英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~叡智の策~
~ジオフロントC区画~
「おやおや、やけに来るのが遅いと思って迎えに来てみれば、予想外な状況になっていますね。」
ルファディエル達がテロリスト達の拘束を終えて少しすると、なんと大勢の”黒月”の構成員や銀、ラウと共にツァオがルファディエル達が来た方向から現れた!
「馬鹿なっ……!?我等と同じようにテロリスト達の行動を予測していただと……!」
一方ラウは拘束されたテロリスト達を見て驚き
「………どうやら”叡智”の方が一枚上手だったようだな。」
銀は静かな口調で呟いた。
(レーヴェ。もしかしてあの黒装束の方が……)
(ああ……―――”銀”だな。)
銀に気付いたプリネとレーヴェは小声で話し合い
「(来たのは黒月…………黒月の拠点がある港湾区にあるC区画だから、確率は赤い星座より高いと予想して待っていたけど……………フフ、ついているわね。)フフ、貴方とは初対面になるわね。ツァオ・リー。」
ルファディエルは余裕の笑みを浮かべてツァオを見つめ
「これはこれは……クロスベル警察で特別待遇を受けている”叡智”と名高いルファディエルさんではないですか。初めまして。同じ支援課のメンバーである貴女ともいつか会いたかったですが………まさかこんな形で会えるとはねぇ?」
見つめられたツァオは笑顔で答えた後不敵な笑みを浮かべた。
「私もこんな所で会えるとは思わなかったわ。……それで、貴方達がここに来たのはやはりテロリスト達の身柄の確保かしら?」
「ハハ、話が早くて助かります。……彼らを我々に引き渡してもらいましょうか?」
微笑みながら言ったルファディエルの言葉を聞いたツァオは笑った後不敵な笑みを浮かべて問いかけ
「あら。共和国政府の逮捕委任状を盾にして、彼らを奪うつもりなのかしら?例え委任状があったとしても連れて行く権利はないはずよ?」
尋ねられたルファディエルは意外そうな表情をした後尋ねた。
「馬鹿なっ!?何故それを……!」
「……………フン……………全てお見通しという訳か……………(………まさかここでルファディエルさん達と対峙するなんて……しかも”剣帝”に加えて”姫君の中の姫君”までいるなんて、今の戦力だとかなり不利だわ…………不味い…………しかもルファディエルさんの事だから絶対にまだ”何か”仕掛けているはずだし、ルファディエルさん達と戦ったら私の正体が……………………仕方ない……………最悪黒月との契約を破棄する事も考えておこう……………)」
ルファディエルの言葉を聞いたラウは驚き、銀は内心焦りながら鼻を鳴らして呟き
「ハハ、これは参りました……まさかそこまでわかっているとは”叡智”の名は噂通りですね。―――でしたら話は早い。大人しく彼らを引き渡してもらいましょうか。確かにルファディエルさんの仰る通り委任状があった所で連れて行く権利はありませんが……長老方――――上からの社命でして。さすがに上からの命令には従わないといけませんので、力づくでも奪わさせてもらいます。いくら一騎当千の貴女達といえど、この数に加えて私の友人もいる今、結果はわかっているでしょう?」
ツァオは苦笑した後不敵な笑みを浮かべてルファディエルを見つめて言ったが
「友人……確かに”銀”の力は無視できないけど、果たして”彼”は本当に貴方達の味方なのかしら?」
「………?」
口元に笑みを浮かべて言ったルファディエルの言葉を聞いたツァオは眉を顰めた。
「――――”銀”。本当に私達と戦えば、”どうなるか”わかっているわよね?これは私と敵対するつもりである貴方に対する最後の警告であると同時に”契約”を守ってくれている貴方を守る為の私の優しさでもあるのよ?」
