英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~アリサの決意~(4章終了)
3日後エリゼはエリスを連れて、リィンと鍛錬をした後時間も遅くなった為、第三学生寮に再び泊めてもらう事になり、食事を終えてそれぞれが自由時間を満喫している中、エリゼはエリスと共にアリサの部屋を訪れた。
~アリサの私室~
「アリサさん、エリゼです。少しよろしいでしょうか?」
「へ?え、ええ。鍵は開いているからそのまま入っていいわよ。」
エリゼが自分を訪ねて来た事を不思議に思ったアリサだったが、すぐに許可した。
「―――失礼します。」
「あら?エリスまで一緒になって……私に何の用なのかしら?」
姉妹揃って訪ねて来た事を不思議に思ったアリサは首を傾げて尋ねた。
「実はアリサさんにお耳に入れたい事がありまして――――」
そして姉妹はアリサにベルフェゴールとリザイラがリィンと契約した時の方法――――”性魔術”を教えた。
「な、なななななななっ!?そ、それってホントなの!?」
姉妹の説明を聞き終えたアリサは顔を真っ赤にして混乱した様子で尋ねた。
「ええ。何でしたらプリネ姫やルクセンベール卿にもお聞きしたらどうですか?御二方なら”性魔術”の事や、”契約”する相手が異性の場合、ほとんどが”性魔術”である事も知っているでしょうし。」
「―――それにベルフェゴール様とリザイラ様自身がお認めになられましたし、それどころか時折兄様に夜這いして、”性魔術”を施しているそうです。」
「何ですって!?」
姉妹の話を聞いたアリサは顔を真っ赤にして声を上げたがすぐに何故姉妹が自分に教えたのかが疑問に思って尋ねた。
「えっと……どうして二人は私にそんな事を教えてくれたの?」
「フフ、同じ兄様を好きになった者同士、教えておかないと公平じゃありませんので。」
「そ、そう。……という事はまさかアルフィン皇女殿下まで知っているの??」
エリゼの答えを聞いてある事が気になったアリサは冷や汗をかいて尋ね
「いえ、さすがに姫様にこんな事は教えられませんし、もし姫様が知って私達がしたなら自分も……と判断して”実行”したら、とんでもない事態に陥りますので教えるつもりはありません。それと現状アリサさんが一番不利である事も知っておいてもらう為にも話しました。」
「!?どういう事、それは……!」
そしてエリスの言葉を聞いたアリサは血相を変えた。
「まず最初に言っておきますと……―――私達、兄様に夜這いして純潔を奉げましたから、将来夫婦になる事は”確定事項”なんです。」
「………………………………え”。」
頬を赤らめて嬉しそうな表情で答えたエリスの言葉を聞いたアリサは石化したかのように固まった後呆けた声を出し
「えええええええええええええええええええええっ!?い、いいいいいいい、一体いつそんな事を……というか何でそんな事をしたのよ!?」
やがて我に返ると大声を上げ、顔を真っ赤にして混乱した様子で姉妹を見つめた。
「兄様がベルフェゴール様達と”性魔術”をした事を聞いて、決めたんです。恋愛事に関して超鈍感な兄様に遠慮する必要はないので、積極的に攻めていこうと。」
「兄様の性格なら、関係を持ってしまえば、責任を取ってくれる事は確実です。ちなみに私達の純潔を奉げたのは私達がトールズ士官学院を訪ねた日――――私が皆様にご迷惑をかけてしまった日の夜です。」
「……………………」
姉妹の答えを聞いたアリサは驚きのあまり口をパクパクしていた。
「そ、それで……私が一番不利ってどういう事よ……?」
そしてすぐに我に返ったアリサは表情を引き攣らせながら尋ねた。
「私とエリス、ベルフェゴール様、リザイラ様は既に互いの身体を重ね合った関係の間柄ですし、兄様の”パートナードラゴン”であるセレーネは常に兄様の傍にいる事になります。」
「――加えて姫様の様子からすると、機会あれば大胆な行動に出てもおかしくないかと。別れ際に不意打ちの口付けをしたように。さすがに私達のように純潔を奉げる事はないと思いますが……ストレートに自分の想いを伝えて、積極的に責めるかもしれませんね、姫様でしたら。」
「!!!」
姉妹の推測を聞いたアリサは血相を変え
(あらあら♪確かに現状ですと、お嬢様が一番不利ですわね♪)
アリサの私室の扉の前で事の次第を盗み聞きしていたシャロンは悪戯を思いついたような笑みを浮かべた。
「フフ、頑張ってくださいね、アリサさん。それと魔術の中には妊娠を防止する魔術もありますから、その魔術を習得するのも手だと思いますよ。殿方は中に出す事が一番興奮すると聞いていますし、実際兄様の時もそうでしたし。」
「同じ殿方を好きになった者同士として、私達は応援していますよ。―――それでは失礼します。」
