英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第93話
~”聖魔の帝都”ミルス~
「へ~、帝都だけあって、やっぱり凄く賑わっているね。」
「ああ……ヘイムダルとはまた違った賑やかさだな。」
「お店に置いてある商品も今まで見た事のない物ばかりね……」
「それにやはり一番目立つのは多種多様な異種族の方達ですね……獣人、翼人、エルフ……こんなにも多くの異種族が一つの街にいるなんて……」
帝都内を歩くエリオットやガイウス、アリサとエマは興味ありげな表情で周囲を見回し
「?あの巨大な建物は何なのだ?」
”闘技場”の建物に気付いたラウラは不思議そうな表情で尋ねた。
「あれは……”闘技場”だな。俺とエリゼは利用した事はないが……確か、腕自慢の戦士達が互いに闘い合い、観客達は誰が勝つかを予想して儲ける”賭け事”の場所だよな?」
「ええ。メンフィル領内の大きな都市には必ずある施設です。腕自慢の傭兵や自らの腕を確かめたい騎士達が己の力を試す為に利用し、連日観客で賑わっていると聞いています。」
リィンの確認の言葉にプリネは頷き
「かつてのエレボニアにもそのような施設があった事は”伝承”で知っていたが、まさか異世界では実在していたとはな……」
「人と人が争う所を見る事なのに、どうしてそんなに集まるのでしょうか……?」
「……まあ、賑わう最大の理由は賭けた相手が勝利して、お金を儲ける理由だろうな。」
説明を聞いたユーシスは興味ありげな表情で闘技場を見つめ、戸惑いの表情をしているセレーネの疑問にマキアスは呆れた表情で答え
「フム……賭け事の対象にされるのは正直気持ちのいい話ではないが、どれほどの猛者達が集まっているのかは気になるな。」
「同じく。わたし達ならどこまで勝ち抜けるか気になる。」
「ラ、ラウラさん、フィーさん。」
「さすがの二人でも、無謀だと思うわよ……?」
考え込みながら言ったラウラとフィーの言葉を聞いたツーヤは冷や汗をかき、アリサは苦笑しながら言った。
「ふふっ、確かに”闘技場”に挑むような連中は腕自慢の猛者が多いけど、初心者用の魔物との決闘とかもあるから、案外その二人ならペアを組めば初心者のコースは軽々とクリアするんじゃないかしら?」
その時サラ教官は口元に笑みを浮かべてラウラとフィーを見つめ
「へ……」
「……その言い方。まさかとは思いますが、サラ教官……」
「”闘技場”に挑まれたのですか?」
サラ教官の言葉を聞いたマキアスは呆け、ある事に気付いたリィンは呆れた表情でサラ教官を見つめ、エリゼは目を丸くして尋ねた。
「ええ。下見の時にちょっと寄らせてもらって、”闘技場”に集まっている連中の強さがどれ程のものか見た後、あたしでも行けると判断したクラスに実際に参加して優勝したわ♪お蔭で臨時収入ががっぽり手に入ったわ♪」
「異世界に来て早々何をやっているんですか……」
「呆れを通り越してもはや感心に値するな。」
嬉しそうな表情で語ったサラ教官の話を聞いたマキアスとユーシスは呆れた表情をした。
「あ。ちなみに言い忘れていたけど、歓楽街には男連中にとっては夢のような施設があるわよ♪興味があるなら行ってみれば?きっと経験豊富なお姉さん達が君達を”大人の男”にしてくるわよ♪」
「え……」
「何なのだろうか?」
そしてある事を思い出してからかいの表情で言ったサラ教官の言葉が気になったエリオットは呆け、ガイウスは不思議そうな表情で尋ね
「歓楽街にある男が夢見る施設?……………あ”。」
「?お兄様は知っていらっしゃるのですか?」
ある事に気付いたリィンは表情を引き攣らせ、リィンの様子に気付いたセレーネは首を傾げて尋ねた。
「アハハ……」
「え、えっと……セレーネにはまだ早い話だよ。」
その様子を見ていたプリネは苦笑し、ツーヤは疲れた表情で指摘し
「――――”娼館”の事ですね?」
エリゼは呆れた表情で答え
「”娼館”?どんな施設なんですか?」
聞き覚えのない言葉が気になったエマは不思議そうな表情で尋ねた。
「え、えっと……”娼館”とは身体を売る事を生業としている女性の方達―――”娼婦”の方達がいる施設で……その……ここまで言えばどういう施設なのかも想像できるでしょう?」
エマの疑問を聞いたプリネは苦笑しながら答えた後疲れた表情でリィン達に問いかけた。
「か、”身体を売る”って、ままままままま、まさか……!?」
「え、えっと……それって、もしかして…………」
