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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~雷天の覇者との邂逅~

~同時刻・ミレティア領郊外・ブレアード迷宮~



プリネ達がヴァレフォルとの戦闘を終えたその頃、リィン達も課題を達成する為にブレアード迷宮に潜って探索していた。

「フウ……何とか終わったな。」

「まさか本当に幽霊やゾンビと戦う羽目になるとは思わなかったわよ……」

「ううっ、早くここから出たいよ……」

霊体や不死者達との戦闘を終えたマキアスとアリサは安堵の溜息を吐き、エリオットは疲れた表情で呟き

「だらしないわね~。あんた達より年下なのに立派に戦っているセレーネを少しは見習ったらどうかしら?」

「そ、そんな。わたくしはお兄様やツーヤお姉様、それに皆さんがいますから安心して戦えるだけですよ。」

サラ教官の言葉を聞いたセレーネは謙遜した様子で答え

「そう言えばリィンさんは割と慣れた様子で戦っていましたけど、過去戦った事があるんですか?」

「ああ。訓練兵時代にブレアード迷宮に潜って霊体や不死者との戦いも経験している。―――それより依頼の素材も手に入れた事だし、出口に向かおう。」

ツーヤに尋ねられたリィンは答えた後、提案した。するとその時、突如周囲が漆黒に包まれたかと思うと、これまでに感じた事のない異質な気配が漂って来た。



久方ぶりの……迷い子か……感じるぞ……強き光……我の元へ……



「な、何!?」

「な、何なんだ今の声は!?」

「も、もももも、もしかしてまた幽霊!?」

突如聞こえて来た声にアリサとマキアスは驚き、エリオットは混乱し

「落ち着きなさい!何が来てもいいように全員固まっていつでも戦闘できるように構えなさい!」

サラ教官は真剣な表情で指示をしながら周囲を警戒していた。



「……?何でしょう、この違和感は……?」

「この異質な気配……ベルフェゴールと出会った時に感じた……という事は……!」

「まさか……―――”はぐれ魔神”!?」

仲間達と共に周囲を見回していたセレーネは不安そうな表情をし、ある事に気付いて呟いたリィンの言葉を聞いたツーヤが血相を変えて叫んだその時、徐々に視界が開け、目に映ったのは、これまでいた場所とは似ても似つかない異様な空間だった。



~吸雷の暗礁領域~



「なっ!?」

「ど、どうなっているんだ!?さっきいた場所とは全然違う場所だぞ!?」

「わ、私達、もしかしてどこかに飛ばされたの………?」

突如変わった周囲の光景を見たリィンとマキアスは驚き、アリサは不安そうな表情をし

「転移魔法を使ったにしても、魔力の気配すら感じ取れませんでしたが……」

「そ、それよりどうやってここから出られるの……?」

セレーネは戸惑いの表情をし、エリオットは不安そうな表情で周囲を見回し

「……―――ツーヤ、この状況に関して何か知っていないのかしら?」

「い、いえ……こんな事は初めてです……”影の国”に巻き込まれた時と少しだけ状況は似ていますが……」

自分達の中でディル・リフィーナの事情を一番良く知るサラ教官はツーヤに尋ねるのが一番だと判断してツーヤに尋ねたが、ツーヤは戸惑いの表情で答えた。



「―――どうやら”歪み”の中に飲みこまれたようね。」

するとその時ベルフェゴールがリィンの傍に現れて周囲を見回していた。

「ベルフェゴール?何か知っているのか?」

ベルフェゴールの言葉が気になったリィンは真剣な表情で尋ねた。



「ええ。”歪み”とは世界の理から逸脱した、私達の住まう世界とは異なる”領域”よ。多分さっき聞こえた声の主がこの”領域”を支配しているんでしょうね。」

「ええっ!?そ、それってもしかしてリザイラの”領域”の時と同じじゃないの!?」

ベルフェゴールの説明を聞いたアリサは信じられない表情で声を上げ

「―――離れていても、この”領域”の主とやらは相当の力を持っている事があたしでもわかるわ。できれば早急に脱出したい所だけど……その”領域”から脱出するにはどうすればいいのかしら?」

