英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第107話
~1年Ⅶ組~
「……え。」
「あれ……っ?」
「2年のアームブラスト先輩……?」
クロウの登場にリィンは呆け、エリオットとエマは目を丸くして首を傾げた。
「―――クロウ・アームブラストです。今日から皆さんと同じ”Ⅶ組”に参加させてもらいます。てなワケで、よろしく頼むわ♪」
「ええっ!?」
クロウが自己紹介を終えると仲間達と共に驚いたリィンは声を上げ
「ど、どういう事ですか!?」
アリサは信じられない表情で立ち上がって尋ねた。
「いや~、これには非常に深刻かつ、デリケートな事情があってだな。」
「はあ、よく言うわよ。……コイツ、一年時の単位をサボって幾つか落としててね。このままじゃ卒業できないって慌てて泣きついてきたのよ。それで特例として、3ヶ月ほど”Ⅶ組”に参加する事になったわけ。」
自慢げに胸を張って説明したクロウを見たサラ教官は呆れた表情で溜息を吐いた後説明した。
「……なんだそれは……」
「お、思いっきりどうしようもない理由じゃないですか……」
「えっと……それって”自業自得”って言うのでは……?」
説明を聞き終えたユーシスとマキアスは呆れ、セレーネは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「知ってるかもしれないけど去年、ARCUSの試験導入に参加した実績もあるからね。その点に関しては、君達のいいお手本になるかと判断したの。特別実習にも参加してもらうからそのつもりでいてちょうだい。」
「いや~。一通り説明されちまったか。ま、そういう訳でヨロシクな♪同じクラスになったからには先輩後輩、抜きで行くとしようぜ。」
「は、はあ……」
「なかなかそういう訳にはいかぬと思うが……」
「ぶっちゃけ軽すぎ。」
クロウの言葉にエリオットとラウラが戸惑っている中、フィーはジト目で呟いた。
「―――サラ教官。扉が開いたままという事は……」
「まさか……他にも編入生がいるんですか?」
一方開いたままの扉を見つめていたガイウスとリィンはサラ教官に尋ねた。
「え……?」
「それって……」
「あら、バレちゃった?―――というわけで出て来て挨拶しなさい。」
「はー、待ちくたびれちゃったよ~。」
サラ教官が廊下を見つめて言うとなんと学生服を身に纏ったミリアムが教室に入ってきた。
「えへへ。」
「へ……」
「ええっ!?」
「なに……!?」
「君は……」
「ノルド高原で会った……」
「え……ノルド高原ですか?――あ。もしかして……」
無邪気な笑顔を見せるミリアムを見て驚いたノルド高原に特別実習に行ったリィン達の反応を見たプリネは首を傾げたがすぐに察しがついて目を丸くした。
「うん、お久しぶりだねー。初めてのヒトもいるからあらためて自己紹介するねー。ボクはミリアム。ミリアム・オライオンだよ。―――こっちがガーちゃん……正式名称は”アガートラム”。」
「――――――」
ミリアムは自己紹介した後アガートラムを自分の傍に現させてアガートラムにも自己紹介させた。
「なあああああっ……!?」
「ええっ!?何なのですか、あの物体は……!?」
「ええええっ……!?」
アガートラムを見たマキアスとセレーネ、エリオットは声を上げて驚き
「オーロックス砦で見た……」
「あれに乗っていた子供が貴方だったんですか……」
アガートラムに見覚えがあるフィーとツーヤは目を丸くし
「すると、ノルド高原でそなたたちが会ったという……」
ラウラは戸惑いの表情でリィン達を見つめた。
「あー、そのデッカイのは教室内で出すのは禁止ねー。下手に壁でも壊されたらあたしが怒られちゃうから。」
「むう、しょうがないなぁ。」
「―――――」
サラ教官の指示に不満げな表情を見せたミリアムはアガートラムをその場から消した。
「えへへ、そんなわけで。よろしくねー、”Ⅶ組”のみんなっ!」
そしてミリアムが無邪気な笑顔を浮かべて大声を上げるとその場は静寂に包まれた。
「……えっと。」
「冗談……ですよね?」
我に返ったアリサはジト目になり、リィンは戸惑いの表情でサラ教官を見つめたが
「んー、あたしもその方が面倒がなくていいんだけどねぇ。」
「ハハッ、なかなか面白くなりそうじゃねーの。」
サラ教官は苦笑しながら答えを濁し、クロウは陽気な笑顔を浮かべて言った。
「……やれやれ。先月の宣言通り、確かに”協力”してきたが、果たしてこれがささやかな”協力”なのか甚だ疑問だな。」
「レオンハルト教官。」
その時呆れた表情をしたレーヴェが教室に入り
「そっかな~?”英雄王”が編入させた人と比べると、ボクなんか大した事ないと思うけど。」
ミリアムは首を傾げてレーヴェを見つめた。
「え……」