プリネの話を聞いて何かを察したアリサは顔を真っ赤にして混乱し、エリオットは表情を引き攣らせ
「男が女を抱きたい時に抱ける施設でしょ?わたしがいた団の男連中も法をかいくぐって裏でコッソリやっているそういう施設に行ったみたいな話をしているのを聞いた事があるし。」
「フィ、フィーさん。」
呆れた表情でオブラートに包まずハッキリと答えを言うフィーをツーヤは表情を引き攣らせて見つめた。
「な、なななななななっ!?それって違法施設じゃないのか!?」
「公序良俗に反する施設は確か、エレボニアだけでなくほとんどの国家でも違法だったと思うのですが……」
一方アリサと共に顔を真っ赤にして混乱しているマキアスと、同じように顔を真っ赤にして表情を引き攣らせているエマは尋ね
「そうね。でもここ―――”異世界”では違法じゃないし、”娼館”も立派な公共施設だそうよ?」
マキアス達の様子を面白そうに見ていたサラ教官は答えた。
「なるほど。これが異世界の文化の違いか……」
「……とは言っても、そんな破廉恥な施設に行く者達の心境は理解できんし、したくもないがな。」
「フン、色欲に塗れた腐った貴族共が知れば、喜んで活用しそうだな。」
ガイウスは静かな表情で考え込み、ラウラは眉を顰め、ユーシスは鼻を鳴らした後蔑みの表情をした。
「―――兄様。この際聞いておきたいのですが……まさかとは思いますけど”娼館”を利用していませんよね?」
「!!??」
その時エリゼはジト目でリィンを見つめて尋ね、エリゼの質問を聞いたアリサは血相を変え
「なっ!?何でそんな事を聞くんだ!?」
(うふふ、それはないわね。)
(そうですね。娼館を利用していたら、ご主人様自らが望んで毎晩私達を抱いていてもおかしくないでしょうしね。)
リィンは驚きの表情で尋ね、ベルフェゴールはからかいの表情になり、リザイラは静かな笑みを浮かべた。
「同じ訓練兵(職場仲間)同士、そう言った施設に行くという話はわりと耳にしますので。」
「リィン、まさか……!」
「ないないないないないっ!絶対にないって!確かに同じ訓練兵の仲間や正規兵の先輩から誘われた事はあるけど、俺はいつも断ったって!それに城で働いている義妹の存在も知られていたから、無理に誘われる事もなかったし!」
ジト目のエリゼと顔を真っ赤にしているアリサに睨まれたリィンは慌てた様子で答えた。
「アハハ……という事はリィン、誘われた事はあったんだ……」
「勿体ない事しているわね~。ベルフェゴールとリザイラを侍らせている男とは思えないわ。」
「それは関係ないと思いますよ、サラ教官……」
リィンの答えを聞いたエリオットは冷や汗をかいて苦笑し、サラ教官はつまらなそうな表情でリィンを見つめ、サラ教官の言葉を聞いたエマは疲れた表情で溜息を吐き
「誘惑を跳ね除けるなんて、さすがお兄様ですわね!」
「…………そうですか。ならいいのですが。」
(ホントかしら……?)
(ううっ……俺の味方はセレーネだけなのか……?)
尊敬の眼差しで見つめるセレーネと自分の発言を未だに信じていないジト目のエリゼとアリサに見つめられたリィンは疲れた表情で溜息を吐き、その様子を仲間達は冷や汗をかいて見守っていた。その後リィン達は帝城―――”マルーダ城”に到着した。
~マルーダ城・正門~
「ここがメンフィル帝国の王宮……」
「歴史を感じさせる威厳ある王宮だな。」
「ああ、バルフレイム宮とはまた違った威厳を感じるな。」
仲間達と共にマルーダ城に到着したエリオットは呆けて城を見つめ、ラウラとユーシスは感心した様子で城を見つめ、仲間達も興味ありげな表情で城を見つめていた。
「エリゼ様?そちらの方々は―――――なっ!?プリネ姫!?ルクセンベール卿!?」
「一体いつこちらにお戻りになられたのですか!?」
リィン達に気付いて眉を顰めた兵士達はプリネとツーヤの姿を確認して驚き
「本日は私が通っている学院の活動で一時的に戻ってきました。」
「お疲れ様です。もしかして連絡が伝わっていないのですか?」
兵士達にプリネが説明し、ツーヤは会釈をした後尋ねた。
「いえ、伝わっております!―――失礼しました。”トールズ士官学院”の方々ですね?どうぞお通り下さい!」
ツーヤの質問に答えた兵士はリィン達に敬礼をした後道を開け
「―――それでは参りましょう。」
エリゼの先導によってリィン達は城の中へと入って行った。
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