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ソードアートオンライン~戦場で舞う道化師~

作者:NNG
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第八話お休みの日

 
前書き
マターリ行きましょう。


それでは どうぞ 

 



「……んー……」
「どうしたの?さっきから唸ってばっかだけど」
「もう、集中できないわ!」
「……ぬー……」
「そう言うわけじゃなくて…」


アスナは注意をするのだが、目の前の子ともう一人の子は注意しても意味がない事を思い出し放っておく事にした。
放って置かれたサイガは、ふと石の上で寝ている仙人を見た。一見寝ているようだがサイガの動きを察知してあらゆる攻撃を
ぬるりぬるりとかわす、クエスト自体に影響は全く無いのだがサイガは一発その顔にお見舞いしなくては気が済まないのだ。
ふと、手元の石と仙人の背後にある木を見た。


「……当たるかな」


石の飛んでいく軌道を計算し始めた、簡単に言えば木に反射させて当てようというのだ。
今までの全ての攻撃をかわしているバケモンにこんな安易な策が通用するはずもーー


ガンッ!!


当てってしまった。


「あたった…」


まさかまさかの展開に。直接の攻撃には異様な回避能力を持つが、跳弾のような関節的な攻撃には反応が遅れるらしい。
小躍りして喜ぶサイガを見て、アスナ、ナギ、ネズハは呆れながら見ていた。


「ほんとに当てちゃった…」
「私のレイピアもあたらなかったのに…」
「努力は報われるんですね!」


若干一名の解釈がおかしいが、三人はサイガの執念に驚きを隠せなかった。そんな中サイガも別の事で驚いていた。


(カーソルの色が変わらない…なんでだ?)


通常グリーンカーソルのプレイヤー、NPCを攻撃すると攻撃したプレイヤーカーソルはオレンジ色に変わる。
カーソルの色を戻すには、《カルマ回復クエスト》と呼ばれるめんどくさいクエストを受けなくてはならない。
または、二、三日ほど待つかのどちらかである。
もちろんサイガはこれらの事を知っていた、けどやらずには…以下略
が、自分のカーソルは鮮やかな緑色のままだったのだ。サイガが軽く混乱している中、目の前にクエストウインドが現れた。



《さらなる高みへ》


在り来たりな臭い言葉だ、などと考えながらも指が勝手にクエストを受注してしまうあたりサイガもゲーマーの端くれなのだ。
クエスト内容はいたってシンプル。
仙人に触れる、これだけ。
だが、その難しさはいうまでもなく再び唸ってしまうサイガなのだった。









太陽が真上に登った頃、ピロン、と電子音がなった。アルゴからアスナへのメッセージのようだが……


「なんで直接言わないのよ!」


チキンなキリト君にとっては喧嘩中のアスナにメッセージを送る何て拷問に等しい。よって、アルゴを仲介する事にした様だ。キリトからアルゴに、アルゴからアスナに送られてきたのが、直接送ってこなかった事がお気に召さなかったらしい。


「で、キリトは何時からだって?」


ここでサイガの超能力発動、メッセージの内容を予言したようだ。


「なんでわかるの……」
「ま、俺とキリトの中だから、な」
「?何時って?」
「ナギのデビュー戦だよ」
「え…」
「はあ、明日の昼12時からだそうよ」


12時、サイガも含め全員が一様にそれぞれの岩を見た。進行具合は、三分の一といったところか。


「…間に合うかな…」
「余裕だ、ガンガン殴れ」
「あのね、私もナギもか弱い女の子なのよ」
「……どこがか弱いんだよ」


つい口が滑ってしまった。目の前に立つは、修羅。


「何か」
「なんでもないです」
「サイガさんは何日くらいで割ったんですか?」
「俺は一日だ」
「「「…………」」」


サイガは皮肉や、弄りなど隙あらばしてくるが少し天然なところがあったりする。今回は素で答えたようだ。


「お前ら固まるの好きだよな」
「好きで固まってるんじゃないのよ…」
「恐ろしいというか何というか…」
「一日中叩き続ければすぐ割れるはずだけど」


サイガは食事、睡眠、休憩、などを全て除き本当に一日中叩き続け割った。


「サイガ君の事だから寝る時間を削ったりしたんでしょ?」
「うん、寝なかった」
「……食事は?……」
「何にも」
「何にも!?」
「食べなくても「ダメッ!!」!?、!?」


