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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第135話

その後たまたま休憩時間が一緒になり、ビルの前で鉢合わせたロイド達とヴァイス達の所に白ハヤブサが近づき、その事に戸惑っていたロイド達の元にキーアがビルから出て来て白ハヤブサの意思をロイド達に伝え、ロイド達は白ハヤブサの足にくくりつけてある手紙を見つけた。



手紙の内容はロイド達に相談したい内容があり、差出人は不明であったが、文章の終わりに押されてある白ハヤブサの紋章が押されてあるのを見て差出人の正体を察したロイド達は差出人の招待を受ける事にした。



手紙に書かれてある通りの場所に向かうと、なんとユリア准佐が出迎えてくれ、ユリア准佐の案内によって”アルセイユ号”の会議室に通されたロイド達は手紙の差出人――――クローディア姫に出迎えられ、更にリフィア達や演奏家の捜索で出会ったオリビエ―――オリヴァルト皇子とも出会うという驚きの体験をした。



その後クローディア姫達からエレボニア、カルバードの二大国のVIP―――オズボーン宰相とロックスミス大統領の命を狙うテロリスト達が通商会議の間に何らかのテロ行為の可能性を行う事が非常に高い情報を知り、今後何かわかれば互いに情報交換をする約束を取り付けることができた。



その後それぞれに話し合う事があるルファディエルとヴァイス、エルファティシア、アル、オリヴァルト皇子、ミュラー少佐、そしてリフィア達と共にレンの転移魔術によってグロリアスへと向かい、支援課のビルに戻ったロイド達はクローディア姫達からもらった情報をセルゲイとロイド達がアルセイユ号の中へと入って行ったという情報を手に入れた一課のエース―――アレックス・ダドリー捜査官に報告していた。



同日、19:40――――



~特務支援課・課長室~



「―――なるほど。両首脳を狙うテロリストに”結社”か。」

「クッ、可能性はあったがそこまで具体的だったとは……さらには”結社”までクロスベルに潜入しているだと……!?エレボニアにしてもカルバードにしてもいったい何を考えている……!?」

ロイド達から話を聞いたセルゲイは目を細め、眼鏡をかけている刑事―――ダドリーは唇を噛みしめた。

「……こうなってくると、局長やルファディエルの推理が現実味を帯びてきたな……」

「―――!!以前に聞かせてもらった”あの話”ですか……!クッ……!……しかし、局長達も局長達です!そこまで推測できているのなら、こちらとしてもいくらでも動きようがあるのに、こちらに指示を一切せずに独自で動こうとするとは……!一体何を考えている……!?」

そして重々しい様子を纏って呟いたセルゲイの言葉を聞いたダドリーは驚いた後唇を噛みしめ、怒りの表情で叫んだ。



「詳しい話は聞けませんでしたがルファ姉の話だと”黒月”と”赤い星座”をクロスベルから一掃し、さらにエレボニアとカルバードの2大国がクロスベルに手を出しにくい状況にする策と言っていましたが……」

「馬鹿なっ!?信じられんっ!そのような事、普通に考えて不可能だぞ!?」

「ほう……?どうやら今までとは比べものにならないくらいの大規模な策になりそうだな……………とにかく、市長や警備隊にも話をしておく。……局長と親しいギュランドロス司令も残りの”六銃士”達と独自で局長達と共に動きそうだから、一応ソーニャの方にも話しておく。」

そしてロイドの話を聞いたダドリーは驚きの表情で声を上げ、セルゲイは目を丸くした後ダドリーに言った。



「ええ、そちらはお任せします。―――それにしても。お前達があの”アルセイユ”に乗ったと聞いた時には耳を疑ったぞ。しかも国賓クラスの4人からそこまでの話を聞いてくるとは………」

セルゲイの言葉に頷いたダドリーはロイド達を睨んだ。



「はは、一課の方でも当然チェックしていましたか。」

「ま、こっちも突然だったんだから目くじら立てないで欲しいッスね。」

睨まれたロイドは苦笑し、ランディは口元に笑みを浮かべて答えた。



「ええい、突然だろうが、そういう時は上に相談してから招待を受けるかどうかをだな……!」

2人の答えを聞いたダドリーは怒鳴ったが

「クク、ありきたりの対応をコイツらにやらせてどうすんだ?呼びつけた相手も規格外みたいだし、ちょうど良いってところだろ。それに警察(おれたち)のトップの局長やその秘書のアル警視も一緒にいたから、”一応”上には相談してあるだろう。」

