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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第116話

課題内容を消化し終えたリィン達は支部に戻ってきた。



~夕方・遊撃士協会・レグラム支部~



「―――ただいま戻りました。」

「はー、面白かった。」

「とても勉強になりました……」

「おっと、帰ってきたか。」

支部に戻ってきたリィン達を見たトヴァルがウインクをしたその時

「フフ……タイミングが良かったようだ。」

ラウラにとって馴染み深い男性の声が聞こえて来た。



「え……」

「……!父上……!?」

貴族の服をに身に纏い、威風堂々としている黒髪の男性を見たラウラは驚いた後男性に近づいた。



「父上、いつお戻りに……てっきり此度の実習では会えないものと思っていました。」

「ははは……所用に一区切りついたのでな。ギルドに用事もあったからこちらで待たせてもらった。―――久しぶりだ、我が娘よ。どうやら一回り大きくなって帰ってきたようだな?」

驚いているラウラに説明をした男性はラウラを抱きしめて、優しげな表情を浮かべてラウラの頭を撫で始めた。



「お、幼子扱いはやめてください。……その。父上、ただいま戻りました。」

「ああ、おかえり。」

一方ラウラは頬を赤らめて恥ずかしそうな表情で答えた。



(あれが”光の剣匠”……)

(へー、カッコイイお父さんだねー。)

(ふふ、ラウラさんも嬉しそうですし……)

(それにとても娘思いな方ですね……)

(……へえ。人間の中でも相当やるね。)

