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偶発的殺人

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第二章

「そうなったとしかです」
「思えないか」
「署長はこの事件をどう思われますか」
「事故だな」
 ドーバーはマクレガーの問いに即答で返した。
「どう考えても」
「そうですね」
「君もそう思うな」
「はい」
 マクレガーも即答で答えた。
「そうとしか思えません」
「そうだな」
「これは事故です」
 また言ったマクレガーだった。
「不幸な」
「しかし容疑者達はだな」
「自分達の銃がそうなったせいだと言って」
「殺人でか」
「自首してきました」
「そうか、しかしだ」
 また言ったドーバーだった。
「これはだ」
「どう見てもですね」
「事故だ」
 こう言うのだった。
「我々から見てもな」
「本人達が撃った訳ではないです」
 マクレガーも言う。
「どう考えても」
「不幸な事故だ」
「しかし本人達はです」
「罪の意識を感じてか」
「自首してきてです」
「全て言っているのだな」
「隠すことなく」
「ではだ」
 ここまで聞いてだった、ドーバーは。
 眉を顰めさせて考える顔になってだ、マクレガーに述べた。
「もう我々の仕事は終わった」
「後は裁判所ですね」
「そこで弁護士や検事の仕事になる」
「そして陪審員達の」
「我々の証拠は全て出す」
 警察の義務は果たすというのだ。
「後は検事と弁護士が働いてだ」
「陪審員達がどう判断するかですね」
「それ次第だ」
 その段階に至るというのだ、こう言ってだった。
 ドーバーは警察、それも署長として果たすべき仕事をしてだった、そのうえでことの成り行きを見守ることにした。
 弁護士のマルス=メイスンもだ、この事件の弁護の依頼を受けてだった。
 最初にだ、自身の事務所の中でスタッフ達に首を傾げさせて言った。
「これは殺人事件かい?」
「容疑者達は自首してきてです」
「こう言ってきています」
「そして弁護をです」
「被害者の家の方々が依頼してきました」
 容疑者達の為にというのだ。
「殺人事件ではなく事故としてです」
「弁護して欲しいと」
「事情はわかったが」
 それでもと言うのだった。
「この事件はね」
「はい、どう考えましても」
「この事件はです」
「事故です」
「事件ではありません」
「不幸な事故だね」
 その灰色の目をいぶかしみさせて言うメイスンだった。
「本当に」
「では先生もですね」
「その様に弁護されますね」
「この件については」
「そうされますか」
「依頼主を弁護するのが弁護士だよ」
 メイスンは弁護士の仕事の内容からだ、スタッフ達に答えた。 
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