「ぐっ………」

セルゲイの話を聞いて唸って黙り込んだ。



「いや~、でも確かに変わったお姫様達と皇子だったよな。特にオリヴァルト皇子ってのがあんな変人だとは思わなかったぜ。」

「失礼よ、ランディ。確かに愉快と言うか……とても軽妙な方ではあったけど。」

笑顔でオリヴァルト皇子に対する感想を言うランディを注意したエリィは苦笑し

「でも、色々なことをよく考えてる人だとは思う。あの護衛してた少佐もかなりの腕前だったみたいだし。」

「それに、クローディア姫とユリア准佐は素敵でしたね………!姫殿下は気さくだけど気品があってユリア准佐はもう凛としてて……!」

「ふふ、ちゃんと妹さんの分までサインを貰えたみたいじゃない?」

興奮している様子で語るノエルにワジは静かな笑みを浮かべて尋ね

「ど、どうしてそれを……」

尋ねられたノエルは驚いた。



「……まったく。まあいい――――テロリストの存在や両国の思惑がわかっただけでも収穫というものだ。少々、明日の警備シフトを調整した方がいいかもしれんな……」

その様子を見ていたダドリーは呆れて溜息を吐いた後真剣な表情で考え込んだ。

「やはり正念場は明日……『通商会議』の本番ですか。」

「ああ、明後日の午後には首脳達も帰国する……何かあるとしたら明日の可能性が高いだろう。」

「たしか………会議は昼からでしたね?」

「ああ、午後1時からオルキスタワー35Fにある『国際会議場』で行われる。それから一度休憩を挟んで夕方くらいまで続く予定だ。」

「となると、その会議中、首脳連中を守り抜けばいいのか?」

「いや、オルキスタワー内部には万全の警備体制が敷かれている。ビル自体のセキュリティもあるし、会議中はむしろ安全だろう。」

「加えて会場警備にはアリオスも参加する予定だ。それもギルドの立会いとして通商会議の場にいるそうだから安心といえば安心だな。」

「そうなんですか……」

「となると、会議の前後が一番危ないかもしれませんね。」

セルゲイの話を聞いたエリィは明るい表情で頷き、ノエルは考え込み

「タワーから出てきたところで遠くからターンって狙撃とかね。」

ワジは静かな笑みを浮かべて意見を言った。



「正直、それが一番恐いパターンではあるよな……」

ワジの推測を聞いたロイドは疲れた表情で頷いた。

「……そう言えばプリネ姫とルクセンベール卿はどうした?確か”特別実習”とやらでお前達と行動をしているのではなかったのか?」

その時ある事を思い出したダドリーはロイド達に尋ねた。

「あ、はい。何でも局長達と一緒にオリヴァルト皇子達に相談したい事があるとかで……後は今日の”特別実習”に関するレポートも纏めないといけないそうですから、合流は明日の朝になるそうです。」