そして姉妹はアリサの部屋から出て行き
「…………ど、どうすればいいの……!?私も二人みたいに”処女”をリィンに一刻も早く奉げた方が……で、でもリィンが私を好きじゃないかもしれないし……!ああもう、どうすればいいのよ……!?」
(よ、よくわからないけど、大丈夫~?アリサ……)
姉妹が出て行くとアリサは頭を抱えて悩み始め、アリサの様子を見たミルモは心配そうな表情をした。
「――――お嬢様、少しよろしいでしょうか?」
その時姉妹が部屋を出るのを見計らっていたシャロンはアリサの私室の扉をノックし
「シャ、シャロン!?え、ええ、いいわよ。」
「―――失礼します。」
アリサは驚いた後入室を許可し、気を取り直して部屋に入ってきたシャロンを見つめた。
「そ、それで何の用よ。」
「うふふ、僭越ながらお嬢様の初恋が実る為の助言をしようと思いまして。」
「!?まさかシャロン、さっきの会話を盗み聞きしていたんじゃ……!」
微笑みながら言ったシャロンの言葉を聞いて驚いたアリサは顔を真っ赤にして身体を震わせながらシャロンを睨んだ。
「うふふ、そんな些細な事は今は気にしないで下さい、それよりお嬢様。お嬢様にはエリゼ様達にはない唯一の最高の条件がありますからそれを最大限に活用すればお嬢様にも勝機がありますわ。」
「へ?それってどういう事よ。」
「それは勿論一つ屋根の下で住んでいるのですから、お嬢様でしたら毎晩リィン様に夜這いをして、お嬢様がリィン様をどれだけ想っているかを伝えてリィン様の心を射止める事が可能ですわ♪」
「なっ!?なななななななな、何を馬鹿な事を言いだすのよ、シャロン!」
からかいの表情で答えたシャロンの言葉を聞いたアリサは顔を真っ赤にして混乱した。
「―――お嬢様。お嬢様も既にわかっていると思いますがリィン様は”そういう方面”に関しては相当鈍い方。ですので、お嬢様のような素晴らしい女性が自分に恋している等想像もした事はないでしょう。ですので、お嬢様の気持ちが本物である事を知ってもらう為にお嬢様自身が勇気を出して動くべきかと。」
「で、でも……もしそれを実行して、リィンが私を嫌って、今の関係が壊れたら嫌だし……」
シャロンに諭されたアリサは不安そうな表情をしたが
「うふふ、それはありえませんわ。」
「何で?」
「義理の関係とは言え妹であるエリゼ様とエリス様と無理矢理な形とはいえ関係を持ったとエリゼ様達自身の口から出たお話ですが、相変わらず仲のいいご様子。それに殿方がお嬢様のような見目麗しく、スタイルも素晴らしい女性に自ら純潔を奉げられる事を嫌がるなんてありえませんわ。リィン様とて殿方。いくら理性があろうと、お嬢様がお相手でしたら戸惑いはするでしょうが、嫌がりはしませんわ。」
「でも……リィンにはしたない女って思われるじゃない。」
「うふふ、お嬢様の気持ちが本物と知ればそんな事は思いませんわ。それにこのままですと、エリゼ様達にリィン様の心を全て持っていかれてお嬢様が入る隙間はなくなってしまいますよ?」
「!!!」
シャロンの推測を聞いて血相を変えた。
「フフ、そうよね……よく考えたら私の気持ちに気付かずに既に4人の女性と関係を持っている上懲りずにどんどん無自覚で増やし続けているリィンなんかに私が遠慮する必要もないわよね?フ、フフッ、フフフフフ…………!」
(ア、アリサが怖い…………)
「ふふっ、その意気ですわ、お嬢様♪」
そして目にも見える程の怒気をメラメラと燃やしながら膨大な威圧を纏って微笑み始めるアリサを見たミルモは怖がり、シャロンは嬉しそうな表情になった。
「―――シャロン。リィンが私無しではいられないくらいの”そっち方面”の知識を教えて。そんなとんでもない提案を持ち出して来た貴女の事だから、どうせ”そう言う事”も知っているんでしょう?」
「かしこまりました。私の知る限りの知識でよろしければ、喜んでご教授させて頂きます♪」
真剣な表情のアリサに尋ねられたシャロンは笑顔で会釈し
「フフ、私にここまでの事をさせるんだから、覚悟していなさい、リィン……!それと……――――ミルモ。」
アリサは微笑みながらリィンがいる部屋の方向に視線を向けた後ミルモを召喚し
「アリサ……?え、えっと……私に何の用なの……?」
召喚されたミルモはアリサがさらけ出している威圧に怖がりながら尋ねた。
「さっきエリゼが言っていた妊娠防止の魔術を私に教えて。」
「ええっ!?そ、そんな事を言われても、私はそんな魔術は知らないよ……」
アリサの言葉に驚いたミルモは戸惑いの表情をし
「そう……じゃ、プリネに聞くわ。恋人がいて、既に”大人の女”になっているプリネならそう言う事も知っていそうだし。プリネでも知っていないなら……正直聞きたくない相手だけどベルフェゴールやリザイラに聞くのが最終手段ね。」