するとその時ルファディエルは不敵な笑みを浮かべて銀を見つめて言い
「!!!……………(や、やっぱりあの”契約”を持ってきた……!………仕方ない………黒月との契約は破棄して、新たに私を雇ってくれる組織を探そう……………)……………………」
ルファディエルの言葉を聞いた銀は息を呑んだ後黙ってルファディエル達に背を向け
「い、”銀”殿!?一体何を……!」
「ま、まさか………!」
銀の行動を見たラウは驚き、ツァオは信じられない表情をした。
「―――――ツァオ。お前達”黒月”との契約はここで破棄する。……今後はお前達黒月には一切手を貸さん。………今回は相手が悪すぎたな。」
すると銀は素早い動作で撤退して行き
「なっ!?銀殿!一体どこへ!?戻って来て下さい!!」
銀の行動を見たラウは驚いた後声を上げ
「………………………一体”銀”殿に何をされたのですか………?」
ツァオは銀の撤退を見つめた後、振り返って表情を歪めた状態でルファディエルを睨んで尋ね
「フフ、”彼”と交渉しただけよ。――――私達”特務支援課”とは絶対に敵対しない事を。」
尋ねられたルファディエルは微笑みながら答えた。
「馬鹿なっ!?一体どうやって……!」
「………どうやら私の予想を遥かに超えた策略家のようですね。……しかし例え銀殿がいなくても、この戦力差は覆す事は不可能でしょう?」
ラウが驚いている中ツァオは表情を歪めながら呟いた後不敵な笑みを浮かべて尋ねた。
「フフ……貴方達が来ることを予想していた私が”たったこれだけ”の戦力で貴方達を待っていたとでも?」
ツァオの言葉を聞いたルファディエルは不敵な笑みを浮かべて言い
「!!」
ルファディエルの言葉を聞いたツァオが目を見開いたその時!
「……ようやく俺達の出番か。」
「フフ、待ちくたびれちゃいましたね。」
「全く、行動するのが遅すぎじゃぞ!!」
なんとセリカ、リタ、レシェンテがツァオ達の背後から現れ、ルファディエル達と共にツァオ達を挟み撃ちした!
「あ、”嵐の剣神”に”真銀の霊女”、それに”紅き魔女”だと!?」
セリカ達を見たラウは信じられない表情で声を上げ
「馬鹿なっ!?一体どうやって我々の背後に……!」
ツァオは驚きの表情で声を上げた。
「姿を隠すアーツをそれぞれかけ続け、さらに物陰で気配を断って隠れていたのよ。」
「姿を隠すアーツ――――ホロウスフィアか……!」
ルファディエルの説明を聞いたラウは驚きの表情で声を上げた。するとその時ルファディエルは杖を掲げ、ルファディエルが杖を掲げるとそれぞれ通路へと続く道が魔力によってできた光の壁によって防がれた!
「………どうやら本当に我々と敵対するつもりのようですね?我々に手を出せば”どうなるか”、わかっているのですか?」
それを見たツァオは表情を歪めながらルファディエル達を睨んで尋ねた。
「あら……メンフィル帝国の姫君に危害を加えようとした貴方達がよくそんな強気に出られるわね?」
「……?――――!!な、何故貴女がこんな所にいらっしゃっているのですか……!?”姫君の中の姫君”―――プリネ皇女!!」
「しかも”剣帝”までいるだと!?」
しかしルファディエルの問いかけを聞いて眉を顰めた後プリネに気付いて信じられない表情で声を上げ、レーヴェに気付いたラウは驚いた。
「私は現在、トールズ士官学院特科クラス”Ⅶ組”の”特別実習”の一環として”特務支援課”に出向し、この場にいる………―――それだけです。」
「なっ…………」
静かな表情で答えたプリネの話を聞いたツァオは信じられない表情をし
「―――”傭兵”セリカ・シルフィル殿。何故貴方方がここに姿を現したのか彼らに教えてあげて下さい。」
そこに畳みかけるようにルファディエルがセリカに視線を向けた。