いきなりの大声と、ナギの怒った表情にサイガは驚き思考が止まった。


「お腹減ったら集中できないでしょ!!!」
「あ…ええと…」
「わかった?」
「は…はい…」


ナギの気迫に押され、サイガはコクコクと頷く事しかできなかった。


「後、ちゃんと寝る事!!疲れが取れないくなっちゃうじゃない!!!」
「…はい」
「ご飯は一日3回!寝れる時は寝る!わかった!!?」
「…一日…3回ですか……」
「3回ですかって、サイガ君はどんな生活してたの!?」
「いや…一日一回食べるかどうかぐらいで…」


確かにVR空間での食事有無は現実世界の肉体的に関係はない。だが、精神的には大有りでこれらを使ったダイエット法も考えられている。第一層でコルを稼げずに、極限の飢餓状態に陥った為命を絶ったものは少なくない。
故にSAOでの食事は現実世界のそれより大切なのだ。


「…何て言えばいいんだろ…」
「まともに相手しちゃ……ダメだね」
「なるほど!空腹時の集中力を利用したんですね!」


三者三様の反応、ネズハが実践するといったのでナギが全力で止めた。


「で、今サイガ君は食糧持ってるの?」
「もちろんですよ」


そこは馬鹿にするなと言わんばかりにサイガは返答した。
どれくらい入っているのかと確認する為にナギはサイガのウインドを可視状態にして、ストレージを漁り始めた。
かなりの量があったのだが…


「…黒パン…黒パン…黒パン……」
「な?あっただろ?」
「…という事は…サイガ君一層からずっとこれ食べてるの…?」
「食べる時はな」


サイガのストレージを埋めていたのは大量の黒パンだった。
黒パンとは、SAOで手に入る一番安いパンの事で、アスナもナギも最初はこれを食べていた。
蜂蜜や、クリームを塗ると格段に美味しくなるのだが黒パン自体はお世辞にも美味しいとは言えない。


「まあ、これからはちゃんと一日3回食べるよ」
「じゃ、今からね?みんなもお昼ご飯にしよ〜」
「そうね、リフレッシュしないと」
「休憩は必要ですよね!」


四人揃って昼ご飯を食べ始めた。
アスナはキリトに教えてもらったクリームパンを、ナギはアスナに教えてもらったクリームパンを
ネズハはナギに教えてもらったクリームパンを食べていた。
サイガはというと、黒パンを何もかけずにバリバリ食べている。


「バリバリ」
「…いつもの様にサイガ君は何もかけたことがないんだね…」
「ん!この世界にもバターとかあるのか!」
「もちろんよ、バターじゃなくてクリームだけどね」


サイガの二つ目の黒パンにナギはクリームを塗った。
はい、とナギに渡されたパンを食べると…


「…モグモグ…」
「「「………」」」
「…モグモグ…」
「…どう?美味しい?」
「…モグモグ…」


サイガはひたすら無言で食べ、食べ終わるとやっと口を開いた。


「ふう、これだけ美味しかったら毎日食べたいなぁ」
「みんなこれ食べると無言になるよね」
「私もキリト君にもらった時そうだったな〜」
「黒パンがここまで美味しくなったら誰でも驚きますよ」


しばらくワイワイ騒いだ後、四人は再びクエストに戻りそして夜になった。空を見上げたサイガが最初に気づいた事、それは


「星が見えないな…」
「ほんとだ…」
「いや昨日ナギと話したじゃない、星が見えないって」
「あれ?そうだっけ?」
「俺もよく忘れるけど」
「まあ、昨日はさ…いろいろあったし…」


そう、昨日は命を狙われたのだ。あんなにドス黒い殺気を纏った《鬼》に。
サイガは諸事情により初めてではないが、アスナとナギは初めての出来事である。
二人は片時も忘れていない、あんな恐怖はそうそう消えはしない。


「はい、暗い話はおしまい。夜は俺が見張ってるから子供は寝なさい」
「…うん、ありがと」
「サイガ君も気をつけてね…」
「よろしい。…後、ネズハにこの事を知られるわけにはいかない。頼んだよ、二人とも」
「わかったわ」
「うん、おやすみ」


二人はそれぞれの寝袋に入っていった。


(昨日はPohの襲撃、明日はボス攻略、休める日は今日だけだったか…)


そんなくだらない事を考えながらサイガは夜を明かしていった。




















 
 

 
後書き
グダグダな日常を書くっていいですなぁ 
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