「……という事は二人が”特別実習”でウチに来たのは、局長達も関係しているようだな……」

「状況から考えて間違いなくそうでしょうね。全く、局長達を含めた”六銃士”が有能なのは認めますが、独断行動や秘密主義が多いのはいい加減にして欲しいものです。」

ロイドの話を聞いたセルゲイは考え込み、ダドリーは頷いた後疲れた表情で溜息を吐き

「クク、前局長と前司令がいた時の警察や警備隊の頃と比べればよっぽどマシじゃねぇか。実際今の局長達が上層部にいるおかげでお前達も動きやすくなっているだろう?」

「それはそうですが……」

口元に笑みを浮かべて言ったセルゲイの意見を聞き、複雑そうな表情をした。



「ねえねえ、ロイドー。」

するとその時キーアが部屋に入って来た。

「あ、ぶすっとしたオジサンだ!」

ダドリーを見たキーアは声を上げ、キーアの言葉を聞いたロイド達は冷や汗をかき

「……相変わらず躾がなっていないようだな?」

ダドリーは顔に青筋を立ててロイド達に視線を向けた。



「す、すみません。」

「キーアちゃん、この人はダドリーさんといって………」

ロイドが謝罪し、エリィがキーアにダドリーの事を説明しかけたその時

「うんっ、ダドリー!ひさしぶりだねー。元気だったー?」

キーアは無邪気な笑顔を見せてダドリーに尋ねた。



「フン、一課の捜査官たる者、体調は常に万全にしている。―――じゃなくて!呼び捨ては止めるがいい!」

「えー、ダメなのー?じゃあ、ダドリーおじさん?」

「誰がオジサンだ、誰がっ!」

ダドリーはキーアの無邪気な質問に何度も突込み

「ま、まあまあ。」

「はは、子供にしてみりゃ、十分オジサンだよなぁ。」

その様子を見たノエルとランディは苦笑しながら見守っていた。



「それでキーア。なんの用なんだい?」

「あ、そうだった。えっとね、ロイド達に通信が入ってるよー?」

「通信が?」

「あら、通信器のベルは鳴ってなかったみたいだけど……」

キーアの話を聞いたロイドは不思議そうな表情をし、エリィは意外そうな表情になった。



「あ、フツーのじゃなくてカオが出て来るほう。」

「端末の方か……キーア、よく操作がわかったな。」

キーアの説明を聞いたロイドは驚き

「でも、それだとしたらティオすけか?夕方連絡してきたみてぇだが。」

ランディは意外そうな表情で尋ねた。

「ううん、ソバカスのヒト。何だかカオが赤くなったり青くなったりしてるけどー。」

その後ロイドは仲間達と共に端末に向かい、通信を始めた。



「――遅いっての!まったく、いつまで待たせんだよ!」

「はは、悪い。それにしても久しぶりだな。元気でやっているの―――」

「あーもう、そんな挨拶はいいっての!アンタらに至急、頼みたいコトがあるんだ!今からボクのベースを見てきてくんねーか!?」

「え……」

「ベースって……あなたが寝泊まりしていた?」

通信相手の少年―――かつてはクロスベルのジオフロントの一角を占有してハッカーの仕事で生活をし続け、現在はエプスタイン財団で働いているヨナの話を聞いたロイドは驚き、エリィは尋ねた。



「ああ、ジオフロントB区画の第8制御端末のある場所さ!昨日から今日にかけてあの端末を勝手に使っているヤツがいるみたいなんだ!」

「勝手に使ってるって……」

「一体どうしてそんなことがわかったの?」

「つーか、ヨナ公。勝手に使っているのはお前だって同じじゃねーか。」

「そ、それはともかく!ボクの留守中、あの端末には強力なプロテクトをかけたんだ!それで、万が一それが破られたら導力ネットの遠隔接続実験の時にアラートを送るようにしてて……そのアラートが今日来てんだよ!」

「それは……」

「……君がプロテクトをかけた端末をハッキングした者がいる。つまりそういうことだね?」

「ああ、そういうことさ!かなりのハッカーなのは間違いない!とにかくとっ捕まえて2度と触らせないで欲しいんだ!」

「ったく、自分の事は棚に上げて勝手な事を言ってやがるな。」

ワジに尋ねられ、答えた後自分達に依頼するヨナの話にランディは呆れ

「でも、かなりのハッカーって……ちょっと心配ね。」

エリィは不安そうな表情をし

「ああ、レンは今日の昼前にクロスベルに到着したから違うだろうし、ロバーツ主任とも思えない。とりあえず見て来るからまた後で連絡してきてくれ。」

エリィの言葉に頷いたロイドはヨナに依頼を受ける事を了承し

「ああ、頼んだぜ!」

ロイドの了承の言葉を聞いたヨナは通信を止めた。



「なんだ、行くのか?」

「ええ、念のため。何だったら俺一人で見に行って来てもいいですし。」

「おいおい……無茶言うなよ。」

「そうね……いるのがハッカーだけとは限らないでしょうし。」

「ご一緒します!」

「――待て。私も同行しておこう。」

ロイド達がそれぞれ目的地に向かおうとするとダドリーが意外な申し出をした。



「え……」

「へえ、どんな風の吹き回しだい?」

提案を聞いたロイドは驚き、ワジは興味深そうな表情で尋ねた。



「フン、通商会議を前にしてイレギュラーな要素は少しでも把握しておきたいというだけだ。時間が惜しい、とっとと行くぞ。」

「わ、わかりました。」

「フフ、それじゃあ軽く、食後の運動と行きますか。」

「課長、キーアちゃん、それでは行ってきます。」

「おお、せいぜい気を付けろ。」

「いってらっしゃーい。」

その後ロイド達はダドリーと共にジオフロントB区画に潜り、かつてヨナがいた端末室に向かった。



一方ロイド達が行動を開始したその頃、リィン達は遅めの夕食を取ろうとしていた。


 
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