「あうっ!?」
「やん!?」
「クッ!?」
炎を纏わせた足で敵陣に急降下し、炎と共に衝撃波を放つカファルーの技――爆炎スマッシュを受けたエステル達はダメージを受け、呻いた!
「グルルル…………!」
ダメージを受けて、呻いているエステル達の隙を逃さないかのようにカファルーはエステル達に追撃をかけようとしたが
(フン!)
(光よ、集え!光霞!!)
「!?グオオオ!」
サエラブが神速の速さで爪で攻撃し、パズモが魔術を放ってカファルーに命中させ、攻撃を受けたカファルーは目標をサエラブとパズモに変えて、サエラブ達への攻撃を開始した!
「クッ………光よ、傷ついた者達に癒しを!………癒しの風!!」
サエラブとパズモがカファルーの相手をしている間にニルは治癒魔術を自分達にかけて、カファルーによって受けた傷を回復した!
「ありがと、ニル。……熱っ!?」
ニルにお礼を言ったエステルだったが、カファルーの攻撃によって負った火傷によって顔を顰めた。
「火傷もしてしまったようね。……待って。今、”浄化”を放つわ。」
「あ、待って、ニルさん。ママやミント達の傷もまだ少しだけ残っているし、火傷と一緒に治すよ!」
「へ……!?ミント、治癒魔術が使えるの!?」
ニルの行動を見て制したミントの言葉にエステルは驚いた。
「うん、ちょっと待っててね!……聖なる水よ!我等に聖なる慈悲を!トータルヒーリング!!」
複数の味方の傷を治癒すると同時に状態異常も治癒するミントの水の癒しの魔術――トータルヒーリングによって、エステルの火傷は治癒し、また治りきっていなかったエステル達の傷も回復した!
「ありがと、ミント!傷と火傷を一緒に治すなんて驚いたわ。」
「さすがは竜といったところね。」
「えへへ………」
エステルとニルに褒められたミントは照れながら笑った。
「聖なる祝福の風よ!我等に汝の加護を!技魔代謝の風!!」
そこにテトリのSクラフトの一つであり、味方全員の体力、魔力、闘気の全てを時間が経つと共に一時的に自動回復させる魔術――技魔代謝の風をテトリが放った!
「これで、傷は勿論の事、魔力や闘気も自動で回復します!なので、ある程度の無茶をしても、魔術や道具を使わなくてもすぐに回復します!」
「ありがとう、テトリ!……さっきはよくもやってくれたわね~……!」
テトリの説明を聞いて頷いたエステルは棒を仕舞って、腰に刺していた神剣――”誓いの神剣”を抜いた!
「行くわよ~……ブラッシュ!!」
「!?」
エステルが放った剣技を受けたカファルーはエステルに気付いて、エステルを睨んだ。
(行けっ!連続光弾!!)
(フン!!)
「よいしょっ!精密射撃!!」
エステルに注意をそらした隙を狙い、パズモとサエラブ、テトリはそれぞれ攻撃し
「電撃剣!!」
ニルは空中より奇襲し
「えいっ!」
ミントはカファルーの側面から氷の魔力を纏わせたバーストショットの上位技――アイシクルショットを放った!
「グオオオオオオオ!!」
エステル達に集中攻撃されたカファルーだったが、やられっぱなしではなく、すざましい炎を右から左へと吐いた!
「!!」
「ぴ、ぴええええ~!!」
「ヤッ!」
(クッ………)
カファルーの攻撃に気付いたニルは空へと飛び上がって回避し、テトリとミントはそれぞれ横に転がって回避し、パズモは結界を貼って防御した!
(フン!)
「身妖舞!さあ、行くわよ!まだまだまだまだまだまだぁっ!」
そしてサエラブは鋭い爪で攻撃し、エステルは剣で素早くクラフトを放った後、さらにクラフト――剣技・八葉滅殺を放った!
「とどめっ!」
(ムン!)
そしてエステルは最後の一撃をジャンプして、カファルーに剣を命中させ、サエラブは鋭い牙でカファルーの足を噛んだ!
「グオオオオオオオオオオ!」
エステル達の攻撃によって少しは傷ついたカファルーだったが、突如雄叫びをした!そしてカファルーはすざましい炎を纏わせて、エステル達にそれぞれ突進した!
「きゃっ!?」
「やん!?」
(クッ!?)
(グッ!?)
「ぴえっ!?」
「カハッ!?」
カファルーの攻撃を受けたエステル達はそれぞれダメージを受けると共に吹っ飛ばされた!