「まあまあいけませんわ、お嬢様……そんな事をすればいつまで経ってもリィン様とお嬢様のお子様ができず、リィン様に結婚を迫れませんわよ?」
アリサの答えを聞いたシャロンは困った表情でアリサを見つめ
「……幾ら何でも自立もしていないのに子供は早すぎよ。……というか一応”ラインフォルトグループ”の令嬢である私に授かり婚を勧めるとか、貴女、それでも”ラインフォルトグループ”のメイド?」
「ふふっ、私はラインフォルト家に仕えるメイドとしてアリサお嬢様の恋の手助けをしたいだけですわ♪」
呆れた表情で自分を見つめるアリサにシャロンは笑顔で答えた。
~同時刻・リィンの私室~
「エ、エリゼ……も、もしかしてまた俺の紅茶に……」
同じ頃、リィンは突如襲って来た身体の痺れが目の前の姉妹の仕業と察して表情を引き攣らせながら姉妹を見つめた。
「ええ、以前入れたのと同じ痺れ薬と媚薬ですよ。」
「な、何でだ……?前と違って紅茶を用意してくれたのはシャロンさ―――――!!」
否定もせずあっさり頷いたエリゼを見たリィンは戸惑いの表情をしたがすぐにある事に気付き
「フフ、シャロンさんには姉様との鍛錬で疲れた兄様の疲労回復の為の薬を紅茶に混ぜて欲しいと頼んだ所、快く引き受けてくれましたよ?」
「………………(何でそんなあからさまにわかりやすい嘘をあっさりと信じるんですか、シャロンさん!?)」
微笑みながら答えたエリスの言葉を聞いたリィンは心の中でシャロンに指摘した。
(うふふ、絶対わかっていたでしょうね♪……っと、その前にまずはいつものように邪魔者が入らないようにしないとね♪)
(ふふふ、あのメイドは話がわかる方ですからね。)
ベルフェゴールはからかいの表情になった後結界を展開し、リザイラは静かな笑みを浮かべ
「フフ、どうやらベルフェゴール様も空気を読んでご丁寧に結界まで展開してくれたようですね……」
「邪魔者も来ませんから、たっぷりと私達がどれだけ兄様を愛しているか、改めて教えて差し上げますね、兄様♪」
そして姉妹はそれぞれ下着姿になってリィンに迫り
(俺の味方はどこにもいないのか……!?)
姉妹に迫られたリィンは表情を引き攣らせ、姉妹はリィンを押し倒した後ある行為を始めた!
2日後―――
~第三学生寮~
2日後、いつものように学院から帰ってきたリィンは自分の部屋のポストを調べた。
「あれ……手紙が入っている。一体誰だ……?エリゼとエリスはこの間会ったばかりだし……」
ポストの中に入っている手紙に気付いたリィンは首を傾げて手紙を裏返して宛名を調べた。
アルフィン・ライゼ・アルノール
「…………………………………え”。」
宛名を確認したリィンは石化したかのように固まった後呆けた声を出し
「えええええええええええええええええええええええええええっ!?」
やがて我に返ると大声を上げて驚いた!
後に帝都内のメンフィル帝国軍の投入はメンフィル帝国の”善意”で、侵略行為のつもりは一切ない事が報道された。他国が”善意”で軍を投入するというエレボニア帝国の警備の不甲斐なさで市民達にエレボニア帝国軍に不信感を抱かせない為に情報局は全力で情報規制や操作に当たった。
しかし観光旅行に来ていた遊撃士のエステル達が避難誘導や傷ついた市民達の手当て等をした事の報道規制や情報操作はメンフィル帝国も許さず、ありのままを報道する事になり……結果、何故遊撃士協会が帝都から支部を撤退させたのかが市民達の最大の疑問になり……その事を知ったオズボーン宰相は2年前の猟兵団による遊撃士協会各支部の爆破事件の原因の一つが猟兵団を市内に潜入させたエレボニア帝国軍の失態である事に気付かれる前に、不本意ながら遊撃士協会本部に依頼し、帝都内の二つの支部を復活させる事にした。
そしてアルフィン皇女がダンスパートナーを選んだ事―――その相手がアルフィン皇女自身の強い希望によってダンスパートナーを務めた事や元エレボニア帝国貴族であるメンフィル帝国貴族――――アルノール家とも縁のある家でしかも正当な血筋ではなく、シュバルツァー男爵が拾った”浮浪児”という事実はエレボニア帝国中を騒がせ…………その事によってリィンは様々な意味で有名になり……後にその事を知ったシュバルツァー男爵夫婦は驚いた後、喜び……その事態にリィン自身は頭を抱える事となった。
更にアルフィン皇女はリィンが返事を出せばその度に手紙を送り……手紙が送られてくる度にリィンは毎回、表情を引き攣らせて冷や汗を滝のように流した後どんな返事を書けばいいのか、仲間達に相談して何日も頭を抱え込みながら、苦労して返事を書いていたという……………
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