「お父様が……?」
「まさか……まだ編入生がいるんですか?」
ミリアムの言葉を聞いたツーヤは呆け、プリネは目を丸くし、リィンは驚きの表情で尋ねた。
「ええ。ほら、貴女が最後なんだから、入って来て自己紹介して。」
「ん。」
リィンの質問に頷いたサラ教官が廊下を見つめて言うと何と学生服を身に纏ったエヴリーヌが教室に入ってきた。
「え……」
「なっ……!?」
「ヘイムダルの時にオレ達を助けてくれた……」
エヴリーヌの登場にエマは呆け、ユーシスは驚き、ガイウスは目を丸くし
「エ、エヴリーヌお姉様!?」
「まさかリウイ陛下が編入させた学生と言うのは……」
プリネとツーヤはそれぞれ信じられない表情でエヴリーヌを見つめ
「ん、エヴリーヌだよ。ちなみに名目はプリネの”4人目の護衛”。そういう訳でよろしく。」
エヴリーヌは静かに頷いてリィン達を見回した。
「ええっ!?」
「プ、プリネの護衛って……」
「戦力過剰すぎ。レーヴェとツーヤだけでも十分戦力過剰なのに、”魔弓将”まで護衛に回すとか”英雄王”はどんだけ過保護なの?」
「ア、アハハ……」
エヴリーヌの自己紹介を聞いたエリオットは驚き、アリサは信じられない表情でプリネを見つめ、ジト目で呟いたフィーの言葉を聞いたプリネは苦笑した。
「というかエヴリーヌさん、本当に授業について行けるんですか?」
「ん。レンから教えてもらったから大丈夫。」
「へっ!?」
「レ、”レン”ってまさか……!」
「プリネの妹―――レン姫なのか?」
ツーヤの疑問に答えたエヴリーヌの話を聞いたリィンは驚き、マキアスは信じられない表情をし、ラウラは目を丸くした。
「そうだよ。エヴリーヌが編入する話が決まった時、リウイお兄ちゃんがレンにエヴリーヌにこの学院の授業についていけるように教育を頼んだの。」
「レ、レン姫がトールズ士官学校の授業についていける教育をしたなんて、正直信じられないないのですが……」
「馬鹿な……幾ら”天才”とは言え、13歳なのに教師の真似事までできるのか!?」
エヴリーヌの説明を聞いたエマは表情を引き攣らせ、ユーシスは信じられない表情で声を上げた。
「アハハ、まあレンですし。」
「レンさんなので、そのくらいは当然かと。」
「同感だ。奴にしてみれば、その程度の事、片手間でできる事だろう。」
そして納得した様子で言ったプリネやツーヤ、レーヴェの話を聞いたクロウとミリアムを除いたその場にいる者達は全員冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「ま、そういう事だからこれからはまた一緒だね、プリネ♪」
「フフッ、クラスメイトとしてもよろしくお願いしますね、エヴリーヌお姉様。」
嬉しそうな表情で自分に抱き付いたエヴリーヌをプリネは微笑みながら見つめた。
「あたしもよろしくお願いします、エヴリーヌさん。」
「えっと……わたくしはツーヤお姉様の妹のセレーネと申します。姉共々よろしくお願いします、エヴリーヌさん。」
「ツーヤの?ん、よろしくね。」
セレーネの自己紹介を聞いたエヴリーヌは目を丸くした後頷いた。
「は、初めまして!自分は畏れ多くもエヴリーヌ様と同じプリネさんの護衛についている―――」
その時リィンが緊張した様子で自己紹介をしかけたが
「ああ、お兄ちゃんから聞いているよ。”はぐれ魔神”と”精霊王女”、後ヴァイスの娘を従えているプリネの護衛の訓練兵だっけ?別に挨拶とかいらないから。めんどくさいし。後、呼び方とかも好きにしていいよ。え~っと、学院生の間は互いに平等だってレンが言ってたし。」
「ハ、ハア……」
「もう、エヴリーヌお姉様ったら……リィンさんに失礼ですよ?」
興味無さそうな表情で言ったエヴリーヌの言葉に冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、プリネは呆れた表情で溜息を吐いた。
「それと――――エヴリーヌが来たからにはこれ以上プリネとイチャイチャさせないからね。」
プリネの言葉に頷いたエヴリーヌは殺気を纏った目でレーヴェを睨み
「やれやれ………臨時とはいえ仮にも教官の立場の俺がそのような事をする訳がないだろう。」
睨まれたレーヴェは呆れた表情で溜息を吐いた。
「もう、エヴリーヌお姉様ったら……」
「完全に小姑になっていますよ……」
その様子を見守っていたプリネとツーヤは呆れ
「へ~、”魔弓将”が”姫君の中の姫君”を溺愛しているなんて、初めて知ったよ。」
「ハハッ、よくわからんが、色々な意味で面白くなってきそうだな。」
ミリアムは興味ありげな表情で見つめ、クロウは陽気に笑った。
こうして……”Ⅶ組”に新たなる仲間達が加入した……!
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