「クッ………!」
ダメージを受け、吹っ飛ばされたエステル達だったが、テトリの失った魔力や闘気、さらには傷や体力を自己再生させる魔術を受けたお陰で負った傷が少しづつ回復し、呻きながらも立ちあがった。
「やっぱり魔神だけあって、強いわね……けど、絶対あたし達の力を認めさせてやるわ!」
「フフ、その意気よ、エステル。…………癒しの風!!」
意気込むエステルを見て、ニルは微笑んだ後、治癒魔術を自分達にかけた。
「でも、どうしましょう?いくら攻撃しても、あまり効いていない様子ですし………」
「そんなの、何度でも攻撃すればいつかは倒れるわ!」
(そうだ。この程度で泣きごとをいうな。)
不安そうな表情をしているテトリにエステルとサエラブはそれぞれ元気づけた。
(大いなる戦意の祝福!!)
そこにパズモは自分達に魔術をかけた!
「ありがと、パズモ!」
(全員の身体能力をあげても、それでも勝利の確率は低いわ。油断しないで、エステル。)
お礼を言うエステルにパズモは警告した。
「グオオオオオオ!!」
そしてカファルーは何かを溜めるような動作をした後、エステル達に向かって口から溜める事によって威力が倍増したすざましい炎を吐いた!
(させない!)
「させませんわ!」
カファルーの攻撃に気付いたパズモとニルはエステル達の前に出て、簡易結界を貼った!
(クッ………)
「結界で防御しても一部は防げないなんて………なんて、炎!!」
結界でエステル達を守っているパズモ達は防御していても、結界を越えて自分達を襲う炎に受けて、熱さに呻きながらも防御していた。
「癒しの闇よ!闇の息吹!!」
「母なる大地の力よ………大地の恵み!!」
ダメージを受け続けているパズモとニルを見たエステルとテトリは2人に治癒魔術を放った。
(不味いな……このまま防いでいては、防戦一方の上いずれ破られるぞ………)
「それぐらい、わかっているわ!(どうしよう……何か手は………)」
サエラブの念話にエステルは答えた後、心の中で焦った。
「ママ。」
「?どうしたの、ミント。」
そこにミントがエステルに話しかけ、話しかけられたエステルは首を傾げて尋ねた。
「ミントがどんな姿になっても、ママは怖がらない?」
「?何、当たり前の事をいっているの?ミントは例えどんな姿になってもあたしの”パートナー”よ!」
「そっか……ありがとう、ママ。」
エステルの答えを聞いたミントは微笑んだ後、決意の表情になり、そして剣を鞘に収めて、両手を空へと上げて身体全体にすざましい魔力を溜めた!
「ハアアアアアアアアアア………………!」
するとミントの身体が光に包まれ、そして!
「グオオオオオオオオッ!!」
光が消えるとミントがいた場所にはカファルーとほぼ変わらない大きさの白銀の竜が現れると同時に空に向かって雄叫びをした!
「なっ!り、竜!?………も、もしかして……ミント!?」
白銀の竜を見たエステルは信じられない表情で驚いた。
「ミ、ミントちゃん………本当に竜だったんですね………じゃあ、ツーヤちゃんも………!」
「ふ、ふえええ~!わたし、竜と友達だなんて信じられないよ……」
一方観戦していたクロ―ゼとティータは信じられない思いで竜になったミントを見つめ続けていた。
「フフ……竜になってもミント君は美しいね♪煌めく白銀の身体に紅い瞳………あんな見事な生物、今まで見た事ないよ♪」
「こんな時にまで何いってやがるんだ………」
オリビエの言葉を聞いたアガットは呆れた表情で溜息を吐いた。
「それにしても、話には聞いていたけど、ミントが本当に竜だったなんて………今こうして目の前にいても、信じられないわ。」
「ああ。伝説の存在……それが俺達の傍にいたなんてな。」
驚いた表情でミントを見て呟いているシェラザードの言葉にジンは真剣な表情で頷いた。そして竜になったミントは巨大な翼をはばたかせ、空へと舞い上がった!
「ママ達はミントが守る!氷金剛破砕撃 (ダイヤモンドアイスバースト)!!」
上空に舞い上がったミントは口からすざましい吹雪のドラゴンブレス――氷金剛破砕撃 (ダイヤモンドアイスバースト)をカファルーに放った!
「!?グオオオオッ!!」
ミントの放った弱点でもある冷却属性のドラゴンブレスを受けたカファルーはダメージを受けてのけ反り、炎を吐き続けるのをやめて、ミントを睨んだ。そしてミントは地上に降り立った。
「攻撃が止んだ……ありがとう、ミント!」
「油断しないで、ママ!相手はまだまだ平気のようだよ!」
お礼を言うエステルにミントは警告した。
「ええ!勝負はこれからよ!行くわよ、みんな!」
そしてエステル達は戦闘を再開した!今ここに”最強”と”伝説”の存在がぶつかり合う戦いが始まった………!
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