二人の様子を見守っていたリィン達はそれぞれ興味ありげな様子で見つめているとリィン達の視線に気付いた男性がリィン達を見つめた。



「ふむ、そして彼らが……」

「はい、”Ⅶ組”の級友にして共に切磋琢磨する仲間です。」

「レグラムの領主、ヴィクター・S・アルゼイドだ。そなた達の事は娘からの手紙で存じている。よろしく頼む―――”Ⅶ組”の諸君。」

そして男性―――アルゼイド子爵が自己紹介をした後、リィン達がそれぞれ自己紹介をし合っていると、ギルドにある人物達が入ってきた。



「―――戻ったぞ。」

「―――ただいま戻りました。」

「お、そっちも戻ってきたか。」

女性のような麗しい容姿を持つ夕焼け色の髪の男性と茶髪のメイドがギルドに入り、男性達に気付いたトヴァルは目を男性達に声をかけた。



「おお、セリカ殿。ちょうどいい所に戻って来られましたな。」

男性達の姿を見たアルゼイド子爵は口元に笑みを浮かべ

「貴方は……!」

「帝都で出会った剣士の方……!」

「”嵐の剣神”―――セリカ・シルフィル殿……!」

「あれ、シュリもいたんだ。」

リィンとセレーネは驚き、ラウラは目を見開き、男性の傍にいるメイドに気付いたエヴリーヌは目を丸くした。



「ええっ!?じゃ、じゃあそちらの女性のような容姿を持つ男性が……!」

「異世界では”神殺し”と呼ばれている存在か……」

「へ~、写真で姿を見てどんな人なのかは知っていたけど、こうして直で見るとどう見ても女の人だよね?声だって女の人の声だし。本当に男の人なの??」

「”女神”の身体を持つからかもしれないな……」

リィン達の反応を見たエマは驚き、ユーシスは真剣な表情で男性を見つめ、ミリアムは興味ありげな表情で男性を見つめ、ガイウスは静かな表情で呟いて考え込んだ。



「え……どうしてご主人様の事を……」

「……何故俺の事を知っている?」

一方リィン達の反応を見たメイドは驚き、男性が眉を顰めてリィン達を見つめたその時

「シュリ~♪久しぶりー♪」

「ヴァ、ヴァレフォルさん!?」

ヴァレフォルが突如エマの傍に現れてメイドに抱き付き、ヴァレフォルの行動にエマは驚き

「キャッ!?ヴァ、ヴァレフォルさん!?どうしてこちらに……!?」

抱きつかれたメイドは驚いた後戸惑いの表情でヴァレフォルを見つめた。



「くんくん……ん~、この匂い、やっぱりシュリだわ~……再会ついで味を……って、キャッ!?いたた……」

メイドに抱き付いてメイドの首筋を舐めようとしたヴァレフォルだったが、突如凄まじい痛みの頭痛が響いて呻きながらメイドから離れて頭を抱え込み

「……再会して早々俺がかけた呪いを忘れて、シュリに近づこうとするとは懲りない奴だ。」

その様子を見ていた男性は呆れた表情で溜息を吐いた。



「ちょっと、セリカ~!いい加減、この呪いを解いてよ~!」

そしてヴァレフォルは男性を睨み

「―――断る。」

「ヴァレフォルは少しは学習するべきだと思うぞ?」

男性の言葉に続くように人間の姿になっているメティサーナが男性とメイドの背後から現れた。



「貴女は……!」

「バリアハートでエステルさん達と一緒に私達に力を貸して頂いた天使の方……」

「確か名はメティサーナだったな。」

「ニル同様、相変わらず天使とは思えない行動をしているね。」

メティサーナの姿を見たリィンとエマは驚き、ユーシスは静かに呟き、エヴリーヌは呆れ

「わお♪メティじゃない♪久しぶり~♪ぺろ♪」

「うわっ!?再会していきなり抱きつくな、ヴァレフォル!って、こら、首筋を舐める……な……!」

メティサーナは嬉しそうな表情で自分に抱き付いて首筋を舐めるヴァレフォルの行動に戸惑っていた。



「ん?お嬢さんたちのその反応……」

「もしかしてセリカ殿達と面識があるのか?」

一方リィン達の反応である事を察したトヴァルとアルゼイド子爵は目を丸くし

「ええ、帝都で一度だけ顔を合わせたくらいですが。」

二人の疑問にラウラは頷いて答えた。



「あら?貴女はエヴリーヌさん?貴女まで一体どうしてこちらに?」

「……まさか、お前が俺の事を話したのか?」

エヴリーヌに気付いたメイドは目を丸くし、セリカは不思議そうな表情で尋ね

「違うよ。そいつらがエヴリーヌ達の世界に特別実習しに行った時にプリネ達がセリカ達の事を教えたらしいよ。”神殺し”はエヴリーヌ達の世界では常識だし。」

男性に尋ねられたエヴリーヌは答えた。



「そんな常識、聞いた事がないぞ。」

(ククク、”神殺し”が世界の常識である事は一理あるだの。)

エヴリーヌの答えに男性は呆れた表情で指摘し、男性の魔剣に封じられている女魔神―――ハイシェラは笑い

「ア、アハハ……―――ご紹介が遅れました。私の名はシュリ・レイツェン。ご主人様―――セリカ様にお仕えする”使徒”の一人です。今後ともお見知り置きをお願いします。」

メイド―――シュリは苦笑した後自己紹介をし

「―――セリカ・シルフィル。それでお前達は何者だ?」

男性―――セリカも名乗った後リィン達を見つめて尋ねた。



その後それぞれ自己紹介をしたリィン達はアルゼイド子爵やセリカ達と共に屋敷に戻って夕食を取り始めた。




~夜・アルゼイド子爵邸~



「モグモグ……おいし~!」

「ムグムグ……ん、確かに美味しいね。」

「ほら、ミリアムちゃん。ソースがたれていますよ。」

「エヴリーヌさんもソースが口についていますよ。」

夕食を堪能しているミリアムとエヴリーヌにエマとセレーネはそれぞれ指摘した。



「レグラムの地の物……どれも滋味深い味わいだな。」

「ああ、特にこの脂身の乗った肉など絶品だ。」

「フフ、それは猪肉だな。このあたりでは昔から郷土料理に使われている。」

ラウラはリィンとガイウスに料理の説明をし

「シュリ、ご主人様と共に屋敷に戻ったら、これと同じ料理を再現してくれ!」

「フフ、わかりました。後でクラウスさんにどのような猪肉を使えば再現できるか聞いておきますね。」

「相変わらず注文の多い奴だ。」

(お主はメティサーナを見習って、少しは嬢ちゃんたちに希望の食事を注文してやれ。)