「ああ。――――俺達はメンフィル帝国から”通商会議”の期間中、プリネ・カリン・マーシルン皇女の護衛の依頼を請けている。当然、皇女に危害を加えようとした者達に対しては拘束及び処刑の委任状も渡されている。」
ルファディエルに視線を向けられたセリカは頷いた後懐から何かが書かれた書状を出した後片手に持った状態で広げて言い
「ちなみに私達も主と同じですよ。」
「うむ!残念じゃったな!」
セリカに続くようにリタ、レシェンテも同じ書状を出した後片手に持った状態で広げて言い
「――――そして私達もメンフィル帝国から委任状を貰っているわ。―――プリネ姫に危害を加えようとした者達が現れた際、セリカ・シルフィル殿以下3名と協力してプリネ姫を守るようにと。」
さらにルファディエルも書状を出した後片手に持った状態で広げて言い
「くかかかかっ!まんまと罠にひっかかてやがるぜ!」
「あっははははっ!そういう事だからあたい達は殺しはできなくても、あんた達と存分に戦えるって訳さ!」
「―――銀の言う通り、お前達の相手はあまりにも悪すぎた。」
「大人しく縛につくがいい!」
「フハハははハッ!少シは楽シまセロよッ!!」
ルファディエルに続くようにギレゼル、エルンスト、ラグタス、メヒーシャ、ラテンニールもそれぞれ書状を出して言った!
「!!!」
「馬鹿なっ!?メンフィル帝国がだと……!?我々が一体いつ、”姫君の中の姫君”に危害を加えようとした!?いいがかりにも程があるぞ!?」
セリカ達が出した書状を見たツァオは目を見開き、ラウは声を上げて反論したが
「―――無駄ですよ。今この場でプリネ姫と対峙した時点で私達は完全に罠にはまっています。……テロリスト達の処遇を巡ってプリネ姫と対峙したという事実を盾にされてしまっては例え大統領閣下でも庇いきれないでしょう。どうやら黒月どころかカルバードをも敵に回し、敵となったカルバードや黒月にはメンフィルをぶつける算段のようですね?まさかメンフィルと手を組んで、ここまで強引かつ大胆な真似をしてくるとは予想していませんでしたよ……!」
ツァオは疲れた表情で推測した後怒りの表情でルファディエル達を睨みつけ
「フフ、イリーナ皇妃がクロスベル出身者かつ局長達の知り合いの中にメンフィル帝国の皇族やセリカ達がいた事が運の尽きね。―――さてと。それじゃあ、黒月をクロスベルから一掃する”第一段階”を始めましょうか。―――セリカ、レオンハルト少佐。貴方達2人はツァオとラウを相手してもらっていいかしら?」
睨まれたルファディエルは微笑みながら言った後セリカとレーヴェに指示をし
「ああ。」
「フッ、”白蘭竜”ではないのは残念だが、まあいいだろう。」
ルファディエルの指示に二人は頷いた後それぞれが相手する敵と対峙し
「”風の剣聖”をも越えると言われる”嵐の剣神”セリカ・シルフィルと”執行者”の中でもトップクラスの強さを持つ”剣帝”を私とラウにぶつけてくるとは!徹底していますね……!」
「クッ……!一体、いつ、どこで”嵐の剣神”達とメンフィル、クロスベル警察が手を組んだんだ……!?」
セリカと対峙したツァオは表情を歪め、ラウは信じられない表情でレーヴェ達を見つめ
「フフ、”最強の戦力”は敵の中の一番の手練れにぶつけるのが”戦”の定石でしょう?――――さてと、始めるわよ。」
ルファディエルは微笑みながら言った後仲間達に言い
「おおっ!!」
ルファディエルの言葉にメヒーシャ達は全員頷いた後戦闘を開始し、”黒月”相手に圧倒的な戦闘で蹂躙し始めた!
ルファディエル達が黒月と邂逅しているその頃、ヴァイス達もシグムント率いる大勢の”赤い星座”の猟兵達と邂逅し、エレボニアの処刑委任状を手に”帝国解放戦線”の引き渡しを命令したがヴァイス達は断っていた。
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