英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~演奏家の捜索~中篇
その後捜索を開始したアル達は候補の一つである港湾区に行った。
~港湾区~
「随分にぎやかみたいですね……」
港湾区の公園に近づいたツーヤは人だかりにかこまれている”みっしぃ”を見て呟き
「通商会議の期間中はミシュラムが休みの為、その代わりにミシェラムのマスコットキャラである”みっしぃ”の出張イベントが開催されていますから、その関係で賑やかなのでしょうね。」
「ふふ、ティオちゃんがいたら見たがりそうですよね。」
アルの説明を聞いたノエルは口元に笑みを浮かべて頷き
「ハハ、休憩がてらにちょっと見て行くか。……ん?って、おい、あれは……!」
二人の話を聞いたランディが苦笑しながら提案したその時、みっしぃと共にいるある人物達を見つめて驚いた。
みっしぃと共にいるある人物達―――オリビエとヴァイスはみっしぃのダンスに合わせており
「きゃ~、みっしぃ~!」
「はは、飛び入りの兄さんもなかなかやるじゃん!」
「しかもどっちも顔がイイわ!」
「私は鎧を着たお兄さんが好み!貴女は!?」
「私は白いコートを着たお兄さんね♪」
その様子を見ていた観客達は歓声を上げていた。
そしてダンスも終わりに近づき
「さー、みんなでいくヨ~!エンジョーイ、みっしぃ☆」
みっしぃは大声で叫んだ後回転しながらジャンプし、オリビエとヴァイスは髪をかきあげて決めポーズをし
「エンジョーーーイ!みっしーーーぃ☆」
観客達は大声で叫んだ。そしてオリビエとヴァイス、みっしぃはガッシリと固い握手を交わした。
「ハッハッハ……さすがだね、みっしぃ君。キミのダンシング・センス……はっきり言って脱帽したよ。」
「ああ。クロスベルのマスコットキャラだという話も頷ける。」
「みししっ、おにーさんたちもとっても上手だったヨ~☆どこかでダンスを習ってたの~?」
オリビエとヴァイスの賛辞にみっしぃは答えた後尋ね
「こう見えても俺は王宮仕込みのダンスを嗜んでいるからな。惜しむ事は女性と踊れなかった事だが……今日のようなダンスは楽しませてもらった。」
「フッ、社交ダンスくらいは嗜んでいるものでね。本来ならレディと優雅にステップを踏みたいところだが、キミと踊るのもなかなか楽しかった。流石はクロスベル一のマスコットと言ったところかな。」
尋ねられた2人は静かな笑みを浮かべて答え
「みししっ、照れちゃうナ~☆」
2人の言葉にみっしぃは答えた。
(な、何をやっているんですか、あの人達は……)
その様子を見ていたツーヤは仲間達と共に脱力し
(どうやらステージに乱入しちまったみてえだな。)
ランディは苦笑し
(なるべく目立たないようにってミュラーさんに頼まれましたけど、これはさすがに無理そうですね……)
ノエルは疲れた表情で溜息を吐き
(まあ、半分はヴァイスが原因ですけどね……)
アルは呆れた表情で呟いた。
「ほう。もう見つけたか。」
一方アル達に気付いたヴァイスは感心し
「おや……どうやら迎えが来てしまったようだ。みっしぃ君、すまないがボク達はここで退散させてもらうよ。」
オリビエは意外そうな表情をした後みっしぃを見つめて言い
「ありゃりゃ、それはザンネン~。みししっ、今度はゼッタイワンダーランドにも来てよネ~!」
みっしぃは2人に宣伝し
「ああ。その時は俺が愛する女性達と共に楽しませてもらう。」
「フッ、その頼み……いつか必ず果たさせてもらおう。この別れはあまりにも辛い。だからこそボクらの絆はかけがえの無いものとなるだろう。……また会おう(アディオス)、親友!」
「さらばだ!」
「ばいばい~☆」
みっしぃに見送られ、2人は跳躍して柵を飛び越えてどこかへと去って行った!