メティサーナの頼みに微笑みながら頷いたシュリの様子を見て呆れているセリカの様子を見たハイシェラは呆れた表情で指摘した。



「……………」

「どうした?アルバレアのご子息殿。食が進んでおらぬようだが。」

一方食事を堪能しているリィン達とは逆に、ほとんど食事に手をつけていないユーシスに気付いたアルゼイド子爵はユーシスに問いかけた。



「いえ……その、実家がこちらに迷惑をかけていると聞きまして。」

「ユーシス……」

「……それは……」

複雑そうな表情で答えたユーシスの話を聞いたリィンは心配そうな表情をし、ラウラは言葉を濁し

「フフ、よくあるいざこざだ。税を巡っての揉め事など所詮、毎年のように起きるもの。そなたが気に病むことはない。」

「……感謝します。」

アルゼイド子爵の優しい心遣いに感謝したユーシスは食事を再開した。



「それより、どうやら昼間、クラウスと仕合ったそうだな?それも勝利を収めたとか。」

「はい……手を抜かれた気もしますが。」

「フフ、とんでもない。ご学友共々、若々しき獅子のごとき気合いでした。先が楽しみでございますな。」

アルゼイド子爵に尋ねられて答えたラウラの話を聞いたクラウスは微笑みながらアルゼイド子爵に報告した。



「ハハ、そうか。私としては、帝都の女学院に行って欲しかったところだが。良き友にも巡り合えたようだし、これも女神の導きであろう。」

「………私もそう思います。」

「ラウラさん……」

「女学院ってリィンとエリゼの妹――――エリスみたいな女の子がいる所でしょ?大剣を振り回しているラウラが女学院なんて、似合わないと思うけど。」

「エ、エヴリーヌさん。」

「フフ、耳が痛いな。」

エヴリーヌの指摘を聞いたセレーネは冷や汗をかき、ラウラは苦笑しながら答えた。



「……………………」

「ふむ……―――リィンといったか。どうやら、そなたの剣には”(おそ)れ”があるようだな。」

「え―――」

「父上……?」

アルゼイド子爵の指摘にリィンは呆け、ラウラは不思議そうな表情をした。



「”剣仙”ユン・カーファイ殿。そなたの師にして、”八葉一刀流”を開いたあの御老人とは面識があってな。そちらのセリカ殿のように何度か手合わせを願ったこともあるくらいだ。」

「……何度も挑まれて、正直迷惑だったがな。」

「ご、ご主人様。」

アルゼイド子爵の話に続くように呟いたセリカの言葉を聞いたシュリは冷や汗をかき

「そうだったんですか……その、失礼ですが勝敗の方はどちらに?」

リィンは驚いた後尋ねた。



「いや、決着はつかなかった。互いの理合いが心地よくて存分に斬り結んでいたらいつも時間が過ぎてしまう。」

「父上と互角……カシウス卿やエステル殿、そしてセリカ殿のように武の世界は広いのですね。」

「まあ、ご主人様が”世界最強”と言っても過言はないと思うがな。」

「……まあ、剣士としてなら”世界最強”かもしれないね。リウイお兄ちゃんにも勝ったし。」

「二人とも持ち上げすぎだ。力を失えば、俺は大した存在ではない。」

「ご主人様……」

アルゼイド子爵の話を聞いて考え込んでいるラウラに指摘したメティサーナとエヴリーヌの説明を聞いたセリカは静かな表情で指摘し、セリカの指摘を聞いたシュリは辛そうな表情をした。



「……恐れ入りました。」

「フフ、それはともかく……”八葉一刀流”―――東方剣術の集大成というべき流派だろう。その理合いの深さと玄妙さ……修めた者が”剣聖”と呼ばれるようになるのも頷ける。だがそなたは―――”何か”を畏れるあまり足踏みしているようにも見える。」

「……!」

「お兄様?」

(へえ?)

(あの”力”の事でしょうね。)

(??一体何の事でしょう……)

アルゼイド子爵の指摘に目を見開いて息を呑んだリィンの様子を見たセレーネは首を傾げ、ベルフェゴールとリザイラは興味ありげな表情をし、メサイアは不思議そうな表情をし

(………それは……)

リィンの隠された事情を知るエマは複雑そうな表情をした。



(薄々、感じてはいたが……)

(……リィンが抱えている”何か”か……)

(ああ、旧校舎の地下でも何かあったみたいだが……)

(???)