サラ教官は静かな表情で答えた後真剣な表情でベルフェゴールを見つめた。



光よ……強き、光よ…………我が元へ、来るがいい…………



するとその時再び声が聞こえて来た。

「ま、また聞こえてきたぞ!?」

「一体わたくし達に何の御用なんでしょう……?」

声を聞いたマキアスは驚き、セレーネは不安そうな表情をし

「―――この様子だと私達を逃がす気はないようね。そうなるとこの”領域”の主を撃破するか、私達の世界に通じる”亀裂”を見つけるしかなさそうね。」

「”亀裂”……リザイラの領域に通じていた時に見たアレか?」

ベルフェゴールの説明を聞いたリィンは考え込んだ後尋ねた。



「ええ。」

「サ、サラ教官……これからどうすればいいんですか……?」

「…………まず第一目標としてその”亀裂”とやらを探してこの領域からの脱出、なければその主とやらを撃破して脱出するしかないわ。―――リィン、アリサ。あんた達は残りの使い魔達を全員召喚しなさい。この周辺にいる魔獣や魔物ですらも相当な力を持つ気配がするから、今こそあんた達の”切り札”の出番よ。」

エリオットに不安そうな表情で尋ねられたサラ教官は考え込んだ後リィンとアリサを見つめて指示をし

「はい!――――リザイラ!メサイア!!」

「力を貸して―――ミルモ!!」

二人はそれぞれ残りの使い魔達を召喚した!



「隊列はあたしとツーヤ、ベルフェゴールが先頭を務めて殿はリザイラとミルモ、メサイアが務めてリィン達はあたし達の真ん中に位置する形で進むわ。―――気を引き締めて進むわよ!」

「はいっ!!」

サラ教官の号令にリィン達は力強く頷いた後、探索を開始した。”亀裂”は一向に見つからず、ついに最奥に到着するとそこにはおびただしい魔物の屍があった。



「足りぬ……この程度の光では、我は充たされぬ……」

声が聞こえた後、魔物達の骸の中から、紫電を纏う荘厳なる天使が現れた!

「ええっ!?て、”天使”!?」

天使を見たアリサは驚き

「第四位の天使―――”主天使(ドミニオン)”ね。」

「どうやら彼がこの”領域”の主のようですね……」

「天使族とは思えない程、とても獰猛でいらっしゃいますね……」

「気を付けて、アリサ……その天使から何かイヤな気配を感じるよ……」

ベルフェゴールは静かに呟き、リザイラとメサイアは天使を警戒し、ミルモはアリサに警告していた。



「―――天使殿。俺達は貴方と敵対するつもりはありません。どうか俺達をこの領域から解放して頂けないでしょうか?」

その時リィンは一歩前に出て天使に問いかけたが

「光……より強き……光を……」

天使はリィンの問いかけに答えず、鋭い眼光でリィン達を捉え、感じるのは敵意だけだった。

「問答無用という訳ね。」

「全然話を聞く気はなさそうだな……」

「ううっ……できれば戦わずに脱出したかったんだけどな……」

天使の様子を見たサラ教官は溜息を吐いた後疲れた表情をしたマキアスやエリオット、仲間達と共に武器を構えた。



「―――どうやら正気を失っているようですね。」

「まあ、魔物達を喰らっているのですから、天使ではなくもはや”魔神”と呼ぶべきかもしれませんね。」

一方天使の様子を見たメサイアとリザイラは静かに呟き

「―――我が名はバルディエル。我は……光さえも喰らう、雷天の覇者……愚か者共よ、我が雷光により、その身を焼くがいい……!」

天使―――バルディエルは名乗った後戦いの構えをし

「―――”Ⅶ組”A班、これより目の前の障害を全力で撃破する!」

「おおっ!!」

リィンの号令を合図に仲間達は”はぐれ魔神”―――”雷天の覇者”バルディエルとの戦闘を開始した! 
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