「しまった!逃げられてしまいました!」
逃亡する二人を見たツーヤは声を上げ
「やれやれ、なんだか場慣れしてるねえ。ここまで来たら、彼らが逃げ込みそうな場所もある程度絞れてくると思うけど……」
ワジは呆れた表情で溜息を吐き
「と、とにかく追いかけましょう!」
ノエルは慌てた様子で提案した後仲間達と共に再び二人の捜索を再開し、中央広場にあるレストランに入った。
~中央広場・カフェレストラン”ヴァンセット”~
(いました……!)
ツーヤは2階の奥でデザートを食べているオリビエとヴァイスを見つけて呟き
(ったく、呑気にデザートなんて食べていやがるぜ……つーか、男が揃って何でアップルパイなんて食ってんだよ……)
(ちょうど2階の奥にいるし、これなら逃げられませんね!)
ランディは呆れた表情で溜息を吐き、ノエルは口元に笑みを浮かべて言った。そしてアル達は2人にゆっくりと近づいた。
「もぐもぐ……う~ん、デリシャス!この甘さ控えめでありながらも酸味が聞いたアップルパイ……中々のものだよ♪フフ……こんな美味しい物を出されると、これに合うワインが欲しいな♪」
「フッ……確かに美味だが……俺が作るアップルパイと比べればまだまだ修行が足りんな。」
オリビエと共にヴァイスは皿に乗ったアップルパイを評価していた。
「ああ……そういえば君は料理全般―――特にデザートの類は一級品だったね。何でそんなにうまくなったんだい?」
ヴァイスの話を聞いたオリビエはある事を思い出して意外そうな表情をして頷いた後尋ねた。
「元来リセルは甘いもの好きでな。俺が暇つぶしに作ったものを表情を蕩けさせて美味しい、美味しいと言って食べてくれた。やはり食べてくれる人がいると、身の入り方が違ったな。一時期は凝りに凝って、弟子にならないかと料理長に誘われもしたくらいだ。」
「フッ、そう言えばリセル君の甘い物を食べた時の幸せそうな笑顔は素晴らしかった。しかし女性の幸せそうな顔が理由で料理が上手くなるとは…………フフ、さすがは我が親友。ボクも料理を覚えてみるかな?そうすれば麗しいレディ達に喜んでもらえるだろうし♪」
「フム、なんならこの後教えてやろうか?」
「おお……!さすがは我が親友。なら早速レディが喜びそうなデザートの作り方を――――」
そしてヴァイスとオリビエが会話をしていたその時
「――――そうはさせませんよ。」
ツーヤが仲間達と共に近づいてきた。
「オリビエさん、これでもう逃げられませんよ。」
「局長もです。もうこれ以上好き勝手はさせませんよ……!」
「2人とも大人しくしてもらうぜ。」
「そろそろ仕事に戻りますよ、ヴァイス。」
ツーヤやノエル、ランディとアルは二人を見つめてそれぞれ口々に言った。
「フッ……まだまだ甘いな。その程度で俺達を捕えられると思っていたのか?」
「全くだね。悪いけどまた見逃してもらうよ。」
ヴァイスとオリビエは静かな笑みを浮かべて言った。
「へえ……?逃げ場のないこの状況で何をするつもりなんだい?」
「さっきみたいな初歩的な手にはもうかかりませんよ。」
2人の言葉を聞いたワジは興味深そうな表情をし、ツーヤが真剣な表情で2人を見つめて言ったその時
「フッ!」
「とうっ!」
なんと2人は跳躍して2階から1階のフロアに飛び降り
「これが食事代だ!釣りはいらんから取っておくといい!」
ヴァイスは近くにいたウェイターに伝票と1万ミラの札を渡し
「フッ、それではさらばだ!」
オリビエと共に走り去り
「あ、ちょっとお客さん……!?」
それを見たウェイターは声を上げたが2人は既に走り去っていた!
「ま、また逃げられました……」
「つーか、局長はともかくあの演奏家、なんて身軽さだよ……!」
「ハハ、あのレクターってお兄さんと大して変わらないんじゃない?」
二人の突然の行動を呆然と見ていたツーヤは疲れた表情で呟き、ランディは溜息を吐き、ワジは笑顔で言い
「とにかく追いましょう!まだそんなに遠い所には行っていないはずです!」
ノエルは唇を噛みしめた後仲間達を促し、再び2人の捜索を始めた…………
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