一方小声のユーシス達の会話の意味がわからなかったミリアムは首を傾げていた。



「……参りました。そこまで見抜かれるとは夢にも思っていませんでした。ですが―――これで覚悟も固まりました。」

「え……」

「ほう……?」

「子爵閣下―――いえ、”光の剣匠”殿。どうか自分と手合わせをしていただけないでしょうか?」

そしてリィンの突然の申し出を受け入れたアルゼイド子爵はリィン達と共に練武場に移動した。



~アルゼイド流・練武場~



「ワクワク……!”光の剣匠”と勝負かー。でもリィンって、そんなに強かったっけー?」

「……無謀すぎる。”指南”ならともかく、達人相手の”手合わせ”など……」

「……さすがに厳しいか。」

「すぐ負けて終わりだろうね。」

「お兄様……」

興味ありげな表情をしているミリアムとは逆に、それぞれ結果がわかっているユーシス達の推測を聞いたセレーネは心配そうな表情をし

「…………………」

エマは静かな表情で見守り

「あいつは一体何を考えているのだ?仮にもご主人様と斬り合う事ができるヴィクターに勝てる訳がないぞ?」

「メティサーナさん。きっとリィンさんにも何か考えがあるんだと思いますよ?」

「…………………」

呆れた表情で言ったメティサーナの話を聞いたシュリは指摘し、セリカは静かな表情で見守っていた。



「リィン、考え直すがよい……!父上も戯れはおやめください!」

一方ラウラは真剣な表情で互いに向き合っているリィンと父親に忠告したが

「……ラウラ。止めないでくれ。」

「私と彼の勝負だ。そなたは下がるがよい。」

「くっ……」

二人は聞く耳を持たず、父親の指摘にラウラは唇を噛みしめた。



「本当によいのだな?」

「……はい。音に聞こえし”光の剣匠”―――胸を借りられるだけでも光栄です。どうかよろしくお願いします。」

アルゼイド子爵の問いかけにリィンは静かに頷いて決意の表情でアルゼイド子爵を見つめた。



「意気やよし。”八葉”の一端、見せてもらおうか。」

そしてアルゼイド子爵はクラウスから身の丈ほどある大剣が納められてあるケースから大剣を取りだした後、片手で軽く振るった!



「……なっ……!」

「す、すっごいねー!?」

「あれを片手で振るうのか……」

「あんな大きな剣、わたくしでは両手で持っても持ち上がらないと思います……」

「へえ、アガットみたいにかなり腕力があるね。」

「し、信じられません……」

「アルゼイド家に伝わる宝剣、”ガランシャール”……鉄騎隊の副長を務めた祖先が使っていた大剣だ……!」

大剣を片手で持つアルゼイド子爵に驚いている仲間達にラウラは説明した。



「何度見ても凄いですよね……カウラさんでもあれ程の大剣、両手で振るっていらっしゃるのに……」

「……実際に斬り合ってみてわかったが、少なくとも同じ大剣使いのカウラやレフィン、イーリッシュよりは確実に上だ。」

「むしろあの強さで”神格者”でないのがおかしいくらいだな。」

(クク、それどころか”神格者”になったレヴィア嬢ちゃんとも斬り合えるか、下手をすればあの子爵の方が実力は上かもしれんな。)

目を丸くしているシュリにセリカとメティサーナは指摘し、ハイシェラは興味ありげな表情でアルゼイド子爵を見つめていた。



(……この感じ……もしかしたら老師以上か……でも、この人なら……!)

アルゼイド子爵がさらけ出す闘気を感じたリィンは決意の表情で太刀を構えた。



「―――”八葉一刀流”初伝、リィン・シュバルツァー、参ります。」

「”アルゼイド流”筆頭伝承者、ヴィクター・S・アルゼイド、参る。」

それぞれ名乗りをあげたリィンとアルゼイド子爵は全身に闘気を纏い

「――始め!」

クラウスの号令を合図に二人は手合わせを開始した!”光の剣匠”と称えられたアルゼイド子爵の実力は圧倒的で、僅か1分でリィンは倒され、地面に倒れた!



「うっわー……」

「お兄様っ!」

二人の戦いを見守っていたミリアムは表情を引き攣らせ、セレーネは心配そうな表情で声を上げた。



「……だから言ったのだ……」

「み、見えませんでした……」

「へえ。カーリアンやファーミシルスともまともに斬り合えるだろうね。」

一方ラウラは疲れた表情で呟き、エマは目を丸くし、エヴリーヌは興味ありげな表情をし

「……リィンが弱いわけじゃない。」

「相手が余りに強すぎるのか……」

ガイウスが呟いた言葉に続くようにユーシスは真剣な表情で二人を見つめながら呟いた。



「……ッ……はあはあ……」

何とか起き上がったリィンは息を切らせていたが

「―――何をしている。未だ勝負はついていない。()く立ち上がるがよい。」

アルゼイド子爵は真剣な表情でリィンを見つめて言った。



「父上……!?」

「お兄様はこれ以上戦えませんよ!?」

アルゼイド子爵の発言にラウラは驚き、セレーネは心配そうな表情で声を上げた。



「……………………」

するとその時リィンは胸を抑えながら立ち上がり

(あら、もしかして……)

(あの”獣”じみた”力”を使うようですね……)

(”獣”じみた”力”………?)

リィンの様子を見てそれぞれ呟いたベルフェゴールとリザイラの言葉の意味がわからなかったメサイアは戸惑いの表情をした。



「そなたの力――――それが限界でないのはわかっている。この期に及んで”畏れる”ならば強引に引きずり出すまでのこと……さあ、見せてみるがよい―――」

そしてアルゼイド子爵は大剣を振り上げ

「……!」

「っ……」

「逃げて下さい、お兄様!」

アルゼイド子爵の行動を見たラウラとエマが息を呑み、セレーネが声を上げたその時、アルゼイド子爵がリィンに大剣を振り下ろしたがそこにはリィンはいなかった。



「……!」

「消えた……!?」

「いや……」

「ん?何あれ。」

突如消えたリィンにラウラとユーシスは驚き、いつの間にかアルゼイド子爵の側面で抜刀の構えをしている膨大な魔気を纏い、”銀髪と紅の瞳に変わり果てたリィン”にガイウスと共に気付いたエヴリーヌは目を丸くした。



「――甘い。」

そしてアルゼイド子爵は一瞬で詰め寄ってきたリィンの隙が一切見当たらない連続攻撃を全て防ぐか回避し、アルゼイド子爵にダメージを与えられなかったリィンはアルゼイド子爵から一端距離を取った。



「……!」

変わり果てたリィンの姿を見たエマは真剣な表情になり

「わわっ……!?」

「お、お兄様……!?」

ミリアムとセレーネは驚き

「……これは……」

「こ、これが……リィンが恐れていた……」

ガイウスとラウラは信じられない表情でリィンを見つめた。



「なっ!?何なのだ、あの膨大な”魔”の気配は!?」

「この霊圧……最上位悪魔―――いえ、ひょっとすれば……!」

「”魔神”に迫るかもしれんな。」

「そだね。というか今のリィンから感じる”力”からして、ゼフィラは超えていると思うよ。」

(ほう?何やら面白い展開になってきたようだの。)

メティサーナも変わり果てたリィンに驚き、シュリとセリカは真剣な表情でリィンを見つめ、エヴリーヌは頷いた後興味ありげな表情でリィンを見つめ、ハイシェラは口元に笑みを浮かべていた。



「…………………」

「そうだ、それでよい。”その力”はそなたの奥底に眠るもの。―――それを認めぬ限りそなたは足踏みをするだけだ。」

膨大な殺気を変わり果てたリィンから向けられたアルゼイド子爵は静かな表情で頷いてリィンを見つめて指摘した。



「オオオオオオオッ!!!」

そしてリィンは胸を抑えて咆哮を上げた後アルゼイド子爵に再び戦闘を仕掛けた!


 
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